3期目に入って以降、習国家主席(党総書記)の主導で対米政策は関係改善の流れになっていましたと、石平氏。
ブリンケン国務長官が、2月5, 6日に北京訪問の予定に。ところがその直前に、米国上空に中国の気球が飛来、横断後海上に出たところで米国が撃墜する事件が発生。
ブリンケン長官訪中中止を招いたタイミングは、果たして偶然だったのかと石平氏。
習氏は、気球を各地に放って偵察するという軍のプランを当然知っていたでしょう。しかしいつどこの国に向けて放つか、全て指示することはありえません。
気球問題に関して、中国外務省と国防省の対応は違いました。外務省報道官は当初、記者会見で米側の発表について聞かれて「報道で知った。中国側は事実関係を確認中だ」と答えた。外務省はその時点で何も知らなかったと、石平氏。
しかも外務省は気球が米国上空に侵入したことについて「遺憾」を表明しました。日本語で言うと謝罪なのだそうです。
その時点でも外務省は事件を早く収拾したかった。
対照的に態度が非常に強硬だったのが国防省。
気球撃墜の後、もし似たような状況が起きれば中国側も撃墜すると談話で示唆。米国防長官が中国国防相との電話会談を申し込んでも拒否したのでした。
なぜ中国国防相は米側との会談を拒否したのかと聞かれた外務省報道官は「国防省に聞いてください」と突き放した。
翌日、国防省は会談を拒否したことに関して「対話の雰囲気にない」との談話を発表した。これで外務省も米国との対話ができなくなった。
中国側の気球事件への対応は、とても同じ政府の部門とは思えないほど連携が取れていません。
考えられる一つの可能性は、習政権全体の方針である対米関係の改善を軍が妨害したのではないかと、石平氏。
さらに奇妙なことが起きたのだそうです。
中国海警局の船が南シナ海で 2月 6日、フィリピンの巡視船に対してレーザー照射という危険なことをやったため、フィリピンのマルコス大統領が中国大使を呼び出し、自ら「深刻な懸念」を表明。
今年初めて中国を訪問した外国の首脳はフィリピンのマルコス大統領。共同声明では南シナ海問題で直接対話の枠組みを創設するとし、巨大経済圏構想「一帯一路」での協力などを確認したばかり。しかし 1カ月後、中国海警局はわざわざフィリピンとの関係を壊すようなことをやってしまったと、石平氏。
習氏の外交を壊すような事件が 2月に 2回も起きた。海警局のトップは海軍出身の少将です。両方とも軍の幹部が把握していた可能性が濃厚だと。
二つの可能性が考えられます。一つは軍が習氏に盾突いている。もう一つの可能性は、軍が外交路線に口出しをしようとしていると、石平氏。
いずれにしても、習政権の求心力が弱まっている可能性があります。習氏は昨年10月の共産党大会で個人独裁体制を築いた。しかし彼は、政権中枢を全て自分の側近たちで固めました。
自分の一存で軍の人事もやった。東部戦区司令官を務めた何衛東氏は必ずしも軍の中で立場が高くなかったが、台湾有事を視野に、いきなり制服組トップである中央軍事委副主席に抜擢。
軍の中にも序列がある。人事をすべて習氏が独断で決めるとなれば、習氏の求心力は逆に失われますと、石平氏。どんなに苦労しても習氏の子分でなければ、あるいは習氏の眼鏡にかなわなければ昇進できないわけですから。
習氏の個人独裁政治は、絶大な権威を伴わない限り逆に恨みを買うのではないでしょうか。側近政治をやりすぎた結果、大半の人々の心が離れていくというのはよくあることですとも。
軍も自分たちの主張をしなければならない。われわれに配慮しなければ、あなたも困ることになるというメッセージ。今回はまだ、軍が本格的に習氏に弓を引いたという話にはなっていない。
ただし結果的には軍や海警局の勝手な行動が、習氏の意図する外交を潰すことになりました。危険な兆候といえますと、石平氏。
毛沢東の独裁も、天安門事件を招き倒れ、鄧小平の集団指導体制で、日本の戦後の復興を、松下氏に学び今日の世界第 2位の経済大国を築いたのでした。
習近平は今回、その鄧小平の流れを継ぐ共青団派を一掃する人事を敢行。
軍の離反に次ぐ、政治家の離反、第二の天安門事件を彷彿させた、白紙デモなど、人民の離反もあり得ます。独裁者が永遠に君臨した歴史は知りません。
3期目の習近平。更に 4期目もめざしていますね。どうなる中国!
# 冒頭の画像は、米本土上空で米軍偵察機U2から撮影した中国の偵察気球
この花の名前は、ヤブレガサ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
ブリンケン国務長官が、2月5, 6日に北京訪問の予定に。ところがその直前に、米国上空に中国の気球が飛来、横断後海上に出たところで米国が撃墜する事件が発生。
ブリンケン長官訪中中止を招いたタイミングは、果たして偶然だったのかと石平氏。
【教えて!石平先生】中国軍が習外交を妨害、危険な兆候 - 産経ニュース 2023/3/13 西見 由章
読者からの声をもとに、評論家の石平さんに中国に関する質問をぶつけます。2月に中国の偵察気球が米国本土の上空を横断し、米軍が撃墜。米国はブリンケン国務長官の訪中を直前で延期しました。習近平政権の外交にとってもダメージとなりましたが、背景について分析を聞きました。中国の社会や政治、歴史などについてのご質問をoshiete@sankei.co.jpまでお寄せください。(聞き手 西見由章)
--米側は気球について中国軍が関与したとみています。胡錦濤前政権時代の2011年にも、当時のゲーツ米国防長官が北京で胡国家主席と会談する直前、中国空軍が次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」の試験飛行を行い、米中の緊張を高めた前例があります
習近平政権が昨年秋の党大会で3期目に入って以降、習国家主席(党総書記)の主導で対米政策は関係改善の流れになっていました。昨年11月に習氏はインドネシア・バリ島で、バイデン米大統領と3時間にわたる首脳会談を行った。「両国関係を健全で安定した発展の軌道に戻す」という話をしたのです。
習政権は昨年12月30日に突然、駐米大使だった秦剛(しんごう)氏を外相に任命した。本来ならばこの人事は3月の全人代で行うのが普通です。年末に異例の人事を行ったのは、秦氏を中心に対米関係を早く改善したいという意志の表れでしょう。
しかも秦氏は就任2日後の元日、さっそくブリンケン米国務長官と電話会談した。本来はロシアこそ一番の友好国ですが、秦氏がラブロフ露外相と電話会談を行ったのはブリンケン氏との会談の8日後です。
そのブリンケン氏との会談で決まったのが、2月5、6日に同氏が北京を訪問するという日程でした。英紙が報じたところでは、習氏もブリンケン氏と会談する予定だったようです。
さらに中国共産党機関紙の人民日報は2月1日から連続3日間、米国との関係改善に触れた論評を掲載しました。そうした中で2日に米当局が中国の気球について発表し、4日に米軍が撃墜する事態になった。
習政権が積極的に対米関係の改善を推し進め、ブリンケン氏が北京を訪れる直前にこの事件が起きた。果たして偶然なのかという疑問が当然出てきます。
--軍が対米外交を妨害したのでしょうか
習氏は、気球を各地に放って偵察するという軍のプランを当然知っていたでしょう。しかしいつどこの国に向けて放つか、全て指示することはありえません。
気球問題に関して、中国外務省と国防省の対応は違いました。外務省報道官は当初、記者会見で米側の発表について聞かれて「報道で知った。中国側は事実関係を確認中だ」と答えた。外務省はその時点で何も知らなかったわけです。
しかも外務省は気球が米国上空に侵入したことについて「遺憾」を表明しました。日本語で言うと謝罪です。私の記憶では、中国外務省が遺憾を表明するのは本当に久しぶりです。その時点でも外務省は事件を早く収拾したかった。
対照的に態度が非常に強硬だったのが国防省です。気球撃墜の後、もし似たような状況が起きれば中国側も撃墜すると談話で示唆した。米国防長官が中国国防相との電話会談を申し込んでも拒否しました。
ここでまた面白いことが起きます。なぜ中国国防相は米側との会談を拒否したのかと聞かれた外務省報道官は「国防省に聞いてください」と突き放した。中国の対外窓口は外務省であるにもかかわらず、です。さらに翌日、国防省は会談を拒否したことに関して「対話の雰囲気にない」との談話を発表した。これで外務省も米国との対話ができなくなってしまいます。
中国側の気球事件への対応は、とても同じ政府の部門とは思えないほど連携が取れていませんでした。
考えられる一つの可能性は、習政権全体の方針である対米関係の改善を軍が妨害したのではないかということです。
--習氏があれほどの独裁体制を固めたにもかかわらず、軍と外交がバラバラなのは不思議です
実は、さらに奇妙なことが起きました。2月14日、フィリピンのマルコス大統領が中国大使を呼び出し、自ら「深刻な懸念」を表明した。中国海警局の船が南シナ海で同6日、フィリピンの巡視船に対してレーザー照射という危険なことをやったためです。
これもまた、どうして、なのです。今年初めて中国を訪問した外国の首脳はフィリピンのマルコス大統領でした。共同声明では南シナ海問題で直接対話の枠組みを創設するとし、巨大経済圏構想「一帯一路」での協力などを確認したばかり。しかし1カ月後、中国海警局はわざわざフィリピンとの関係を壊すようなことをやってしまった。
要するに、習氏の外交を壊すような事件が2月に2回も起きた。海警局のトップは海軍出身の少将です。両方とも軍の幹部が把握していた可能性が濃厚です。
--軍のトップは中央軍事委員会主席の習氏です。中国の外交方針を決める共産党中央外事工作委員会のトップも習氏です。なぜ齟齬(そご)が出るのでしょう
二つの可能性が考えられます。一つは軍が習氏に盾突いている。もう一つの可能性は、軍が外交路線に口出しをしようとしている。
いずれにしても、習政権の求心力が弱まっている可能性があります。習氏は昨年10月の共産党大会で個人独裁体制を築いた。しかし彼は、政権中枢を全て自分の側近たちで固めました。あるいは自分の一存で軍の人事もやった。東部戦区司令官を務めた何衛東氏は必ずしも軍の中で立場が高くなかったが、台湾有事を視野に、いきなり制服組トップである中央軍事委副主席に抜擢(ばってき)しました。
軍からしても面白くないでしょう。軍の中にも序列がある。人事をすべて習氏が独断で決めるとなれば、習氏の求心力は逆に失われます。どんなに苦労しても習氏の子分でなければ、あるいは習氏の眼鏡にかなわなければ昇進できないわけですから。そうした人たちはほんの一部でしかない。
習氏の個人独裁政治は、絶大な権威を伴わない限り逆に恨みを買うのではないでしょうか。側近政治をやりすぎた結果、大半の人々の心が離れていくというのはよくあることです。
軍も自分たちの主張をしなければならない。われわれに配慮しなければ、あなたも困ることになるというメッセージです。今回はまだ、軍が本格的に習氏に弓を引いたという話にはなっていない。ただし結果的には軍や海警局の勝手な行動が、習氏の意図する外交を潰すことになりました。危険な兆候といえます。
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西見 由章 プロフィール
1974年、福岡県生まれ。大阪外国語大学(中国語専攻)卒。
2016年から産経新聞北京特派員。19年から中国総局長を務める。21年から大阪編集局編集委員。
読者からの声をもとに、評論家の石平さんに中国に関する質問をぶつけます。2月に中国の偵察気球が米国本土の上空を横断し、米軍が撃墜。米国はブリンケン国務長官の訪中を直前で延期しました。習近平政権の外交にとってもダメージとなりましたが、背景について分析を聞きました。中国の社会や政治、歴史などについてのご質問をoshiete@sankei.co.jpまでお寄せください。(聞き手 西見由章)
--米側は気球について中国軍が関与したとみています。胡錦濤前政権時代の2011年にも、当時のゲーツ米国防長官が北京で胡国家主席と会談する直前、中国空軍が次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」の試験飛行を行い、米中の緊張を高めた前例があります
習近平政権が昨年秋の党大会で3期目に入って以降、習国家主席(党総書記)の主導で対米政策は関係改善の流れになっていました。昨年11月に習氏はインドネシア・バリ島で、バイデン米大統領と3時間にわたる首脳会談を行った。「両国関係を健全で安定した発展の軌道に戻す」という話をしたのです。
習政権は昨年12月30日に突然、駐米大使だった秦剛(しんごう)氏を外相に任命した。本来ならばこの人事は3月の全人代で行うのが普通です。年末に異例の人事を行ったのは、秦氏を中心に対米関係を早く改善したいという意志の表れでしょう。
しかも秦氏は就任2日後の元日、さっそくブリンケン米国務長官と電話会談した。本来はロシアこそ一番の友好国ですが、秦氏がラブロフ露外相と電話会談を行ったのはブリンケン氏との会談の8日後です。
そのブリンケン氏との会談で決まったのが、2月5、6日に同氏が北京を訪問するという日程でした。英紙が報じたところでは、習氏もブリンケン氏と会談する予定だったようです。
さらに中国共産党機関紙の人民日報は2月1日から連続3日間、米国との関係改善に触れた論評を掲載しました。そうした中で2日に米当局が中国の気球について発表し、4日に米軍が撃墜する事態になった。
習政権が積極的に対米関係の改善を推し進め、ブリンケン氏が北京を訪れる直前にこの事件が起きた。果たして偶然なのかという疑問が当然出てきます。
--軍が対米外交を妨害したのでしょうか
習氏は、気球を各地に放って偵察するという軍のプランを当然知っていたでしょう。しかしいつどこの国に向けて放つか、全て指示することはありえません。
気球問題に関して、中国外務省と国防省の対応は違いました。外務省報道官は当初、記者会見で米側の発表について聞かれて「報道で知った。中国側は事実関係を確認中だ」と答えた。外務省はその時点で何も知らなかったわけです。
しかも外務省は気球が米国上空に侵入したことについて「遺憾」を表明しました。日本語で言うと謝罪です。私の記憶では、中国外務省が遺憾を表明するのは本当に久しぶりです。その時点でも外務省は事件を早く収拾したかった。
対照的に態度が非常に強硬だったのが国防省です。気球撃墜の後、もし似たような状況が起きれば中国側も撃墜すると談話で示唆した。米国防長官が中国国防相との電話会談を申し込んでも拒否しました。
ここでまた面白いことが起きます。なぜ中国国防相は米側との会談を拒否したのかと聞かれた外務省報道官は「国防省に聞いてください」と突き放した。中国の対外窓口は外務省であるにもかかわらず、です。さらに翌日、国防省は会談を拒否したことに関して「対話の雰囲気にない」との談話を発表した。これで外務省も米国との対話ができなくなってしまいます。
中国側の気球事件への対応は、とても同じ政府の部門とは思えないほど連携が取れていませんでした。
考えられる一つの可能性は、習政権全体の方針である対米関係の改善を軍が妨害したのではないかということです。
--習氏があれほどの独裁体制を固めたにもかかわらず、軍と外交がバラバラなのは不思議です
実は、さらに奇妙なことが起きました。2月14日、フィリピンのマルコス大統領が中国大使を呼び出し、自ら「深刻な懸念」を表明した。中国海警局の船が南シナ海で同6日、フィリピンの巡視船に対してレーザー照射という危険なことをやったためです。
これもまた、どうして、なのです。今年初めて中国を訪問した外国の首脳はフィリピンのマルコス大統領でした。共同声明では南シナ海問題で直接対話の枠組みを創設するとし、巨大経済圏構想「一帯一路」での協力などを確認したばかり。しかし1カ月後、中国海警局はわざわざフィリピンとの関係を壊すようなことをやってしまった。
要するに、習氏の外交を壊すような事件が2月に2回も起きた。海警局のトップは海軍出身の少将です。両方とも軍の幹部が把握していた可能性が濃厚です。
--軍のトップは中央軍事委員会主席の習氏です。中国の外交方針を決める共産党中央外事工作委員会のトップも習氏です。なぜ齟齬(そご)が出るのでしょう
二つの可能性が考えられます。一つは軍が習氏に盾突いている。もう一つの可能性は、軍が外交路線に口出しをしようとしている。
いずれにしても、習政権の求心力が弱まっている可能性があります。習氏は昨年10月の共産党大会で個人独裁体制を築いた。しかし彼は、政権中枢を全て自分の側近たちで固めました。あるいは自分の一存で軍の人事もやった。東部戦区司令官を務めた何衛東氏は必ずしも軍の中で立場が高くなかったが、台湾有事を視野に、いきなり制服組トップである中央軍事委副主席に抜擢(ばってき)しました。
軍からしても面白くないでしょう。軍の中にも序列がある。人事をすべて習氏が独断で決めるとなれば、習氏の求心力は逆に失われます。どんなに苦労しても習氏の子分でなければ、あるいは習氏の眼鏡にかなわなければ昇進できないわけですから。そうした人たちはほんの一部でしかない。
習氏の個人独裁政治は、絶大な権威を伴わない限り逆に恨みを買うのではないでしょうか。側近政治をやりすぎた結果、大半の人々の心が離れていくというのはよくあることです。
軍も自分たちの主張をしなければならない。われわれに配慮しなければ、あなたも困ることになるというメッセージです。今回はまだ、軍が本格的に習氏に弓を引いたという話にはなっていない。ただし結果的には軍や海警局の勝手な行動が、習氏の意図する外交を潰すことになりました。危険な兆候といえます。
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西見 由章 プロフィール
1974年、福岡県生まれ。大阪外国語大学(中国語専攻)卒。
2016年から産経新聞北京特派員。19年から中国総局長を務める。21年から大阪編集局編集委員。
習氏は、気球を各地に放って偵察するという軍のプランを当然知っていたでしょう。しかしいつどこの国に向けて放つか、全て指示することはありえません。
気球問題に関して、中国外務省と国防省の対応は違いました。外務省報道官は当初、記者会見で米側の発表について聞かれて「報道で知った。中国側は事実関係を確認中だ」と答えた。外務省はその時点で何も知らなかったと、石平氏。
しかも外務省は気球が米国上空に侵入したことについて「遺憾」を表明しました。日本語で言うと謝罪なのだそうです。
その時点でも外務省は事件を早く収拾したかった。
対照的に態度が非常に強硬だったのが国防省。
気球撃墜の後、もし似たような状況が起きれば中国側も撃墜すると談話で示唆。米国防長官が中国国防相との電話会談を申し込んでも拒否したのでした。
なぜ中国国防相は米側との会談を拒否したのかと聞かれた外務省報道官は「国防省に聞いてください」と突き放した。
翌日、国防省は会談を拒否したことに関して「対話の雰囲気にない」との談話を発表した。これで外務省も米国との対話ができなくなった。
中国側の気球事件への対応は、とても同じ政府の部門とは思えないほど連携が取れていません。
考えられる一つの可能性は、習政権全体の方針である対米関係の改善を軍が妨害したのではないかと、石平氏。
さらに奇妙なことが起きたのだそうです。
中国海警局の船が南シナ海で 2月 6日、フィリピンの巡視船に対してレーザー照射という危険なことをやったため、フィリピンのマルコス大統領が中国大使を呼び出し、自ら「深刻な懸念」を表明。
今年初めて中国を訪問した外国の首脳はフィリピンのマルコス大統領。共同声明では南シナ海問題で直接対話の枠組みを創設するとし、巨大経済圏構想「一帯一路」での協力などを確認したばかり。しかし 1カ月後、中国海警局はわざわざフィリピンとの関係を壊すようなことをやってしまったと、石平氏。
習氏の外交を壊すような事件が 2月に 2回も起きた。海警局のトップは海軍出身の少将です。両方とも軍の幹部が把握していた可能性が濃厚だと。
二つの可能性が考えられます。一つは軍が習氏に盾突いている。もう一つの可能性は、軍が外交路線に口出しをしようとしていると、石平氏。
いずれにしても、習政権の求心力が弱まっている可能性があります。習氏は昨年10月の共産党大会で個人独裁体制を築いた。しかし彼は、政権中枢を全て自分の側近たちで固めました。
自分の一存で軍の人事もやった。東部戦区司令官を務めた何衛東氏は必ずしも軍の中で立場が高くなかったが、台湾有事を視野に、いきなり制服組トップである中央軍事委副主席に抜擢。
軍の中にも序列がある。人事をすべて習氏が独断で決めるとなれば、習氏の求心力は逆に失われますと、石平氏。どんなに苦労しても習氏の子分でなければ、あるいは習氏の眼鏡にかなわなければ昇進できないわけですから。
習氏の個人独裁政治は、絶大な権威を伴わない限り逆に恨みを買うのではないでしょうか。側近政治をやりすぎた結果、大半の人々の心が離れていくというのはよくあることですとも。
軍も自分たちの主張をしなければならない。われわれに配慮しなければ、あなたも困ることになるというメッセージ。今回はまだ、軍が本格的に習氏に弓を引いたという話にはなっていない。
ただし結果的には軍や海警局の勝手な行動が、習氏の意図する外交を潰すことになりました。危険な兆候といえますと、石平氏。
毛沢東の独裁も、天安門事件を招き倒れ、鄧小平の集団指導体制で、日本の戦後の復興を、松下氏に学び今日の世界第 2位の経済大国を築いたのでした。
習近平は今回、その鄧小平の流れを継ぐ共青団派を一掃する人事を敢行。
軍の離反に次ぐ、政治家の離反、第二の天安門事件を彷彿させた、白紙デモなど、人民の離反もあり得ます。独裁者が永遠に君臨した歴史は知りません。
3期目の習近平。更に 4期目もめざしていますね。どうなる中国!
# 冒頭の画像は、米本土上空で米軍偵察機U2から撮影した中国の偵察気球
この花の名前は、ヤブレガサ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA