遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米中協議「決裂」の真相

2019-05-25 00:23:06 | 中国 全般
 一旦は妥結の見込みが報道されていながら決裂した米中貿易協議。
 中国側が、妥結寸前の米中貿易交渉の合意文書案に大幅な修正を加え、トランプ米大統領は「中国側が合意内容をほごにした」と受け取り、対中国関税引き上げの決断を下したのだと言うことが決裂の原因とされています。
 では、何故中国側は突然、米国との合意内容をほごにしたのか。
 それを解くカギは、中国政府が最近になって言い出した「中国の3つの核心的関心」だというのは、石平氏。
 
【石平のChina Watch】米中協議「決裂」の真相 - 産経ニュース 2019.5.23

 先月下旬の段階で「いよいよ妥結が近いか」と観測された米中貿易協議は、今月に入って事態が急転した。10日には米国政府が2千億ドル分の中国製品に対する制裁関税の引き上げを断行したのに対し、13日には中国側も相応の報復措置を講じた。米中貿易戦争は、全面対決の様相を呈してきている

 こうなった
直接の原因は、中国側が、妥結寸前の米中貿易交渉の合意文書案に大幅な修正を加え、3日にそれを米国側に送りつけたからだ。トランプ米大統領は「中国側が合意内容をほごにした」と受け取り、対中国関税引き上げの決断を自ら下した。
 そこから一連の激しい応酬と対立が始まったわけだが、
一番肝要な問題は、中国側がどうして、米国との合意内容をほごにしたのかだ
 
それを解くカギは、中国政府が最近になって言い出した「中国の3つの核心的関心」という言葉にある。

 16日、中国商務省の高峰報道官は今後の米中貿易協議に関し、米国側がこの「3つの核心的関心」に配慮してくれない限り、協議の継続は意味がないと言い切った。協議の中国側の責任者である劉鶴副首相も、中国側のこの「3つの核心的関心」が無視されたことが協議挫折の原因だとほのめかした。

 それでは
中国側の「3つの核心的関心」とは何か

 前述の劉副首相や高報道官が真っ先に挙げたのは、
「合意に伴う米国の対中制裁関税の全面撤廃」である。実はこれこそが今までの協議を通して中国側が米国に強く求めてきたもので、中国が協議妥結の前提条件としてきたものだ。中国側が「制裁関税の全面撤廃」にこだわる最大の理由は結局、習近平国家主席の権威とメンツを守るためなのである。

 今までの米中協議において、
協議を主導してきた習主席は知的財産権保護や技術移転への強要など、さまざまな問題でアメリカの要求をのんで大きく譲歩した。中国が譲歩しなければ協議は進展しなかったはずだ。しかしそれらの譲歩は「中国の米国に対する降伏」だと解釈されてもおかしくない。「中国が米国に降伏した」との見方が中国国内で広がれば、「大国の強い指導者」を演じてきた習主席の政治的権威は大きく傷つくこととなろう。
 それを打ち消すために、習主席としては米国に譲歩する代わりに、国民にアピールできるような大いなる成果をどうしてもアメリカから勝ち取りたい。最終合意で、米国から今までの制裁関税を完全に撤廃してもらえば、習主席は国内向けには「自分がトランプ政権に迫って制裁関税を完全に撤廃させた」と大々的に宣伝でき、譲歩することによって失ったメンツと権威を何とか挽回できるのである。

 しかしアメリカはまさにこの点で渋っていた。トランプ政権としては対中制裁関税を一気に撤廃してしまうと、中国を制する手段を自ら捨てることとなる。合意に達しても中国が合意内容を守っていく保証は何もない。

 したがって
トランプ政権の基本方針は、中国と最終合意に達したとしても直ちに制裁関税の完全撤廃はしない。少なくとも制裁関税を部分的に維持した上で中国側が合意を実行していくかどうかを見極める考えなのである。

 
それでは習主席のメンツは立たない米国側のこうした態度に業を煮やした習主席は土壇場で、それまでに米国と合意した内容の一部を自らほごにすることにしたのが事態の真相であろう。これで米中貿易戦争の泥沼化は必至の趨勢(すうせい)となった。

 協議の中国側の責任者である劉鶴副首相や、中国商務省の高峰報道官が挙げた協議挫折の原因は、「3つの核心的関心」が無視されたことだと。
 「3つの核心的関心」とは何か。

 
【CRI時評】中国は全面的な応対の準備できている_中国国際放送局

<前略>
経済貿易協議において、中国には「追加関税をすべて撤廃する」「貿易における買付金額は中国の実情に合わなければならない」「合意文書の文言のバランスを良くする」という3つの核心的な関心事があり、こうした原則上の問題において、中国は決して譲歩しない。つまり、米国がどのように極限まで圧力をかけようとも、中国に対してはこれまでも無効であり、現在もそして今後も間違いなく無効となるだろう。中国の3つの核心的な関心事は、経済貿易協議における「レッドライン」と「ボトムライン」を周知し、米国側がそれに挑戦したりそれを越えたりすることを決して許さない。
<後略>


 劉副首相や高報道官が真っ先に挙げたのは、「合意に伴う米国の対中制裁関税の全面撤廃」。
 「制裁関税の全面撤廃」にこだわる最大の理由は結局、習近平国家主席の権威とメンツを守る為。
 
 協議では、習主席は知的財産権保護や技術移転への強要など、さまざまな問題でアメリカの要求をのんで大きく譲歩した。
 ところが、それらの譲歩は「中国の米国に対する降伏」だと解釈されてもおかしくない。「中国が米国に降伏した」との見方が中国国内で広がれば、「大国の強い指導者」を演じてきた習主席の政治的権威は大きく傷つくこととなる。
 習主席としては米国に譲歩する代わりに、国民にアピールできるような大いなる成果をどうしてもアメリカから勝ち取りたい。最終合意で、米国から今までの制裁関税を完全に撤廃してもらえば、習主席は国内向けには「自分がトランプ政権に迫って制裁関税を完全に撤廃させた」と大々的に宣伝でき、譲歩することによって失ったメンツと権威を何とか挽回できると石平氏。

 トランプ政権の基本方針は、中国と最終合意に達したとしても直ちに制裁関税の完全撤廃はしない。少なくとも制裁関税を部分的に維持した上で中国側が合意を実行していくかどうかを見極める考えだと。

 それでは習主席のメンツは立たない。
 習主席は土壇場で、それまでに米国と合意した内容の一部を自らほごにすることにしたのが事態の真相であろうと石平氏。

 米中の貿易戦争が、単なる米国の赤字解消ではなく、両国の覇権争いに発展し「新冷戦時代」に突入していることは衆知のこととなってきています。
 その中国の覇権拡大を阻止する米国(トランプ氏に限らず、与野党が挙国一致)。一方の習近平は、「中国の夢」を追求し、米国に追いつき追い越す覇権拡大政策。
 その覇権争いは、広範に及びエスカレートしていて長期戦の様相ですね。

 トランプ大統領の来日、習近平主席の来日そして「G20」。そこでは何か進展があるのかないのか。要注目ですが、日本国内の野党は、相変わらず蛸壺の中しか観えておらず政局争いに没頭の惨状です。



 # 冒頭の画像は、ワシントンで貿易交渉に臨んだ中国の劉鶴副首相




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