遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の台頭に対し、日本には長期的視野に立った対中戦略がない

2014-03-13 23:58:58 | 日本を護ろう
 中国の「歴史認識」を御旗に建てて、戦勝国に対し敗戦国の日本が、戦勝によって打ち立てた戦後の秩序を壊そうとしているというプロパガンダが世界に浸透しつつあります。韓国もそのお尻にくっついて捏造した独自の歴史認識の告げ口外交を広めています。
 世界のひとびとは、どのように観ているのでしょう。
 日本での記者活動が19年になる英ザ・タイムズ紙リチャード・ロイド・パリー支局長が、インタビューに答えている記事がありました。
 英国人ならではのバランス感覚を感じさせ、日本をよく知るが故の意見として傾聴すべき点も多いとのインタビュアー氏の注釈もあり、傾聴してみました。
 

対中外交積極的姿勢で ザ・タイムズ紙 東京支局長 リチャード・ロイド・パリー氏 (3/13 読売 編集委員が迫る)

 
安倍首相の昨年末の靖国神社参拝は中国、韓国の反発ばかりでなく、米国の「失望」も引き起こした。日本での記者活動が19年になる英ザ・タイムズ紙リチャード・ロイド・パリー支局長に安倍政権はどう映っているか。政権の外交政策や歴史認識を中心に考えを聞いた。(聞き手 三好範英)

■靖国参拝の影響
 ━━靖国神社参拝は日米関係に否定的な影欝を与えたか。
 「それは在日米国大使館の非常に素早い反応を見ても明らかだ。私の取材では、安倍氏が首相に就いてから、
米国は靖国参拝をしないように説得を試みていた。私自身は端国参拝だけならそれほど心配しないし、これまでのところ、深刻に懸念される段階には至っていない。しかし、先の戦争は侵略ではなかった、アジア解放のための戦いだった、という考えを政府中枢の人たちが推し進め、河野談話、村山談話を後退させたり撤回したりすれば、明らかに逆行と受け取られる。米欧に幻滅と当感を引き起こす真の危険がある

 ━━なぜ米欧が日本に幻滅することになるのか。
 「英国のことを話せば、最初に私が日本に関心を持った10代の頃は、祖父の世代で
日本軍と戦った人たちの考えは、日本軍の行為は残忍で許せないというものだった
。普通の英国人は日本に非常に懐疑的なイメージを持っていた。しかし、その頃から日本のイメージは大きく変わった。今では日本は世界に貢献する国と見られ、高度な技術への興味と評価は高く、関心は映画、文学から漫画、アニメに至るまで広がった」
 「例えば
尖閣諸島を巡る問題も、2012年の国有化で問題が始まった当初、英国民は本能的に日本に同情的だった。共産主義体制の中国と、民主主義体制の日本の違いは明らかだったからだ。しかし、独裁体制と民主主義の対立が、ナショナリズムや非寛容が台頭する、二つの同様な国の間の対立
と見なされるようになる恐れがある」

■拡張への備え
 ━━中国の拡張政策に日本も備えざるを得ない。
 「
世界中の国が中国とどう関わればよいのか解答を求めている。特に日本にとっては中国の必然的な台頭は、何世代にもわたって唯一かつ最大の外交上の難問となる。しかし、日本には長期的視野に立った対中戦略がないように見える。日本は常に受け身だ。尖閣への主張を中国が強めれば、それに対し反応するだけで、主導権を取る動きは見えない。安全保障上の米国の後ろ盾は必要だが、もっと積極的に中国に関与することが必要だ


 ━━中韓は世界的な反日キャンペーンを行っている。
 「駐英中国大使は英デイリー・テレグラフ紙に靖国神社参拝を批判した寄稿をした。内容的に乱暴なものだったが、やり方はうまい。ベストセラー小説『ハリー・ポッター』の悪役ヴォルデモート卿に日本を例えたのは、英メディアの注目を引いた。日本大使の反論は『中国こそヴォルデモート卿だ』だった。
テニスで打ち返すときは、スピンを付けて強力なボールでなければならない。そんなことも中国がイニシアチブを取っている印象
を与えてしまう」

心に届く行動必要

 ━━歴史認識問題を解決する方策はあるだろうか。
 「英国には1990年代までは、日本に謝罪と補償を求める元戦争捕虜のグループが存在した。こうしたグループを日本に招待する事業も行われた。日本に実際に来ると、日本人の親切、礼儀正しさに魅了されたこともあり、今では戦争捕虜の問題は解消した。
日本の対外広報活動で効果があるのは、人々を日本に連れてくることだ。それが成功したのは、村山、河野談話があったからでもある。日本も実際に深く謝罪している、ここに証拠がある、と見せる
ことができたからだ」
 「安倍氏やその支持者が、これらの談話の歴史的な根拠を誠実に問おうとしていることは疑わない。しかし、仮に
自分たちが正しいと考えても、甚だしい国益の損失が生じるかもしれないならば、見直す価値があるのかよく考えなければならない


■高まるいらだち
 ━━しかし、日本国民には中韓の頑なな対日姿勢にいらだちが高まっている。
 「一概には比較できないが、
ドイツの例は参考になる。和解は謝罪と補償だけでは十分ではなく何らかの象徴、つまり、相手の耳にではなく心に届く行動が必要だ
。具体的な例が、プラント元西独首相が70年、ポーランド・ワルシャワの旧ユダヤ人居住区(ゲットー)の記念碑前で跪いた行為だ。日本人、特に若い世代にもどかしさやいらだちが高まっているのは理解するが、今日本が謝罪の念を示す行為をあきらめてしまうならば残念だ」
 ━━集団的自衛権の解釈変更や憲法改正についてはどう考えるか。
 「日本はイラク復興のため南部サマワに自衛隊を派遣(2003~09年)したが、(サマワの治安維持を担当した)
英軍が攻撃を受けたのに、その場にいた自衛隊が助けない、ということが仮に起こっていたら、集団的自衛権行使の権限がないことが、非常に深刻な結果となる可能性があった集団的自衛権の解釈変更について、欧米で異論を唱える人はいない

 「改憲派の一つの根拠は、自衛隊は現実に存在する、憲法は現実を反映しなければならない、という議論だ。他方、これほどまで豊かで洗練され、先進的な国が戦争放棄を掲げているのは、世界史の中で極めて貴重であり捨て去ることはできない、とする考えがある。両方の立場が相手の主張に耳を傾け、真摯な議論を行わねばならないが、今は互いに主張を叫ぶだけだ」
 ━━日本は右傾化していると思うか。
 「安倍氏に個人的な信念があることは分かる。しかし、政治的リーダーシップは、本人の信念ではなく、国や国の未来のために発揮すべきものだ。日本人は変化に対して非常に慎重という意味で保守的な国民だ。日本社会全体が極端に右傾化しているとは思わない。安倍氏の個人的なナショナリズムの信念は、日本国民の慎重さと賢明さによって抑制されたものになると思う」

工夫の余地ある

 
安倍政権に対して欧米メディアには厳しい評価がある
が、ロイド・パリー氏の見方は英国人ならではのバランス感覚を感じさせる。全ての見解が正鵠を射ているとは思わないが、日本をよく知るが故の意見として、傾聴すべき点も多い。
 ロイター通信によると、中国の習近平国家主席が今月、訪独する予定で、ベルリン中心部にあるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)慰霊碑訪問を独側に打診した。「戦争をドイツは反省したが、日本はしていない」という反日キャンペーンに利用しようということだろう。
なりふり構わぬ中国にどう対応するか、日本としてまだ工夫の余地がある、という氏の意見はその通りだと思う。 (三好)

 かつての英国では、日本軍と戦った人たちの考えは、日本軍の行為は残忍で許せないというものだった。1990年代までは、日本に謝罪と補償を求める元戦争捕虜のグループが存在した。しかし、今では、日本のイメージは大きく変わって、日本は世界に貢献する国と見られ、高度な技術への興味と評価は高く、関心は映画、文学から漫画、アニメに至るまで広がったとのことです。
 第一次大戦では日英同盟で結ばれていたことで、ちょっぴり親しみを感じている英国ですが、第二次大戦で戦った傷は、なかなか消えずに残っていたのですね。今でも完全に消えたとは言えない。
 そうした戦勝国の人々の記憶にうまく付け入ろうとしている戦術は、うまいやりかただとlリチャード・ロイド氏も言っておられますし、現実に成功しています。
 英国民は尖閣問題については、当初は、共産主義体制の中国と、民主主義体制の日本の違いから日本に同情的だったが、ナショナリズムや非寛容が台頭する、二つの同様な国の間の対立と見なされるようになる恐れが出てきたというのです。

 ここで尖閣問題のスタートが、中国の主張する日本による国有化の時点と捉えているところが既に中国のプロパガンダに犯されていますね。
 スタートはその前で、中国が勝手に国内法で尖閣を自国の領土と宣言し、更には核心的利益と放言し、公船による領海侵犯を始めたのが問題の深刻化の発端です。尖閣の前には、東シナ海のEEZ境界線でガス田開発を始め、日本側の資源も吸い取ろうとしました。
 こうしたことが置き去りにされているのは、リチャード・ロイド氏が指摘されるように、日本側は常に中国の仕掛けの後追いで、中長期の戦略がないことによるのですね。
 「テニスで打ち返すときは、スピンを付けて強力なボールでなければならない。」との指摘は、世界の常識を教えていただいたと言えます。
 しかし同時に、「自分たちが正しいと考えても、甚だしい国益の損失が生じるかもしれないならば、見直す価値があるのかよく考えなければならない」と、外交情勢の機敏な見分けの指摘も!
 大勢を占める戦勝国の感情は、真実の追及だけでなく配慮が必要ということですね。だからと言って中韓の捏造した歴史認識の喧伝を放置するわけにはいきませんが、同じ土俵で騒いでも、日本への信頼が低下し、中韓と同類の国と見なされてしまうのですね。

 リチャード・ロイド氏が提案される、戦争での日本のイメージを脱していない人々を日本に連れてくるという方法と、謝罪と補償での和解ではなく、心に届く行動は、俯瞰した眼でのアドバイスとして聞き入れるべき言葉ですね。後者は、中韓に対しては何度も繰り返していることで、通用するかが問題なのですが。



 # 冒頭の画像は、尖閣沖の海監と海保巡視船




  この花の名前は、レイジンソウ  撮影場所;六甲高山植物園 (2013年 9月 撮影)


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2 コメント

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当たり前の事 (正義)
2016-07-05 03:01:33
日本でくだらない事かいてる暇あったら、シティの心配でもしたら(笑)
カネなるし、有名になりたいんでしょ。
ただ、白人のグレイブリトンの上から、見下してるだけね。日本の読者バカにしない事ね。
S.やI 独立したら、君らただの斜陽国だよ。もっともイギリス帰っても相手にされないか。隠居したら。
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当たり前の事 (正義)
2016-07-05 02:45:39
この男、バリーてのさして能力もなく、まともな事件を扱えない。ジャーナリストというより、なんとか実話、の程度。それゆえ、くだらない事を何度もむしかえし、話題にしようとする、悪質マスの典型。なんとか食いたいんだろうが、マスメディアでも、誰にも相手にされない。はやく、帰って隠居したら。ばかにされてるよ、あんた。
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