「シェールガス」の生産が、米国で本格化してきたのだそうです。その埋蔵量は、中国に次いで世界第二位ということで、米国が天然ガスの輸入国から輸出国に転換する可能性があるのだそうです。そうなれば、米国へ輸出をしているカタールなどの産出分が欧州へ向かう。かねてロシアへの依存度を下げようと動いている欧州各国は脱露を推進できる。ロシアは世界市場での供給量増による価格下落と、欧州への販売減とのダブルパンチを受けることになります。
露の主力ガス田は、枯渇が迫っていて、極東や北極といった高コストと高度な技術を要求される開発を迫られていることは何度も触れてきました。この内部事情を加えると、トリプルパンチとなります。
新たな販路は、極東に近い日本と中国、韓国やアジア諸国となります。ここでようやく待ちに待った懸案の北方領土の交渉再開のチャンスが到来です。
欧州が脱露を進めていることで解ることですが、基本的に露に供給を依存してはいけません。しかし、北方領土を返還し平和条約を結ぶというのであれば、ロシアを救済する意味から、多少のお付き合いはしてあげてもよい。と、交渉できますね。
読売の記事では、サハリンからの輸入は輸送コストが安く日本には利点が多いと書いていますが、目前のことしか見ていない情けない話です。
サハリン1, 2の開発では、開発完成間じかに言いがかりをつけられ成果を横取りされた苦い経験を忘れたのでしょうか。冒頭の繰り返しになりますが、欧州諸国が脱露を進めている理由を考えたことはないのでしょうか。そして、終戦のどさくさで不法占拠された北方領土返還の悲願を忘れたのでしょうか。
北方領土の返還交渉は、ソ連崩壊時代の苦しい経済状況下で進展しました。
しかし、資源高騰でBLIC'sの一角に数えられる経済回復に恵まれたロシアは、民主党の菅・仙石政権の歴史的大失政を観て強行外交に転じ過去の交渉の積み上げを一転無視し、不法占拠による実効支配の拡大を進めています。
ただ、遊爺は主力ガス田の枯渇や資源価格の同行、欧州の脱露指向から、じっと待てばチャンスが来ると繰り返してきました。
どやら予想以上に早くそのチャンスが訪れそうです。
原発停止でLNGの輸入が増え、貿易収支の赤字が定着しつつあり、GDPの二倍の債務を抱える日本への金融市場の攻撃が懸念され始めていることは諸兄がご承知の通りです。価格下落は、電力コストにとどまらず日本のギリシャ化の歯止めにも効果がありますね。
「シェールガス」様々の、春から縁起のいい話です。
オオバモミジ
↓よろしかったら、お願いします。
露の主力ガス田は、枯渇が迫っていて、極東や北極といった高コストと高度な技術を要求される開発を迫られていることは何度も触れてきました。この内部事情を加えると、トリプルパンチとなります。
新たな販路は、極東に近い日本と中国、韓国やアジア諸国となります。ここでようやく待ちに待った懸案の北方領土の交渉再開のチャンスが到来です。
欧州が脱露を進めていることで解ることですが、基本的に露に供給を依存してはいけません。しかし、北方領土を返還し平和条約を結ぶというのであれば、ロシアを救済する意味から、多少のお付き合いはしてあげてもよい。と、交渉できますね。
米発「シェールガス革命」 岩盤から採取 推定埋蔵量2位 (1/4 読売朝刊)
これまで採掘が難しかった天然ガスの一種である「シェールガス」の生産が、米国で本格化してきた。埋蔵量が豊富なため米国がガスの輸入国から輸出国に転じる可能性が高く、世界のエネルギー地図を塗り替えそうだ。火力発電への依存が高まっている日本のエネルギー安定確保にも、良い影響を及ぼしそうだ。 (ニューヨーク小谷野太郎、経済部瀬川大介)
<中略>
欧州調達「露頼み」脱却も
「輸出国に転換」
米エネルギー情報局(EIA)の報告によると、米国で採掘可能なシェールガスは862兆立方フィート(約24兆立方メートル)で、推定埋蔵量は中国に次ぐ世界2位だ。米国の100年分以上の需要を賄えるとの試算もある。
EIAは、米国内の年間ガス需要量に占めるシェールガスの割合が、09年の14%から35年には46%に高まると見ている。一方で、輸入の割合は11%から1%に減ると予測した。
ブルッキングス研究所エネルギー安全保障責任者のチャールズ・エビンジャー氏は「米国は15~20年に本格的なガス輸出を始めるだろう。米国にある天然ガスの輸入用設備は、いずれ輸出向けに転用され、日本などアジアへの輸出が増える」と予測する。
中米パナマ運河を14年に拡幅する計画が進んでおり、完成すればメキシコ湾岸の液化天然ガス(LNG)基地から日本やアジア向けに輸出する環境が改善される。
ドミノ倒し
天然ガスを燃料とする火力発電所は、石炭や石油を燃料とする場合に比べ、温室効果ガスの排出量が少ない。このため、天然ガスの需要が世界的に伸びることが見込まれる。シェールガスの生産拡大が、エネルギーの国際的な需給バランスを変えつつある。
中東カタールは米国への輸出増を見込んで、11年のLNG基地の生産規模を7700万トンと、08年から2.5倍に増強していたが、当てが大きく外れた。
供給過剰になったカタール産の天然ガスは、地理的に米国より近い欧州に向かう。欧州諸国にとっては、ロシアからの輸入に頼る状態を脱して調達先を多様化する好機となっている。
欧州では09年1月、ロシアとウクライナの関係悪化をきっかけに、ウクライナ経由で輸入していたロシア産天然ガスの供給が止まった苦い経験がある。関係者は「中東から欧州への供給が安定すれば、ロシアは、エネルギーを人質にとるような外交手法を取りにくくなる」と話す。
日本にメリット サハリン産など増加予想
日本では、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、火力発電所の重要度が高まっている。政府が電力自由化の方向性を鮮明にしつつある中、ガス事業者による大規模火力発電への参入なども見込まれ、天然ガスの需要が伸びることは必至の情勢だ。
米国のシェールガス増産による影響で、ロシアが欧州向け輸出を縮小せざるを得ない状況は、日本のエネルギー安全保障の観点からも注目される。ロシアが開発を進める極東サハリン沖や東シベリアの天然ガスについて、主要輸出先としての日本や中国の位置付けが重くなるからだ。
サハリンでは、三井物産と三菱商事がLNG開発に参加している。日本向け供給が増えれば、中東や豪州に比べ輸送コストが低いだけに、日本にとって利点が多い。
また、シェールガスの相次ぐ開発により、ガスの相場が下落傾向にあることも、輸入国の日本には追い風となる。米国の昨年11月の天然ガス価格は1000立方メートルあたり117ドルと、08年のピーク時に比べ4分の1程度に下落した。
今後もこうした低水準で推移するかどうかは見通せないが、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の伊原賢氏は「世界中で新たなガス田の開発や採掘が進めば、需給が緩んで日本もより安く調達できるようになる」と話す。
日本企業では、伊藤忠商事が昨年11月、投資ファンドと共同で米資源会社を買収すると発表したほか、三井物産も米テキサス州にあるガス田の権益を12・5%分取得した。
日本政府も関心を高めており、JOGMECは昨年、日本への輸出を視野に、三菱商事と東京ガスなどが参加するカナダのシェールガス開発事業に出資することを決めた。
これまで採掘が難しかった天然ガスの一種である「シェールガス」の生産が、米国で本格化してきた。埋蔵量が豊富なため米国がガスの輸入国から輸出国に転じる可能性が高く、世界のエネルギー地図を塗り替えそうだ。火力発電への依存が高まっている日本のエネルギー安定確保にも、良い影響を及ぼしそうだ。 (ニューヨーク小谷野太郎、経済部瀬川大介)
<中略>
欧州調達「露頼み」脱却も
「輸出国に転換」
米エネルギー情報局(EIA)の報告によると、米国で採掘可能なシェールガスは862兆立方フィート(約24兆立方メートル)で、推定埋蔵量は中国に次ぐ世界2位だ。米国の100年分以上の需要を賄えるとの試算もある。
EIAは、米国内の年間ガス需要量に占めるシェールガスの割合が、09年の14%から35年には46%に高まると見ている。一方で、輸入の割合は11%から1%に減ると予測した。
ブルッキングス研究所エネルギー安全保障責任者のチャールズ・エビンジャー氏は「米国は15~20年に本格的なガス輸出を始めるだろう。米国にある天然ガスの輸入用設備は、いずれ輸出向けに転用され、日本などアジアへの輸出が増える」と予測する。
中米パナマ運河を14年に拡幅する計画が進んでおり、完成すればメキシコ湾岸の液化天然ガス(LNG)基地から日本やアジア向けに輸出する環境が改善される。
ドミノ倒し
天然ガスを燃料とする火力発電所は、石炭や石油を燃料とする場合に比べ、温室効果ガスの排出量が少ない。このため、天然ガスの需要が世界的に伸びることが見込まれる。シェールガスの生産拡大が、エネルギーの国際的な需給バランスを変えつつある。
中東カタールは米国への輸出増を見込んで、11年のLNG基地の生産規模を7700万トンと、08年から2.5倍に増強していたが、当てが大きく外れた。
供給過剰になったカタール産の天然ガスは、地理的に米国より近い欧州に向かう。欧州諸国にとっては、ロシアからの輸入に頼る状態を脱して調達先を多様化する好機となっている。
欧州では09年1月、ロシアとウクライナの関係悪化をきっかけに、ウクライナ経由で輸入していたロシア産天然ガスの供給が止まった苦い経験がある。関係者は「中東から欧州への供給が安定すれば、ロシアは、エネルギーを人質にとるような外交手法を取りにくくなる」と話す。
日本にメリット サハリン産など増加予想
日本では、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、火力発電所の重要度が高まっている。政府が電力自由化の方向性を鮮明にしつつある中、ガス事業者による大規模火力発電への参入なども見込まれ、天然ガスの需要が伸びることは必至の情勢だ。
米国のシェールガス増産による影響で、ロシアが欧州向け輸出を縮小せざるを得ない状況は、日本のエネルギー安全保障の観点からも注目される。ロシアが開発を進める極東サハリン沖や東シベリアの天然ガスについて、主要輸出先としての日本や中国の位置付けが重くなるからだ。
サハリンでは、三井物産と三菱商事がLNG開発に参加している。日本向け供給が増えれば、中東や豪州に比べ輸送コストが低いだけに、日本にとって利点が多い。
また、シェールガスの相次ぐ開発により、ガスの相場が下落傾向にあることも、輸入国の日本には追い風となる。米国の昨年11月の天然ガス価格は1000立方メートルあたり117ドルと、08年のピーク時に比べ4分の1程度に下落した。
今後もこうした低水準で推移するかどうかは見通せないが、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の伊原賢氏は「世界中で新たなガス田の開発や採掘が進めば、需給が緩んで日本もより安く調達できるようになる」と話す。
日本企業では、伊藤忠商事が昨年11月、投資ファンドと共同で米資源会社を買収すると発表したほか、三井物産も米テキサス州にあるガス田の権益を12・5%分取得した。
日本政府も関心を高めており、JOGMECは昨年、日本への輸出を視野に、三菱商事と東京ガスなどが参加するカナダのシェールガス開発事業に出資することを決めた。
読売の記事では、サハリンからの輸入は輸送コストが安く日本には利点が多いと書いていますが、目前のことしか見ていない情けない話です。
サハリン1, 2の開発では、開発完成間じかに言いがかりをつけられ成果を横取りされた苦い経験を忘れたのでしょうか。冒頭の繰り返しになりますが、欧州諸国が脱露を進めている理由を考えたことはないのでしょうか。そして、終戦のどさくさで不法占拠された北方領土返還の悲願を忘れたのでしょうか。
北方領土の返還交渉は、ソ連崩壊時代の苦しい経済状況下で進展しました。
しかし、資源高騰でBLIC'sの一角に数えられる経済回復に恵まれたロシアは、民主党の菅・仙石政権の歴史的大失政を観て強行外交に転じ過去の交渉の積み上げを一転無視し、不法占拠による実効支配の拡大を進めています。
ただ、遊爺は主力ガス田の枯渇や資源価格の同行、欧州の脱露指向から、じっと待てばチャンスが来ると繰り返してきました。
どやら予想以上に早くそのチャンスが訪れそうです。
原発停止でLNGの輸入が増え、貿易収支の赤字が定着しつつあり、GDPの二倍の債務を抱える日本への金融市場の攻撃が懸念され始めていることは諸兄がご承知の通りです。価格下落は、電力コストにとどまらず日本のギリシャ化の歯止めにも効果がありますね。
「シェールガス」様々の、春から縁起のいい話です。
オオバモミジ
↓よろしかったら、お願いします。