英石油大手BPとロシア最大の国営石油会社ロスネフチが、資源開発の協力を戦略的に進めると発表したそうです。相互に約78億ドル(約6400億円)づつ株式を取得し、北極大陸棚を開発する合弁会社(ロスネフチ67%、BP33%出資)を設立、「北極技術センター」も創設するのだそうです。
ただ、メキシコ湾で原油流出事故を起こしたBPと、ロシアの石油大手ユコス(破産)の資産を引き継いだロスネフチとの提携には、「病んだ巨人の結婚」(ロシア独立新聞)との指摘もあるとのことです。
ロシアのガス生産は、2030年には'09年比で 6割減の 4割の生産量になる見込みで、北極圏や極東の高コストで新技術を必要とする困難な地域での新規開発に迫られていることは、何度か触れてきていました。
露のガス田生産量減 20年後には6割減 - 遊爺雑記帳
ロシアは、高コストで当面価格競争力で不利な北極圏の新規開発には、リスクが伴うと同時に新技術を必要としており、日本の商社にも参入を呼びかけていました。
しかし、サハリン1, 2の開発で懲りたように、リスクの回避が可能となり成算が見えてくると、難癖をつけて成果を横取りするロシアとの共同開発には、どの企業も二の足を踏んでいます。
BPもそのリスクは当然承知しているはずですが、メキシコ湾で原油流出事故で背負った最大600億ドル(約5兆円)とされる賠償や罰金などが大きく、ここに賭ける道を選ばざるをえなかったのでしょう。
「プーチン首相は原油流出事故で困窮しているBPを利用した。今回、BPの一部がロシア国有になったともいえる」との指摘があるのだそうですが、図星で、BPの先行きが憂慮されます。
また、資源の高騰に支えられて国力を取り戻しているロシアが、現在生産中の主力ガス田資源の枯渇を目の前にし、産業の発展の必要性に目覚めたのか、北極圏での開発には、北極海の氷の減少により開からる航路を活かした産業開発も併せて行うのでそうです。
北方領土問題の解決とともに平和条約締結交渉を先送りしてきている罪はありますが、日本は国家の主権と国益を主張・維持し、技術援助を行う立場を堅持することを願っています。
中国や韓国企業にも先をこされることがあって開発受注を逃しても結構ですがら、じっくり交渉すべきです。過去の実績様に、利益を横取りされるですから、最初から受注しない方がましです。
いつも唱えていることですが、生産されるガスも、定期購入依存してはいけません。政治利用し、供給コントロールされることになるのは、悩まされている国々の現状が証明しています。
中国に任せておけば、お互い長年の歴史ある争い慣れたなかで、おしひきしてくれますし、世界中の資源を買いあさり価格高騰を生じさせている中国の影響を薄めることが出来るでしょう。
↓よろしかったら、お願いします。
ただ、メキシコ湾で原油流出事故を起こしたBPと、ロシアの石油大手ユコス(破産)の資産を引き継いだロスネフチとの提携には、「病んだ巨人の結婚」(ロシア独立新聞)との指摘もあるとのことです。
北極の宝に活路 資源開発協力合意 英大手BP経営立て直し期待 ロ国営会社経済成長新拠点へ (1/30 朝日朝刊)
豊富な天然資源が眠る北極海の石油・天然ガス開発に向けて、英石油大手BPとロシア最大の国営石油会社ロスネフチが手を結んだ。昨年4月に米南部沖メキシコ湾で大規模な原油流出事故を起こして経営立て直しを迫られるBPが、未開発の北極大陸棚に将来性を見込み、気候や自然条件の厳しい北極開発に本格進出するロシアを技術的にも支援していく構図だ。(モスクワー1副島英樹)
26日にスイス・ダボスで開幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)。世界の目が集まる舞台で、両社の首脳は資源開発の協力を戦略的に進めると発表した。14日には、ロスネフチが北極海のノバヤゼムリャ島沖に権利を持つ三つの石油・天然ガス鉱区をBPと共同開発し、資本提携も進める合意文書に署名したばかりだった。
ロスネフチがBPの株式の5%を保有し、BPもロスネフチの株式の9・5%を取得する。額はそれぞれ約78億ドル(約6400億円)で、「グローバルな戦略同盟」(ロシア有力紙コメルサント)となる。北極大陸棚を開発する合弁会社(ロスネフチ67%、BP33%出資)を設立し、「北極技術センター」もロシア北西のサンクトペテルブルクとムルマンスクに創設する。
ロシアのプーチン首相は、共同開発への投資総額は数百億ドル規模になるとし、北極大陸棚の資源埋蔵量については「原油50億トン、天然ガスは10兆立方メートルに及ぶ」と指摘。共同開発会社には税優遇措置を適用すると明言した。
BPのダドリー最高経営責任者(CEO)も「大きな可能性を秘める北極開発には最新の技術が必要だ。ロシアへの投資状況にもいい影響を与える」と期待を表明している。
ノバヤゼムリャ島沖の開発権は昨年11月にロシアが16億ルーブル(約44億円)以上で取得。「原油4970万トン、天然ガス1.8兆立方層の埋蔵が見込一まれ、探索投資額は14億~20億ドルとされる。原油の生産開始は5~10年後という。
一方、メキシコ湾で原油流出事故を起こしたBPと、ロシアの石油大手ユコス(破産)の資産を引き継いだロスネフチとの提携には、「病んだ巨人の結婚」(ロシア独立新聞)との指摘がある。
ユコスの元所有者は、プーチン首相の政敵で服役中の元石油王ホドルコフスキー氏。昨年末の新たな刑事判決で2017年まで収監が延長され、欧米が「経済への政治介入だ」と問題視している。原油流出事故でBPは最大600億ドル(約5兆円)の賠償や罰金などを背負い、資産価値は低下した。
ただ、今回の提携でBPの株価がアップしたという。実体経済を握るプーチン首相の支援表明が好感を呼んだようだ。米調査会社によると、ロシア関連の株式・債権ファンドへの人気も高まり、資金流入額も大幅に増加した。
石油ガス・アナリストのクルチーヒン氏は「プーチン首相は原油流出事故で困窮しているBPを利用した。ロスネフチは北極大陸棚の自力開発のための技術や財政が不足していた。今回、BPの一部がロシア国有になったともいえる」と指摘している。
「50年後は主要な交通要衝」 プーチン首相投資呼び込む戦略
今回のBPとロスネフチの提携は、ロシアの北極圏進出が本格化してきたことの証しだ。
2008年9月の安全保障会議で、メドベージェフ大統領は「最優先課題は北極を21世紀のロシアの資源基盤に変えることだ」と言明。昨年9月にモスクワ大学で開かれた国際北極フォーラムでは、プーチン首相は「50年後には北極は主要な交通要衝の一つになる」と述べ、経済成長や投資呼び込みの新たな拠点にする考えを表明していた。
政府は昨年10月、2020年までの北極圏発展戦略をまとめたが、策定は予定より遅れた。世界経済危機を機に打ち出した経済の「現代化」に伴い、戦略の見直しを進めたからだ。エクスペルト誌によると、世界経済の中心点が欧米からアジアにシフトしている変化を見据え、北極海航路の開拓などを盛り込んだ。エネルギー供給など、中国をはじめとするアジア太平洋地域の比重は増す一方にある。
その実現への第一歩が、ロシアの大型タンカーによる昨夏の実験航海だった。北欧に近いムルマンスク港から砕氷船を伴って初めて北極海を横断し、約10日でロシア東端への到達に成功した。地球温暖化で海氷が減少傾向にあり、北極海が重要ルートになる可能性を秘める。ムルマンスクから上海に航行する場合、スエズ運河経由なら42日かかるが、北極海経由なら20日で済むとの試算もある。燃料代も通行料も節約できる。
インフラ、技術、専門家の養成などロシアの課題は多い。BPとの提携には、北極開発を経済「現代化」の弾みにしたいとの思惑もみえる。
豊富な天然資源が眠る北極海の石油・天然ガス開発に向けて、英石油大手BPとロシア最大の国営石油会社ロスネフチが手を結んだ。昨年4月に米南部沖メキシコ湾で大規模な原油流出事故を起こして経営立て直しを迫られるBPが、未開発の北極大陸棚に将来性を見込み、気候や自然条件の厳しい北極開発に本格進出するロシアを技術的にも支援していく構図だ。(モスクワー1副島英樹)
26日にスイス・ダボスで開幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)。世界の目が集まる舞台で、両社の首脳は資源開発の協力を戦略的に進めると発表した。14日には、ロスネフチが北極海のノバヤゼムリャ島沖に権利を持つ三つの石油・天然ガス鉱区をBPと共同開発し、資本提携も進める合意文書に署名したばかりだった。
ロスネフチがBPの株式の5%を保有し、BPもロスネフチの株式の9・5%を取得する。額はそれぞれ約78億ドル(約6400億円)で、「グローバルな戦略同盟」(ロシア有力紙コメルサント)となる。北極大陸棚を開発する合弁会社(ロスネフチ67%、BP33%出資)を設立し、「北極技術センター」もロシア北西のサンクトペテルブルクとムルマンスクに創設する。
ロシアのプーチン首相は、共同開発への投資総額は数百億ドル規模になるとし、北極大陸棚の資源埋蔵量については「原油50億トン、天然ガスは10兆立方メートルに及ぶ」と指摘。共同開発会社には税優遇措置を適用すると明言した。
BPのダドリー最高経営責任者(CEO)も「大きな可能性を秘める北極開発には最新の技術が必要だ。ロシアへの投資状況にもいい影響を与える」と期待を表明している。
ノバヤゼムリャ島沖の開発権は昨年11月にロシアが16億ルーブル(約44億円)以上で取得。「原油4970万トン、天然ガス1.8兆立方層の埋蔵が見込一まれ、探索投資額は14億~20億ドルとされる。原油の生産開始は5~10年後という。
一方、メキシコ湾で原油流出事故を起こしたBPと、ロシアの石油大手ユコス(破産)の資産を引き継いだロスネフチとの提携には、「病んだ巨人の結婚」(ロシア独立新聞)との指摘がある。
ユコスの元所有者は、プーチン首相の政敵で服役中の元石油王ホドルコフスキー氏。昨年末の新たな刑事判決で2017年まで収監が延長され、欧米が「経済への政治介入だ」と問題視している。原油流出事故でBPは最大600億ドル(約5兆円)の賠償や罰金などを背負い、資産価値は低下した。
ただ、今回の提携でBPの株価がアップしたという。実体経済を握るプーチン首相の支援表明が好感を呼んだようだ。米調査会社によると、ロシア関連の株式・債権ファンドへの人気も高まり、資金流入額も大幅に増加した。
石油ガス・アナリストのクルチーヒン氏は「プーチン首相は原油流出事故で困窮しているBPを利用した。ロスネフチは北極大陸棚の自力開発のための技術や財政が不足していた。今回、BPの一部がロシア国有になったともいえる」と指摘している。
「50年後は主要な交通要衝」 プーチン首相投資呼び込む戦略
今回のBPとロスネフチの提携は、ロシアの北極圏進出が本格化してきたことの証しだ。
2008年9月の安全保障会議で、メドベージェフ大統領は「最優先課題は北極を21世紀のロシアの資源基盤に変えることだ」と言明。昨年9月にモスクワ大学で開かれた国際北極フォーラムでは、プーチン首相は「50年後には北極は主要な交通要衝の一つになる」と述べ、経済成長や投資呼び込みの新たな拠点にする考えを表明していた。
政府は昨年10月、2020年までの北極圏発展戦略をまとめたが、策定は予定より遅れた。世界経済危機を機に打ち出した経済の「現代化」に伴い、戦略の見直しを進めたからだ。エクスペルト誌によると、世界経済の中心点が欧米からアジアにシフトしている変化を見据え、北極海航路の開拓などを盛り込んだ。エネルギー供給など、中国をはじめとするアジア太平洋地域の比重は増す一方にある。
その実現への第一歩が、ロシアの大型タンカーによる昨夏の実験航海だった。北欧に近いムルマンスク港から砕氷船を伴って初めて北極海を横断し、約10日でロシア東端への到達に成功した。地球温暖化で海氷が減少傾向にあり、北極海が重要ルートになる可能性を秘める。ムルマンスクから上海に航行する場合、スエズ運河経由なら42日かかるが、北極海経由なら20日で済むとの試算もある。燃料代も通行料も節約できる。
インフラ、技術、専門家の養成などロシアの課題は多い。BPとの提携には、北極開発を経済「現代化」の弾みにしたいとの思惑もみえる。
ロシアのガス生産は、2030年には'09年比で 6割減の 4割の生産量になる見込みで、北極圏や極東の高コストで新技術を必要とする困難な地域での新規開発に迫られていることは、何度か触れてきていました。
露のガス田生産量減 20年後には6割減 - 遊爺雑記帳
ロシアは、高コストで当面価格競争力で不利な北極圏の新規開発には、リスクが伴うと同時に新技術を必要としており、日本の商社にも参入を呼びかけていました。
しかし、サハリン1, 2の開発で懲りたように、リスクの回避が可能となり成算が見えてくると、難癖をつけて成果を横取りするロシアとの共同開発には、どの企業も二の足を踏んでいます。
BPもそのリスクは当然承知しているはずですが、メキシコ湾で原油流出事故で背負った最大600億ドル(約5兆円)とされる賠償や罰金などが大きく、ここに賭ける道を選ばざるをえなかったのでしょう。
「プーチン首相は原油流出事故で困窮しているBPを利用した。今回、BPの一部がロシア国有になったともいえる」との指摘があるのだそうですが、図星で、BPの先行きが憂慮されます。
また、資源の高騰に支えられて国力を取り戻しているロシアが、現在生産中の主力ガス田資源の枯渇を目の前にし、産業の発展の必要性に目覚めたのか、北極圏での開発には、北極海の氷の減少により開からる航路を活かした産業開発も併せて行うのでそうです。
北方領土問題の解決とともに平和条約締結交渉を先送りしてきている罪はありますが、日本は国家の主権と国益を主張・維持し、技術援助を行う立場を堅持することを願っています。
中国や韓国企業にも先をこされることがあって開発受注を逃しても結構ですがら、じっくり交渉すべきです。過去の実績様に、利益を横取りされるですから、最初から受注しない方がましです。
いつも唱えていることですが、生産されるガスも、定期購入依存してはいけません。政治利用し、供給コントロールされることになるのは、悩まされている国々の現状が証明しています。
中国に任せておけば、お互い長年の歴史ある争い慣れたなかで、おしひきしてくれますし、世界中の資源を買いあさり価格高騰を生じさせている中国の影響を薄めることが出来るでしょう。
↓よろしかったら、お願いします。