遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ロシアが資源依存から、ものづくりに重点

2011-08-27 00:10:47 | my notice

 ロシア経済は、輸出資源の高騰に支えられて成り立っていて、資源枯渇や価格の下落があるとしぼんでしまう危うい基盤で成り立っていることは、諸兄がご承知の通りです。そして、ロシアの輸出の 1割強を占めているガスの生産量の85%を生産する3つの主力ガス田では、生産量が20年前に比べ2/3に激減していて、そのうちの一つでは、2026年には生産が止まってしまう状況なのだそうです。ロシア全体では、2030年には、'09年比で 6割減の 4割の生産量になる見込みなのだそうです。
 そこで、高コストで高度な生産技術を要する北極圏や極東のガス田開発が必須になり追い込まれているのでした。

 この極東シベリアの開発が、北方4島の開発にも影響していますが、同時にアジアや日、中、韓への販路も求めたインフラ整備も進めています。北朝鮮経由の韓国向けパイプラインもその内のひとつの話ですね。
 また一方では、資源依存を軽減するため、ものづくりを振興する構造改革への取り組みも始ているようです。
 

「ものづくり」ロシア強化 (8/26 朝日朝刊)

<前略>

 石油やガスの輸出などで経済発展してきたロシアが今、「ものづくり」を目指すのは08年のリーマン・ショック後の苦い経験のためだ。石油価格の暴落で、経済は急速にしぼんだ。メドベージェフ大統領は構造改革に着手し、通信インフラの整備やIT分野を育成し、製造業の強化を目指す。
 一方、モスクワを中心とした西部と極東の経済格差は大きい。政権は中国や東南アジアの経済の好調さに着目し、地理的に近い極東開発に着手。本来の強みであるガスや石油が輸出できるようパイプラインを延長し、道路などのインフラを整備している。24日の北朝鮮との首脳会談でも、極東から南北朝鮮をパイプラインで結び、ガスを供給する事業で合意した。

 自国産業の育成に乗り出しているのは、製薬や医療機器、商用航空機分野、省エネを目指す新型照明など多岐にわたるのだそうですが、極東の日本の中古車市場の根強い需要を拡大しようと、産業育成策に便乗し、日本のメーカーによる新車の生産工場進出が進行しているのだそうです。
 

日本中古車 大消費地 極東ウラジオ新車に注視 企業誘致政府後押し (8/26 朝日朝刊)

 中古日本車の大消費地として知られるロシア極東のウラジオストクで、自動車ビジネスが変わりつつある。ロシアの「物づくり」産業育成を目的に、今度は同じ日本車でも新車の生産拠点として注目
されている。政権は、資源依存経済からの脱却とシベリァ・極東地域開発を同時に狙う。

 来年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)開催を控え、あちこちで道路工事が進むウラジオストク。至る所で大渋滞だ。
 大陸欧州と同じ右側通行なのに、列をなす車のほとんどが右ハンドルの日本の中古車。車体に「○○建設」「築地直送」などと日本語が残る車両もある。
 中心部から車で約30分。「ゼリョーニー・ウーゴル(緑の角)」と呼ばれる丘の広大な斜面に日本の中古車約3千台がずらりと並ぶ。市内最大の野外中古車販売所だ。
 オープンは、ソ連崩壊後の1993年ごろ。日本から格安で仕入れ販売した。日本では売れない走行距離の車も「ロシア車に比べれば性能がいい」と評判で、遠くシベリア地方からも買いに来るようになった。
 ただ、一見盛況に見えるが、以前は1万台以上の中古日本車が並んでいたという。「激減」の理由は、ロシア政府が国内自動車メーカー保護のため2年前に導入した自動車の輸入関税引き上げだ。年式と排気量で税額は異なるが、製造5年以内の車でそれまでの25%から5~10%上昇した。
 だが、それでも
日本からの中古車輸入は1年でまた増加に転じた
。日本中古車輸出業協同組合(東京)によると、関税が導入された09年のロシア向け日本中古車輸出量は前年の10分の1になったが、10年は09年の2倍にまで回復した。
 関税引き上げをめぐっては抗議集会も相次いだ。日本に買い付けに行く人、販売する人、部品の販売業者、整備工場……日本の中古車に連なる就労者も多い。ある地元紙記者は「極東の人にとって日本の中古車は生活と切り離せないものになっている」という。

各社、現地生産へ

 一方で、最近は「左ハンドルの日本車」をめぐる動きも出てきた。
日本の自動車メーカーが来年以降、相次いでウラジオストクに新車の生産拠点を確保
する。ロシア政府が外国メーカーを誘致し、国内企業との提携を後押ししているのだ。
 同じ日本車でも、丸ごと輸入の中古車と地元の工場で生産される新車とでは産業育成上、意味が大きく異なる。
 トヨタは、ロシア自動車製造販売会社「ソラーズ」(本部・モスクワ)と提携。人気車ランドクルーザープラドの部品を同社のウラジオストク工場に納入し、組み立て生産する計画だ。年間2万5千台を見込む。いすゞ自動車も、ソラーズと合弁で生産している小型トラックの工場をロシア西部からウラジオストクに移転させる。マツダも極東生産を始める予定だ。
 日本メーカーにとって、モスクワなど市場規模の大きな西部でなく、距離的に近い極東に進出するのは部品の輸出に有利。ロシア政府から関税の減免措置を受けられ、完成品を西部に輸送するのにシベリア鉄道を格安利用できる見通しだ。
 ただ、
生産技術の底上げを狙う政府の期待に、国内メーカーがどれだけ応えられるか不安もある

 現地生産工場は、優遇措置の条件として稼働から18~30カ月以内に部品からの組み立てだけでなく、塗装や溶接などの細かい工程も導入しなければならない。
現地での部品調達率も引き上げる必要があり、高品質な部品をつくる業者をどう確保するのか
が問題だ。
 ロシアの自動車市場を調査する「アフトスタット」社のセルゲイ・ウダロフ副代表は「外国車は高度な技術の結集。国内メーカーへの追加の政府支援が不可欠だ」と話す。(ウラジオストク"関根和弘)

 サハリン1, 2のガス田開発では、リスクを開発に携わる日本を含む外国資本に負わせ、完成間近に因縁をつけて乗っ取る手法が両方で使われました。日本の敗北が確定した終戦時のドサクサで条約を破棄して攻め込み、北方4島に居座っているのと基本姿勢は同じです。
 短期間にロシア国内の企業に技術移転を成し遂げさせる条件付きでの産業支援は、最初から横取りを宣言している分、正直になったといえるでしょう。
 
 短期勝負で利益を回収する戦略と、横取りされても利権を残すか、重要部品の日本からの輸出が残るなどの仕組みも必要でしょう。ものづくりの極意は、古くは日本流TQCに始まり、トヨタ生産方式で昇華され、CANONが言う終身雇用による長期的開発視野等々一朝一石ではなしえない奥深さがあります。
 韓国へのアルバイトによる技術流出や、中国の新幹線の特許申請に見られた轍を踏まない様、サハリン1, 2のほぞを忘れないで、相手がロシアであることをしっかり認識しての工場や下請け網建設戦略を展開されることを願ってやみません。

 サプライチェーン丸ごと進出し、東北地域などの日本とウラジオストックが一体不可分の体制を構築出来れば、そこから西部への出荷も含め定着した展望の可能性はありますが...。一筋縄ではいかないのがロシアですのでどうなのでしょう?

 # 冒頭の写真は、浜田商港で船積みされたロシア向け中古車



  この花の名前は、ヒゴタイ

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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交




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