遊爺は年頭、今年のキーワードとして「インド」を掲げました。もう一つは、農業に代表される食糧生産の新技術。
世界同時経済危機からの脱出には、成長力を残している国や地域との連携・相互協力でのグローバルな回復力の育成が必要で、それには中国、ブラジルもありますが、インドに注目したのでした。共産党一党独裁で、軍事力を背景に米国と世界の覇権を争おうと、アジアの島嶼の占有の手を広げている国とは、大きな違いがあり、日豪と並ぶ、いずれは日本は追い越されるであろう自由主義の大国であるインドに期待しているのです。
今年の注目は"インド" (世界同時経済危機脱出の鍵は何だろう?) - 遊爺雑記帳
そのインドの政権が、今度の総選挙の結果では変わる可能性がなくはない様なのですね。
日本の海上自衛隊と米、インド海軍が4月26日から今月3日まで、九州から沖縄東方に通じる海域で海上共同訓練「マラバール09」を行った。
インド南部の海岸線の名にちなむ訓練は、米印が1992年から断続的に実施していたが、近年は日本や豪州も招いてほぼ定例化。「中国包囲網」の色彩も指摘されるものの、「地域パートナー同士の貴重な交流の場」(米第ワ艦隊南アジア担当官)となっている。
インドからは新鋭ミサイル駆逐艦「ムンバイ」など4隻が参加。インド海軍OB(70)は「私の現役当時なら、非同盟外交が建前の外務省から横やりが入って絶対に出来なかったことだ」と後輩をうらやむ。
訓練活発化が示すように、米印関係はブッシュ前米政権下で「蜜月状態」に転じた。ブッシュ政権は民主主義拡大など「価値観外交」を掲げ、原子力協力協定を通じて関係強化に努めた。
オバマ大統領も4月にロンドンでシン首相と初会談し、対印関係の進展を「優先課題」とする意向を伝えたが、具体的な政策は、インドで総選挙後、どのような政権が生まれるかを見極めてからになる。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のテレシタ・シェイファー南アジア部長は、国民会議派、インド人民党のどちらかが主導の連立政権なら対米政策に変化はないが、「外交経験のない人物」が首相になれば不安だと言い、人気の女性政治家マヤワティ大衆社会党党首を例に挙げた。
2大政党と距離を置く「第3勢力」の代表格マヤワティ氏は、米印原子力協定を「外国の奴隷になることで原子力をもらう条約」と呼んだ。民衆の間に、現政権の5年間で進んだ対米接近に戸惑いがあるのを見越したものとみられる。政治誌インディア・トゥデーが4月発表した世論調査では、64%が対米緊密化を「良くない」と答え、「良い」の18%を引き離した。
米印協定締結の立役者シン首相は2日、地元テレビで、会議派政権が続けば「協定を断固守る」と力説する一方で、下院での過半数確俣に必要なら、協定に反対して閣外協力を解消した左翼4党に再び協力を仰ぐことも「排除しない」と語った。大手紙外交記者は「協定をどうするつもりか、まったくわからない」と首をかしげた。会議派、人民党とも単独過半数はまず不可能で、10以上の中小政党に連立を呼びかけることになる。連立協議次第で、シェイファー氏が言う「マヤワティ氏のような人物」が首班に担ぎ出されることも予想される。
オバマ政権が最重視するアフガニスタン・パキスタンの安定も、印パの緊張緩和が大前提。米側は、インドの出方が「まったく読めない事態になる」(シェイファー氏)のを懸念しながら、総選挙の行方を見守る。
諸兄がご存じの通り、インドは戦争直後の苦しい経済環境の中、日本の子供達の願いを叶えようと、ネール首相が娘さんの名前をつけた象を贈って頂いたのでしたが、社会主義共和国を標榜し、東西冷戦下では旧ソ連陣営に属していたのでした。
現在では、中立非同盟とはいえ米英とも親交があり自由主義陣営にあります。アジアの有力な自由主義国家として、上記の記事の様に、九州から沖縄にかけての海域で、日、豪、米と共に海上共同訓練を実施しています。
余談ですが、親中派のラッド首相の豪も、中国海軍の覇権拡大姿勢に対抗し、豪海軍の増強を発表していることは、諸兄のご承知の通りです。(日本の眉中民主党は、ソマリアの海賊退治への自衛隊派遣にも難癖をつけていますが。)
親自由主義陣営路線を敷いてきたシン政権が、今回の総選挙で苦戦しているのだそうですね。
改革派にたいし、社会主義や中立を標榜していた時代からの脱却が出来きれない旧守派なのか、米国経済の威信が失墜し、米国のIT関連産業の低迷の影響か、中・ロの様な脱米国派か、勉強不足の遊爺には見えてきていないのですが、野党勢力の台頭があり米国があからさまに警戒発言をしているのですね。
今でも身分制度が脈々といきて存在する国という特徴がある、ある意味不思議な国ですが、米国一国が牽引した世界経済が破綻し、アジアで言えば、日、豪、印が協力しあって危機からの脱出を計らねばならない重要パートナー国が、せっかく近づいてきていた共同関係から一歩後退しかねない事態は、日本やアジアの自由主義陣営の国々にとっても、危機脱出が後退することにも通じかねないこととなり、総選挙の行方が注目されます。
# 冒頭の写真は、「マラバール09」に参加した護衛艦「あさゆき」です。
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