遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

オバマ大統領のアジア歴訪は、「リバランス(再均衡)政策」への再回帰強調が目的

2014-04-22 23:58:58 | EEZ 全般
 オバマ大統領は、明日夜の来日を皮切りに、韓国、マレーシア、フィリピンの4ヵ国を歴訪します。
 「リバランス(再均衡)政策」を打ち出しながら、第二次政権の誕生とともにその方向性が揺らぎ、パンダハガーの登場や、中国とのG2時代への取り組みが取りざたされる情勢が懸念されていました。
 しかし、今回の4ヵ国歴訪では、中国への牽制を表に出し、再度「リバランス(再均衡)政策」への取り組み強化をアピールするのだそうです。
 中国が強める脅威に直面する、日本やフィリピンの要請に応じながら、オバマ政権の重要政策である、輸出拡大による国内の雇用の増加を達成するための、TPP交渉の促進という米国の国益推進も目的なのですね。
 

オバマ大統領あす来日 日米、アジア関与強化へ (4/22 読売朝刊)

 日米両政府は23~25日のオバマ米大統領来日を機に、米国が安全保障、経済の両面でアジア太平洋地域への関与をより強めるため、基盤となる日米同盟をさらに強固にしていく決意をアピールしたい考えだ。東シナ海や南シナ海で威圧的な行動を強める中国を抑止
し、環太平洋経済連携協定(TPP)を通じて日米中心の新経済秩序に中国を引き込みたい思惑がある。

安保・経済 中国抑止狙う

 「わが国外交の基軸である
日米同盟の強靱さを内外に示してもらいたい

 岸田外相は21日、都内で講演し、24日に行われる
安倍首相とオバマ大統領の会談の意義
をこう強調した。
 オバマ政権はアジア太平洋地域を重視する
「リバランス(再均衡)政策」を表明しているものの、東南アジア諸国などの間には、軍事、経済両面における中国の急激な台頭で、米国が安全と繁栄を提供してきた地域秩序が今後、不安定化するのではないか
という懸念が生じている。
 
日米同盟を巡っても、昨年末の首相の靖国神社参拝を機に、両首脳間の連携を不安視
する見方がある。
 日米両政府が、強固な日米同盟をアピールしようとしているのは、
地域のこうした空気を払拭する狙い
からだ。
 日本は特に、中国による威圧的な行動が続く尖閣諸島を巡る問題で、米国の関与をさらに強いものにしたい考えだ。
 両首脳は、ロシアによるウクライナ南部クリミアの編入と尖閣問題を念頭に、「力による現状変更」に反対する考えで一致し、共同声明にも盛り込む見通しで、政府関係者は「
ウクライナ問題はアジアにおいても『対岸の火事ではない』
という考えを米国と共有できることは大きな成果だ」と強調する。
 日本側は、首相が意欲を見せている集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈見直しについて、米国のより明確な後押しを得ることに期待しており、大統領の発言に注目している。
 一方、
TPP交渉
について、岸田氏は講演で、「最後は大きな政治決断もあり得る」と述べた。
国内総生産(GDP)で世界1位の米国と、3位の日本がTPP交渉を通じてアジアの貿易・投資のルールを作ることができれば、
日米にとってアジア関与の新たな基盤ができ、経済的に中国との関係も深い東南アジア各国を日米の側に引き留めることができる
との見方が強い。
 外務省幹部は、「TPPが実現すれば、いずれ中国も従わなければならなくなるのではないか。日米主導の新経済秩序に中国を引き込む絶好の機会だ」と指摘している。

失地回復へ4か国歴訪 比と駐留協定調印も

 【ワシントン=今井隆】オバマ米大統領は22日にワシントンを出発し、29日まで日本、韓国、マレーシア、フィリピン4か国を歴訪する。アジア太平洋地域を重視する
「リバランス(再均衡)政策」の本気度を改めて地域に示すことに主眼を置き、アジアにおける米国の威信を保ちたい
考えだ。
 大統領は昨年10月にアジア歴訪を予定していたが、政府機能の一部停止の影響で中止を余儀なくされ、「アジア重視」に疑問符がついた。今回の歴訪には失地回復の意味合いもある。
 オバマ政権は昨秋、シリアへの軍事行動を宣言しながら腰砕けに終わり、最近ではロシアによるウクライナ南部クリミア編入を既成事実化させてしまった。今回の歴訪では、
東シナ海、南シナ海で中国の圧力にさらされている日本、フィリピンの防衛に関与する姿勢を重ねて強調することで、中国をけん制
する構えだ。
 フィリピン訪問時には、米軍の事実上の駐留に道を開く新軍事協定に調印する。
 
スーザン・ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日の記者会見で、「大統領の歴訪は、北朝鮮や領土を巡る論争に関し、米国がルールに基づく秩序への関与を確約する機会となる」と述べ、米国が、この地域の安全を維持する意志を強調
した。

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日米首脳会談の主なテーマと現状

TPP
 年内の交渉妥結に向け、日米で農産品や自動車の関税撤廃について協議中

安全保障
 集団的自衛権の行使に関する憲法解釈見直しの取り組みについて説明。日米防衛協力の指針(ガイドライン)の年内改定を目指す

中国
 日米の防衛相が力による現状変更を認めない認識で一致

ASEAN
加盟国の海洋監視能力向上のため、巡視船を供与
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オバマ氏政権浮揚狙う アジア歴訪成長取り込み期待

 【ワシントン=今井隆】オバマ米大統領が22日に出発するアジア4か国歴訪の訪問国のうち、日本を訪れるのは3回目、韓国訪問は4回目だ。マレーシアは米大統領としては1966年のジョンソン氏以来48年ぶり、フィリピンは2003年のブッシュ氏以来11年ぶりの訪問となる。両国の訪問により、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国のうち7か国を訪れることになる。
 日米関係に詳しいシーラ・スミス外交問題評議会上級研究員は、「大統領は米国が太平洋国家であると考え、長期的な利益からこの地域に焦点を当てている。短期的にはウクライナ情勢が重要だが、長期的な優先順位は変わらない」と指摘する。
 
安全保障上の最大の課題は軍事力を拡張する中国とどう向き合うか
だ。
 
中国は、東シナ海や南シナ海で中国の圧力にさらされている日本やフィリピンなどの同盟国を米国が本気で守るつもりがあるのかどうかを見極めようと、今回の大統領の歴訪を注視
している。歴訪中の発言は、中国の威嚇をはね返す強い意志を持っているかどうかを占うものとなりそうだ。
 一方、
大統領は歴訪により、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の進展を後押し
する構えだ。日本とマレーシアが交渉に参加し、韓国も参加を検討している。
 
ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日の記者会見で、「アジアでの貿易・投資拡大は、米国内の雇用創出、輸出拡大にとって根本的なものだ」と語り、TPP交渉の加速に期待感を示した。今回の歴訪は、具体的成果が乏しいとの見方が米国で広がっているが、アジアの成長を取り込むTPPの進展を政権浮揚の材料につなげたいとの思惑がある

 ケリー長官、スーザン・ライス大統領補佐官の登場で、クリントン長官時代に鮮明に打ち出された「リバランス(再均衡)政策」が揺らいで、中国に接近する姿勢が顕著になっていました。
 ライス大統領補佐官が言う、米国内の雇用創出の為の輸出拡大に、中国の市場が欠かせないからでした。
 それが、先日のヘーゲル国務長官の日本や中国訪問で、中国牽制の強い態度がしめされたのに続いて、オバマ大統領の4ヵ国歴訪でも、中国牽制の姿勢を掲げるというのです。
 ライス大統領補佐官が、俄かに宗旨変えするとは思えず、ライス大統領補佐官の言うアジアの中には、中国が含まれていると考えている疑い深い遊爺ですが、一方で、ライス大統領補佐官が東シナ海・南シナ海の安全を維持する意志を強調したことは、変化を感じて、再度のアジア回帰に期待を持ち始めています。
 親中派のライス大統領補佐官が、心変わりしたのだとすれば、何が理由なのか、知りたいところです。

 TPPの日米交渉の合意が進展しなければ、あす夜の会食はしないとオバマ大統領が言っているとかの報道がありました。
 合意の進展はないようすですが、会食はなされるのか、来日の間や歴訪の間に、どのような発言があるのか、対中牽制は本気なのか、注目が必要ですね。



 # 冒頭の画像は、国連大使から大統領補佐官に任命された時の、スーザン・ライス氏




  この花の名前は、キレンゲショウマ  撮影場所;六甲高山植物園 (2013年 9月撮影)


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