遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米朝会談で変化する東アジア情勢 日本はどのように対応すればよいのか

2018-06-21 23:58:58 | 北朝鮮 全般
 米朝首脳会談が実施され、緊迫していた軍事衝突は一時的には回避されましたが、会談の内容は薄く、トランプ政権側が、歴史的な会談実現のショーの演出を優先したというものだったと言っても過言ではないと考えます。
 内容については、今後の交渉に委ね先送りされているのですが、その朝鮮半島を巡る変化は、金正恩が中国を後ろ盾に仰ぐ戦術に転換したことで、米中の対峙の形勢を濃くした展開となっていますね。
 東アジア「激変」に、日本はどのように対応すればよいのか。
 東京国際大学・村井教授は、日本の安全を保障するには、拡大する中国の軍事的脅威に対して、第一列島線を守ることが死活的に重要と指摘しておられます。
 
【正論】東アジア「激変」に日本は備えを 東京国際大学教授・村井友秀 - 産経ニュース

■体制保証と非核化は不可能
 
今後の日本の安全保障を考えるとき、ポイントは朝鮮半島の動向である。

 米朝会談で合意した
北朝鮮の体制保証と非核化とは何か
 北朝鮮が核兵器を隠匿することは極めて容易であり、仮に現存する核兵器が全廃されても材料と知識があれば何時でも再生産できる。
核兵器をつくる材料と知識を北朝鮮から消し去ることは不可能である。北朝鮮は核兵器を放棄しない。核兵器がない北朝鮮は経済が破綻した貧しい小国にすぎず、世界が無視するだろう。

 また、米国が北朝鮮を攻撃しないと約束しても、北朝鮮の現政府が存続できる保証にはならない。歴史を見ると、飢餓状態にある国民に反政府運動をする余裕はないが、飢餓状態を脱すれば国民の不満は政府に向かう。経済支援により飢える心配がなくなれば、金正恩政権に対する反政府運動が活発になる可能性がある。

 他方、外敵がなくなれば独裁政権を支える暴力装置である100万人の軍や警察を維持する口実もなくなる。米国は北朝鮮の反政府運動を鎮圧し、独裁政権を守るのか。
金正恩政権の最大の脅威は米国ではなく北朝鮮の国民である。

 北朝鮮が米国との交渉の前提としていた核抑止はどうなったのか。北朝鮮の大陸間弾道弾はまだ実験段階であり、北朝鮮に米国のミサイル防衛システムを突破して米国本土を核攻撃する能力はない。北朝鮮に米軍の攻撃を抑止する能力はない。では
なぜ北朝鮮は核開発をやめると言ったのか

■韓国は民族統一を最優先する
 
第一の理由は米国による軍事攻撃を恐れたからだろう。金正恩朝鮮労働党委員長は自分の身の安全が最優先である。米韓特殊部隊の暗殺作戦準備も進んでいた。
 北朝鮮と米国は相手を威嚇して譲歩を迫るチキンゲームを続けてきた。一本道で双方が車を正面衝突するように走らせ、どちらが衝突を避ける臆病者かを競うチキンゲームに強いプレーヤーは、コストと利益を計算し危険を避ける合理的な人間ではなく、コストを無視し不利益になることも躊躇(ちゅうちょ)しない、何をするかわからない危険人物である。正面衝突することを厭(いと)わない危険人物が相手の場合は、衝突しないように相手を避けることが合理的な対応になる。故に
チキンゲームでは危険人物が合理的な人間に勝つのである。

 合理的なオバマ大統領と危険な金正日総書記がチキンゲームをやっていたときは、オバマ大統領が衝突を避けた。その後、チキンゲームをやっていたのは金正恩委員長とトランプ大統領である。どちらが何をするかわからない危険人物か。
金正恩委員長は恐らくトランプ大統領は本当に軍事攻撃をするかもしれないという恐怖感を抱いたのであろう。だから合理的な金正恩委員長は衝突を避けた

 ところで、韓国の文在寅大統領は何をしているのか。文大統領の最優先政策は民族統一であろう。軍事政権時代の韓国で反政府デモを繰り返した学生運動の指導者は、朝鮮戦争は北朝鮮が勝てばよかったと主張していた。その主張は、北朝鮮が勝てば民族は統一され、統一朝鮮は共産主義国家になるが、国内体制よりも民族統一が優先するというものであった。
 また、文大統領は南北間の交流が活発になれば、50倍の経済力を持つ韓国の政治的、経済的、文化的影響力によって平和裏に北朝鮮の体制を転覆させる「和平演変」が可能であると信じているのかもしれない。民族統一の結果、在韓米軍が撤退し中国の影響力が大きくなっても、小中華であることを誇りにしてきた歴史もある朝鮮に抵抗感は少ないだろう。

■第一列島線の防衛が生命線に
 
金正恩政権のパトロンである中国は何を考えているのか。現在の中国共産党の大戦略は「中華民族偉大復興」、すなわち中国の勢力圏拡大である。中国の目標は、朝鮮半島から米軍を追い出し朝鮮半島を中国の勢力下に置くことである。これまで中国の戦略は経済制裁から北朝鮮を守ることであった。しかし、韓国に民族統一派で中国に融和的な政権が誕生したことによって、中国の勢力を朝鮮半島全体に拡大できる可能性が高くなったと判断し、米軍の軍事行動を招きかねない無用な挑発をやめ、南北の和解を進展させるように金正恩政権を説得した。

 それでは
日本はどのように対応すればよいのか。将来、朝鮮半島が中国の勢力下に入り、日清戦争以前の東アジアが再現する可能性が出てきた。1950年、朝鮮半島は米国の防衛ライン(アチソンライン)の外であった。日本の安全を保障するには、拡大する中国の軍事的脅威に対して、日本、台湾、フィリピンを結ぶ防衛ライン(第一列島線)を守ることが死活的に重要である。

 日中関係が決定的に悪化しても、中国海空軍の進出を第一列島線で阻止すれば(オフショア・コントロール)、日本の国内総生産(GDP)は数%低下するが、インド太平洋を通る日本の生命線を維持することができるだろう。  (東京国際大学教授・村井友秀 むらい ともひで)

 金正恩政権の最大の脅威は米国ではなく北朝鮮の国民であるとの指摘は、世界の歴史の事実に照らせば、的を得たご指摘と賛同します。
 そして、その脅威が具現化するのは、飢餓状態にある現状の国民に反政府運動をする余裕はないが、経済支援により飢える心配がなくなった時に、反政府運動が活発になる可能性があると。

 北朝鮮は核兵器を放棄しない。しかし、なぜ北朝鮮は核開発をやめると言ったのか。
 第一の理由は米国による軍事攻撃を恐れたからだろうと。
 北朝鮮と米国は相手を威嚇して譲歩を迫るチキンゲームを続けてきた。チキンゲームでは危険人物が合理的な人間に勝つ。金正恩委員長は恐らくトランプ大統領は本当に軍事攻撃をするかもしれないという恐怖感を抱いたのであろう。だから合理的な金正恩委員長は衝突を避けたのだと。
 興味深い角度からの分析ですね。

 中国に対し、窓口となっていた叔父の張成沢を銃殺し、中国が擁護していた兄の金正男も殺害した金正恩。中国に対し突っ張っていた姿勢を180度転換し、対米交渉に向け後ろ盾を仰ぎ膝を屈しています。
 米朝首脳会談で、朝鮮半島の情勢を、米韓に主導権を奪われることを防がねばならない習近平。南北統一を掲げる文在寅大統領誕生は、中国の勢力を朝鮮半島全体に拡大できる可能性が高くなったと判断し、米軍の軍事行動を招きかねない無用な挑発をやめ、南北の和解を進展させるように金正恩政権を説得したと言う、村井教授。
 トランプ大統領の、斬首作戦も含む軍事的脅威に脅える金正恩は、プライドを捨て、首脳会談のホテル代を無心するほどに経済制裁の効果も演出して見せ、会談の前後の短期間に 3度も習近平に縋り付く豹変で、当面の軍事脅威を凌ぐ、米朝会談の勝利を収めました。

 しかし、訪中時には習近平を絶賛していたトランプ大統領ですが、対北抑止への動きが鈍いことから、自ら米朝会談に乗り出し、更に最近では、中国の覇権拡大に警戒を強め貿易戦争を始めています。
 対北朝鮮の今後の交渉の行方次第では、いつまた軍事圧力を復活させるか、態度変更は十分あり得ますね。

 この激動する日本を取り巻く安保状況の戦後最大の危機のなか、日本はどう対処すれば良いのか。
 どこかの国の「世論戦」の毒牙に犯されたとしか思えない、偏向オールドメディアやその下請け活動に専念する野党。日本沈没に励んでいます。
 村井教授は、日本の安全を保障するには、拡大する中国の軍事的脅威に対して、第一列島線を守ることが死活的に重要と、指摘しておられます。

 第一列島線を守るには、どうすればよいのか。
 中国の「接近阻止・領域拒否(英語: Anti-Access/Area Denial, A2/AD)」戦術への対抗には、米軍も苦戦している状況で、専守防衛で手足を縛られている日本が出来る選択肢は限定されていて、日本単独ではほとんど抑止力を持つことは出来ません。
 なので、尖閣諸島では、中国の侵略行為はエスカレートを続けていますね。

 日本単独ではなく、安倍首相が提言し、トランプ大統領も賛同している「インド太平洋戦略」の様に、日米同盟だけでなく、インドやオーストラリアといった雄国とも連携した、アジアの平和を護る抑止力の構築が求められるのですね。
 この時、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という、自国の安全保障を他国に委ねる法体系の見直しで、日本が被占領国時代から脱皮し普通の国として、相互に国際協力で活動できる体制になっている事が欠かせません。

 今、日本が自国民と自国の安全を護るために、なさねばならないことは山積しています。しかも環境は激動中。対策は急がれます。



 # 冒頭の画像は、米中首脳会談で共同声明に署名したトランプ大統領と金正恩




  この鳥の名前は、ジョウビタキ


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写真素材のピクスタ


Fotolia


日本は国境を守れるか (プレイブックス・インテリジェンス)







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