一週間ほど前に、町村官房長官がコメの減反政策を、「世界で食糧不足の国があるのに、日本で減反しているのはもったいない。」、「今の農業政策を見直すことが、世界の食糧価格高騰への対応に貢献できる道ではないか」と指摘したことに、賛否というか、反対(特に与野党国会議員に多い)意見が盛んです。
テレビなどの評論では、日本の食糧自給率ともからめ、減反の見なおしや長期農業政策の立案を望む声が多いように見えます。食糧不足や価格高騰で多くの国の人々が苦しんでいる中で、減反することへの違和感を感じるのは、遊爺も全く同感であり、なんとかならないか知恵を絞ろうよと思うのは、批判されることではないと考えるのです。
産経では 3月に、「迷走コメ農政」という特集を載せていました。
「歯止め利かない価格下落 増える「減反破り」…農協離れも進む」政治も‐経済政策ニュース:イザ!
「「何を信じていけば」 朝令暮改…担い手を翻弄」話題!‐話のタネニュース:イザ!
食の多様化などでコメ消費が減る中、作付面積を減らす「減反」によって供給を調整し価格の安定を図る、国の統制色の強い政策。昭和46年に導入された。だが減反農家への交付金など財政負担が大きい上に、生産者側の不満も根強く、国は平成14年、生産調整への関与を弱める方針を決め、19年度から農協中心に移行した。ところが過剰生産が拡大したため、国はわずか1年で方針を転換。20年産米は再び国が指導に乗りだし、生産調整の徹底を図る方針。
長期ビジョンに欠ける、政策ではなく場当たり対策に農家が翻弄されるせいか、減反破りが絶えないためコメの価格が下がり続けていると言うのです。この値下げを食い止めるために減反政策が必要不可欠で、今年度は生産調整を強める方向にあった。そこへ町村発言があり、農政族が大反発をしていると言うことのようです。
日本の主食であるコメが、需要が減っているので、自由主義経済の原則にははずれるが、特別に値下げを阻止(今年は値上げに向け)し、保護するというのです。
日本の主食であるコメを重視する姿勢には全く賛同するのですが、需要が減っているので生産も減らして値下げを抑える(値上げをする)という発想には、頭痛と吐き気を伴う嫌悪感と時代錯誤を感じてしまうのは、遊爺だけなのでしょうか?
減反破りをしている農家(専業)は、「規模拡大でコストを削減して、コメを多く作った方が米価が下がっても高収入になると考える」そうで、小規模農家でも農協を通さず販売する農家が増えていて。減反破りの農家は増え続けているのだそうです。
当たり前の話です。楽市・楽座の尾張、自由貿易の堺や香港や世界の多くの都市や国が発展した事実が証明していることで、消費が減っているから生産を規制するという無能な策(目前の票が狙い=議員の個人の利益の追求が優先)は、破綻を招くに決まっているのです。だから食管制度も止めたのです。
幸か不幸か、多くの穀物が値上がりして、しかも輸入量の確保も不安視される状況が思っているよりも速いテンポで進行しています。
小麦に変わる米の需要(コメ粉を使った食品や給食需要、更に家畜飼料)が増やせる環境を構築出来る可能性が強まっているのです。
日本の農業で、気候や地理環境から最も適した作物はコメだと言われています。
水田は、日本の景色でもあり、環境も維持してくれていました。
ブッシュ大統領が、「食料自給できない国を想像できるか、それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」と言っているのだそうですが、自給率の低さは、バーチャルウォーター量では、世界の不足する水を日本が消費することになっていますし、輸送でCO2も排出しているのです。
食糧の安全保障、地球環境の保護の両面から国産食糧は増産せねばならないのです。
政府もいろいろ手を打つ姿勢は示していますが、是非具体的に実行に移していただきたいものです。
NIKKEI NET(日経ネット):経済ニュース -マクロ経済の動向から金融政策、業界の動きまでカバー
長期展望に立った政策には難関は多いようですね。
エネルギーとならんで穀物への世界的な投機が加速し、日本も食糧危機に巻き込まれようとしている。日本人の主食であるコメも世界市場での価格が上昇し、タイのコメ価格は年初から4月までの間に約3倍に急騰した。ところが日本国内では、コメの価格が高騰した今こそ、日本のコメも世界に打って出るべきだなどという議論が盛んになっている。あまりに楽観的な認識ではないだろうか。
まず、コメの世界市場は、昔も今も「浅い」市場として知られている。世界で生産されるコメのうち約5%だけが世界市場に登場し、あとはすべて生産国内で消費される。お金があっても好きなだけ買えるわけではなく、増産したからといって、いくらでも売れるような市場ではない。
また、日本人が普段から食べているコメはジャポニカ種であり、インディカ種の生産が中心の世界で約15%、世界市場でも約10%程度のマイナー種にすぎない。高級米で世界に打って出るにしても、足りない分を世界から購入するにしても、かなりの制約があることを知っておかねばならない。
さらに、これまで世界のコメ市場価格が比較的安定していたことをもって、市場が「浅い」というのは間違いだとする説もあったが、最近のフィリピンにおけるコメ不足や、タイでの高騰を目の当たりにすれば、検証に堪える説ではないことが分かる。しかも、1973年から翌年にかけて石油が高騰した時期には、コメの国際価格も約3倍に急騰し、現在の状況に酷似している。今後は価格の変動幅が拡大する危険も大きい。
農業改革として民間企業による農業への参入自由化が主張されるが、農産物に民間企業が参入しているのは以前からで、小泉政権の農業特区が初めてのことではない。コメの生産に企業が参入したからといって安定した供給が保証されるわけではなく、農業特区は農地のさらなる非農地転用に口実を与えただけとの指摘もある。
2年ほど前に、日本でもコメの先物市場を開設しようとの機運が盛り上がり、当時の中川昭一農水相が不認可にしたところ、激しい批判が巻き起こった。しかし、先物市場が価格安定を実現するには、その商品の流通量が膨大で、生産地が世界に拡散し、地域的な欠乏がないことが条件とされてきた。コメの世界市場はまったく条件を満たしていない。しかも、これらの条件を満たしていたはずの小麦や石油の価格高騰を見れば、先物市場は価格を高騰させる可能性のほうが高いことがわかる。
いま日本のコメについての緊急課題は、世界市場に進出したり先物市場を構想する以前に、いまの矛盾だらけの生産と流通の仕組みを再検討して、来るべき食糧危機の時代においても、日本のコメの安定供給を確保することだろう。
ことに現在も農地が非農地に転用されていく傾向は続いていて、日本におけるコメ耕作地の確保は決して明るくない。食料の自給率が39%にまで下がったと騒いでいる一方で、減反が行われ優良農地の減少が放置されているのは驚くべきことだ。日本のコメにとって必要なのは先物市場や企業参入の「自由化」などではない。いま検討すべきは、むしろ今も進む優良農地の転用を食い止めるための「規制化」なのである。(ひがしたに さとし)
じっくりとはいえ出来るだけ早く、日本国の農業政策を新しい時代に即して見なおしし、立て直して頂きたくことを願っています。
参議院選で勝敗を決めた一人区の票は、参院選では目先のバラマキ金と自民党の大型専業農家政策を、差別化による格差拡大不安管を増長させた民社党の喧伝で動きましたが、正統な政策で動いて頂ける政策を、与野党共に出していただくと言うことです。
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