中国はデフレの瀬戸際にある。追加の景気刺激策が必要だとウォール街のエコノミストは訴えているが、中国政府がすぐにも思い切った措置を講じることはなさそうだと、ジャッキー・ウォン。
西側諸国の多くがここ数年インフレと闘い続けている一方、中国では反対にデフレ圧力が高まっていると。
食品とエネルギーを除くコアCPIは0.3%上昇にとどまった。GDPデフレーターでみた中国経済は、すでに5四半期連続でデフレに陥っている。
住宅市場の低迷が中国経済全体に重くのしかかっている。不動産開発や素材などの関連部門は投資を抑制。家計は、財布のひもを締めている。個人消費の減少が物価を押し下げており、これが企業収益を圧迫して賃金低下を招く。
モルガン・スタンレーのアナリストは最近のメモで、デフレは今や中国にとって「社会の敵ナンバーワン」とまで言い切った。
中国政府は家計向けの刺激策を実施して消費を促す代わりに、製造業部門を支援することを選んだ。その結果、多くの部門が過剰生産能力を抱えることになり、それが国外市場に流れ込んでいる。
過剰生産能力が物価をさらに圧迫している。中国の卸売物価指数(PPI)は2年近くマイナスが続いていると、WSJ・ジャッキー・ウォン。
中国の輸出急増に多くの国が懸念を強め、電気自動車(EV)などの分野で貿易障壁が設けられた。輸出一本で成長をけん引し続けるのはますます難しくなる可能性があるとも。
そもそも製造業や輸出への投資拡大は、問題の根本原因である住宅市場低迷への対処にはならない。売れ残ったマンションを買い取って手頃な価格で提供する政策が5月に発表された。
ただ、買い取りを担う地方政府は土地使用権の売却や税収の減少で大きな打撃を受けており、資金的な余力は乏しい。
しかし、今はまだ、中央政府がより踏み込んだ措置に出る可能性は低そうだと、ジャッキー・ウォン。
産業支援には、長期的な生産能力を構築できるというメリットがある。EVや新エネルギー技術など、戦略上重要な先端産業を中心に生産を支援することは、「ナショナル・チャンピオン(国を代表する大手企業)」の創出にも一役買っている。これは中国の産業政策の主要目標でもあると。
いつかは経済の痛みが限界に達し、より思い切った措置を取らざるを得なくなる公算が大きい。地方交付金を増やして不動産問題の解消を支援するのも手だ。
それでも中国は、内需などが主導する持続可能性の高い経済に移行することはないだろうと、ジャッキー・ウォン。
移行には、大々的な構造改革のみならず、中央政府が考え方を根本的に変えることが必要になる。
状況が今よりはるかに悪化しない限り、中国で真の変化が起きることはないだろうと、ジャッキー・ウォン。
バブル崩壊で、長期デフレ経済に陥った日本と同じ道をたどるのでしょうか。
日本では、安倍政権が「アベノミクス」を採用・実施。成長経済に転じました。
中国経済の成長をけん引した、鄧小平の政策を継承した共青団派が追放された中国共産党。
日本の様に、共青団派が復権して、経済成長の道を取り戻せるのでしょうか?
# 冒頭の画像は、東京都内の近くの高層マンションに住む中国人の間で人気の四川料理店
中国から日本へ、富裕層の脱出が加速 - WSJ
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西側諸国の多くがここ数年インフレと闘い続けている一方、中国では反対にデフレ圧力が高まっていると。
中国が放置するデフレスパイラル危機 - WSJ By ジャッキー・ウォン 2024年9月17日
中国はデフレの瀬戸際にある。追加の景気刺激策が必要だとウォール街のエコノミストは訴えているが、中国政府がすぐにも思い切った措置を講じることはなさそうだ。
西側諸国の多くがここ数年インフレと闘い続けている一方、中国では反対にデフレ圧力が高まっている。8月の中国消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.6%上昇したが、これは異常気象の影響を受けた食品価格が主因だった。食品とエネルギーを除くコアCPIは0.3%上昇にとどまった。類似の物価指標にGDPデフレーターがある。これは名目国内総生産(GDP)と実質GDPの差を示し、幅広い物価動向を反映する。GDPデフレーターでみた中国経済は、すでに5四半期連続でデフレに陥っている。
住宅市場の低迷が中国経済全体に重くのしかかっている。不動産開発や素材などの関連部門は投資を抑制。長らく不動産が主な資産形成手段だった家計は、財布のひもを締めている。個人消費の減少が物価を押し下げており、これが企業収益を圧迫して賃金低下を招く。こうした悪循環に陥れば、デフレが長引くリスクがある。モルガン・スタンレーのアナリストは最近のメモで、デフレは今や中国にとって「社会の敵ナンバーワン」とまで言い切った。
中国卸売り物価指数 グラフ
中国政府は家計向けの刺激策を実施して消費を促す代わりに、製造業部門を支援することを選んだ。その結果、多くの部門が過剰生産能力を抱えることになり、それが国外市場に流れ込んでいる。中国の輸出は拡大し、8月は前年同月比8.7%増となったが、過剰生産能力が物価をさらに圧迫している。中国の卸売物価指数(PPI)は2年近くマイナスが続いている。
中国の輸出急増に多くの国が懸念を強め、電気自動車(EV)などの分野で貿易障壁が設けられた。輸出一本で成長をけん引し続けるのはますます難しくなる可能性がある。
そもそも製造業や輸出への投資拡大は、問題の根本原因である住宅市場低迷への対処にはならない。売れ残ったマンションを買い取って手頃な価格で提供する政策が5月に発表された。住宅在庫を減らすという点で方向性は正しい。ただ、買い取りを担う地方政府は土地使用権の売却や税収の減少で大きな打撃を受けており、資金的な余力は乏しい。
それでも、少なくとも今はまだ、中央政府がより踏み込んだ措置に出る可能性は低そうだ。政府は財政刺激で消費を直接押し上げることに後ろ向きで、応急措置に過ぎないと考えている。一方で産業支援には、長期的な生産能力を構築できるというメリットがある。EVや新エネルギー技術など、戦略上重要な先端産業を中心に生産を支援することは、「ナショナル・チャンピオン(国を代表する大手企業)」の創出にも一役買っている。これは中国の産業政策の主要目標でもある。
いつかは経済の痛みが限界に達し、より思い切った措置を取らざるを得なくなる公算が大きい。地方交付金を増やして不動産問題の解消を支援するのも手だ。
それでも中国は、内需などが主導する持続可能性の高い経済に移行することはないだろう。国外のアナリストやエコノミストは、10年以上前から移行の必要性を唱えてきた。だが移行には、大々的な構造改革のみならず、中央政府が考え方を根本的に変えることが必要になる。
状況が今よりはるかに悪化しない限り、中国で真の変化が起きることはないだろう。
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ジャッキー・ウォンは、アジアのビジネスと市場をカバーするハード・オン・ザ・ストリートのコラムニストです。以前は、香港のジャーナルのマーケットトークレポーターでした。彼はBNPパリバのトレーダーとしてキャリアをスタートさせました。
中国はデフレの瀬戸際にある。追加の景気刺激策が必要だとウォール街のエコノミストは訴えているが、中国政府がすぐにも思い切った措置を講じることはなさそうだ。
西側諸国の多くがここ数年インフレと闘い続けている一方、中国では反対にデフレ圧力が高まっている。8月の中国消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.6%上昇したが、これは異常気象の影響を受けた食品価格が主因だった。食品とエネルギーを除くコアCPIは0.3%上昇にとどまった。類似の物価指標にGDPデフレーターがある。これは名目国内総生産(GDP)と実質GDPの差を示し、幅広い物価動向を反映する。GDPデフレーターでみた中国経済は、すでに5四半期連続でデフレに陥っている。
住宅市場の低迷が中国経済全体に重くのしかかっている。不動産開発や素材などの関連部門は投資を抑制。長らく不動産が主な資産形成手段だった家計は、財布のひもを締めている。個人消費の減少が物価を押し下げており、これが企業収益を圧迫して賃金低下を招く。こうした悪循環に陥れば、デフレが長引くリスクがある。モルガン・スタンレーのアナリストは最近のメモで、デフレは今や中国にとって「社会の敵ナンバーワン」とまで言い切った。
中国卸売り物価指数 グラフ
中国政府は家計向けの刺激策を実施して消費を促す代わりに、製造業部門を支援することを選んだ。その結果、多くの部門が過剰生産能力を抱えることになり、それが国外市場に流れ込んでいる。中国の輸出は拡大し、8月は前年同月比8.7%増となったが、過剰生産能力が物価をさらに圧迫している。中国の卸売物価指数(PPI)は2年近くマイナスが続いている。
中国の輸出急増に多くの国が懸念を強め、電気自動車(EV)などの分野で貿易障壁が設けられた。輸出一本で成長をけん引し続けるのはますます難しくなる可能性がある。
そもそも製造業や輸出への投資拡大は、問題の根本原因である住宅市場低迷への対処にはならない。売れ残ったマンションを買い取って手頃な価格で提供する政策が5月に発表された。住宅在庫を減らすという点で方向性は正しい。ただ、買い取りを担う地方政府は土地使用権の売却や税収の減少で大きな打撃を受けており、資金的な余力は乏しい。
それでも、少なくとも今はまだ、中央政府がより踏み込んだ措置に出る可能性は低そうだ。政府は財政刺激で消費を直接押し上げることに後ろ向きで、応急措置に過ぎないと考えている。一方で産業支援には、長期的な生産能力を構築できるというメリットがある。EVや新エネルギー技術など、戦略上重要な先端産業を中心に生産を支援することは、「ナショナル・チャンピオン(国を代表する大手企業)」の創出にも一役買っている。これは中国の産業政策の主要目標でもある。
いつかは経済の痛みが限界に達し、より思い切った措置を取らざるを得なくなる公算が大きい。地方交付金を増やして不動産問題の解消を支援するのも手だ。
それでも中国は、内需などが主導する持続可能性の高い経済に移行することはないだろう。国外のアナリストやエコノミストは、10年以上前から移行の必要性を唱えてきた。だが移行には、大々的な構造改革のみならず、中央政府が考え方を根本的に変えることが必要になる。
状況が今よりはるかに悪化しない限り、中国で真の変化が起きることはないだろう。
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ジャッキー・ウォンは、アジアのビジネスと市場をカバーするハード・オン・ザ・ストリートのコラムニストです。以前は、香港のジャーナルのマーケットトークレポーターでした。彼はBNPパリバのトレーダーとしてキャリアをスタートさせました。
食品とエネルギーを除くコアCPIは0.3%上昇にとどまった。GDPデフレーターでみた中国経済は、すでに5四半期連続でデフレに陥っている。
住宅市場の低迷が中国経済全体に重くのしかかっている。不動産開発や素材などの関連部門は投資を抑制。家計は、財布のひもを締めている。個人消費の減少が物価を押し下げており、これが企業収益を圧迫して賃金低下を招く。
モルガン・スタンレーのアナリストは最近のメモで、デフレは今や中国にとって「社会の敵ナンバーワン」とまで言い切った。
中国政府は家計向けの刺激策を実施して消費を促す代わりに、製造業部門を支援することを選んだ。その結果、多くの部門が過剰生産能力を抱えることになり、それが国外市場に流れ込んでいる。
過剰生産能力が物価をさらに圧迫している。中国の卸売物価指数(PPI)は2年近くマイナスが続いていると、WSJ・ジャッキー・ウォン。
中国の輸出急増に多くの国が懸念を強め、電気自動車(EV)などの分野で貿易障壁が設けられた。輸出一本で成長をけん引し続けるのはますます難しくなる可能性があるとも。
そもそも製造業や輸出への投資拡大は、問題の根本原因である住宅市場低迷への対処にはならない。売れ残ったマンションを買い取って手頃な価格で提供する政策が5月に発表された。
ただ、買い取りを担う地方政府は土地使用権の売却や税収の減少で大きな打撃を受けており、資金的な余力は乏しい。
しかし、今はまだ、中央政府がより踏み込んだ措置に出る可能性は低そうだと、ジャッキー・ウォン。
産業支援には、長期的な生産能力を構築できるというメリットがある。EVや新エネルギー技術など、戦略上重要な先端産業を中心に生産を支援することは、「ナショナル・チャンピオン(国を代表する大手企業)」の創出にも一役買っている。これは中国の産業政策の主要目標でもあると。
いつかは経済の痛みが限界に達し、より思い切った措置を取らざるを得なくなる公算が大きい。地方交付金を増やして不動産問題の解消を支援するのも手だ。
それでも中国は、内需などが主導する持続可能性の高い経済に移行することはないだろうと、ジャッキー・ウォン。
移行には、大々的な構造改革のみならず、中央政府が考え方を根本的に変えることが必要になる。
状況が今よりはるかに悪化しない限り、中国で真の変化が起きることはないだろうと、ジャッキー・ウォン。
バブル崩壊で、長期デフレ経済に陥った日本と同じ道をたどるのでしょうか。
日本では、安倍政権が「アベノミクス」を採用・実施。成長経済に転じました。
中国経済の成長をけん引した、鄧小平の政策を継承した共青団派が追放された中国共産党。
日本の様に、共青団派が復権して、経済成長の道を取り戻せるのでしょうか?
# 冒頭の画像は、東京都内の近くの高層マンションに住む中国人の間で人気の四川料理店
中国から日本へ、富裕層の脱出が加速 - WSJ
この花の名前は、ジニアプロフュージョン
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月刊Hanada2024年2月号 - 花田紀凱, 月刊Hanada編集部 - Google ブックス