遊爺雑記帳

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習近平が、共産党の敵の「封建皇帝」の住まいでトランプを歓待した訳

2017-11-16 23:58:58 | 中国 全般
 トランプ大統領が訪中した際に、習近平は「故宮」を貸し切った形で歓待しました。国賓以上の歓迎扱いと言うことで「皇帝待遇」とも言われた「故宮」の使用。
 毛沢東以来、歴代指導者が外交儀礼を含めた公式行事の場として使ったこともない「封建時代の象徴の故宮」を、何故習近平が使ったのか。
 共産党のイデオロギーを超越して、歴史の記念物を活用して、訪米会談時にシリアの空軍基地へのミサイル攻撃で度胆を抜かれたお返しに、インテリジェンスが調べ上げたトランプの嗜好に沿った歓待と同時に、両国の歴史の差を示したかったのかと感じていましたが、石平氏が理由を解説しておられました。
 
CNN.co.jp : 中国、トランプ氏に「国賓以上」の待遇 晩さん会は故宮で
 
「故宮首脳外交」の真意 (11/16 産経 【石平のChina Watch】)

 
今月8日、中国の習近平国家主席は夫人とともに北京の故宮の中で観劇会や夕食会を開き、訪中したトランプ米大統領夫妻を歓待した。中国の指導者が故宮を使って外国の元首を歓待するのは異例中の異例、前代未聞のことである。
 周知のように、故宮はもともと明朝と清朝の皇宮であり、2つの王朝の歴代皇帝の住まいでもある。1912年に中華民国が成立した後、退位した清朝の皇帝がしばらくそこに住んでいたが、1925年に「故宮博物院」として一般公開となった。

 1949年の中華人民共和国成立後、故宮は引き続き博物院として維持され公開されている。
興味深いことに、共産党政権の指導者たちは故宮に対しては「敬遠」の姿勢を取っていた。毛沢東が主席になって北京に住んでから故宮の中に足を運んだことは一度もないし、毛沢東から胡錦濤までの歴代指導者は外交儀礼を含めた公式行事の場として故宮を使ったこともない。「革命政党」と自任する中国共産党にとって、「悪(あ)しき封建皇帝」の住まいに接することはむしろタブー
である。

 しかし、同じ共産党指導者の習氏は、まさに
このタブーを破って「古き悪しき封建権力」の象徴である故宮を使って外国元首を歓待した。それは一体なぜなのか


 「トランプ大統領に対する特別な厚遇だ」と解釈する向きもあるが、どうも腑(ふ)に落ちない。特別な厚遇ならば、国家の迎賓館である釣魚台や党と政府の最高指導部が置かれる中南海を使うことができる。トランプ大統領との親密ぶりをアピールしたいなら、大統領夫妻を習氏の自宅に招く手もあろう。しかし、そのいずれでもなく、外国首脳の接待に一度も使われたことのない故宮が選ばれたのは一体なぜか、やはり疑問である。

 これに対し、本紙9日の掲載記事が「偉大な歴史を持つ大国に君臨する“エンペラー(皇帝)”としての習氏を国内外に印象付ける狙いもありそうだ」と分析しているが、それは説得力がある。なるほど、ホスト役としてトランプ大統領夫妻を故宮の中で歓待することで、習氏はこの宮殿の往時の主人と同様、まさに中華帝国の皇帝となった気分であろう。
故宮の中の晩餐(ばんさん)会は「習近平皇帝」を際立たせるための演出
であろう。

 それと同時に、アメリカ大統領を歓待する形で行ったこの演出には、
もう一つの深い意味
があるはずである。
 近代以前、中華帝国の皇帝は実在していた「華夷(かい)秩序」の頂点に立つ存在であり、「天下」と呼ばれるこの世界の唯一の主人だとされていた。しかし多くの中国人からすれば、近代になってから西洋列強の手によって往時の華夷秩序が粉々に打ち砕かれ、中華帝国はその栄光ある地位から転落した。
 したがって、失われたものを取り戻すのが今の中国人の果たすべき歴史的使命だとされているのだが、習主席が高らかに掲げている「民族の偉大なる復興」とはまさにこのことであろう。
西洋列強によって作り出された今の世界秩序をひっくり返して、中国を頂点とした「華夷秩序」を再建してみせること、それこそが習政権の大いなる野望
である。

 こうしてみると、習主席があたかも故宮の主人となったかのようにそこでトランプ大統領を歓待した真意が分かってくるのであろう。
習氏はまさに、往時の華夷秩序の頂点に立った中華帝国皇帝になりすましたことによって、西洋列強が作った世界秩序の今の象徴であるアメリカの大統領に向かって、「本来あるべき秩序の頂点はここだ。われわれはそれを取り戻すぞ」と堂々と宣言したのである。

 この意味をトランプ大統領が受け止めたかどうかは分からないが、筆者の私にはそう聞こえたのである。


 「トランプ大統領に対する特別な厚遇だ」と解釈する向きもあるが、どうも腑に落ちない。「習近平皇帝」を国内も含め世界に演出する、自己アピールとする、産経の説が説得力があるとの石平氏。

 5年に一度の共産党での人事において、ポスト習近平は習近平と示す独裁政治体制を固めた習近平。トランプの度胆を抜くと同時に、自分が、毛沢東以上の存在だと、国内外に知らしめたかったのですね。

 それを知ってか知らずか、トランプの最大の訪中目的の貿易不均衡是正で「米国の赤字の責任は中国ではなく、米国の歴代政権の責任」との発言。この変節には、世界中がひっくり返ったことでしょう。最初は聞き間違い化と、耳を疑いました。

 アジア歴訪のまとめは、帰国後に発表すると言っていたトランプ大統領。未だ聞こえてきませんが、ここまでの報道の範囲では、歴訪の最初に日本で安倍首相と会談した時の姿勢と、「EAS」を欠席して帰国した時との、習近平との立ち位置の逆転ぶり。水面下で行われたであろう対北朝鮮対策とともに、マニラを断つときには、「すさまじく成功した旅」とコメントしていたトランプ氏の、「ホワイトハウスに戻り声明を出す」と言っていた声明が待たれます。



 # 冒頭の画像は、故宮を案内する習近平夫妻とトランプ夫妻




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