遊爺雑記帳

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債務の罠で国家破綻したスリランカ 一方の中国にも巨額貸し倒れリスクが

2022-07-20 01:33:33 | 中国 全般
 スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が、国家破綻宣言をして、大統領職を放棄し、モルディブに脱出しました。
 スリランカが「債務の罠」に犯され、ハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされるなど、その窮状はかねてより指摘されていましたが、国家のデフォルトという現実に至ってしまいました。
 スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめてみると、企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなる。
 同様に、中国も蒼ざめていると、近藤大介氏。
 今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられるが、スリランカ同様に、中国からの投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースは、47ヵ国に上ると近藤氏。
 
巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ 東アジア「深層取材ノート」(第146回) | JBpress (ジェイビープレス) 2022.7.19(火) 近藤 大介

 先週7月13日未明に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領がモルディブに脱出し、大統領職を辞すという驚愕の展開を見せたスリランカ日本では、「中国が借金漬けにした結果、『債務の罠』にハマって国家破綻した」という「中国悪者論」が主流になっている。

 だが、スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめるとどうなるか。企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなるだろう。

 
同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。

 威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに会っている。ラジャパクサ政権が中国と一蓮托生であることが窺い知れる。

「第二、第三のスリランカ」が現れれば中国経済も甚大なダメージが
 7月14日には、
威振宏大使が主催して、オンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」を開いた参加したのはスリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らである。

 会議の詳細は伝わってこないが、
ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いない。こうしたスリランカ在住の官民の動きを見ても、「銀行役」の中国が、大いに悩んでいることが窺い知れるのである。今後、8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休すだ。

 そのようなスリランカの状況を見ていると、
今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。

途上国への投資をストップできない中国の立場
 
それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。

 
だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。

 
昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。

 その報告書によれば、
中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。

中国による投資額がGDPの10%超となる国が47カ国も
 そこで、この報告書を改めて読み込んで、
中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみた。すると、計47カ国もあることが判明した。

 それを
「ハイリスク順」に並べ、中国の投資総額を示すと、以下の通りだ。

              (GDP比)(投資総額/単位・億ドル)
1.ラオス          64.8%  122
2.コンゴ          53.4%  62
3.ギニア          49.7%  52
4.アンゴラ         49.5%  523
5.ジプチ          48.5%  15
6.モルディブ        40.3%  15
7.トンガ          35.4%  1.6
8.スリナム         34.0%  9
9.ザンビア         32.5%  79
10.キルギス         31.6%  23
11.モザンビーク       31.5%  41
12.サモア          29.9%  2.5
13.スーダン         28.3%  118
14.タジキスタン       27.0%  23
15.トルクメニスタン     24.7%  89
16.バヌアツ         22.5%  1.9
17.ベネズエラ        21.5%  910
18.ジンバブエ        21.0%  30
19.アンティグア・バーブーダ 19.7%  68
19.カンボジア        19.7%  48
19.シエラレオネ       19.7%  7.7
22.モンテネグロ       18.7%  10
23.モンゴル         17.9%  21
24.カザフスタン       17.5%  304
25.コンゴ民主共和国     17.4%  46
26.パプアニューギニア    17.2%  39
27.エリトリア        16.9%  9
28.エチオピア        15.5%  154
29.エクアドル        15.4%  150
30.ベラルーシ        14.6%  79
30.南スーダン        14.6%  21
32.ナミビア         14.5%  17
33.ガボン          14.4%  23
34.カメルーン        13.9%  54
35.ドミニカ         13.7%  0.6
36.ブルネイ         13.5%  17
36.イラン          13.5%  134
38.トーゴ          13.2%  9.8
39.ミャンマー        12.1%  81
39.スリランカ       12.1%  107
41.ウズベキスタン      11.6%  75
42.ジャマイカ        11.2%  15
42.ニジェール        11.2%  14
44.モーリタニア       11.0%  7.5
45.ケニア          10.7%  93
46.カーボベルデ       10.3%  1.7
47.セネガル         10.2%  24

 以上である。
47カ国で計3747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円! 

 特に、
中国と国境を接するラオスは、昨年12月3日、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりであり、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えるだろう。

 重ねて言うが、
コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、発展途上国は軒並み、経済危機に瀕しているだが同時に、「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずなのである。


 威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使が主催して、7月14日にオンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」が開催され、スリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らが参加したのだそうです。

 8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休す。
 会議の詳細は伝わってこないが、ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いないと近藤氏。

 3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っている。今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられると。
 それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。
 だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる。

 昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表。
 その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったと近藤氏。
 中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみたら、計47カ国が該当。
 ハイリスク順では、スリランカは、39位。
 つまり、38ヵ国がスリランカ以上の危機をはらんでいる。中国と国境を接するラオスは、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えると近藤氏。
 
 47ヵ国への中国の債権額合計は、3,747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円。
 「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずだと。

 勿論中国とてぬかりがある筈はなく。スリランカのハンバントタ港を担保にして抑え、インドへの包囲網としての「真珠の首飾り」の重要な拠点として獲得。中東とのシーレーンの重要拠点てして獲得しています。
 むしろ、この獲得の為の強引な債権造りだったとも言えなくないと、遊爺の素人発想。

 ただ、武漢が発生元のコロナ蔓延や、プーチンのウクライナ侵攻による、小麦の食料危機や対露制裁による石油やLPG価格暴騰の経済危機は想定外。
 中国国内経済も混迷。反習近平勢力も台頭。今秋の党大会が注目されていますね。



 # 冒頭の画像は、スリランカ大統領を辞したゴダバヤ・ラジャパクサ氏(右)と、妻のアヨマ氏(左)




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