遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国国防白書

2006-12-30 23:00:40 | EEZ 全般
 中国政府は29日、「2006年国防白書」を発表しました。
 国務院新聞弁公室が、2年に1度発表しているもので、5回目になるそうですが、内容は、国防費が低いことや兵員削減を進めていることのPRと、米軍のアジア・太平洋地域の軍事力増強と日米の連携強化、日本の軍事の外向化、北朝鮮のミサイル試射と核実験実施、台湾に対する米国の支援などについて触れています。
 また、「核と通常兵器の両手段による近代的な海上作戦能力を持ち、情報化を海軍の近代化建設の重点に置く」と唱っています。

 
中国国防白書の要旨 (12/30 産経朝刊)
 29日発表された中国国防白書の要旨は次の通り。

 一、北朝鮮はミサイル試射と核実験を行い、朝鮮半島と北東アジア情勢は複雑さ、深刻さを増している。
 一、米国はアジア太平洋地域での軍事力を強め、日米の軍事的一体化が進んでいる。
 一、日本は憲法改正と集団的自衛権行使を追求し、軍事力の対外的展開の動向は明白。
 一、2010年までに国防近代化の基礎をつくり、20年までに発展、21世紀中ごろには情報化された軍隊を実現。
 一、海軍は徐々に近海防衛戦略を強め、海上総合作戦能力と(原子力潜水艦による)核反撃能力を高める。
 一、中国軍の規模は03年から20万人減り、230万人だが、海、空軍と戦略ミサイル部隊は増加。武装警察部隊は66万人。
 一、大量破壊兵器の拡散は深刻で、不拡散体制は重大な挑戦に直面。
 一、少数の国は軍事同盟を強化し武力行使や威嚇を行っている。台湾独立勢力の動きは深刻。
 一、06年の国防支出見通しは2838億元(約4兆3000億円)。05年は2474億元で日本の67%相当。


 アジア・太平洋地域の安全保障情勢に関する記述として、上海協力機構(SCO)や、最近影響力の拡大に成功したASEANとの連携強化による良好な経済発展を唱っています。
 ただし、地域の安全保障には、複雑な要素が引き続き増えているとし、米国の軍事配置の調整による、アジア・太平洋地域の軍事力増強を指摘し、米日両国は軍事同盟を強化しており、一体化を進めていると警戒しています。
 また、日本は平和憲法の改正と集団的自衛権の行使について検討しており、軍事の外向化が明らかになってきたとも指摘しています。
 紛れもない衆知の事実ですが、なぜそうなってきているのか、自国の覇権拡大、軍備増強が招いている結果なのだとは、当然記述はありません。

 北朝鮮については、「朝鮮のミサイル試射と核実験実施により、朝鮮半島と東北アジアはさらに複雑で厳しい情勢になった。」と触れていて、北朝鮮を名指しで非難しているのは、中国軍も北朝鮮をコントロール出来ないことに憂慮していることを表明しています。

 「領土と海洋権益をめぐる争いや民族・宗教上の紛糾が、国家間の相互信頼と協力にいまだに影響を与えている。」と、自分が種をまいている紛糾が多いことは棚に上げて、海軍力の強化も唱えているようです。
 
中国国防白書 米軍抑止へ核戦力強化 「海軍の近代化」を明記 (12/30 産経朝刊)

 中国が29日に発表した「2006年国防白書」は「今世紀半ばまでの情報化された軍建設の完成」を目指すとした。北朝鮮の核実験による北東アジア情勢の変化を指摘しながらも、中国の軍の近代化は日米への対抗を念頭に置いたものだ。白書は「近海での総合的な海上作戦能力を増強する」と明記、台湾海峡や東シナ海、西太平洋での制海権確保を目指すことを鮮明にしている。
<中略>

 ≪海上作戦能力≫

 白書では「核と通常兵器の両手段による近代的な海上作戦能力を持ち、情報化を海軍の近代化建設の重点に置く」とうたっている。
 具体的な言及こそないが、高速で米空母を追跡できる新型原子力潜水艦の開発・配備とスクリュー音が静かで最新鋭巡航ミサイルが搭載できるロシアのキロ級ディーゼル潜水艦の2ケタ配備などを描いているようだ。潜水艦は新旧合わせ70~80隻に達するとみられる。

 中国は、日中間で対立する「白樺」(中国名・春暁)ガス田付近で航行が確認されたロシア製ソブレメンヌイ級駆逐艦をすでに4隻購入するなど、制海権確保の向上に努めている。
 白書が指摘する「近海の海上作戦」には東シナ海が念頭にあるのは確実だ。今月21日には、沖縄本島北西約400キロの東シナ海上で、昨年就役したばかりのミサイルフリゲート艦が航行しているのが確認された。
 中国軍は東シナ海だけでなく、沖縄周辺や西太平洋での活動を活発化させている。グアム島を西太平洋での拠点とする米軍を牽制(けんせい)するためとみられ、「台湾有事では米空母、潜水艦を阻止する狙いがある」(西側専門家)といわれる。

 白書は「(旧式戦闘機から)新型戦闘機の発展を重点とする」とも指摘。現在、ロシア製スホイ27、30だけでも300機以上を保有しているとみられ、さらに配備は加速する見通し。東アジアの制空権確保を目指す動きが活発になっている。

 ≪核抑止力≫

 白書で「核反撃能力の向上」と記された核戦力の柱は、大陸間弾道ミサイルの複数弾頭化と開発中とされる潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪2型」(射程最大8000キロ)を指すとみられる。いずれも対米抑止力の柱であり、中国は台湾有事の際に米軍の介入を阻止する「抑止力」としての核兵器の強化を推進している。戦略核兵器を管理する第2砲兵のトップ、靖志遠司令員は「抑止力としての戦略的能力と近代化を高める」とする論文を公表している。
 中国の核兵器保有量は西側軍事専門家によると2003年の400発から約200発へと減少したという。西側軍事筋は「核弾頭を搭載した台湾向けの中距離弾道ミサイルを通常型弾頭に転換する一方で、米国向けの大陸間弾道ミサイルの近代化を進めている」と分析している。


 グァムと日本に展開する米軍や、米国の武器輸出を受け独立傾向が進行する台湾への牽制という軍事的な要素と、海洋にある、エネルギー資源、鉱物資源、漁業資源の軍事力による占有も目指しており、海軍力を強化すると表立って公言してきたところは、これまでも増強を進め、示威活動で占拠して来たことを、一段と強行するとしうことと理解でき、そのための軍備を増強するわけで、我が国の増強の遅れに、更に水をあけられそうです。

 中国の安全保障面に関する部分として、台湾当局は「台湾独立」路線を急進し、「憲政改造」によって「台湾の法理上の独立」を達成しようとしているとし、深刻な脅威となっていると唱え、米国は「一つの中国」を言明しながらも台湾に対し引き続き最新の軍事設備を輸出し、台湾と軍事強化について連絡を取り合っている と指摘しています。
 それは否定しませんし、米国の言動不一致が黙認されてきている米中関係が、私には理解が難しいところです。(つまるところは、軍事力と経済力=今と今後の日本では、両国には及ぶべくもない。)

 いくつかの国では「中国脅威論」がささやかれ、中国に対する戦略的防御・けん制を強めている。周辺各国の複雑かつ敏感な歴史・現実問題も、依然として中国の安全保障環境に影響を与えている。 とのことですが、ささやいてなんかいません。堂々と、大声で警鐘を鳴らし、防御・けん制の連携を募っているのです。
 聞こえているのなら、覇権拡大の軍備強化、拡充を控え、省エネ対策や環境対策に投資をまわして下さい。
 村山総理から引き出した思慮不足のお人好し発言を拡大利用して、化学兵器の処理支援を、関係のない道路建設や、軍事施設建設にまでむしゃぶりつかないで下さい。
 中国の安全保障問題 国防白書--人民網日文版--2006.12.30
 旧日本軍遺棄兵器について 国防白書 --人民網日文版--2006.12.30
 アジア・太平洋地域の安全保障情勢 国防白書--人民網日文版--2006.12.30
 中国の06年度国防予算は2838.29億元 国防白書--人民網日文版--2006.12.30
 軍隊規模は230万人 国防白書--人民網日文版--2006.12.30

 韓国の国防白書も29日に発表されたのですが、大統領の政策とは異なり、北の核の脅威から国をまもるには、米国の核の傘に入るしかないとしています。
 Japanese JoongAngIlbo

 久間長官は、キャンプ・シュワブ沿岸の移転空港滑走路を、米軍との最終合意から変更すると言っている様です。県知事の要請はあるのですが、早期決着をつけて、中国が着々と軍備対応を進めるなか、我が国の対応遅れを取り戻さなくてはならないのに、逆行しないで下さいね。
 
 盧武鉉さんは、お隣の国の方ですから、こちらでとやかくは言ってもしかたがないのですが、日本の政治家は、日本の国益を優先した志向と行動をしていただかないと、困るのです。
 防衛省になり、国防の充実の遅れを取り戻し、中国、北朝鮮、ロシアの脅威に安心出来る備えを整えて下さい。
 共産党独裁の国に占領されたり、属国になったりするのは勘弁して下さい。



 



 

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