遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

英 EU離脱 日本の英国進出企業は。

2016-06-25 22:02:12 | my notice

 歴史に残る、英国のEU離脱。どんなことにどんな影響が出るのか。それはどのくらいの規模なのか。長引くのか、短期的なショックで終わるのか。興味深々です。
 その中で、先ず気がかりなのが、EU進出の拠点として英に投資した日本企業。EUの一員としての英国、しかも世界の金融のメッカとしての英国への進出を図ったにも関わらず、その狙いが霧散しかねない事態に陥ったのですが、どうなるのだろうと言うことです。
 読売が取り上げています。 


企業戦略見直し 生産拠点英撤退も視野 (6/25 読売朝刊)

 英国が欧州連合(EU)からの離脱を選び、日本の経済界は企業活動に悪影響が及ぶことへの警戒を強めている。2008年のリーマン・ショック後のような超円高時代の再来が懸念され、将来的には英国とEU加盟国との貿易に関税がかかると見込まれるためだせるなどの対応を迫られる可能性
がある。

 「予想外。
世界全体で一緒に行こうというベクトルが分散に向かう、歴史の転換点に近づいてきたのではないか
」。24日午後、経済同友会の小林喜光代表幹事は記者団に危機感を示した。
 日本商工会議所の三村明夫会頭も「
英国に進出する企業の多くが戦略の見直しが必要か検討しないといけない
」と語った。英国に進出する日系企業は1000社を超える。累計投資額は10兆円規模で、欧州全体の3割近くに達する。
 経団連では幹部らがインターネットで開票の行方を見守っていたが、離脱が確実になると重苦しい雰囲気が広がった。幹部の一人は「離脱の影響などについて積極的に発信してきたので残念だ」と肩を落とした。

◆円高
 自動車メーカーは円高の影響が大きく、日産の志賀俊之副会長は24日の記者会見で、「市場の混乱は困る話で、特に円高は望ましい方向ではない」と述べた。
 自動車大手の関係者は「
リーマン後の超円高の影響で業績が悪化した状態が思い出される
」と懸念する。
 輸出企業以外にも円高の影響は及ぶ。
 海運業界では、運賃の主流はドル建てのため、円高になると円換算での売上高が減る。日本郵船は「収支の悪化だけでなく、長期的には英国への移民の動きが止まることで欧州の消費が滞り、貨物の減少などの影響が出かねない」と話す。

◆関税
 英国とEU加盟国との貿易で関税がかかることになれば、
英国を欧州の拠点とするメリットが少なくなる
。日立製作所は主力の鉄道事業の拠点を英国に置き、英中部に車両の生産工場を設けている。英国から欧州全域への輸出拡大を目指しているが、現地の生産体制も含めて見直しが必要か検討を進める考えだ。
 日本貿易会の小林栄三会長(伊藤忠商事会長)は、英・EU間の条約などが見直されることを念頭に、「進出企業への影響に十分配慮された枠組みが構築されることを強く期待する」とのコメントを発表した。
    ◇
 経済産業省は英国に進出する企業幹部との「官民意見交換会」を27日に開く。金融市場の混乱や英国が実際にEUから離脱した場合の企業活動への影響などを把握し、具体的な支援策を検討するためだ。

「シティー」存在感低下を懸念
 【ロンドン=五十棲忠史】英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱派が勝利したことを受け、ロンドンの金融街「シティー」では存在感が低下しかねないとの不安が広がっている。英国に進出した金融機関は
EUの「シングルパスポート・ルール(単一免許制度)」
に基づき、英国の金融当局から取得した免許で、全EU加盟国で業務ができる利点がある。
 
英国がEUから離脱すればこの制度が適用されなくなる可能性
があり、その場合は別のEU加盟国でも免許を取る必要が出てくる。
 金融機関は国民投票の実施前から、一部の社員をパリや独フランクフルトなどに移転させ、英国を除く欧州でのビジネスに従事させる構想を練ってきた。今後、こうした動きが活発化すれば、人材流出が続き、シテイーは衰退しかねない。

「潰れる日本企業も」 川村隆・日立名誉相談役
  日立製作所の川村隆名誉相談役(76)は24日、読売新聞のインタビューに応じた。英国の欧州連合(EU)離脱が日本企業に及ぼす影響について、「
(経営環境が)かなり悪くなるかもしれない。放っておいたら潰れる企業も出るだろう
」と強い懸念を示した。
 英国には日立が鉄道事業の拠点を置くなど、多数の日本企業が進出している。英国とEUは2年かけて離脱に向けた交渉を進めるとみられることから、川村氏は「
リーマン・ショック後に比べ、事態はゆっくり動く可能性がある」との見通しを示した。その上で、「企業はその間に(竸争力強化に向けて)痛みがあっても構造改革に取り組むべき
だ」と指摘した。
 一方で、日立や日本企業の現状について、「日本一に甘んじて世界一になろうと本気で思わないところが問題だ」と述べ、世界経済が不透明になる中でも、世界市場を視野に入れた事業展開に踏み込むべきだとの考えを示した。

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*英国に進出している主な日本企業

①トヨタ自動車 現地工場で中小型車を年間19万台生産
②日産自動車  現地工場でスポーツ用多目的車(SUV)、小型車など年間47万台を生産
③ホンダ    現地工場で、SUVなど年間11万台を生産
④日立     鉄道車両工場
⑤三井住友銀行 現地法人・欧州三井住友銀行の本店。パリやミラノなど欧州に6支店を展開
⑥野村ホールディングス 欧州・中東・アフリカ地域の本社機能。金融取引やM&A支援などを行う
⑦ソニー    欧州の販売・営業統括拠点、ゲーム子会社
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 英国に進出する日系企業は1000社を超え、累計投資額は10兆円規模で、欧州全体の3割近くに達するのだそうです。
 英国のみならず、対EU貿易をEU域外からではなく、EU域内から交易するのが狙いですね。
 離脱は、2年を懸けて行われ、新たにFTAなりEPAが結ばれることになるのだそうです。ただし、EU側とすれば、EU離脱の連鎖を防ぐため、離脱第一号の今回、厳しい姿勢で対処するとの声が聴かれます。

 日欧EPAの進展も遅れていますが、そうした、第三国と同等の扱いになるのか、準EU国扱いの優遇処置があるのか。全く白紙状態ですので、英国に進出した会社では、その混乱ぶりはいかばかりかとお悔やみ申し上げます。
 英国進出企業として、遊爺が真っ先に思い浮かべるのは、日立の鉄道車両工場です。記事で、「リーマン・ショック後に比べ、事態はゆっくり動く可能性がある」「企業はその間に(竸争力強化に向けて)痛みがあっても構造改革に取り組むべきだ」と川村隆名誉相談役が述べておられますが、日立の苦渋が伝わってきます。投資計画を立案する時には、夢にも考えなかったことなのか、多少はリスク意識があった(通貨のポンドを維持するなど家ならずしも一体ではない)のかは判りませんが、いかばかりかと推察します。

 「中国が英国の取り込みを狙っている」とのアップをさせていただいていました。現実味を増して来るのでしょうか。
 
中国が英国の取り込みを狙っている - 遊爺雑記帳


 # 冒頭の画像は、ロンドンで取締役会を昨年9月開いた日立
  英国のEU離脱で最も困る日本企業は。日立?日産?それとも






  この花の名前は、キジムシロ


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