遊爺雑記帳

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原発再稼働 3原発5基へ

2017-03-29 23:58:58 | 新エネルギー
 原発の再稼働について、原子力規制委員会が新しい規制基準に適合していると認めた原発に対しては、運転停止の効力が直ちに生じる仮処分を住民が申し立てるケースが相次いでいて、地方裁判所が、再稼働を認めない決定をすることから、川内原発1号機と2号機と伊方原発3号機の合わせて3基が稼働するにとどまっていました。
 高裁レベルでは、福岡高裁宮崎支部が昨年4月、九州電力川内原発1、2号機の稼働を認めていましたが、今回、大阪高裁が、関西電力高浜原子力発電所3、4号機の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定を取り消したことで、全国で3原発5基が運転することになりました。
 2高裁で、新基準に適合することでの稼働について地裁の裁定が覆れたことで、地裁が再稼働を認めない流れは変わることになるのでしょうか。
 

高裁 新基準を尊重 高浜原発再稼働へ 反対住民は「仮処分」戦術 (3/29 読売 スキャナー)

 関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)の再稼働を認めた28日の大阪高裁決定は、運転を差し止めた大津地裁決定の判断をことごとく退けた。原発の運転差し止めを巡る仮処分裁判が各地裁で続く中、高裁が新規制基準を尊重する姿勢を鮮明にした意味は大きい
。  (大阪社会部 増田尚浩、黒川絵理)

■関電は安堵
 「高裁レベルで安全性が認められた。この決定をリーディングケースとしたい」。決定後、大阪市北区の関電本社で開いた記者会見で、岩根茂樹社長は安堵感をにじませて語った。
 関電は昨年3月の大津地裁決定後、大阪高裁の保全抗告審を「天王山」と位置づけてきた。地裁での審理を上回る約1020ページの書面を提出し、
幹部は「あらゆる反論を行い、出来ることはやり尽くした」と自信をのぞかせていた
。悲願の再稼働に向けて一歩前進し、岩根社長は「安全を最優先に準備を進めたい」と力を込めた。

■ゼロリスク求めず
 この日の
高裁決定が、地裁決定と大きく異なるのは、東京電力福島第一原発事故を踏まえて定められた新規制基準のとらえ方
だ。
 
地裁は「想定を超える災害が繰り返されてきた過ちに向き合い、十二分に余裕を持った基準にすべきだ」とゼロリスクを求める姿勢を示し、新規制基準を事実上否定
した。
 これに対し、
高裁は「絶対的な安全性を要求するのは相当ではなく、危険性が社会通念上、無視しうる程度にまで管理されている場合は、安全性が認められる」と述べ、新規制基準を妥当
とした。
 さらに、
耐震性や津波対策、その他の安全対策についても、疑問を呈した地裁の判断を次々に覆した

 原子力規制委員会の事務局からは「常識的な判断だ」「新規制基準への理解が深まったと感じる」との声が上がった。
 高裁レベルでは、昨年4月の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)を巡る福岡高裁宮崎支部決定も、新規制基準の合理性を認めている。元東京高裁判事の升田純・中央大法科大学院教授(民事法)は「
高裁で2件続いて同様の判断の枠組みが示されたことで、今後の司法判断が安定していく可能性がある
」と指摘する。

■不服申し立てせず
 
住民側は大阪高裁決定に対し、最高裁への不服申し立てを見送る
。最高裁で主張が認められなかった場合、他の原発の差し止め裁判に影響することが避けられないためだ。
 
各地の脱原発弁護団は、ただちに原発を止めることができる仮処分を大きな「武器」と位置づけており
、現在、ほかに6件の仮処分が申し立てられている。
 特に、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)については4地裁・支部で争われ、30日には広島地裁の決定が出る。弁護団全国連絡会事務局長の只野靖弁護士は「電力会社は全勝しなければ運転を続けられない」と戦略を語る。
 こうした状況について、四国電力の佐伯勇人社長は28日の定例記者会見で「住民側が五月雨式に裁判を起こすことには、疑問を感じている」と批判した。

 地裁でのゼロリスクに固執した非科学的な決定に対し、「最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」と最高裁が判示したことをうけて、新基準の妥当性を認めた高裁の判断を読売の社説は支持しています。賛同します。
 

高浜再稼働へ 非科学的な地裁決定が覆った (3/29 読売 社説)

 厳しい規制基準に基づき、十分な安全対策が施されている、との判断は極めて現実的だ

 大阪高裁が、関西電力高浜原子力発電所3、4号機の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定を取り消した。
 3、4号機は、原子力規制委員会の使用前検査などを経て、再稼働が可能になる。
 大阪高裁の決定は、高浜原発の安全性について、関電に立証責任があると指摘した。そのうえで、耐震性などの項目別に安全対策を検討し、いずれも「不合理な点は認められない」と結論付けた。
 
大津地裁は、関電による説明が不十分だと決めつけ、運転の差し止めを命じた。ゼロリスクに固執した非科学的な地裁決定を覆したのは、当然
である。
 
大阪高裁は、地裁が不十分な内容だと批判した新規制基準についても、「福島第一原発事故の教訓を踏まえ、重大事故対策などの検討を重ねて、策定された」と、その妥当性を認定
した。
 新規制基準は、世界的に最高レベルの安全性の確保を原発に課している。基準を尊重した高裁の見解は、うなずける。
 
原発の安全審査について、最高裁は1992年の四国電力伊方原発訴訟判決で、「最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」と判示
している。
 今回の決定は、
この判例に沿った適切な内容
だと言える。
 高裁レベルでは、福岡高裁宮崎支部も昨年4月、九州電力川内原発1、2号機の運転差し止めを巡る仮処分の即時抗告審で、運転を認める判断を示している。
 脱原発派の住民らが運転差し止めを求めた仮処分や訴訟は、全国で約40件に上る。
二つの高裁が新規制基準の合理性を認め、差し止めを退けた意義は大きい

 高浜原発3、4号機に関しては、大津地裁で本訴訟が係争中だ。訴訟の行方次第では、再び安定稼働が脅かされる事態も考えられる。
原発の運用が司法判断によって振り回される現状は、国のエネルギー政策上、好ましくない。

 関電は、高浜3、4号機の運転を出来るだけ早く再開させる方針だ。地域住民の理解を得ることが再稼働の前提となる。
 高浜原発では1月に、大型クレーンのアームが倒れる事故が起きた。規制委は保安規定違反と認定し、再発防止を求めている。再稼働に向けて、関電は、人員の拡充による保安体制の強化など、安全管理を徹底すべきだ。


 全体の現状を整理すると以下の状況。
 

高浜原発3・4号機 再稼働認める判断 大阪高裁 | NHKニュース

<前略>
原発めぐる判断 各地では

原子力発電所を運転させないよう求める仮処分や裁判は、6年前の原発事故をきっかけに、全国で相次いでいます。

原子力発電所をめぐる裁判は、昭和40年代後半から起こされていますが、6年前に福島第一原発の事故が起きると、改めて安全性を問う動きが広がりました。

このうち原子力規制委員会が新しい規制基準に適合していると認めた原発に対しては、運転停止の効力が直ちに生じる仮処分を住民が申し立てるケースが相次いでいます。


高浜原発3号機と4号機
については、今回の仮処分に先立って、おととし福井地方裁判所が、再稼働を認めない決定を出しました。
この決定は、福井地裁の別の裁判長に取り消されましたが、別の住民が大津地方裁判所に今回の仮処分を申し立て、去年、
運転の停止を命じる決定
が出ていました。

一方、
九州電力の川内原発1号機と2号機に対する仮処分では、おととし鹿児島地方裁判所が、住民の申し立てを退け、福岡高等裁判所宮崎支部も抗告を退けました


現在は、高浜原発のほか、四国電力の伊方原発3号機や九州電力の玄海原発3号機と4号機などに対して、仮処分が申し立てられています。

このうち広島地方裁判所では30日に、伊方原発について初めて判断が示されるほか、住民などのグループの弁護団によりますと、松山地方裁判所や佐賀地方裁判所でも、近く伊方原発と玄海原発について判断が示される可能性があるということです。

また、裁判も各地で起こされていて、弁護団によりますと、
現在、全国の裁判所で審理されている仮処分や集団訴訟は、少なくとも37件に上っている
ということです。

6年前の事故のあと、原発の運転に対する裁判所の判断は分かれていて、今後の動向が注目されます。

再稼働と審査状況は

現在、全国の原子力発電所のうち、鹿児島県にある川内原発の2基と、愛媛県にある伊方原発の1基の、合わせて3基が運転中で、これに加えて高浜原発の2基が再稼働
する見通しになりました。

廃炉が決まった原発を除くと、
全国には16原発42基があり、建設中の青森県の大間原発を含め、これまでに26基で再稼働の前提となる審査の申請
が出されました。
このうち合格にあたる、
新しい規制基準に適合していると認められた原発は、28日に大阪高等裁判所が仮処分の決定を取り消した高浜原発3号機と4号機川内原発1号機と2号機、伊方原発3号機、佐賀県にある玄海原発3号機と4号機、それに原則40年に制限された運転期間の延長が認められた、高浜原発1号機と2号機、福井県にある美浜原発3号機
です。

これらは
いずれもPWR=加圧水型と呼ばれるタイプの原発で、川内原発1号機と2号機と伊方原発3号機の合わせて3基がすでに再稼働
しています。
今後、高浜原発3号機と4号機が原子炉を起動すれば、全国で3原発5基が運転することになります。

このほかのPWRでは、福井県にある大飯原発3号機と4号機で、事実上の審査合格を意味する審査書の案が先月取りまとめられています。

事故を起こした
福島第一原発と同じBWR=沸騰水型と呼ばれるタイプの原発で、規制基準に適合したと認められた原発はまだなく
、新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原発の審査が最も進んでいます。

ただ、緊急時の対応拠点をめぐり去年10月に設置する場所を変更したうえ、先月には耐震不足に関して誤った説明をしていた問題も明らかになり、規制委員会は説明の誤りなどがないか点検し、改めて必要な書類を提出するよう求めていて、審査はさらに時間がかかる見通しです。



 脱原発弁護団全国連絡会 : 全国脱原発訴訟一覧

 大阪高裁決定に対し、住民側は、最高裁への不服申し立てを見送るのだそうです。理由は、最高裁で主張が認められなかった場合、他の原発の差し止め裁判に影響することが避けられないためだと。訴訟の目的を達成したいのではなく、訴訟活動をすることが目的となっている。。

 "安全第一"は、常識ですが、どこまで追求するのか。"ゼロリスク"は、どんな場合に追及すべきか。飛行機に乗ることや、車を運転することは、"ゼロリスク"ではありませんが、日常行動として実行されています。(運転は免許取得の認可が必要)
 福島第一では、汚染水のセシウムが除去できていないとして、貯蔵タンクが無尽蔵に設置され続けています。セシウムは無害で自然の中に存在するし、諸国では放水していますが、福島第一だけが貯蔵しています。

 余談ですが、豊洲市場も、科学的安全と、安心が議論され始めています。(安全の為の盛り土がなされていなかったのが事の発端で、浄化排水システムの稼働と共に、盛り土に代わる安全対策の実施が問われますが。。)

 原子力規制委員会の新基準を、最高裁の示す、「最新の科学的、技術的、総合的な判断」に含めて判断した高裁。新基準を不適としていた地裁。この流れは、今回を機に変わるのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、高浜原発




  この花の名前は、白花ニチニチソウ


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Fotolia






 

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