カーター米国防長官が、日本につづいて韓国を訪問しました。
日本では、遊爺も含め、中国に傾斜する朴槿恵への踏絵が行われる可能性に注目していました。結果は、発表によれば、問題点を先送りする、韓国側の筋書き通りだった様ですね。
事前予測の典型例
【ソウル=豊浦潤一、ワシントン=今井隆】カーター米国防長官は9日、就任後初めて韓国を訪問し、10日にソウルで韓民求ハンミング・韓国国防相と会談する。北朝鮮の核、ミサイルの高度化に備えるため、米韓連合軍の防衛力強化が主要議題。最近、韓国は対中配慮が目立つが、米韓同盟の根幹にかかわるミサイル防衛問題で踏み絵を迫られることになりそうだ。
ミサイル防衛焦点
米韓をめぐっては2月末以降、〈1〉日韓の歴史問題をめぐる対立は韓国にも責任があるとのシャーマン米国務次官の発言〈2〉韓国人によるリッパート駐韓米大使襲撃事件〈3〉中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)への韓国の参加表明――が相次ぎ、不協和音が生じていた。
韓国国防省当局者は9日、カーター訪韓の意義について、「北朝鮮につけ入るすきを与えないよう、強固な同盟関係を再確認し合うこと」と本紙に語り、関係修復の機会としたい意向をにじませた。
その試金石となるのが、米国の最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」を在韓米軍に配備する問題だ。韓国はこれまで、中国が「北朝鮮のミサイルに対する防衛の目的を超え、中国の安全システムを害するものだ」と反発していることに配慮。韓国国防省は、今回の米韓国防相会談でもTHAADは議題に含まれていないとしている。
これに対し、米本土防衛を担う米軍北方軍・北米航空宇宙防衛司令部のゴートニー司令官は7日、米国防総省での記者会見で、北朝鮮が核弾頭を小型化し、移動式大陸間弾道ミサイル級の「KN―08」に搭載可能との評価を提示した。「THAAD配備の必要性を強調する狙い」(同当局者)とみられる。
韓国側は、表向きは「米国の決定や要求はなく協議もしていない」(韓民求国防相)と主張する「あいまい戦略」を続けながら、THAAD配備に向けた協議に応じていくとみられる。THAAD配備を拒否すれば、韓国防衛の任に当たる在韓米軍の軽視と受けとめられ、同盟関係が揺らぎかねないためだ。北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃する韓国独自の防衛システムの整備は、2020年代中盤まで待たなければならない事情もある。
韓国国防省当局者は、10日の国防相会談で「実際は『全ての手段を動員した抑止』のような表現でTHAAD配備を念頭に置いた議論が行われる」と予測する。
会談内容結果。
【ソウル=藤本欣也】韓国を訪問中のカーター米国防長官は10日、ソウルで韓民求(ハン・ミング)国防相と会談、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に両国が緊密に協力して対応するとともに、米韓同盟の包括的な強化策について協議していくことを確認した。
両国の発表によると、米国の弾道ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の韓国配備に関しては、協議しなかったという。リッパート駐韓米国大使襲撃事件や韓国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加決定でぎくしゃくする両国だが、「米韓同盟の重要性」を再確認し、結束をアピールした。
会談後の記者会見で、カーター氏は「THAADの配備は議論する段階にない」と強調、理由について「まだ米国で生産中である」とした。中国が反発し、韓国が対応に苦慮するTHAAD配備問題に関する議論を先送りした形だ。
米韓両国はまた、北朝鮮の挑発に対応するためには、日米韓3カ国が緊密に協力することが必要だとして、3カ国の情報共有を進める重要性で合意した。
カーター氏は会見で、「米政府はアジアで歴史問題がいかに敏感であるかを十分に理解している」とし、関係国が和解に向けて努力するよう要望した。
米韓は北朝鮮のサイバー攻撃に対しても、協力を強化することを確認した。
就任後初めてアジアを歴訪しているカーター氏は9日に日本から韓国入り。10日の会談前に朴槿恵(パク・クネ)大統領を表敬した。記者会見後、ソウル南方平沢(ピョンテク)の海軍施設を訪れ、2010年3月に起きた韓国哨戒艦「天安(チョナン)」撃沈事件の犠牲者を追悼した。米国防長官による追悼は初めてで、米韓関係の緊密ぶりを誇示した。平沢はTHAADの配備候補地とも報じられている。
北朝鮮の核問題をめぐっては、米軍で本土防衛を担当する北方軍のゴートニー司令官が7日、北朝鮮が核弾頭の小型化に成功し、弾道ミサイルに搭載する能力を獲得したとの認識を示している。
最近、米韓の間で生じた注目点は、読売の記事でも指摘されている、4つですね。
ひとつ目は、日韓の歴史問題をめぐる対立は韓国にも責任があるとのシャーマン米国務次官の発言。
これについては、韓国の世論や政府の猛反発があり、米国務省とシャーマン国務次官が韓国側の抗議に沿う形の釈明をして腰砕けとなっていましたね。
韓国の反発受け釈明 シャーマン米国務次官、「日本寄り」発言で - 産経ニュース
シャーマン米国務次官の発言、韓国の反発を招き、米国が沈静...:レコードチャイナ
2つ目は、韓国人によるリッパート駐韓米大使襲撃事件。これは、米国側が冷静な火消対応を見せ、リッパード大使も、ツイッターで「大丈夫だ」と発信し、韓国語で「共に進んでいこう」と述べたり、韓国への親しみを述べたりして鎮静化に尽力され、対外的に米韓関係に影響がないことをアピールしていました。
3つ目は、韓国のAIIB加入。これについては、カーター国防長官の訪問とは関係は薄く、米国のおもてだった反応も顕著なものは見聞していません。
4つ目が最も注目される、コウモリの二股外交に対する踏絵となる、THAAD配備。
発表によれば、韓国の事前発表の筋書き通りに、今回も議題にならず先送りされたのですね。
カーター長官は「THAADの配備は議論する段階にない」と強調し、理由は「まだ米国で生産中である」としたのだそうですね。
この 4つ全て、米国がひたすら怒りを抑えて、米韓関係に亀裂が生じていると、第三国に見せまいと我慢して韓国の言い分を聞き流しているとしか見えないのは、遊爺だけでしょうか。
日米韓の連携を突き崩そうとする中国の戦略に取り込まれている韓国に対し、米国政府内に対韓フラストレーションが溜まってきているからこその、シャーマン米国務次官の発言であり、リバランス政策に深く関与したカーター国防長官にすれば、シャーマン米国務次官以上に対韓不審観が強いはずと素人推察されます。
韓国が今回踏絵を迫られなかったのは、韓国の外交力で凌いだのか、米国の不出来な駄々っ子への親心で先送りしてもらったのか、答えは明らかですが、仏の顔もそうそういつまでも続きません。
昨日、「復活するアチソンライン」に触れましたが、この話が信憑性を帯びてくることにもなりかねませんね。
韓国が慌てる - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、ソウルで記者会見したカーター国防長官
温州みかん
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