「原油価格が回復する糸口がない現状では、株価の上昇は期待できない」との専門家の見解の記事をとりあげていましたが、再度、原油価格の下落とその展望について触れます。
株安・円高 一段と進展 原油安や欧州の金融機関への不安が投資家心理を悪化 - 遊爺雑記帳
市場動乱の主因の一つとなっている原油価格の下落が続いている。11日のニューヨーク原油先物市場では、代表的な指標のテキサス産軽質油(WTI)の3月渡し価格は1バレル=26.21ドルと、終値としては2003年5月以来、約12年9か月ぶりの安値となった。原油市場から投機マネーも逃げだしているのに、産油国が過剰な生産を減らすメドは立っていない。原油安が当面続くとの見方が強い。 (山岸肇、松本健太朗)
投資家も嫌気 資金戻らず
■産油国足並み乱れ
原油価格が下げ止まらない理由の一つは、価格決定に影響力がある産油国の足並みが乱れている点だ。
世界の生産量の約4割を占める石油輸出国機構(OPEC、加盟13か国)は、原油価格の下落が始まった14年半ば以降、3回開かれた総会で、価格反転を見込める減産をいずれも見送った。
ここにきて1バレル=30ドルを下回る水準まで原油安が進み、ロシアなど非加盟国とも協調して減産を模索する動きも出始めている。仲介役として飛び回るのは、「1バレル=80がが望ましい」と主張するベネズエラのデルピノ石油鉱業相だ。ブルームバーグ通信などによると、2月上旬に中東やロシアを歴訪。イランやイラクなどOPEC加盟6か国と、ロシア、オマーンの計8か国から緊急会合への参加を取り付けたとの話もある。
しかし、OPECの2強であるサウジアラビアとイランは政治的な対立を深めている。両国のOPEC内での発言力は大きく、生産調整は難しいとの声は根強い。それどころか、欧米の経済制裁が解除されたイランは、市場で原油が余っているのに、目先の資金を手に入れるため、増産に乗り出す構えだ。
もう一つが、いまや世界有数の産油国となった米国の事情だ。
米国のシェールオイルの生産は、原油価格の下落によって採算が合わなくなり、減少すると見られていたが、市場の想定ほど減っていない。米エネルギー情報局(EIA)によると、08年に約500万バレルだった米国の1日の原油生産量は、15年に約940万バレルに増えた。16年は約870万バレルと高水準にとどまる見通しだ。
■中国の減速
こうした「実需」とは異なり、「投機」の動きも原油安に影響している。
原油市場は、債券市場などに比べて値動きの幅が大きく、投機筋にとって、リスクが比較的高い反面、リターンが大きい魅力的な投資先とされてきた。
中国などの新興国が高い経済成長を続けて生活が豊かになり、原油の消費が増えていくとの予測が多くなれば、もうかる投資先として資金がどんどん流入する。
しかし、中国の高成長が期待できなくなった。年明け以降の株安などで損失を被ることを恐れた投資家は、原油市場から資金を一斉に引き揚げている。
■強まる悲観論
市場や専門家の間では、原油市場の先行きに悲観的な見方が強まっている。野村証券の大越龍文・シニアエコノミストは、「少なくともイランの増産が続く今年前半は30ドル前後の水準が続く」と予測。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之・主席エコノミストも「短期的には20ドル台前半まで下がる可能性がある」と指摘する。
もっとも、原油安は、日本にとってはガソリン価格の下落などにつながり家計にプラスになる。
原油、悲観シナリオなら20ドル台前半も:日経ビジネスオンライン
原油価格が下げ止まらない理由のひとつは、供給量が増えているが、その調整が出来なくなっていること。
石油輸出国機構(OPEC)での減産調整は出来なくなっています。OPECの2強であるサウジアラビアとイランは政治的な対立を深めている上に、経済制裁が解除されたイランは、目先の資金を手に入れるため、増産に乗り出す方向なのは衆知のことです。増産の開始には、時間がかかっても、価格下落圧力となることは変わりません。
米国のシェールガスの生産量も市場予測ほどは減っていないのだそうで、サウジやイラクの減産が進まないことで、全体として減産はなされていない。
もうひとつは、原油市場への投機マネーの動き。需給バランスが崩れ、リスクが見込まれる原油市場から、投資家は資金を一斉に引き上げているのだそうです。
今後の展望は、世界経済の動向による需要に左右される。
中国経済の減速(中国政府は、6%台の成長率はなんとしても達成しようとするが、無理に達成すると、設備、投資、負債の3つの過剰をさらに拡大させ、バブル崩壊を先送りし拡大させる。)に加えて、欧州の金融不安による減速、米国もシェールオイル業者の信用不安や、金利上昇による経済失速が現実化してきていて、30ドル/バレル台、悪くすると、20ドル/バレル台前半が予測されるとのことです。
サウジなどは30ドル/バレル台でも採算は取れるのだそうですが、採算割れの国が多発します。米国のシェールガスは、40ドル/バレルが分岐点。20ドル/バレル台になればすべての産油国が赤字。シェア確保を懸けた壮絶なチキンレースです。
行き着く先は、逆オイルショック。それは、どんな世界になるのでしょう。どこで歯止めがはたらくのでしょう。
# 冒頭の画像は、石油政策および国防の責任者として派手に活動している、サウジアラビア・サルマン現国王の30歳の息子、モハマッド・ビン・サルマン第2皇太子
この花の名前は、ルドベキア・タカオ
竹島に関する動画 / 政府広報 - YouTube
杉原由美子氏による絵本「メチのいた島」読み聞かせ - YouTube
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