遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

胡政権と、東シナ海ガス田

2008-06-22 00:23:25 | 東シナ海ガス田

 東シナ海ガス田の共同開発は、胡錦濤主席の来日時に「白樺」の共同開発が読売で報じられていました。
 今回、日中両国政府から発表された内容は、それよりは拡大された内容ですが、まだこれからの交渉如何というものです。
 とはいえ、具体的な話が進み出したと言うことは、一時の空虚な交渉が続いていた頃から考えると、大きな変化といえます。
 胡錦濤主席来日時の読売の共同開発報道時にも書いた様に、胡政権の中国国内の指導力に注目していましたが、強まりが感じられるとともに、反日活動の行方にますます目が離せない状況ですね。

 東シナ海ガス田「白樺」を共同開発 - 遊爺雑記帳
 

ガス田開発合意 対日関係を重視、譲歩 胡指導部の「政治判断」 (6/19 産経朝刊)

 【北京=野口東秀】中国政府が東シナ海ガス田共同開発問題で日本側と合意した背景には、胡錦濤指導部の「政治判断」がある。中国側には日中中間線の日本側で共同開発する権利を確保したとのメリットもあるが、「日中関係を重視し、重大な決断をした」(共産党関係者)との考えが強い。胡錦濤国家主席と温家宝首相が日中関係が改善基調にあるタイミングの中で最終判断したとみられる。中国ではこの判断について、「中国側の譲歩」ととらえる向きが多く、胡主席にとっては政治的リスクに転じる可能性も残されている。

 「胡錦濤指導部はこの問題で保守派を押さえ込む構えだ。当然、軍内の強硬派もだ」。18日、中国政府筋はこう説明した。
 「海洋大国」を目指し海軍の増強を進める中国では、東シナ海問題を含め、海洋権益を守る盾となる軍の意向は強く反映される。2005年にソブレメンヌイ級駆逐艦が白樺(中国名・春暁)ガス田近くを航行したのは軍事的牽制(けんせい)であり、自国の海だとアピールする狙いと受け止められる。
 中国は1970年代に探査を始め、東シナ海を実効支配する過程で90年代には平湖ガス田の生産を開始、2000年には白樺ガス田の開発に着手しており、「日本側が主張する中間線の中国側で開発してなぜ悪いのか」という考えがあった。しかも白樺周辺海域は中国にとっては「表玄関」でもある。
 このため、指導部としては、軍内の対日強硬派だけでなく、国内の反日思考の強い活動家や世論から「弱腰外交」「安易な対日譲歩」と批判される可能性を念頭にした上で判断した。中国外務省が17日の段階で「春暁は中国の主権の範囲内。主権問題と共同開発問題とは無関係」と強調したのも、対日譲歩ではないことを国内向けに訴える必要があったからにほかならない。

 指導部は、日中間での首脳往来が定期化し、しかも四川大地震への日本側の対応により中国側の対日感情が和らいだタイミングをみて判断したとみられる。自衛隊艦艇が来週、中国に寄港し、軍事交流の象徴となることも踏まえているようだ。

 胡主席は軍掌握度を徐々に高めており、米国の台湾への武器売却が足踏み状態となったことも指導部が東シナ海問題で軍を説得できる材料との指摘もある。
 日中外交筋によると、5月の胡主席の訪日で合意した日中共同声明について「もろ手を挙げての賛成ではない」とする勢力が中国国内にあり、指導部がその「戦略的互恵関係」の「具体的成果」として見せるため、四川大地震で日本の救援隊を一番乗りさせたり、今回の東シナ海問題で合意したりする必要があったという。



日中外交の方向転換を示唆した胡主席の来日成果を、中国国内の反対勢力へ見える形で具体的に示したのだとのことです。
 特に注目される、軍への指導力が高まってきていることが中国国内や世界的にも示されたと言えるのではないでしょうか?
 
 一方、ネットの反日活動には腐心しているようですね。
  

ガス田合意で党批判 中国、ネットに殺到 (6/20 産経)

 【北京=福島香織】日中両国政府が東シナ海ガス田の共同開発に合意したことについて、インターネット上の反日愛国主義サイトの掲示板に、抗議デモを呼びかける書き込みが相次いでいる。中国共産党の指導者を名指しで批判するなど、原則的に党に忠実な愛国的民族主義青年こと「憤青(怒れる青年)」がここまで党を批判するのは極めて異例だ。
 中国民間保釣連合会の掲示板には19日、「大規模学生抗議デモに立ち上がれ」と題して、「小泉(元首相)に抗議していた熱血青年たちはどこにいった? 君たちの国家利益は政党にさっさと売っぱらわれた!」といった党批判を含む抗議が書き込まれた。さらに「国家利益を顧みない統治者なんかいらない」「われわれは統治者を選択する権利はないが、奴隷にはならない。国は売らない」と中国の指導者を批判し、同連合会に大規模デモを組織するよう要求している。
 こういった激しい書き込みは、「中国918愛国フォーラム」や「愛国者同盟ネット」などにも殺到。最近の胡錦濤政権の対日重視外交にいらだちを募らせていた憤青の怒りが一気に爆発したかっこうだ。


NIKKEI NET(日経ネット):白樺ガス田「日本は中国の主権を承認」 中国外務次官

翌檜ではなく、翌檜南海域の共同開発と言う表現に当初は何だろうと思っていたら、韓国への配慮で翌檜の開発は日中双方とも中断し、その南の中間線を挟んだ海域での共同開発を行うとのことで、納得出来ました。
 白樺は共同開発ではなく、出資と言うことでしたが、上記日経の武大偉外務次官の北京での会見の通りなのですね。
 株式会社の持ち株比率と同じで、中国の事業会社に日本が25%の出資をしたと言うことですから、中国の主権のもとに行われる事業であるというのは、間違ってはいません。中間線をまたぐ事業で、埋蔵量比率(領有比率)や、国の主権の及ぶ範囲という見地で、日本としては浸食の糸口を認めた。前例を作ったとされかねない危うい合意ではあります。

 残りのガス田の開発や、中間線から中国側での開発、日本側での開発の今後に残されている多くの開発の交渉はこれからです。
 東シナ海を「平和・協力・友好の海」にすることには、遊爺も異論はありません。
 同時に、国の主権、国民の安全、国益を犯されることも容認できません。
 尖閣での台湾遊漁船の衝突事故での、中国民間保釣連合会の北京日本大使館前での公認官製デモも含めた、中国国内の反日勢力の動きと合わせ、胡錦濤政権の新政策の行方に当分目が離せそうにありません。






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2 コメント

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白樺ガス田一歩前進・・ (容子)
2008-06-23 20:03:35
遊爺さま

この記事大変勉強になりなした。特に中国内の勢力とその主張・・等が良く解りました。

日本のこの尖閣問題では、日本の主権があるにも係わらず、それに手をつける事すら出来なかっただけに、私などイラついてました。

それにしても、中国のネット世代はまだまだ、意識的には中華思想から抜け出ていないと感じます。
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Re: 白樺ガス田一歩前進 (遊爺)
2008-06-29 00:12:37
容子さん、こんにちは。

> この記事大変勉強になりなした。

 お役に立てて光栄です。

 胡政権が、対日外交姿勢を転換させてきていることは、事実として中国内外に少しづつ示され始めている気配です。
 勿論、護衛艦「さざなみ」の処遇に見られるように、まだまだ国内世論(反日教育で洗脳された世代の多くの人々)に遠慮しながらですし、決して親日になったわけでもないのですが。
 政策転換にはいろいろな理由が推察出来ますが、両国にとって良い方向に向かうのか、胡主席の指導力(特に対軍)はさらに強まるのか、眼が離せませんね。

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