遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米国とサウジの同盟 悪化の改善の春はまだ遠い

2016-04-22 23:58:58 | my notice
 世界同時株安の不況の原因は、東洋の中国経済の減速と、サウジが仕掛けた原油価格戦争による価格暴落との考えは定着してきていますね。
 そして、社会不安が、その改善を妨げています。社会不安の元凶は、東洋では、中国の南シナ海での人口島作成に象徴される、力による覇権拡大での領土争い。西洋では、ロシアの力によるウクライナ侵略。中東・アラブでは、自称イスラム国の台頭による政情混乱。「アラブの春」で国々の統治変革が伝播し、シリアに至った時、関連諸国のその対応で分裂が生じ、混乱の収拾がつかないまま、戦火が広がりました。そして、大量の移民が欧州に押し寄せ、欧州各国の社会を、テロの伝搬とともに揺さぶっています。
 これら全てに共通するのは、米国が世界の警察の役割を放棄したことでもたらされた空白の発生と、そのことで生じた混乱での、オバマ政権の判断と行動がその混乱を増幅させたことにあるのですね。

 中国の経済減速とオバマ政権の政策とは直接の関係はありませんが、東洋の領土に絡んだ安全保障の混乱は、中国の国際法を無視した、力ずくの覇権拡大が原因で、オバマ政権がアジア回帰と言いつつも、関与があいまいで、中国のやりたい放題が進んでいるからですね。
 例えば、南シナ海の人口島では、習近平との対話路線を謳いながら、埋め立てが完成し、基地の建造が始まるまで放置し、対話が拒絶され、「航行の自由作戦」を始めても、実際の行動は数度のデモにとどまったまま放置され、中国は着々と基地化を進めています。
 ウクライナへのロシアの侵略も、膠着したままです。
 
 そして、中東・アラブ。和平へ向けた動きでは、最近は、シリアのアサド政権を支援するロシアが主導権を持って進められている感があります。
 そんな中、任期終了を控えたオバマ大統領がレジェンド造りの一環で、湾岸協力会議(GCC幹)加盟6か国との首脳会議に出席したのだそうです。
 サウジ等のアラブ諸国との関係修復と、自称イスラム国対策への結束推進が目的。
 

米・サウジ揺らぐ同盟 湾岸諸国と会議 「イスラム国」掃討に影 中東との和解遠く (4/22 読売 朝刊)

 【リヤド=本間圭一、ロンドン=尾関航也】オバマ米大統領は21日、サウジアラビアの首都リヤドで、湾岸協力会議(GCC幹)加盟6か国との首脳会議に出席した。イスラム過激派組織「イスラム国」の掃討などで共闘の方針を確認したい考えだが、イランの核合意などを機に広がった米・アラブ間の隔たり
は解消されておらず、就任当初に掲げた中東との「歴史的和解」も暗礁に乗り上げたままだ。

笑顔の裏で
 オバマ氏は首脳らとの記念撮影の際、サウジのサルマン国王と並ぶ位置に立った。だが、にこやかな表情とは裏腹に、2人が親しげに言葉を交わすことはなかった。あまり視線を合わせなかったようにも見えた。リヤドの外交筋は「
国王は本音では、オバマ大統領を信頼できる話し相手と思っていない
」と語った。
 
米、サウジ両国の同盟関係は、サウジが石油を安定供給し、米国が安全保障を担う形で約80年間も続いてきたが、最近は「極度の緊張状態」(米誌タイム)と言われるほど関係が悪化
している。
 
原因は米国とイランの接近だ。オバマ氏は2009年の就任後、敵対国との対話を模索する「関与政策」で、イスラム教シーア派のイランと核協議を重ね、核合意を実現した。米国は今年1月、見返りとして対イラン経済制裁の解除に踏み切った。イランを「宿敵」とするサウジなどスンニ派諸国は不安を募らせた


「ただ乗り」発言
 さらに、
オバマ氏は先月、米誌アトランティックのインタビューで、サウジなどを「ただ乗り国家」と批判した。経済力に恵まれ、アラブ諸国の中で指導的立場にありながら、中東全体の安定に十分尽力していないとの不満を語ったものだが、激しい反発
を招いた。
 サウジの元総合情報庁長官トゥルキ・ファイサル氏は、「あなたは我々を傷付けるだけでなく、侮辱した」とオバマ氏を批判している。
 こうした不協和音は、シリアとイラクにまたがる領域を拠点とする「イスラム国」の壊滅へ向けた協調にも影を落とす。
 パリ同時テロなどを受け、
オバマ政権は「イスラム国」掃討を急ぐ必要に迫られているが、サウジ側はシリア情勢を巡って「アサド政権の打倒が先決」と主張する。シーア派の一派アラウィ派出身のアサド大統領を、イランが支援
していることが背景にある。
 オバマ氏は今回の首脳会議で「イスラム国」対策を主要議題にとりあげ、掃討作戦への関与拡大を各国に促す見通しだ。しかし、外交筋によると、GCC諸国が、空爆以上の積極的な対策に踏み込む可能性は低い。

誤算の連続
 オバマ氏は09年6月、カイロでの演説で、イスラム世界との「新たな始まり」を宣言。相互の利益に根ざす協力関係の構築を呼び掛けたが、その後の中東の現実は、シナリオ通りとはならなかった。
 最大の誤算は、チュニジアを震源に10年に始まった民衆蜂起「アラブの春」が各国に飛び火し、騒乱が広がったことだが、
オバマ氏自身の不手際
が混乱に拍車をかけた面もある。
 11年末に米軍をイラクから完全撤退させたことについては、地域に「力の空白」を生み、「イスラム国」など過激派の勢力拡大を招いたとの批判が根強い。

 *GCC=Gulf Cooperation Council


 敵対国との対話を模索する「関与政策」を進めるオバマ氏は、レジェンド造りの一環で、イスラム教シーア派のイランと核協議を重ね、核合意を実現し経済制裁を解除ました。しかしそれは、スンニ派の盟主サウジにとっては、約80年続いていた同盟関係を裏切る行為なのです。
 世界の原油価格についても、主導権の座を巡って米国に価格戦争を展開するサウジ。悪化している両国関係の修復は、今回のオバマ大統領の会議参加では、改善の兆しは見られなかった様です。
 先の、ロシアが参加しての、原油増産制限交渉も成果がありませんでした。
 
焦点:消えた石油増産凍結、サウジが態度を翻した理由 | ロイター

 中東・アラブ諸国の世界での混迷も、改善の見通しはたたない様子です。世界経済、安全保障の混迷は、出口は見えて来ませんね。世界の春はまだ遠い。


 # 冒頭の画像は、リヤドの米・湾岸協力会議(GCC)首脳会合に臨むオバマ米大統領(左から6人目)とサウジアラビアのサルマン国王(同7人目)ら各国首脳




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