中国の新型コロナウイルスの武漢肺炎感染拡大や、香港国家安全法への世界の国々からの批難に加え、ウイグル人への人権侵害への制裁を、米国が立て続けに発動し、それに連動する国々が増えてきています。
中国はかねてよりウイグル、チベット等の非漢民族弾圧を続けていることは諸兄がご承知のとおりです。ウイグル人の人口は、強制堕胎、強制避妊措置の結果、2015年から2018年の3年の間に84%減少したのだそうです。
米国の制裁行動に連動して、中国のウイグル人に対する人権侵害、弾圧を伝える証言や証拠文書、映像が今年に入って次々に海外の主要メディアに取り上げられるようになった。もはや企業はウイグル人権問題を「知らなかった」では済まされなくなっていると福島香織さん。
7月20日、米国商務省が11の中国企業に対して、新疆ウイグル自治区のウイグル人への人権侵害を理由とした制裁を発表。
米財務省はこれに先立ち、陳全国(新疆ウイグル自治区書記)ら中国共産党高官に対する経済制裁を発表済。
先日、「香港自治法」に署名し、香港の人権侵害に関与した中国高官や金融機関への制裁に着手したトランプ大統領は、ウイグル人権問題がらみの、さらに一歩踏み込んだ対中制裁を実施すると福島さん。
米国の制裁は、ウイグル弾圧に関連する企業や人に対する制裁で、中国の企業や人はもとより、中国以外の国の企業も対象。
労働をの通じての研修目的と称して強制収容に送り込まれたウイグル人を安価あるいは無償で強制労働に従事させた工場の企業も対象とされています。
中国はこうした、強制労働を通じてムスリム民族に対するコントロールと“教化”を行う施設を1200カ所以上設置しているとみられ、国際社会は、国家による組織的な民族・宗教弾圧であるとして強い批判の声を上げ続けていると福島さん。
英BBC放送の「アンドリュー・マー・ショー」は中国の劉暁明駐英大使をゲストに呼び、ウイグル自治区コルラ市あたりで、後ろ手に拘束された頭を剃られたウイグル人男性たちが、新しくできた駅のプラットフォームの脇に並んで座らされて、列車で輸送されていく様子を写したドローン映像を見せ、「これは何の映像か?」と問いただしたことは、日本のテレビでも報道されましたね。
ドイツ人学者のエイドリアン・ゼンツ博士は、新疆ウイグル自治区での人口抑制政策を調査したリポートを6月に発表し、その政策の非人道ぶりが世界に衝撃を与えたのだそうです。
オーストラリア戦略政策研究所は、3月に報告書( "Uyghurs for sale" )を発表、ウイグル人の強制労働によって製造された材料や部品の提供を受けている多国籍企業として83社をリストアップ。その中に、日本企業11社(日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ)が含まれていたのだそうです。
米中の「新冷戦時代」に突入している昨今。
これから世界経済のブロック化が進んでいくと福島さん。中国市場か、西側市場か、どちらにつくかという選択の材料を効率や利益だけの面に求めていては、おそらくこの先、生き残れないと。
最後は、企業も消費者も自分の胸に手を当てて、自らの価値観と倫理を問うて、道を選んでいくしかないのだと思うとも。
専制政治の国に迎合するのか、自由の価値観を共有する国々と連携するのか。答えは決まっていますね。
# 冒頭の画像は、英・BBCが報じた、ウイグル自治区コルラ市あたりの駅で、ウイグル人男性たちが輸送されていく様子。
この花の名前は、ウマノアシガタ
↓よろしかったら、お願いします。
中国はかねてよりウイグル、チベット等の非漢民族弾圧を続けていることは諸兄がご承知のとおりです。ウイグル人の人口は、強制堕胎、強制避妊措置の結果、2015年から2018年の3年の間に84%減少したのだそうです。
米国の制裁行動に連動して、中国のウイグル人に対する人権侵害、弾圧を伝える証言や証拠文書、映像が今年に入って次々に海外の主要メディアに取り上げられるようになった。もはや企業はウイグル人権問題を「知らなかった」では済まされなくなっていると福島香織さん。
中国の人権問題、日本企業は向き合う覚悟があるか? ウイグル人への非道な弾圧に米国が立て続けに制裁行動 | JBpress(Japan Business Press) 2020.7.23(木) 福島 香織:ジャーナリスト
7月20日、米国商務省が11の中国企業に対して、新疆ウイグル自治区のウイグル人への人権侵害を理由とした制裁を発表した。
すでに米財務省は陳全国(新疆ウイグル自治区書記)ら中国共産党高官に対する経済制裁を発表している。米トランプ政権はそれに続いて、ウイグル人権問題がらみの、さらに一歩踏み込んだ対中制裁を実施する。
トランプは先日「香港自治法」にも署名し、香港の人権侵害に関与した中国高官や金融機関への制裁に着手した。これは世界の企業が、これから中国の人権問題にどのような価値観で向き合うかを問われながら、ビジネスの場所と相手を選択しなければならない時代に入ったことを示す。日本企業に覚悟はできているだろうか?
■立て続けに制裁行動を発動するトランプ政権
米国商務省 産業・安全保障局(BIS)は7月20日、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人に対する大規模な拘留や強制労働、もしくは生体認証データや遺伝情報の強制収集、解析などに関わった中国企業11社を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティリストに新たに載せ、事実上の禁輸措置を発令した。
ウィルバー・ロス商務長官は「北京は強制労働やDNAの強制解析などを使って、その公民であるウイグル人らを弾圧している」と中国共産党を譴責(けんせき)。さらに「今日の制裁行動は、米国の商品と技術が中国共産党のムスリム少数民族の弾圧に利用されないための措置だ」とその重要性を訴えた。
エンティティリスト入りした中国企業のうち、9社がウイグル人らの強制労働に加担していると言われている。具体的には以下の企業である。
・昌吉溢達紡績(世界最大規模のシャツ・アパレルメーカー、ラルフ・ローレン、トミー・フィルフィガー、ヒューゴ・ボスなどと取引)
・合肥宝龍達情報技術(ノートパソコン、スマートフォンなどの基板メーカー)
・合肥美菱(家電メーカー)
・和田浩林髪飾品(鬘メーカー、強制収容されたウイグル女性の毛髪を原材料に使用している可能性も指摘されている)
・和田泰達服飾(アパレルメーカー)
・今創集団(高速鉄道部品メーカー)
・南京新一棉紡績(新疆棉製品メーカー)
・南昌欧韮光科学技術(O-film、アップル、アマゾン、マイクロソフトなどへのカメラ部品サプライヤー)
・碳元科技(高熱伝導性グラファイト強化アルミニウム複合材料)
また、新疆絲路華大基因科技、北京六合華大基因科技のゲノム企業2社が、ウイグル人ほかムスリム少数民族の強制DNA解析を行ったとしてエンティティリスト入りしている。
米商務省BISは今回の前に2019年10月と今年(2020年)6月の2度にわたり、ハイクビジョン、ダーファ、センスタイム、メグビー、クラウド・ウォークといった、監視システムに技術を提供しているハイテク企業を含む37企業を、新疆ウイグル人権侵害に関わる中国企業として発表していた。今回、それに続く第3弾として11社をエンティティリストに追加したというわけだ。
さらに米国務省と財務省は7月9日、「グローバル・マグニツキー法」(人権侵害に関与した人物に制裁を科すことを米政府に許可する法律)に基づき、新疆のウイグル民族などに対する人権侵害に関与したとして、陳全国(新疆ウイグル自治区書記)、朱海侖(元新疆ウイグル自治区政法委員会書記)、王明山(新疆公安庁長)、霍留軍(元新疆ウイグル自治区公安庁党委員会書記)の4人および新疆ウイグル自治区公安庁を制裁リストに入れると発表した。彼らは米国への渡航が制限され、米国内において資産の凍結などの制裁措置を受ける。
米国の行政当局がわずか2週間の間に、ウイグル人権問題に照準を当てた制裁行動を立て続けに発動したという点でも、これらの動きは注目を集めた。
駐英中国大使が英BBC番組で逆ギレ
米国は今回、エンティティリスト入りした11企業について、強制収容に送り込まれたウイグル人を安価あるいは無償で強制労働に従事させた工場で製品を製造していると判断している。ニューヨーク・タイムズが掲載したカシュガル地方の衛星画像によれば、強制労働施設(再教育施設)の傍らに工場とみられる建物が集中していることが判明している。
中国共産党としては、これは労働を通じての研修であり、彼らが貧困から脱却し、過激宗教の誘惑から立ち直るための“支援”であると喧伝しているが、これを否定する証言、内部文書なども出てきており、中国の言い分と国際自由主義社会の見方は真っ向から対立している。
中国はこうした、強制労働を通じてムスリム民族に対するコントロールと“教化”を行う施設を1200カ所以上設置しているとみられ、国際社会は、国家による組織的な民族・宗教弾圧であるとして強い批判の声を上げ続けている。
こうした米国の動きと連動して、中国のウイグル人に対する人権侵害、弾圧を伝える証言や証拠文書、映像が今年に入って次々に海外の主要メディアに取り上げられるようになった。もはや企業はウイグル人権問題を「知らなかった」では済まされなくなっている。
中国側の主張を否定する証拠の1つとしては、新疆ウイグル自治区コルラ市あたりで、後ろ手に拘束された頭を剃られたウイグル人男性たちが、新しくできた駅のプラットフォームの脇に並んで座らされて、列車で輸送されていく様子を写したドローン映像がYouTubeなどにあがっている。これは昨年9月に公開された“出所不明”のものだが、オーストラリアのシンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」が、太陽の光線の向きや影などから時間と場所をほぼ特定し、本物の映像と判断している。
最近になって一部メディアがこの映像を改めて大きく報じていた。たとえば7月19日、英BBC放送の「アンドリュー・マー・ショー」は中国の劉暁明駐英大使をゲストに呼び、ウイグル人の強制連行の映像を見せ、「これは何の映像か?」と問いただした。ジャーナリストのアンドリュー・マー氏が、西側の情報機関も本物だと確認している、と言うと、大使は「西側の情報機関はこうしたでっち上げを行い、中国を攻撃し続けている!」と逆ギレ。さらに、強制避妊手術を受けたウイグル人女性の証言ビデオを見せると、この40年間にウイグル人口は倍増しており、強制収容も強制労働もない、と最後まで反論し続けた。
漢族以外の人口を強制的に抑制か
また、ドイツ人学者のエイドリアン・ゼンツ博士は、新疆ウイグル自治区での人口抑制政策を調査したリポートを6月に発表し、その政策の非人道ぶりが世界に衝撃を与えた。
ゼンツ博士のリポートは、中国の公式文書、統計数字、強制収容されたウイグル人家族の証言などを基にしており、ウイグル人女性らが不妊手術を強要されたり、中絶を拒否すると強制収容所に入れると脅されたりした、という生々しいエピソードが含まれている。
ゼンツ博士は公式データをもとに、ウイグル人の人口増加率が2015年から2018年の3年の間に84%減少していると指摘。これがウイグル人に対する強制堕胎、強制避妊措置の結果であろうと推測している。
2015年は、中国では「一人っ子政策」が緩和され、2人の子供を持つことが許されるようになった年だ。実は「一人っ子政策」のもとでは、ウイグル人ら“少数民族”は「少数民族優遇政策」の一環として、漢族よりも1人多く子供を持ってもよいことになっていた。たとえば農牧民ならば漢族は2人まで子供を持ってよいとされていたが、ウイグル人らは3人まで子供を持つことができた。だが2014年に、漢族とウイグル人らの産児制限を同等にすると政策が変更された。さらに2015年に一人っ子政策から二人っ子政策に切り替わると、ウイグル人らは事実上、出産を以前より厳しく制限されることになった。
ゼンツ博士は、こうした政策は、中国が非漢族民族人口を抑制することが狙いであるとの考えを示している。
中国はこうしたリポートや映像を、西側社会が中国を貶めるためのでっち上げだとしている。環球時報英語版のグローバルタイムズによると、中国はゼンツ博士とオーストラリア戦略政策研究所に対して、中国に関するフェイクニュースを流した罪で起訴することを検討しているという。
7月9日の中国外交部の定例記者会見では、趙立堅報道官が「エイドリアン・ゼンツとオーストラリア戦略政策研究所は一貫してフェイクニュースで中国を攻撃し、誹謗している。彼らの言論は、早々に事実と真実の前に無残に打ち消され、すでにウソと虚偽の情報であることは証明されている」「いかなる悪意ある誹謗中傷も譴責され追及されるべき、それが常識」「不義の行為は必ず自分に返ってくるものだと、関係者たちにはアドバイスしたい。さっさと撤回せよ」「オーストラリア戦略政策研究所は、オーストラリアに中国脅威論をまき散らしたと中国では報道されている」とまくし立てた。
環球時報は、ゼンツ博士については、「極右のキリスト教原理主義者、熱狂的な福音派」「米国情報機関に操られて創設された新疆教育研修センター研究課題チームの中心研究者」と紹介し、ゼンツ博士のリポートは学術と宗教的熱狂を一緒くたにしたウソ、といったイメージを広めて、その信用を貶めようとしている。
また、中国は7月13日、陳全国らに対する米国の制裁に対抗して、マルコ・ルビオ氏(上院議員)、テッド・クルーズ氏(上院議員)、クリス・スミス氏(下院議員)、サム・ブラウンバック氏(宗教の自由を巡る問題担当特別大使)に対して、中国入国禁止などの報復制裁を科すことを発表している。
豪報告書で名指しされた日本企業
ウイグル人権問題が、いまや今世紀最悪の非人道事件、民族迫害として国際社会に認知されるなか、この問題において中国に加担するような真似は企業としてできなくなってくるだろう。企業倫理としても、そして米国の政策の影響を受けるという意味でも。
オーストラリア戦略政策研究所が3月に発表した報告書( "Uyghurs for sale" )では、ウイグル人の強制労働によって製造された材料や部品の提供を受けている多国籍企業として83社をリストアップした。そのなかには日本企業11社(日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ)が含まれていた。
名指しされた日本企業は、「真摯に調査する」と受け止めるところもあれば「ウイグル人の強制労働によって製造している取引先は無い」と反論するところもある(参考:「ウイグル人の強制労働に関与している疑いが浮上している日本企業への公開質問状についてのご報告」日本ウイグル協会)。だが多国籍企業は、複雑なサプライチェーンの中で生産、流通、販売を行っており、知らない間に、こうした人権侵害に加担している可能性がある。名指しされた以上は、早急に事実確認して、正すべきは正すという姿勢を見せる必要があるだろう。
これから世界経済のブロック化が進んでいく。中国市場か、西側市場か、どちらにつくかという選択の材料を効率や利益だけの面に求めていては、おそらくこの先、生き残れない。最後は、企業も消費者も自分の胸に手を当てて、自らの価値観と倫理を問うて、道を選んでいくしかないのだと思う。
7月20日、米国商務省が11の中国企業に対して、新疆ウイグル自治区のウイグル人への人権侵害を理由とした制裁を発表した。
すでに米財務省は陳全国(新疆ウイグル自治区書記)ら中国共産党高官に対する経済制裁を発表している。米トランプ政権はそれに続いて、ウイグル人権問題がらみの、さらに一歩踏み込んだ対中制裁を実施する。
トランプは先日「香港自治法」にも署名し、香港の人権侵害に関与した中国高官や金融機関への制裁に着手した。これは世界の企業が、これから中国の人権問題にどのような価値観で向き合うかを問われながら、ビジネスの場所と相手を選択しなければならない時代に入ったことを示す。日本企業に覚悟はできているだろうか?
■立て続けに制裁行動を発動するトランプ政権
米国商務省 産業・安全保障局(BIS)は7月20日、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人に対する大規模な拘留や強制労働、もしくは生体認証データや遺伝情報の強制収集、解析などに関わった中国企業11社を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティリストに新たに載せ、事実上の禁輸措置を発令した。
ウィルバー・ロス商務長官は「北京は強制労働やDNAの強制解析などを使って、その公民であるウイグル人らを弾圧している」と中国共産党を譴責(けんせき)。さらに「今日の制裁行動は、米国の商品と技術が中国共産党のムスリム少数民族の弾圧に利用されないための措置だ」とその重要性を訴えた。
エンティティリスト入りした中国企業のうち、9社がウイグル人らの強制労働に加担していると言われている。具体的には以下の企業である。
・昌吉溢達紡績(世界最大規模のシャツ・アパレルメーカー、ラルフ・ローレン、トミー・フィルフィガー、ヒューゴ・ボスなどと取引)
・合肥宝龍達情報技術(ノートパソコン、スマートフォンなどの基板メーカー)
・合肥美菱(家電メーカー)
・和田浩林髪飾品(鬘メーカー、強制収容されたウイグル女性の毛髪を原材料に使用している可能性も指摘されている)
・和田泰達服飾(アパレルメーカー)
・今創集団(高速鉄道部品メーカー)
・南京新一棉紡績(新疆棉製品メーカー)
・南昌欧韮光科学技術(O-film、アップル、アマゾン、マイクロソフトなどへのカメラ部品サプライヤー)
・碳元科技(高熱伝導性グラファイト強化アルミニウム複合材料)
また、新疆絲路華大基因科技、北京六合華大基因科技のゲノム企業2社が、ウイグル人ほかムスリム少数民族の強制DNA解析を行ったとしてエンティティリスト入りしている。
米商務省BISは今回の前に2019年10月と今年(2020年)6月の2度にわたり、ハイクビジョン、ダーファ、センスタイム、メグビー、クラウド・ウォークといった、監視システムに技術を提供しているハイテク企業を含む37企業を、新疆ウイグル人権侵害に関わる中国企業として発表していた。今回、それに続く第3弾として11社をエンティティリストに追加したというわけだ。
さらに米国務省と財務省は7月9日、「グローバル・マグニツキー法」(人権侵害に関与した人物に制裁を科すことを米政府に許可する法律)に基づき、新疆のウイグル民族などに対する人権侵害に関与したとして、陳全国(新疆ウイグル自治区書記)、朱海侖(元新疆ウイグル自治区政法委員会書記)、王明山(新疆公安庁長)、霍留軍(元新疆ウイグル自治区公安庁党委員会書記)の4人および新疆ウイグル自治区公安庁を制裁リストに入れると発表した。彼らは米国への渡航が制限され、米国内において資産の凍結などの制裁措置を受ける。
米国の行政当局がわずか2週間の間に、ウイグル人権問題に照準を当てた制裁行動を立て続けに発動したという点でも、これらの動きは注目を集めた。
駐英中国大使が英BBC番組で逆ギレ
米国は今回、エンティティリスト入りした11企業について、強制収容に送り込まれたウイグル人を安価あるいは無償で強制労働に従事させた工場で製品を製造していると判断している。ニューヨーク・タイムズが掲載したカシュガル地方の衛星画像によれば、強制労働施設(再教育施設)の傍らに工場とみられる建物が集中していることが判明している。
中国共産党としては、これは労働を通じての研修であり、彼らが貧困から脱却し、過激宗教の誘惑から立ち直るための“支援”であると喧伝しているが、これを否定する証言、内部文書なども出てきており、中国の言い分と国際自由主義社会の見方は真っ向から対立している。
中国はこうした、強制労働を通じてムスリム民族に対するコントロールと“教化”を行う施設を1200カ所以上設置しているとみられ、国際社会は、国家による組織的な民族・宗教弾圧であるとして強い批判の声を上げ続けている。
こうした米国の動きと連動して、中国のウイグル人に対する人権侵害、弾圧を伝える証言や証拠文書、映像が今年に入って次々に海外の主要メディアに取り上げられるようになった。もはや企業はウイグル人権問題を「知らなかった」では済まされなくなっている。
中国側の主張を否定する証拠の1つとしては、新疆ウイグル自治区コルラ市あたりで、後ろ手に拘束された頭を剃られたウイグル人男性たちが、新しくできた駅のプラットフォームの脇に並んで座らされて、列車で輸送されていく様子を写したドローン映像がYouTubeなどにあがっている。これは昨年9月に公開された“出所不明”のものだが、オーストラリアのシンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」が、太陽の光線の向きや影などから時間と場所をほぼ特定し、本物の映像と判断している。
最近になって一部メディアがこの映像を改めて大きく報じていた。たとえば7月19日、英BBC放送の「アンドリュー・マー・ショー」は中国の劉暁明駐英大使をゲストに呼び、ウイグル人の強制連行の映像を見せ、「これは何の映像か?」と問いただした。ジャーナリストのアンドリュー・マー氏が、西側の情報機関も本物だと確認している、と言うと、大使は「西側の情報機関はこうしたでっち上げを行い、中国を攻撃し続けている!」と逆ギレ。さらに、強制避妊手術を受けたウイグル人女性の証言ビデオを見せると、この40年間にウイグル人口は倍増しており、強制収容も強制労働もない、と最後まで反論し続けた。
漢族以外の人口を強制的に抑制か
また、ドイツ人学者のエイドリアン・ゼンツ博士は、新疆ウイグル自治区での人口抑制政策を調査したリポートを6月に発表し、その政策の非人道ぶりが世界に衝撃を与えた。
ゼンツ博士のリポートは、中国の公式文書、統計数字、強制収容されたウイグル人家族の証言などを基にしており、ウイグル人女性らが不妊手術を強要されたり、中絶を拒否すると強制収容所に入れると脅されたりした、という生々しいエピソードが含まれている。
ゼンツ博士は公式データをもとに、ウイグル人の人口増加率が2015年から2018年の3年の間に84%減少していると指摘。これがウイグル人に対する強制堕胎、強制避妊措置の結果であろうと推測している。
2015年は、中国では「一人っ子政策」が緩和され、2人の子供を持つことが許されるようになった年だ。実は「一人っ子政策」のもとでは、ウイグル人ら“少数民族”は「少数民族優遇政策」の一環として、漢族よりも1人多く子供を持ってもよいことになっていた。たとえば農牧民ならば漢族は2人まで子供を持ってよいとされていたが、ウイグル人らは3人まで子供を持つことができた。だが2014年に、漢族とウイグル人らの産児制限を同等にすると政策が変更された。さらに2015年に一人っ子政策から二人っ子政策に切り替わると、ウイグル人らは事実上、出産を以前より厳しく制限されることになった。
ゼンツ博士は、こうした政策は、中国が非漢族民族人口を抑制することが狙いであるとの考えを示している。
中国はこうしたリポートや映像を、西側社会が中国を貶めるためのでっち上げだとしている。環球時報英語版のグローバルタイムズによると、中国はゼンツ博士とオーストラリア戦略政策研究所に対して、中国に関するフェイクニュースを流した罪で起訴することを検討しているという。
7月9日の中国外交部の定例記者会見では、趙立堅報道官が「エイドリアン・ゼンツとオーストラリア戦略政策研究所は一貫してフェイクニュースで中国を攻撃し、誹謗している。彼らの言論は、早々に事実と真実の前に無残に打ち消され、すでにウソと虚偽の情報であることは証明されている」「いかなる悪意ある誹謗中傷も譴責され追及されるべき、それが常識」「不義の行為は必ず自分に返ってくるものだと、関係者たちにはアドバイスしたい。さっさと撤回せよ」「オーストラリア戦略政策研究所は、オーストラリアに中国脅威論をまき散らしたと中国では報道されている」とまくし立てた。
環球時報は、ゼンツ博士については、「極右のキリスト教原理主義者、熱狂的な福音派」「米国情報機関に操られて創設された新疆教育研修センター研究課題チームの中心研究者」と紹介し、ゼンツ博士のリポートは学術と宗教的熱狂を一緒くたにしたウソ、といったイメージを広めて、その信用を貶めようとしている。
また、中国は7月13日、陳全国らに対する米国の制裁に対抗して、マルコ・ルビオ氏(上院議員)、テッド・クルーズ氏(上院議員)、クリス・スミス氏(下院議員)、サム・ブラウンバック氏(宗教の自由を巡る問題担当特別大使)に対して、中国入国禁止などの報復制裁を科すことを発表している。
豪報告書で名指しされた日本企業
ウイグル人権問題が、いまや今世紀最悪の非人道事件、民族迫害として国際社会に認知されるなか、この問題において中国に加担するような真似は企業としてできなくなってくるだろう。企業倫理としても、そして米国の政策の影響を受けるという意味でも。
オーストラリア戦略政策研究所が3月に発表した報告書( "Uyghurs for sale" )では、ウイグル人の強制労働によって製造された材料や部品の提供を受けている多国籍企業として83社をリストアップした。そのなかには日本企業11社(日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ)が含まれていた。
名指しされた日本企業は、「真摯に調査する」と受け止めるところもあれば「ウイグル人の強制労働によって製造している取引先は無い」と反論するところもある(参考:「ウイグル人の強制労働に関与している疑いが浮上している日本企業への公開質問状についてのご報告」日本ウイグル協会)。だが多国籍企業は、複雑なサプライチェーンの中で生産、流通、販売を行っており、知らない間に、こうした人権侵害に加担している可能性がある。名指しされた以上は、早急に事実確認して、正すべきは正すという姿勢を見せる必要があるだろう。
これから世界経済のブロック化が進んでいく。中国市場か、西側市場か、どちらにつくかという選択の材料を効率や利益だけの面に求めていては、おそらくこの先、生き残れない。最後は、企業も消費者も自分の胸に手を当てて、自らの価値観と倫理を問うて、道を選んでいくしかないのだと思う。
7月20日、米国商務省が11の中国企業に対して、新疆ウイグル自治区のウイグル人への人権侵害を理由とした制裁を発表。
米財務省はこれに先立ち、陳全国(新疆ウイグル自治区書記)ら中国共産党高官に対する経済制裁を発表済。
先日、「香港自治法」に署名し、香港の人権侵害に関与した中国高官や金融機関への制裁に着手したトランプ大統領は、ウイグル人権問題がらみの、さらに一歩踏み込んだ対中制裁を実施すると福島さん。
米国の制裁は、ウイグル弾圧に関連する企業や人に対する制裁で、中国の企業や人はもとより、中国以外の国の企業も対象。
労働をの通じての研修目的と称して強制収容に送り込まれたウイグル人を安価あるいは無償で強制労働に従事させた工場の企業も対象とされています。
中国はこうした、強制労働を通じてムスリム民族に対するコントロールと“教化”を行う施設を1200カ所以上設置しているとみられ、国際社会は、国家による組織的な民族・宗教弾圧であるとして強い批判の声を上げ続けていると福島さん。
英BBC放送の「アンドリュー・マー・ショー」は中国の劉暁明駐英大使をゲストに呼び、ウイグル自治区コルラ市あたりで、後ろ手に拘束された頭を剃られたウイグル人男性たちが、新しくできた駅のプラットフォームの脇に並んで座らされて、列車で輸送されていく様子を写したドローン映像を見せ、「これは何の映像か?」と問いただしたことは、日本のテレビでも報道されましたね。
ドイツ人学者のエイドリアン・ゼンツ博士は、新疆ウイグル自治区での人口抑制政策を調査したリポートを6月に発表し、その政策の非人道ぶりが世界に衝撃を与えたのだそうです。
オーストラリア戦略政策研究所は、3月に報告書( "Uyghurs for sale" )を発表、ウイグル人の強制労働によって製造された材料や部品の提供を受けている多国籍企業として83社をリストアップ。その中に、日本企業11社(日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ)が含まれていたのだそうです。
米中の「新冷戦時代」に突入している昨今。
これから世界経済のブロック化が進んでいくと福島さん。中国市場か、西側市場か、どちらにつくかという選択の材料を効率や利益だけの面に求めていては、おそらくこの先、生き残れないと。
最後は、企業も消費者も自分の胸に手を当てて、自らの価値観と倫理を問うて、道を選んでいくしかないのだと思うとも。
専制政治の国に迎合するのか、自由の価値観を共有する国々と連携するのか。答えは決まっていますね。
# 冒頭の画像は、英・BBCが報じた、ウイグル自治区コルラ市あたりの駅で、ウイグル人男性たちが輸送されていく様子。
この花の名前は、ウマノアシガタ
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