遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国海軍が米海軍の無人潜水機を泥棒

2016-12-19 23:58:58 | EEZ 全般
 フィリピン北部ルソン島にあるスービック湾の北西約90キロの海域で、中国海軍の潜水救難艦が、米海軍の無人水中探査機を、450mの目前で強奪するという珍事が発生していました。
 盗み獲る方もいい度胸ですが、至近距離で盗まれる米軍も、測量艦とは言え情けない、まさに珍事です。
 トランプ氏の、一つの中国への異論に対する、中国政府が指示した牽制行為なのか、海軍現場の独走行為なのかは不明ですが、米中関係の緊張が一気に高まりましたね。

 
中国「海賊行為」で米中衝突危機 専門家「『なめられたことをやられては困る』と軍事衝突もあり得る」 - 政治・社会 - ZAKZAK
 
中国 自国EEZ主張か 潜水機奪取 法的解釈米と溝 (12/19 読売朝刊)

 【ワシントン=大木聖馬】中国が米無人潜水機を持ち去った海域の法的位置づけについて、米中双方の立場に食い違いが生じている。米国防総省は国際法上、軍事活動が可能な「国際水域」だと説明。これに対し、中国では「中国の排他的経済水域(EEZ)だった可能性」(中国紙・環球時報)があるとの指摘が出ている。法的解釈に関する溝は埋まりそうもなく、南シナ海での対立が続発
する可能性払ある。
 米側は詳細な位置情報を明らかにしていないが、無人潜水機が持ち去られた預場は、フィリピンのルソン島にあるスービック港から北西に約90キロ・メートル離れた海域だったとしている。フィリピンのEEZに位置する。
 国連海洋法条約では、EEZでの天然資源に関する探査や開発は沿岸国に認められ、他国は沿岸国の同意なく経済活動はできない。ただ、軍事活動は認められている。米国はEEZと公海を「国際水域」と位置づけ、各地で軍事活動を行っている。米国防総省は今回の無人潜水機による海洋調査も「軍事活動だ」と説明した。
 一方、中国政府は現場について「(問題に)関係する海域」(国防省)としか言及しておらず、法的解釈について見解を示していない。しかし、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(電子版)は、現場は中国に領有権があるとする黄岩島(スカボロー礁の中国名)の近くであり、中国のEEZの可能性があるとの識者の見方を伝えた。
 
中国政府はEEZを「海洋国土」「国家管轄海域」などと呼び、領海とほぼ同一視している。中国のEEZでは、他国の軍事活動を認めていない。2001年4月に起きた米軍機と中国軍機の接触や、09年の米海洋調査船に対する中国海軍の妨害、13年12月の米イージス巡洋艦に対する同様の妨害など、南シナ海での一連の衝突は、中国のEEZを巡る独自の解釈
も一因になったとされる。
 中国は南シナ海で、その内側に主権があるとする境界線「九段線」も主張している。ただ、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月、南シナ海の領有権に関する判決で、「九段線」は「歴史的な権利を主張する法的根拠がない」として中国の主張を全面的に退けた。判決に基づけば、スカボロー礁に中国のEEZは生じない。今回の現場は「九段線」から見ても外側だったとみられる。

中国にそのまま持たせておけ
 【ワシントン=大木聖馬】中国軍が南シナ海で米無人潜水機を持ち去った問題について、ドナルド・トランプ米次期大統領は17日、自身のツイッターに「中国が盗んだ無人潜水機など、返してほしくないと言うべきだ。彼らにそのまま持たせておけ!」と書き込んだ。

 フィリピンが領有権で提訴した仲裁裁判所の裁定で否定された、中国の主張する「九段線」の外の岩礁を基点とする、「中国の排他的経済水域(EEZ)だった可能性」は、全く該当しない海域での出来事です。
 仲裁裁判所の裁定云々以前の問題で、海賊行為というか、泥棒行為です。トランプ次期大統領の、ひとつの中国反発発言への牽制なのか、仲裁裁判所の裁定を無視する姿勢なのか、「航行の自由作戦」への反撃なのか、中国側の挑戦的な強気の行動です。
 中国政府はEEZを「海洋国土」「国家管轄海域」などと呼び、領海とほぼ同一視しているとのことで、「ADIZ」の解釈と共に国際法の理解が曲げられて、自国の独断や国内法優先の姿勢です。
 当然、米国に限らず、世界の国々とは異なる領海、領空、領土認識となり、国際社会とは対立することになります。

 現場の暴走だったのか、無人潜水機の研究調査が完了したのか、返還されることとなり、とりあえずは不測の事態は回避されました。
 

米潜水機中国が返還へ 南シナ海対立激化は回避 (12/19 読売朝刊)

 
【ワシントン=大木聖馬、北京=五十嵐文】中国軍が南シナ海で米海軍の無人潜水機を持ち去った問題で、米国防総省のクック報道官は17日、「中国当局との直接のやり取りを通じて、中国が米国に無人潜水機を返還するとの理解に至った」とする声明を発表した。これに先立ち、中国国防省も米側への引き渡しを決定したと発表しており、対立の激化はひとまず回避された格好だ。
 
潜水機は近く、米側に返還される見通し
だ。中国側は判断の理由を明らかにしていない。
 
ドナルド・トランプ次期米大統領は、台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」原則に縛られないとの考えを示しているこのため、今回の持ち去りを巡っては、来年1月の米新政権の発足を前に中国が異例の実力行使でけん制した
、との見方も出た。ただ、中国の習近平政権は本格的な対立までは望んでいないとみられ、事態の早期収拾に応じた模様だ。
 もっとも、人工島の造成など南シナ海で軍事拠点化を進める中国は、その手を緩めていない。これを非難する米国は「航行の自由」を訴える米軍の巡視活動を昨秋から続けており、火種は今後もくすぶりそうだ。


 おもしろいのは、トランプ氏のツイッター発言。「中国が盗んだ無人潜水機など、返してほしくないと言うべきだ。彼らにそのまま持たせておけ!」と書き込んだのですね。
 東京新聞の東京新聞らしくない長谷川氏が解説しておられますが、中国が持ち続けていれば、「中国は泥棒国家」との批難を浴びせ続けられるとの、普通の政治家(真面目に返還交渉をする)とは異なる、商売人らしい論理なのですね。

 今回は、一旦は収まった様に見えますが、トランプ氏の対中反発姿勢は一段と表面化してきていて、鷹派の軍経験者を閣僚に登用する人事からも、南シナ海での中国との対立は強まる気配で続きそうですね。

 米国の金利上昇で受ける中国経済へのマイナス影響と併せ、チャイナセブンの改選を迎える来年の習近平。苦しい外圧を迎えることになりそうです。トランプ流の商売を有利に進める先制パンチの連打なのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、中国軍艦が奪った無人水中探査機の同型機




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