遊爺雑記帳

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トランプ新政権のアジア政策の要は中国の軍事冒険主義をまず米側の軍事力増強で抑止

2017-01-07 23:58:58 | 米国 全般
 トランプ新政権の対中対決姿勢が、就任日が近づくにつれ鮮明になってきていますね。
 古森氏(産経・ワシントン駐在客員特派員)が、トランプ陣営政策顧問のアレックス・グレイ、ピーター・ナバロ両氏の共同論文を基に、トランプ新政権の対中政策を解説しておられます。
 

トランプ氏VS中国の行方 古森義久 (1/7 産経 【緯度経度】)

 米国にまもなく誕生するトランプ新政権が中国に対して強固な対決姿勢を取る展望がますます強くなってきた
。歴代の米政権の対中政策でほぼ死語になっていた「封じ込め」という表現さえも、トランプ陣営では口にされるようになった。
 それにしてもトランプ氏のオバマ政治否定はものすごい。オバマ大統領の8年の主要政策すべてを否定、いや正反対へと変える逆転の構えなのだ。オバマ大統領が最大精力を注いだオバマケア(医療保険制度改革)を、トランプ氏が議会共和党と組んですでに撤廃の措置を取り始めたことが典型例である。

 対中政策も似た進路を取ることが確実となってきた。
オバマ政権は中国には関与と抑止、協力と反対の両方の政策を公式には唱えてきた。だが現実には中国の軍事力を背景とする強引で無謀な行動に対し融和を求め続けた。その背景には一貫してオバマ氏自身の極端な軍事忌避という潮流があった。トランプ陣営は選挙中からその姿勢を軟弱かつ危険だと非難し続けた


 
当選後のトランプ氏の言動は反オバマ的対中政策の構図を打ち上げ花火のように明確にしていった

 台湾の蔡英文総統との電話会談、
「一つの中国」原則の破棄をも示す予想外の言明、中国を抑止する軍事力増強の再確認、対中強硬派の人物たちの新政権要職への登用
…などの措置は一定方向への明白な歩みを見せつけた。「トランプ氏は未経験だから見識もない」という観測は対中政策に関する限りしぼんでいった。

 トランプ新政権の対中政策を占う最有力の材料は
トランプ陣営政策顧問のアレックス・グレイ、ピーター・ナバロ両氏の共同論文
だろう。グレイ氏は議会補佐官として中国を専門とし、ナバロ氏も米中戦争についての著作で知られ、トランプ政権の国家通商会議の委員長に任命された。
 両氏が連名で昨年11月に発表した論文は「ドナルド・トランプのアジア太平洋への『力による平和』ビジョン」と題され、オバマ政権の「アジア・ピボット(旋回)」策は中国の軍事的な膨張を放置したため失敗したと断じていた。そのため
トランプ新政権のアジア政策の要は中国の軍事冒険主義をまず米側の軍事力増強で抑止することを主唱
する。
 同論文は「アジアの自由主義的秩序を保つためには中国の軍事覇権を抑える力の実効が欠かせない」としてトランプ氏がすでに発表した米艦艇の274隻から350隻へ、海兵隊の18万から20万への増強がいずれもアジア主体であることを強調していた。

 
トランプ新政権のこうした姿勢が中国側にどう映るのか。トランプ陣営の内情に詳しい保守系の国際政治学者マックス・ブート氏は「トランプ氏の『常軌を逸した予測不能の好戦主義者』というイメージが中国側にあるため軍事競合となると、中国が譲歩する見通しが強い
」と論評した。

 いずれにせよ米中関係が大きく変わる公算が大きく、日本への影響も巨大である。
グレイ、ナバロ両氏は「トランプ大統領が日米同盟への誓約や信頼を保ち、対中政策をはじめアジアの安定の基盤とする政策は揺るがない」と明言する。だがそのためにはトランプ新政権が日本にこれまでよりは「公正な防衛負担を期待する」と強調する点の重さも銘記されるべきだろう。(ワシントン駐在客員特派員)

 不動産業界の実業家のトランプ氏。押したり引いたりの不動産ビジネス手法で中国を揺さぶりつつ、対中外交を優位に進めようとしていて、最終的には対中貿易の重視は変わらないと素人推測していましたが、日に日に増す対中対決姿勢。どうやら、本気で対中対決政策を採るのかと思い始めていたら、古森氏のこの記事。トランプ陣営政策顧問の論文に基づいた対中政策姿勢ということなら、単なるトランプ氏のつぶやきではないのですね。
 ロシアと対決し、スーザン・ライスに代表されるパンダハガーを抱えた第二次オバマ政権とは異なり、対中強硬派の陣容を整えてきていることからも、本気度がうかがえます。
 しかし、一方では、あの媚中のキッシンジャーを訪中させています。キッシンジャーは、トランプ氏が「尊敬している」と公言する数少ない人物なのだとか。(中国が請うて来てもらったという説もある)
 トランプの丁寧な嫌がらせから始める対中外交で、中国堅気を理解した戦術との評価ではありますが。。
 
キッシンジャー訪中とトランプ蔡英文の電話会談:日経ビジネスオンライン

 トランプ大統領が誕生した場合、執務初日に「350隻海軍」計画を発動する - 遊爺雑記帳

 就任日が迫ってもツイッターで物議を醸す発言を続けるトランプ氏。何処まで計算された言動なのかは全くわからない、困惑をまき散らしていますね。政権がスタートしてもこんな調子が続くのでしょうか。

 安倍首相は、トランプ次期大統領就任後の1月下旬にも、再度面談の予定だとか。頻繁な面談で意思疎通に尽力される姿勢は、へりくだりの批判も聞こえますが、評価すべき外交姿勢だと考えますがいかがでしょう。



 冒頭の画像は、2015年11月に訪中したキッシンジャー




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