遊爺雑記帳

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中国は、南シナ海・スプラトリー諸島で「砂の長城」を建設している

2015-04-11 23:58:58 | EEZ 全般

 米太平洋艦隊のハリー・ハリス司令官(海軍大将)は、オーストラリアで開催された海洋安全保障会議で、複数の国が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が「砂の長城」を建設しているとして、米軍幹部の発言としては異例の批判をしたのだそうですね。中国が周辺諸国との対立を望んでいるのか、それとも協力を望んでいるのか、深刻な疑問を提起しているとも指摘しています。
 
米太平洋軍司令官、中国を厳しく批判―南シナ海「砂の長城」建設で - WSJ
 中国はパートナーか挑戦者か―海軍連携めぐる米のジレンマ - WSJ
 南沙の人工島に2本目滑走路か : 読売プレミアム


 領海拡張狙う中国の野心示す衛星画像 - WSJ

 開いた画面の画像の右端の「>」印をクリックすると、各種関連画像を観れます。 

中国が「砂の万里の長城」、米軍に広がる危機感  編集委員 秋田浩之 :日本経済新聞

 しゅんせつ船とブルドーザーを使い、『砂の万里の長城』を築いている」。米軍の有力幹部があからさまな中国批判を繰り広げ、話題を呼んでいる。発言の主は、アジア太平洋を管轄するハリー・ハリス米太平洋艦隊司令官だ。
 ハリス氏が問題視しているのは、中国がここ数カ月、猛烈な勢いで進めている南シナ海の岩礁などの埋め立てだ。中国は東南アジアの国々と領有権を争っている島や岩礁のうち、支配している7カ所で、「前例のない規模」(ハリス氏)の埋め立て工事を進めている。
 日米の軍事専門家によると、「中国は南シナ海に複数の人工島をつくり、軍事拠点を築こうとしている」。
 ハリス氏はこの工事について
「深刻な疑念を引き起こしている」と非難。2002年に、中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)と交わした南シナ海の「行動宣言」にも、反していると批判
した。
 米議員や米政府高官にくらべると、米軍の制服組幹部はふつう、政治的な波紋を広げかねない発言には慎重だ。「米軍は安全保障の最前線にいるため、中国などを無用に刺激し、緊張が高まるのは避けようとする傾向がある」(米国防総省ブレーン)からだ。

■サンゴ礁に現れた「4平方キロメートル以上の土地」
 それだけに、ハリス発言は異例だ。米ワシントン・ポスト紙によると、
米軍幹部がこの問題をめぐり、ここまではっきりと中国を名指し批判したのは初めて
だ。内情に通じた米安全保障専門家は指摘する。
 「
米海軍内では、中国の埋め立て工事に危機感が広がっている
。彼らの中には、もっとはっきりした態度で、中国の行動をけん制すべきだという意見も出ている。ハリス氏の発言はこうした空気を反映したものだ」
 中国による工事のすさまじさは、米戦略国際問題研究所(CSIS)がホームページで掲載している写真などをみると一目瞭然だ。当初は豆粒のようだった岩礁などに、ここ数カ月で、あっというまに複数階の建物や滑走路が築かれている。
 ハリス氏によると、「中国はサンゴ礁に土砂を入れてコンクリートで覆い、4平方キロメートル以上の土地をつくりだした」という。埋め立て場所によって構造物の目的はさまざまだ。日米の安全保障担当者らは「軍用機が離着陸できる滑走路や、対空ミサイル、レーダーなどを設置するねらいがあるようだ」とみる。
 米軍だけではない。ここにきて
オバマ政権自体も批判のトーンを高めている。たとえば、国務省報道官も3月、埋め立ては「係争地に軍の前線基地をつくろうとする動きだ」と明言。中国が南シナ海に軍事拠点をつくろうとしていると非難した。


  米軍の制服組幹部はふつう、政治的な波紋を広げかねない発言には慎重なのだそうですが、今回異例の踏み込んだ発言をされたのは、それだけ危機感が強く、パンダハガー(青山繁晴氏が使われる言葉ですが、太平洋軍(米海軍の中枢)には少ないのだそうです)がはびこり反応が鈍いオバマ政権へ、しびれを切らして警鐘を鳴らされたのかと素人推測しています。
 南シナ海は、東シナ海より深く、原潜に米本土まで届く弾道ミサイルを搭載して潜ませることで、米国への脅威を格段に強化しようとしていて、南シナ海の制海・空権の確保では、米中の熾烈な争奪戦が始まっていることは、諸兄がご承知の通りです。

 また、米上院軍事委員会の委員長を務めるジョン・マケイン議員(共和)と他3人の共和党および民主党議員は今月、南シナ海での中国による人工島の建設反対を訴え、「こういう形での中国による支配に対処するためには、(政府の)公式方針と明確な戦略が必要不可欠だと考える」との書簡を、ケリー国務長官とカーター国防長官に宛に提出したのだそうです。
  日経の記事にも書かれていますが、オバマ政権も対中警戒観を強めていて、リバランス政策に深く関与した、カーター国防長官を登用し、カーター国防長官が日韓を歴訪し、日米韓の連携強化を図ったのでした。

 日本でも、防衛省のシンクタンク・防衛研究所が、日本周辺の安全保障環境を分析した「東アジア戦略概観2015」を発表(10日)し、中国は米国とそれ以外の諸国との間に「くさびを打ち込むことを狙っている」と分析し、米国との情報共有と柔軟抑止選択肢が日米防衛協力の指針(ガイドライン)見直しで重要だと指摘しています。

 
防衛研、東アジア戦略概観 中国:リスク急速に高まる 北:日本へ一層の脅威 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 日米の防衛協力では、南シナ海のシーレーンの安全確保は、日本のエネルギー安全保障で死活的重要性をもつ課題であり、日本も安全確保への役割を果たすことが米国からも要望されていますね。
 米国の要望の有無にかかわらず、東アジアの安全と平和に貢献し、関連ASEAN諸国の要望に応えるためにも、日本が尽力する必要があります。



 
 # 冒頭の画像は、ハリー・ハリス米太平洋艦隊司令官




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