開幕直前に、国内政変によるギニア、サントメ・プリンシペの首脳の来日不能や、カメルーン、チャド、赤道ギニアの首脳らのドタキャンが続き、ドタバタの開幕でしたが、アフリカ53か国のうち51か国が参加、首脳クラスは40か国(予定は45か国)の参加がありました。
2006年に北京で開催された「中国・アフリカ協力フォーラム」が35か国の国家元首を集めたものに劣らぬ数だと、日本政府筋は安堵したのだそうです。
■支援拡大、成果少なく
第4回アフリカ開発会議(TICADIV)が30日閉幕し、議長役の福田康夫首相も初の国際会議ホストの大任を終えた。首相は40カ国の首脳と会談し、5年間で約8000億円の政府開発援助(ODA)供与など各種支援策を表明、各国から評価を受けた。ただ、大盤振る舞いはしたものの目に見える成果は乏しい。首相自身の発信力の弱さもあり、首相が議長となる7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)へ課題を残した形だ。(阿比留瑠比)
<中略>
アフリカは、原油やレアメタル(希少金属)をはじめ資源の宝庫であり、近年は高い経済成長率を示している潜在的市場だ。また、国連加盟国の約4分の1の53カ国が存在し、日本が国連安全保障理事会常任理事国入りを目指す上で、カギを握る大票田でもある。
一方、現在アフリカにある大使館数は中国の47に対し、日本は27にとどまり、地域での存在感でも後れをとりがちだ。本来、そういう現状をよく国民に説明し、外交方針への国民の支持を取り付けるのも、首相の役割の一つだろう。
だが、福田首相に対しては、自民党内からも「物価上昇を『しようがない』と言ったり、後期高齢者医療制度でも『(高齢者も)少しぐらい負担してくれてもいいんじゃないの』と語ったり、大事なことをきちんと説明する能力に欠ける」(閣僚経験者)という見方が強まっている。
30日の共同記者会見でも、福田首相はTICADIV開催の目的についてひとごとのようにこう述べた。
「中国への対抗意識とか資源、エネルギーの確保のためとか、そういう考え方があろうはずがない」
サミットで日本は、温暖化対策基金への1000億円超の拠出を表明する予定だ。今度こそ国民の税金の使い道をきちんと説明しないと、福田首相の退陣を促す“サミット花道論”がぶり返しそうだ。
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■横浜宣言の骨子
一、アフリカは人口増加と失業、気候変動の影響、感染症など深刻な課題に直面
一、経済成長の加速、貧困削減など人間の安全保障、環境問題への対応が優先分野
一、人材育成、農業開発、貿易・投資、観光などを重視、一村一品運動は役立つ
一、平和の努力、国連改革が重要
一、アフリカは日本のクールアース推進構想を評価、100億ドル規模の資金を歓迎
一、会議の成果を北海道洞爺湖サミットに反映
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■横浜行動計画の骨子
一、道路や港湾の建設、電力網整備を支援
一、支援基金や貿易保険を活用し、民間投資を倍増
一、一村一品運動を12カ国に拡大
一、南アフリカ開催のサッカーW杯で観光振興
一、コメ生産量の倍増を目指し、作物管理手法などを開発
一、蚊帳の配布などでマラリア対策
一、干魃(かんばつ)や洪水の防災計画策定を支援、砂漠化を防ぐ技術を開発
読売(5/29 社説)の「天然資源が豊富で、高い経済成長が期待されるアフリカと、日本が共存関係を強化する大きな一歩となろう。」 「日本が主導して1993年に始まったTICADが、これほど注目されたのは初めてだろう。「元気なアフリカ」の勢いと、日本の支援への期待を示すものだ。」 「7月の北海道洞爺湖サミットでは、アフリカ支援が主要議題の一つとなる。日本は、TICAD4の成果をサミットにつなげていく責任がある。」という期待は、遊爺も持っていますし、世界から批判を浴びる中国流のアフリカ進出(中国に言わせると、途上国が途上国に行う南南協力)を一方的に許すのではなく、アフリカの人々に喜ばれる、共存共栄の道を切り開いていくことが出来るよう、望んでいました。
しかし、日本の一方的な想いと、アフリカの日本への期待がかみ合っているとは言い難い状況が見えてきた様です。
対話の内容、毎回同じ
エリトリア大統領 イサイアス・アフェウェルキさん
TICADのプロセスは長期に及ぶ。現段階で、成功か失敗かの判断は下せない。ただ、第 1回の1993年から15年間で多くが達成されたとは言えない。
日本の目はアジアに向けられ、アフリカに対する貢献は限られていた。この状況が大きく変わらないと、日本と日本とアフリカの関係が将来、さらに進展することはないだろう。TICADで双方の対話が続いているのは素晴らしいことだが、毎回、同じ事が繰り返されているとも感じる。
アフリカの現状を変えるために日本が出来ることについて、我々が抱く期待は大きい。この15年間は「援助、援助、援助」だったが、10億人近い人口と、多くの天然資源を抱えるアフリカは、大きな可能性を秘めている。
これを生かすには、日本とアフリカが互いにもっと理解を深める必要があるだろう。
多くの国が日本へ熱い期待を寄せているようですが、このエリトリアの大統領が仰る言葉に代表される、アフリカの期待と、日本政府が示す動きにキャップがあるのです。
アフリカの各国の首脳は目先の援助ではなく、アフリカの将来の成長を支える貿易と投資の拡大なのです。日本企業の進出なのです。
ルワンダのカガメ大統領は、「中国の動きは活発だが、日本のビジネスマンの姿はあまり見かけない」と述べています。タンザニアのキクウェテ大統領は、日本企業の進出がエジプトと南アに偏っていることを嘆いています。
一方、日本企業も、中国、インドに続く安価な労働力が見込める生産拠点としての見方や、資源高で成長する消費市場として、アフリカに注目して投資を増やす企業が出てきています。
モザンビークで英豪系資源大手のBHPビリトン・アルミニウム南アフリカとアルミニウム精錬事業プロジェクトを成功させた三菱商事、南アフリカで生産能力を、12万台/年から、22万台に増やすトヨタ、モロッコに980億円を投資して新工場を建設する日産、通信・放送機器の進出を拡大させるNEC、蚊帳の生産能力を 3倍に増やす住友化学など...。
企業のアフリカ進出の課題は、凶悪犯罪が多い事だそうで、「厳しい現実に対応出来る企業だけが、アフリカの経済成長を利益として取り込むことが出来る」と言われています。
中国の今日の発展の基盤は、日本企業の進出と日本への輸出が起爆剤の大きな柱のひとつとなりました。それが、世界の工場へ発展し、そのことでの国内経済の成長が、中国市場という巨大消費市場を産み、今日の繁栄と各国の中国詣でに至っています。
そして、その成長のかげりを危惧した胡錦濤政権は、反日路線の転換を模索し始めているのです。
既に安価な労働力での、世界の工場の役割は、ベトナムやインドなどに移行しつつあり、その流れはアフリカに行き着くとは、早くから言われていることですし、当然中国の繁栄にあやかりたいアフリカ諸国が日本や欧米諸国に期待を寄せることになります。
そして、その到来がみえてきそうになった今、政府は日本企業が進出しやすい環境を、アフリカ諸国と構築することが重要な役割となります。
大使館の数を増やす。食糧事情の改善インフラ構築支援で、国民に日本を実感してもらう。等々...。
洞爺湖サミットでのアフリカ支援でも、目先の援助ではない方策の提案をするのも重要ですし、今回のコメの生産技術支援などの横浜行動計画の実現にも期待をしています。
そして、アフリカ諸国との共存・共栄が実現されるこを願います。
40か国首脳とのギネス級マラソン会談(30分の会談時間も記念撮影などで、実質の会談は、10~15分で、その間必ず常任理事国入り支援要請を話したというばかばかしい会談)を自慢する時間があるのなら、各国首脳が報道陣に対し口にしたギャップを反省し、対応を練り直していただきたいものです。
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Takeshima belong to Korea or Japan? の投票頁があります。是非投票をお願いします。
アフリカ開発会議が横浜で40カ国も参加して15年ぶりの会議が開かれた事は、今後の日本にとって、成果はすぐ現われないにしろ、良かったと思います。
去年、中国でもこのようなアフリカ会議を開いたようですね。中国の場合は、軍部が絡んで、相当の武器を独裁国に輸入したようですが・・
日本の外交はそれとはまったく違い、横浜宣言の骨子を見ると特に「人材育成、農業開発、貿易・投資、観光などを重視、一村一品運動は役立つ」など長期の亘る援助が必要でしょうが、農業開発などは耕作者にとって、目に見える収穫が得られ、また水田は、砂漠化を防ぎ、現在でもそのような指導をしている日本人がいっていた事です。
それと、中国的交流は欧米との摩擦を生じているようです。ただ、これら諸国は長年搾取されてきただけに、最近では賄賂を当然視して、一部の人だけの懐が豊かになっても国内が依然として荒廃している形から日本外交はもっと民衆の望む事により一歩近い外交であって欲しいと願っております。
天然資源が豊富で、高い経済成長が期待されるアフリカと、日本が共存関係を強化する大きな一歩となろう
容子さんも、早くから日本とアフリカ諸国との関係発展に注目しておられましたね。
> 今後の日本にとって、成果はすぐ現われないにしろ、良かったと思います。
双方の想いにギャップがあることが明確になったことは、今後の関係構築に向け、実効性の高い共存共栄が実現出来る方向へ向かえることになり、良かったと言えますね。
中国の支援は、アフリカの紛争や人権問題を助長する傾向があり、欧米諸国から非難されています。
ただし、歓迎している国もあります。
日中を天秤にかけられたり、覇を争うのではなく、過去に占領の歴史を持つ欧州とも異なる、日本独自の新しいアフリカ諸国との関係が構築される事を願っています。