遊爺雑記帳

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露・ラブロフ外相が、日ソ同宣言について「ソ連がなぜ締結したのか分からない」

2010-11-21 00:14:19 | ロシア全般

 APEC開催時に行われた、日露外相会談で、ロシアのラブロフ外相が、日ソ同宣言について「ソ連がなぜ締結したのか分からない」などと述べていたことが、19日にわかったと報道されています。
 小さな記事なのですが、重大な問題をいくつかはらんでいる話で、日本としてはしっかり受け止めて、日本の姿勢とロシアの約束破りの国際信義に悖る姿勢を、世界にアピールせねばなりませんね。

 

日ソ共同宣言を 露外相が疑問視 「なぜ締結したのか分からない」 (11/20 読売朝刊)

 13日に横浜市で行われた日露外相会談で、ロシアのラブロフ外相が、平和条約締結後に色丹島と歯舞群島を日本に引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言を疑問視し、「北方4島のロシア帰属は確認されている」との立場を示していたことが明らかになった。政府関係者が19日明らかにした。
 同関係者によると、ラブロフ外相は会談で、同宣言について「ソ連がなぜ締結したのか分からない」などと述べ、
領土間題に強硬姿勢で臨む姿勢を明確にした。
 これに対し、前原外相は北方領土問題を解決し、平和条約を締結する必要性を強調した。



 首脳会談の前哨戦といった認識が強く、外相会談の内容については、「両国の関係を発展させたい」と前原氏が話した程度にしか報道されていなかった記憶でした。
 ところが、ラブロフ外相は、1956年の日ソ共同宣言を無効化する発言をし、4島のロシア帰属を強く主張し、これまでの両国の交渉を大きく変換する強硬姿勢を示していたというのです。

 日露首脳会談が、メドベージェフ大統領の強硬姿勢ペースで終わり、平行線どころか、4島はロシア領とする主張が実績として残り、これまでの両国の平和条約への交渉の歴史を大きく変換する、我が国にとって屈辱の結果を残していました。
 それは、外相会議から予告されていたということですね。もともと、終戦記念日の法定化や中露の接近など、予兆はあったことですが、メドベージェフ大統領の国後島訪問に対し河野駐露大使を帰国させたものの、「国内事情によるもので、日露関係には影響がない」との河野大使の報告(事情の如何にかかわらず事実は世界に示されたのでおかしな見解)もあり、首脳会談実現のために帰国を短期で打ち切るという中途半端な失政をし、ロシアに強硬姿勢への自信を深めさせました。

 日露首脳会談とロシアの身勝手さ : 研究員の目 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 問題点その1
  外相会談で、これまでの交渉経緯を無視する強硬姿勢に転じている示唆があったのに、首脳会談で、経済協力との両輪の姿勢を崩し、経済優先のロシアの主張に従い、訪露要請を喜々として受けたのは何故か!
  外交では、交渉し国家の主権や国益を守ることが主題であるのに、会談の設定だけが目的となり、その自己満足のために国を売り、主権侵害を認め、国益を損なっている。

 問題点その2
  外相会談のロシアの主張が、公表されなかったのはなぜか?
  内閣にとって都合のわるいことは隠蔽する体質が民主党政権にある。政権交代時のお題目とは反する逆行体質。ロシアの姿勢をいち早く公表し、国を挙げて議論しロシアへの日本の外交姿勢の対応を固めねばならないところでしょう。

 問題点その3
  ロシアのこれまでの両国の積み重ねを反故にする、強硬な歴史的外交姿勢変更が明らかになった、今後の対応をどうするのか?
  現在産出している天然ガスは、20年後には6割減となることが判明しています。北極圏の海域には、全埋蔵量の4割が残っているのですが、高コストであることと発掘技術が必要で、現状では市場価格にあわず商業化は難しいのだそうです。
  極東での開発投資や、その販路を、中国や韓国さらにはアジアの国々に期待しています。しかし、日本はあわてず無視する姿勢を貫けばいいのです。日本との貿易額は少なく、日本との経済交流がなくても困らないとロシアは言っていますが、ほっとけばいいんです。
  販売先が中国に集中すれば(韓国、アジア諸国の量はスケールが違う)、両天秤にかける牽制が出来ず、ロシアには不利となります。これまで大きな投資をしたことがない中国、韓国は、リスクがあるうちは海外からの投資を誘導し、完成間じかになると難癖をつけて強引に契約変更を迫り横取りするロシア商法に遭い、手痛い損出を経験するはずです。

  また、ロシアと中国は、長い歴史の中では反目している時期が圧倒的に長く、対米、対日では手を結びますが、覇権意欲の強い両国間では必ず反目が生じます。

  ロシアがまともな国ならいざ知らず、安定供給が望めないのは欧州各国が脱露に取り組んでいる事例をみても明らかで、ロシアに依存すべきではありませんし、開発投資も上述の様にサハリン2, 1で煮え湯を飲まされていること、終戦時のドサクサで条約違反で侵略してきたことを思い起こせば、リスクが大きいことは解っているはずです。
  ですから、主権を侵されたまま経済交流を進めるわけにはいかないし、交流を凍結しても、開発投資該当企業にはもともとリスクは覚悟していたはずですから、長い目の国益を優先させここは我慢していただくしかないでしょう。家電はすでに韓国・LGに負けているので、影響はないに等しい。

  主権を主張し、ロシアの理不尽な約束を反故にする国の姿勢を、世界中に喧伝し、何年かけてでも訴え続ければいいのです。
  新たな開発投資協力はストップして、今仕掛中のものは、自然消滅を待ち、新規投資は無理せず時期が来る(中露関係の成り行き)のを待てばいいのです。
  「大統領は実際には今すぐ4島へは行かない」と誤分析していた外務省。その発信源であったはずの河野大使。訪問後も「国内向けで、日露関係への影響はない」と誤った判断を報告。ことごとく裏目の、ロシア側をつけあがらせる結果を招いた責任は大きい。きちんと分析できる大使への変更が必要ですし、経済交流を、4島の帰属と合わせる基本方針に照らし冷却期間をおくのなら、大使の召還も視野に入れるべきでしょう。

 メドベージェフ大統領は、プーチン首相と大統領選で争うために強硬政策をぶち上げているという説と、プーチン首相の大統領復活は既成事実で、プーチン氏復活の事前露払いをメドベージェフ氏がやらされているとの両論があり、その行方も見定めねばなりませんね。駐露大使の情報・判断がことごとく間違っていた実績からも、対策は必要でしょう。





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