習近平が、自らに近い将官を重要ポストに抜てきする軍の人事配置を進めているのだそうです。習氏が唱える「戦える軍隊」の建設に向け、海空軍などの統合運用能力の向上を柱とした軍改革推進の布石なのだと。
習近平政権誕生には、胡錦濤・共青団派、江沢民・上海閥、習近平・太子党といった派閥の凌ぎあいで党政治局常務委員の椅子取り争いがあり、習近平が江沢民の支援の下優勢だった胡錦濤に逆転勝利をしたこと。胡錦濤が江沢民に習って軍のトップの座は維持し、院政を張ろうとしていたものの、主席の座と同時に習近平に譲ったことは諸兄がご承知の通りです。
また、定年退職が近いチャイナ7のメンバー入れ替えに備え、胡錦濤・共青団派が優位にあったものが、ここへきて習近平の攻勢が強まっていることはとりあげさせていただいていました。
胡錦濤氏 中央軍事委主席も引退し完全失脚 - 遊爺雑記帳
胡錦濤氏 中央軍事委の座引退は自ら申し出 - 遊爺雑記帳
習近平 新たな派閥「之江派」構築できるのか - 遊爺雑記帳
中国の政局は、胡錦濤・共青団派、江沢民・上海閥、習近平・太子党の三竦みで、政治集団的要素の薄い太子党を基盤とする習近平の政治基盤は弱いとは衆目が一致するところでしたが、唯一、太子党のお友達繋がりで軍に人脈を持つ点は、江沢民、胡錦濤が軍の掌握に苦心していたことに比べると、習近平の強味でだと観ていました。
習近平が、軍の人事配置を転換して、軍政改革に着手したとすれば、江沢民にも胡錦濤にもできなかったことで、成功すれば、習近平の政治基盤が格段に強固なものとなります。軍を実質的に掌握できたトップは小平以来ということになるでしょう。
しかし、小平と異なるのは、戦う軍隊を標榜していることです。
江沢民、胡錦濤と、軍の要望に沿った予算を配分し甘やかすことで軍トップの座を維持したのに加えて、戦う強い軍を目指すという危険極まりない軍トップの座の維持手法です。
江沢民、胡錦濤との政局争いで、軍を掌握できれば、一気に政局争いの決着はつけられます。
記事に書かれている、根強い軍機構改革への抵抗を、人事異動で抑え込まれるのかが鍵となりますね。
戦う軍隊を持つ好戦的な習近平政権基盤が確立されるのか、胡錦濤・共青団派が盛り返せるのか、東シナ海での侵略にあっている日本としては、眼が離せません。
この花の名前は、ハルジオン
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中国軍 統合運用へ布石 陸海空連携目指す 習氏「南京の腹心」登用で加速 (1/9 読売朝刊)
中国軍トップの習近平(シージンピン)・共産党中央軍事委員会主席(国家主席)(61)が、自らに近い将官を重要ポストに抜てきする人事配置を進めている。習氏が唱える「戦える軍隊」の建設に向け、海空軍などの統合運用能力の向上を柱とした軍改革推進の布石とみられている。
■17年間の親交
「人事のカギは南京軍区だ」。軍関係者はこう語る。
昨年12月、中国北西部の蘭州軍区政治委員から海軍全体の思想工作を指揮する政治委員への異動が伝えられた苗華・中将(59)。東シナ海を管轄する南京軍区の傘下で福建省に拠点を置く精鋭の陸軍機動作戦部隊「第31集団軍」でキャリアを積み、政治部主任などを歴任した。
習氏は、福建省で地方幹部を務めた1985年からの17年間、第31集団軍を含む南京軍区の幹部と親交を深めた。「抗日戦争」の英雄を父に持ち、習氏と同じ「紅二代」(建国に功績のあった党指導者2代目)に当たる苗氏とも、緊密な関係を築いていたという。
習氏は昨年12月14日、南京軍区司令部を視察。腹心の蔡英挺・司令官(60)ら幹部と握手して回り、「中高級幹部は軍を治め、兵を率いるための根幹だ」と、部隊の教育や監督に怠りがないよう指示した。
■改革に根強い抵抗
東シナ海を挟んで日本や台湾と向かい合う南京軍区は歴史的に、陸海空など軍種間の連携意識が高く、習氏は蔡氏に統合運用体制の研究を指示しているとされる。
一連の人事は同軍区出身者で信頼の厚い「子飼い」を重要ポストに配置し、人員削減を恐れ、今も根強い軍機構改革への抵抗を抑え込む狙いがある。
総参謀部副総参謀長から、治安維持に当たる武装警察部隊トップの司令官に異動した王寧・中将(59)は第31集団軍の司令官経験者。軍関係者によると、2013年に副総参謀長へ昇格した際、王氏ら候補者2人が記されたリストを見た習氏が自分で王氏に「マル」を付けたと伝えられる。
また、09~13年に南京軍区副司令官を務めた宋普選・中将(60)は国防大学学長から北京軍区司令官に異動。習氏が首都・北京に信頼できる人材を置く人事だ。
元国防相を父に持つ「紅二代」の秦衛江・中将(59)も、南京軍区副司令官から総参謀部副総参謀長に抜てきされたと伝えられる。昨年後半の人事異動は「40以上のポスト」(香港紙・星島日報)とされる異例の規模だった。
■固まる道筋
中国軍は昨年末、習氏の指示で「党の指揮に従い、戦いの計略を立てられる新型司令機関」の建設に関する方針を打ち出した。
習氏は昨年10月末、毛沢東が軍の主導権を掌握した1929年の「古田会議」が開かれた福建省寧徳市古田で「全軍政治工作会議」を開き、軍の腐敗撲滅とともに「戦闘力の向上」を号令し、機構改革推進への道筋を固めてきた。
中国軍は党中央軍事委に陸海空軍と第二砲兵の4軍を統合運用する「中央合同作戦指揮部」を設置。その下に「東シナ海合同作戦指揮部」も設けた。
統合運用
異なる軍種を連携させて機動的な作戦を行うもので、中国では、その体制を「聯合(合同)作戦指揮体制」と呼ぶ。中国軍は陸軍主体の防衛型だったが、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海での制空権・制海権を確保し、米軍に対抗するため、陸海空軍と第二砲兵の4軍が連携する有事即応型の軍へと機構改革を進めている。
政治委員
連隊以上の部隊で党の思想工作を担当する幹部。旧ソ連軍の制度を取り入れたもので、部隊の命令は政治委員の署名があって初めて発効する。軍の指導機関である党中央軍事委員会では、総参謀部、総装備部、総後勤部(兵たん部門)と並び、総政治部も設置されている。
中国軍トップの習近平(シージンピン)・共産党中央軍事委員会主席(国家主席)(61)が、自らに近い将官を重要ポストに抜てきする人事配置を進めている。習氏が唱える「戦える軍隊」の建設に向け、海空軍などの統合運用能力の向上を柱とした軍改革推進の布石とみられている。
■17年間の親交
「人事のカギは南京軍区だ」。軍関係者はこう語る。
昨年12月、中国北西部の蘭州軍区政治委員から海軍全体の思想工作を指揮する政治委員への異動が伝えられた苗華・中将(59)。東シナ海を管轄する南京軍区の傘下で福建省に拠点を置く精鋭の陸軍機動作戦部隊「第31集団軍」でキャリアを積み、政治部主任などを歴任した。
習氏は、福建省で地方幹部を務めた1985年からの17年間、第31集団軍を含む南京軍区の幹部と親交を深めた。「抗日戦争」の英雄を父に持ち、習氏と同じ「紅二代」(建国に功績のあった党指導者2代目)に当たる苗氏とも、緊密な関係を築いていたという。
習氏は昨年12月14日、南京軍区司令部を視察。腹心の蔡英挺・司令官(60)ら幹部と握手して回り、「中高級幹部は軍を治め、兵を率いるための根幹だ」と、部隊の教育や監督に怠りがないよう指示した。
■改革に根強い抵抗
東シナ海を挟んで日本や台湾と向かい合う南京軍区は歴史的に、陸海空など軍種間の連携意識が高く、習氏は蔡氏に統合運用体制の研究を指示しているとされる。
一連の人事は同軍区出身者で信頼の厚い「子飼い」を重要ポストに配置し、人員削減を恐れ、今も根強い軍機構改革への抵抗を抑え込む狙いがある。
総参謀部副総参謀長から、治安維持に当たる武装警察部隊トップの司令官に異動した王寧・中将(59)は第31集団軍の司令官経験者。軍関係者によると、2013年に副総参謀長へ昇格した際、王氏ら候補者2人が記されたリストを見た習氏が自分で王氏に「マル」を付けたと伝えられる。
また、09~13年に南京軍区副司令官を務めた宋普選・中将(60)は国防大学学長から北京軍区司令官に異動。習氏が首都・北京に信頼できる人材を置く人事だ。
元国防相を父に持つ「紅二代」の秦衛江・中将(59)も、南京軍区副司令官から総参謀部副総参謀長に抜てきされたと伝えられる。昨年後半の人事異動は「40以上のポスト」(香港紙・星島日報)とされる異例の規模だった。
■固まる道筋
中国軍は昨年末、習氏の指示で「党の指揮に従い、戦いの計略を立てられる新型司令機関」の建設に関する方針を打ち出した。
習氏は昨年10月末、毛沢東が軍の主導権を掌握した1929年の「古田会議」が開かれた福建省寧徳市古田で「全軍政治工作会議」を開き、軍の腐敗撲滅とともに「戦闘力の向上」を号令し、機構改革推進への道筋を固めてきた。
中国軍は党中央軍事委に陸海空軍と第二砲兵の4軍を統合運用する「中央合同作戦指揮部」を設置。その下に「東シナ海合同作戦指揮部」も設けた。
統合運用
異なる軍種を連携させて機動的な作戦を行うもので、中国では、その体制を「聯合(合同)作戦指揮体制」と呼ぶ。中国軍は陸軍主体の防衛型だったが、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海での制空権・制海権を確保し、米軍に対抗するため、陸海空軍と第二砲兵の4軍が連携する有事即応型の軍へと機構改革を進めている。
政治委員
連隊以上の部隊で党の思想工作を担当する幹部。旧ソ連軍の制度を取り入れたもので、部隊の命令は政治委員の署名があって初めて発効する。軍の指導機関である党中央軍事委員会では、総参謀部、総装備部、総後勤部(兵たん部門)と並び、総政治部も設置されている。
習近平政権誕生には、胡錦濤・共青団派、江沢民・上海閥、習近平・太子党といった派閥の凌ぎあいで党政治局常務委員の椅子取り争いがあり、習近平が江沢民の支援の下優勢だった胡錦濤に逆転勝利をしたこと。胡錦濤が江沢民に習って軍のトップの座は維持し、院政を張ろうとしていたものの、主席の座と同時に習近平に譲ったことは諸兄がご承知の通りです。
また、定年退職が近いチャイナ7のメンバー入れ替えに備え、胡錦濤・共青団派が優位にあったものが、ここへきて習近平の攻勢が強まっていることはとりあげさせていただいていました。
胡錦濤氏 中央軍事委主席も引退し完全失脚 - 遊爺雑記帳
胡錦濤氏 中央軍事委の座引退は自ら申し出 - 遊爺雑記帳
習近平 新たな派閥「之江派」構築できるのか - 遊爺雑記帳
中国の政局は、胡錦濤・共青団派、江沢民・上海閥、習近平・太子党の三竦みで、政治集団的要素の薄い太子党を基盤とする習近平の政治基盤は弱いとは衆目が一致するところでしたが、唯一、太子党のお友達繋がりで軍に人脈を持つ点は、江沢民、胡錦濤が軍の掌握に苦心していたことに比べると、習近平の強味でだと観ていました。
習近平が、軍の人事配置を転換して、軍政改革に着手したとすれば、江沢民にも胡錦濤にもできなかったことで、成功すれば、習近平の政治基盤が格段に強固なものとなります。軍を実質的に掌握できたトップは小平以来ということになるでしょう。
しかし、小平と異なるのは、戦う軍隊を標榜していることです。
江沢民、胡錦濤と、軍の要望に沿った予算を配分し甘やかすことで軍トップの座を維持したのに加えて、戦う強い軍を目指すという危険極まりない軍トップの座の維持手法です。
江沢民、胡錦濤との政局争いで、軍を掌握できれば、一気に政局争いの決着はつけられます。
記事に書かれている、根強い軍機構改革への抵抗を、人事異動で抑え込まれるのかが鍵となりますね。
戦う軍隊を持つ好戦的な習近平政権基盤が確立されるのか、胡錦濤・共青団派が盛り返せるのか、東シナ海での侵略にあっている日本としては、眼が離せません。
この花の名前は、ハルジオン
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