北朝鮮の水爆実験実施に伴う、国連安保理追加制裁決議。米国が示した当初の案から中露の反対で譲歩・変更されました。TVのワイドショーのコメンテータや解説者に、譲歩・変更した米国への批難の声が少なくないのですが、専門家の方々は評価されていますね。
先ず、全会一致ということで、中露を含む世界が一致賛同して北朝鮮に制裁を科したこと。原油について初めて公けに俎上にあがったこと。譲歩で余力を残し、北の更なる暴走への制裁追加余力を持たせたことなど、決議された内容でも、オイルショックに見舞われたと同等の効果は望めることにも評価の声が聞かれます。
記事でも、北朝鮮に足並みの乱れを見せないよう一致したメッセージを出すことを優先したと指摘されています。
譲歩後退したかに見える、原油の「禁輸」取り下げ、「上限設定」や、北朝鮮人労働者の雇用全面禁止を、採択前の契約は対象外とし、新規雇用も制裁委員会の許可があれば、可能とも受け取れる内容になったといった内容も、先ずは俎上に載せ、ことある毎に制裁度を強化する余力を残した、したたかなものなのですね。
昨年11月に採択された決議の、北朝鮮からの石炭輸出が、今年8月の制裁決議で全面禁輸に格上げされた実績と同じ道を辿れるように意図されているのですね。
また、天然ガス液、天然ガスの副産物である軽質原油コンデンセートの輸出禁止などは、原案通りに採決されました。これでも、オイルショック時に各国が混乱したと同等の効果があると、元国連北朝鮮制裁委員会・専門家パネル委員の古川勝久氏が、TVで解説しておられました。
北朝鮮の資金源を引き締める核心条項は、北朝鮮の繊維や衣類製品の輸出禁止条項になるのだそうです。繊維製品は、石炭など鉱物資源に続き北朝鮮の2位の輸出品目で、2016年は輸出全体の26.67%を占めたのだと。
国連の対北朝鮮制裁決議、満場一致で採択…繊維・衣類の輸出を「禁止」 : ハンギョレ
公海上での大量破壊兵器積載疑惑船舶に対する遮断や臨検条項は、北朝鮮の了承を得て実施する方式(=事実上は出来ない)に緩和されました。
しかしこれも俎上に上がりましたから、次の制裁が必要時に強化するバッファとして牽制にはなっています。
今回の決議に対する北朝鮮の具体的な反応は未だ見えてきていません。
原案より譲歩・保留された部分があるとはいえ、制裁効果は小さくはありません。当然反発が予測されます。
日本の上空を通過する、ICBMの発射実験も頻度をあげてくると考えられます。
日本独自の防衛の為の抑止力(敵基地攻撃能力)の早急な整備が望まれます。
# 冒頭の画像は、水爆とみられる装置を視察する金正恩
オオシマザクラの黄葉
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先ず、全会一致ということで、中露を含む世界が一致賛同して北朝鮮に制裁を科したこと。原油について初めて公けに俎上にあがったこと。譲歩で余力を残し、北の更なる暴走への制裁追加余力を持たせたことなど、決議された内容でも、オイルショックに見舞われたと同等の効果は望めることにも評価の声が聞かれます。
米、中露に大幅譲歩 北制裁案 原油 将来の禁輸に含み (9/12 読売 [スキャナー])
国連安全保障理事会の北朝鮮への追加制裁決議案を巡り、米国は当初案に盛り込んでいた原油の「禁輸」を取り下げ、「上限設定」へと後退させた。「最も強い制裁」(ヘイリー米国連大使)に激しく反発してきた中国やロシアに配慮し、大幅な譲歩に応じた。(ニューヨーク支局 橋本潤也、中国総局 東慶一郎)
安保理の過去8回の北朝鮮への制裁決議は、いずれも全会一致で採択されてきた。今回、米国が中国やロシアとの交渉を通じて当初案から制裁のトーンを弱めたのも、北朝鮮に足並みの乱れを見せないよう一致したメッセージを出すことを優先したためとみられる。
最大の焦点だったのは、原油禁輸の扱いだ。安保理は2回の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、8月5日に石炭や鉄鉱石などの全面禁輸を盛り込んだ制裁決議を採択。この決議に至る米中間の交渉で、北朝鮮への原油輸出禁止を盛り込むよう米国が主張したが、中国の反発で見送った経緯がある。
今回も、当初案に盛り込まれた原油や石油精製品の完全禁輸には中国が猛反発したとみられる。上限を設定し、加盟国に実績を報告させる手法は、昨年11月採択した決議の北朝鮮の石炭輸出と同じだ。石炭はその後、今年8月の制裁決議で全面禁輸に格上げされた。米国は、今回は上限設定にとどめたとしても、次の北朝鮮の挑発行為があった際に禁輸に格上げする道筋をつける狙いとみられる。
ロシアは国内に数万人規模で北朝鮮人労働者を抱えており、「雇用の全面禁止は受け入れられない立場」(安保理筋)だった。8月5日採択の前回決議では、国外の北朝鮮人労働者数は現時点を超えないようにするとの上限規制がかけられた。今回は当初案の「全面禁止」が、修正案では採択前の契約は対象外とのただし書きが加わった。新規雇用も制裁委員会の許可があれば、可能とも受け取れる内容になった。ロシアの主張を大幅に認めたものと言えそうだ。
繊維や、地上に産出されると自然に液状になる天然ガス液、天然ガスの副産物である軽質原油コンデンセートの輸出禁止などは、当初案と同じく修正案でも維持された。中露にとって、石油や労働者などの規制強化を逃れることを優先させ、優先順位の低い制裁が当初案のまま、修正されずに残ったとみられる。
中国外務省の耿爽グォンシュアン副報道局長は11日の定例記者会見で「安保理メンバーが十分な協議に基づいて合意に達し、一致団結した声を出せることを望む」と述べ、前向きな姿勢をにじませた。
菅官房長官 核実験「中露も厳しい姿勢」
菅官房長官は読売新聞のインタビューに応じ、7日の日露首脳会談について、「核実験が深刻な脅威であるとの認識で突っ込んだ意見交換をして、方向性は一致している」と述べた。北朝鮮の6回目の核実験を受け、制裁強化を求める安倍首相の立場にロシアのプーチン大統領が一定の理解を示したことを明らかにしたものだ。
菅氏は「核実験については中国もロシアもかなり厳しい認識や姿勢を示していることは間違いない」とも述べ、国連安全保障理事会での北朝鮮への追加制裁決議案の採択を巡り、慎重な立場の中露両国との調整に期待感を示した。
その上で菅氏は「北朝鮮に具体的に打撃を与えられるような措置としては、前回の(安保理決議の)石炭の全面禁輸措置が非常に大きかった。そうした圧力を通じて、北朝鮮の政策と行動を変えたい」と述べ、追加制裁決議案の採択を目指す考えを強調した。
国連安全保障理事会の北朝鮮への追加制裁決議案を巡り、米国は当初案に盛り込んでいた原油の「禁輸」を取り下げ、「上限設定」へと後退させた。「最も強い制裁」(ヘイリー米国連大使)に激しく反発してきた中国やロシアに配慮し、大幅な譲歩に応じた。(ニューヨーク支局 橋本潤也、中国総局 東慶一郎)
安保理の過去8回の北朝鮮への制裁決議は、いずれも全会一致で採択されてきた。今回、米国が中国やロシアとの交渉を通じて当初案から制裁のトーンを弱めたのも、北朝鮮に足並みの乱れを見せないよう一致したメッセージを出すことを優先したためとみられる。
最大の焦点だったのは、原油禁輸の扱いだ。安保理は2回の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、8月5日に石炭や鉄鉱石などの全面禁輸を盛り込んだ制裁決議を採択。この決議に至る米中間の交渉で、北朝鮮への原油輸出禁止を盛り込むよう米国が主張したが、中国の反発で見送った経緯がある。
今回も、当初案に盛り込まれた原油や石油精製品の完全禁輸には中国が猛反発したとみられる。上限を設定し、加盟国に実績を報告させる手法は、昨年11月採択した決議の北朝鮮の石炭輸出と同じだ。石炭はその後、今年8月の制裁決議で全面禁輸に格上げされた。米国は、今回は上限設定にとどめたとしても、次の北朝鮮の挑発行為があった際に禁輸に格上げする道筋をつける狙いとみられる。
ロシアは国内に数万人規模で北朝鮮人労働者を抱えており、「雇用の全面禁止は受け入れられない立場」(安保理筋)だった。8月5日採択の前回決議では、国外の北朝鮮人労働者数は現時点を超えないようにするとの上限規制がかけられた。今回は当初案の「全面禁止」が、修正案では採択前の契約は対象外とのただし書きが加わった。新規雇用も制裁委員会の許可があれば、可能とも受け取れる内容になった。ロシアの主張を大幅に認めたものと言えそうだ。
繊維や、地上に産出されると自然に液状になる天然ガス液、天然ガスの副産物である軽質原油コンデンセートの輸出禁止などは、当初案と同じく修正案でも維持された。中露にとって、石油や労働者などの規制強化を逃れることを優先させ、優先順位の低い制裁が当初案のまま、修正されずに残ったとみられる。
中国外務省の耿爽グォンシュアン副報道局長は11日の定例記者会見で「安保理メンバーが十分な協議に基づいて合意に達し、一致団結した声を出せることを望む」と述べ、前向きな姿勢をにじませた。
菅官房長官 核実験「中露も厳しい姿勢」
菅官房長官は読売新聞のインタビューに応じ、7日の日露首脳会談について、「核実験が深刻な脅威であるとの認識で突っ込んだ意見交換をして、方向性は一致している」と述べた。北朝鮮の6回目の核実験を受け、制裁強化を求める安倍首相の立場にロシアのプーチン大統領が一定の理解を示したことを明らかにしたものだ。
菅氏は「核実験については中国もロシアもかなり厳しい認識や姿勢を示していることは間違いない」とも述べ、国連安全保障理事会での北朝鮮への追加制裁決議案の採択を巡り、慎重な立場の中露両国との調整に期待感を示した。
その上で菅氏は「北朝鮮に具体的に打撃を与えられるような措置としては、前回の(安保理決議の)石炭の全面禁輸措置が非常に大きかった。そうした圧力を通じて、北朝鮮の政策と行動を変えたい」と述べ、追加制裁決議案の採択を目指す考えを強調した。
記事でも、北朝鮮に足並みの乱れを見せないよう一致したメッセージを出すことを優先したと指摘されています。
譲歩後退したかに見える、原油の「禁輸」取り下げ、「上限設定」や、北朝鮮人労働者の雇用全面禁止を、採択前の契約は対象外とし、新規雇用も制裁委員会の許可があれば、可能とも受け取れる内容になったといった内容も、先ずは俎上に載せ、ことある毎に制裁度を強化する余力を残した、したたかなものなのですね。
昨年11月に採択された決議の、北朝鮮からの石炭輸出が、今年8月の制裁決議で全面禁輸に格上げされた実績と同じ道を辿れるように意図されているのですね。
また、天然ガス液、天然ガスの副産物である軽質原油コンデンセートの輸出禁止などは、原案通りに採決されました。これでも、オイルショック時に各国が混乱したと同等の効果があると、元国連北朝鮮制裁委員会・専門家パネル委員の古川勝久氏が、TVで解説しておられました。
北朝鮮の資金源を引き締める核心条項は、北朝鮮の繊維や衣類製品の輸出禁止条項になるのだそうです。繊維製品は、石炭など鉱物資源に続き北朝鮮の2位の輸出品目で、2016年は輸出全体の26.67%を占めたのだと。
国連の対北朝鮮制裁決議、満場一致で採択…繊維・衣類の輸出を「禁止」 : ハンギョレ
公海上での大量破壊兵器積載疑惑船舶に対する遮断や臨検条項は、北朝鮮の了承を得て実施する方式(=事実上は出来ない)に緩和されました。
しかしこれも俎上に上がりましたから、次の制裁が必要時に強化するバッファとして牽制にはなっています。
今回の決議に対する北朝鮮の具体的な反応は未だ見えてきていません。
原案より譲歩・保留された部分があるとはいえ、制裁効果は小さくはありません。当然反発が予測されます。
「米に代価を」 北、挑発重ねる可能性 (9/12 読売 [スキャナー])
米国が大幅譲歩した制裁内容でも、北朝鮮が軍事挑発の口実にする可能性がある。北朝鮮外務省は11日、「米国が安保理で更に過酷な制裁決議をまとめた場合、必ず米国に相応の代価を払わせる」と声明で警告した。
想定されるシナリオの中で、最も警戒されているのが大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射だ。「実戦配備前に、飛行安定性や大気圏再突入時の高温に耐えられるかなど実戦と同じ環境で試す必要がある」(韓国の軍事筋)ためだ。
北朝鮮メディアは8月23日、火星14より1段多い3段式の「火星13」と書かれたミサイルや「北極星3型」と書かれた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の構造図が描かれた写真を公開しており、新型ミサイルを発射する可能性もある。
核実験の可能性も捨てきれない。韓国の情報機関・国家情報院は、北朝鮮は豊渓里プンゲリの核実験場の「3番坑道」と建設中の「4番坑道」で追加核実験が可能な状態にあると国会に報告した。
米国にとって人道面で気がかりなのは、事実上の「人質」として北朝鮮に拘束されている米国人3人の扱いだ。
複数の外交筋によると、トランプ米政権は発足後から、ニューヨークの国連ルートを通じて、拘束された米国人の扱いを巡って北朝鮮と接触。米国人学生オットー・ワームビア氏(22)が意識不明の状態で6月13日に解放されたが、帰国直後の同月19日に死亡した。
AP通信によるとこの後も、ジョセフ・ユン米政府特別代表(北朝鮮担当)と北朝鮮国連代表部のパク・ソンイル氏が窓口となり、接触は続いた。3人は米国の「泣き所」でもある。
北朝鮮外務省報道官は5月、「犯罪者を法で治めるのは主権国家の堂々たる権利」と正当化。3人のうち、スパイ罪などに問われた韓国系米国人の金東哲キムドンチョル氏は労働教化刑(懲役刑に相当)10年が出ているが、ほかの2人には判決が出ていない。今後、厳罰を科して米国を揺さぶることも予想される。
北朝鮮外務省声明は「我々が講じることになる次の措置は史上類例なく米国を困惑させる」と強調している。3日の核実験に際して北朝鮮が言及した、核爆弾を高高度で爆発させて強力な電磁波で電力・通信網をマヒさせる電磁パルス(EMP)弾や、「約6800人でコンピューターウイルスを開発」(韓国軍関係者)しているサイバー部隊による攻撃も懸念される。
声明は「米国が想像もできない強力な行動措置を連続で講じる」としており、挑発が相次ぐ可能性もある。
外交筋によると、北朝鮮のミサイル技術者は現在、中国におり、核爆弾の技術者も、実験成功の祝宴のため平壌ピョンヤンに滞在中とみられ、採択直後に挑発に出ることはないとの予測もある。(ソウル支局 宮崎健雄)
米国が大幅譲歩した制裁内容でも、北朝鮮が軍事挑発の口実にする可能性がある。北朝鮮外務省は11日、「米国が安保理で更に過酷な制裁決議をまとめた場合、必ず米国に相応の代価を払わせる」と声明で警告した。
想定されるシナリオの中で、最も警戒されているのが大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射だ。「実戦配備前に、飛行安定性や大気圏再突入時の高温に耐えられるかなど実戦と同じ環境で試す必要がある」(韓国の軍事筋)ためだ。
北朝鮮メディアは8月23日、火星14より1段多い3段式の「火星13」と書かれたミサイルや「北極星3型」と書かれた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の構造図が描かれた写真を公開しており、新型ミサイルを発射する可能性もある。
核実験の可能性も捨てきれない。韓国の情報機関・国家情報院は、北朝鮮は豊渓里プンゲリの核実験場の「3番坑道」と建設中の「4番坑道」で追加核実験が可能な状態にあると国会に報告した。
米国にとって人道面で気がかりなのは、事実上の「人質」として北朝鮮に拘束されている米国人3人の扱いだ。
複数の外交筋によると、トランプ米政権は発足後から、ニューヨークの国連ルートを通じて、拘束された米国人の扱いを巡って北朝鮮と接触。米国人学生オットー・ワームビア氏(22)が意識不明の状態で6月13日に解放されたが、帰国直後の同月19日に死亡した。
AP通信によるとこの後も、ジョセフ・ユン米政府特別代表(北朝鮮担当)と北朝鮮国連代表部のパク・ソンイル氏が窓口となり、接触は続いた。3人は米国の「泣き所」でもある。
北朝鮮外務省報道官は5月、「犯罪者を法で治めるのは主権国家の堂々たる権利」と正当化。3人のうち、スパイ罪などに問われた韓国系米国人の金東哲キムドンチョル氏は労働教化刑(懲役刑に相当)10年が出ているが、ほかの2人には判決が出ていない。今後、厳罰を科して米国を揺さぶることも予想される。
北朝鮮外務省声明は「我々が講じることになる次の措置は史上類例なく米国を困惑させる」と強調している。3日の核実験に際して北朝鮮が言及した、核爆弾を高高度で爆発させて強力な電磁波で電力・通信網をマヒさせる電磁パルス(EMP)弾や、「約6800人でコンピューターウイルスを開発」(韓国軍関係者)しているサイバー部隊による攻撃も懸念される。
声明は「米国が想像もできない強力な行動措置を連続で講じる」としており、挑発が相次ぐ可能性もある。
外交筋によると、北朝鮮のミサイル技術者は現在、中国におり、核爆弾の技術者も、実験成功の祝宴のため平壌ピョンヤンに滞在中とみられ、採択直後に挑発に出ることはないとの予測もある。(ソウル支局 宮崎健雄)
日本の上空を通過する、ICBMの発射実験も頻度をあげてくると考えられます。
日本独自の防衛の為の抑止力(敵基地攻撃能力)の早急な整備が望まれます。
# 冒頭の画像は、水爆とみられる装置を視察する金正恩
オオシマザクラの黄葉
↓よろしかったら、お願いします。