遊爺雑記帳

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中国が技術を入手する巧妙手口、「分断」と「偽情報」で日本企業を揺さぶる 標的は半導体の素材と製造装置

2023-07-22 01:33:55 | 日本を護ろう
 産業技術総合研究所(産総研)研究員の逮捕で警戒感が高まる中国への技術情報流出。
 中国は「分断」と「偽情報」という巧妙な手口を使って工場を誘致し、日本企業から先端技術を入手しようとしている。標的は半導体の素材や製造装置など。
 日本は守りをどう固めるべきか。細川昌彦・明星大学教授にJBpress が取材しています。(記事は3回に分けられていてその初回)
 
 
中国が技術を入手する巧妙手口、「分断」と「偽情報」で日本企業を揺さぶる 【細川昌彦氏に聞く】標的は半導体の素材と製造装置、「工場誘致」の罠 | JBpress (ジェイビープレス) 2023.7.20(木) 細川 昌彦

 産業技術総合研究所(産総研)研究員の逮捕で警戒感が高まる中国への技術情報流出。この事件は氷山の一角だ。中国は「分断」と「偽情報」という巧妙な手口を使って工場を誘致し、日本企業から先端技術を入手しようとしている標的は半導体の素材や製造装置などだ。日本は守りをどう固めるべきか。細川昌彦・明星大学教授に3回に分けて話を聞く。(JBpress)

──産業技術総合研究所(産総研)の研究員が中国にデータを漏洩したとして逮捕されたことは、中国への技術流出のリスクを改めて企業や大学に認識させました。中国は日本の技術を狙っているとされていますが、どのように守ったらよいでしょうか。

細川昌彦・明星大学教授(以下、敬称略):中国の
習近平政権は2015年に「中国製造2025」という計画を公表しました。重要産業の自給率を高め最終的には国産化していくという目標です。重点分野の1つが半導体で、自給率を70%に引き上げると書かれていました。

 当時、
その計画に対して海外から警戒感が高まったので、その後、中国は声高にその計画を言わなくなりました。しかし、計画を止めたわけではなく、むしろより精緻に、巧妙に、加速して実行しています。今年3月の全国人民代表大会(全人代)などの演説でも、習近平国家主席は部品、材料も含めて重要技術のサプライチェーンを強化することについて言及しています。

 
習近平氏はアメリカに依存しない体制を1日も早く作りたいと考えています特に、ロシアがウクライナに侵攻してからその傾向が顕著です。ロシアに対する経済制裁の一環として、米国が半導体を売らないことにしたからです。

 中国はそれを見て危機感を強めました。しかし、大っぴらに半導体産業の国産化を進めると表明すると、中国製造2025を発表したときのような大きな反発が予想されます。だから、静かに、巧妙に推進しているのです。

 
国産化の具体的な計画は文書では公表していませんし、企業に対する指示も文書ではしません。特に部品、材料については足がつかないように口頭でやっているようです

「工場誘致」という甘い罠
──口頭で指示するとはなかなか巧妙ですね。具体的には、どのように半導体の国産化を進めているのでしょうか。

細川:
中国の半導体メーカー大手には、長江存儲科技(YMTC)や中芯国際集成電路製造(SMIC)などがあります。これらの企業は、日本の半導体素材メーカーや半導体製造装置メーカーの大口顧客です。

 半導体の自給率を高めるには、素材や製造装置などサプライチェーンの上流までさかのぼって国産化を進めなければなりません。そこで
中国当局の意向を受けて中国の半導体メーカーは日本の素材や製造装置メーカーに対してこう言っています。

「私たちに売りたければ、中国で生産しなさい」


──中国国内に工場を作れと言うわけですね。

細川:そうです。中国の巨大市場を背景に工場を誘致するのです。
しかも中国企業のパートナーとの合弁を求めてきます

 実は、
それが中国の最先端技術獲得戦略の第1段階です。まず、合弁で工場を立ち上げます。そして、進出してきたら第2段階に移行します。出資比率を過半に引き上げ、経営の主導権を握るのです。第1段階を経ずに、いきなりマジョリティーを押さえるケースもあります。

 今まさに、
日本の材料メーカーや製造装置メーカーが、こうした誘いを受けて足元を揺さぶられています

 標的にされているのは大企業だけではなく、中堅中小のメーカーもです。技術はあるけど規模はあまり大きくないという会社が日本にはたくさんあります。
日本企業同士が似たような製品を3社、4社が作っているような分野では、各社どんぐりの背比べで競争を繰り広げている。そこを突いてきているのです。

──どういうことですか。

「分断」と「偽情報」で揺さぶりをかける
細川:日本企業に内々に聞くと、
中国企業はこうささやいているようです。A社に対して「B社は中国に出てくると言っている。御社は出てこなくていいのですか」と。B社が中国に出てくるという事実がなくても、嘘の情報を流してきます

 A社とB社はライバル同士だから情報交換をしていないため、それが事実なのかどうかもわからない。中国は巨大マーケットなので、ライバルに負けないためにも食い込みたい。
大口顧客を失うのが怖いから、目先の利益を得たいがために誘いに乗ってしまう

 
中国企業は、「分断」と「偽情報」で日本企業を揺さぶるのです。

 半導体材料で日本が強い分野はいくつもあります。しかし、既に中国に工場をつくり始めてしまっている企業もあります。中国政府の狙いは、
中国企業と合弁工場をつくらせて、数年後にはマジョリティーを中国企業に握らせて日本企業から技術を入手し、さらに数年後には合弁を解消して中国企業が単独で生産できるようにすることです。そうなったら、日本企業はお払い箱です。

 
実際、高性能磁石の分野でそのようなことが起きてしまっています。高性能磁石はかつて日本企業の牙城でしたが、2010年代半ばに中国に進出したのを機に今では状況がガラリと変わってしまいました。進出した数年後に技術が中国に渡り、今は当時の日本企業の合弁相手が米テスラに単独で製品を納入しています

 磁石を作る
製造装置メーカーにも問題がありました。中国企業に売ればもうかるから、盛んに製造装置を売ってしまったその結果、あっという間に中国企業が単独で生産できるようになったのです。今や高性能磁石では中国が日本を圧倒していますよ。

学ばない日本企業、かつての教訓が生きず
──ひどい話ですね。他にはどのような分野が中国に狙われているのですか。

細川:中国が
国産化比率を高めてしまった分野は高性能磁石のほか、リチウムイオン電池や風力発電装置、太陽光パネルなどです。これらはかつて、日本や韓国、欧州などが強かった分野ですが、中国進出の誘いに乗ってしまったために、結果的に技術が渡ってしまった

 今、まさに揺さぶられているのが、先ほど話した半導体材料や製造装置のほか、工作機械やロボット、高性能医療機器、複写機などです。
同じパターンがいろいろな分野で繰り返されようとしています自動車についても自動車用の部品はすでに日本企業から技術を入手したので、お払い箱モードに移行しています。

 日本の産業界は、他の業界で起きたことをあまり勉強していません。同じ業界でも企業同士で情報交換がされていません。

 
技術を抜かれてしまった企業は、「我が社の恥」として対外的に公表しないものです。公表して中国政府ににらまれたくないという意識もあります。その結果、失敗が教訓として共有されず、学習につながらないのです。

──かつて、似たようなことが家電製品や液晶パネルなどでも起きています。これらと今狙われている分野は何か違いがあるのでしょうか。

細川:
大切なことは、今回は経済安全保障上、戦略的に極めて重要な産業の技術が中国に狙われているということです半導体は軍事も含めあらゆる産業の基盤を成す戦略物資です。半導体を握られたら、あらゆる産業の首根っこを押さえられてしまいます。家電とはその重みが違うのです


 習近平政権は2015年に「中国製造2025」という計画を公表。
 重要産業の自給率を高め最終的には国産化していくというのが目標。重点分野の1つが半導体で、自給率を70%に引き上げると書かれていましたと、細川教授。
 計画を発表時、海外から警戒感が高まったので、精緻に、巧妙に、加速して実行されているのだそうです。

 国産化の具体的な計画は文書では公表していませんし、企業に対する指示も文書ではしません。特に部品、材料については足がつかないように口頭でやっているようですと、細川教授。

 中国の半導体メーカー大手には、長江存儲科技(YMTC)や中芯国際集成電路製造(SMIC)などがあります。これらの企業は、日本の半導体素材メーカーや半導体製造装置メーカーの大口顧客なのだそうです。
 中国当局の意向を受けた中国の半導体メーカーは日本の素材や製造装置メーカーに対して
 「私たちに売りたければ、中国で生産しなさい」
 と、言ってくる。

 それが中国の最先端技術獲得戦略の第1段階。
 進出してきたら第2段階に移行します。出資比率を過半に引き上げ、経営の主導権を握るのです。
 今まさに、日本の材料メーカーや製造装置メーカーが、こうした誘いを受けて足元を揺さぶられていますと、細川教授。
 
 標的にされているのは大企業だけではなく、中堅中小のメーカーも。
 日本企業同士が似たような製品を3社、4社が作っているような分野では、各社どんぐりの背比べで競争を繰り広げている。そこを突いてきているのだと。

 中国企業はこうささやいているようです。A社に対して「B社は中国に出てくると言っている。御社は出てこなくていいのですか」と。B社が中国に出てくるという事実がなくても、嘘の情報を流してくる。
 中国は巨大マーケットなので、ライバルに負けないためにも食い込みたい。大口顧客を失うのが怖いから、目先の利益を得たいがために誘いに乗ってしまう。
 中国企業は、「分断」と「偽情報」で日本企業を揺さぶるのですと、細川教授。

 中国政府の狙いは、中国企業と合弁工場をつくらせて、数年後にはマジョリティーを中国企業に握らせて日本企業から技術を入手し、さらに数年後には合弁を解消して中国企業が単独で生産できるようにすることです。そうなったら、日本企業はお払い箱。
 実際、高性能磁石の分野でそのようなことが起きてしまっていると。
 進出した数年後に技術が中国に渡り、今は当時の日本企業の合弁相手が米テスラに単独で製品を納入しているのだそうです。

 磁石を作る製造装置メーカーにも問題がありました。中国企業に売ればもうかるから、盛んに製造装置を売ってしまった。その結果、あっという間に中国企業が単独で生産できるようになったのです。今や高性能磁石では中国が日本を圧倒している。
 中国が国産化比率を高めてしまった分野は高性能磁石のほか、リチウムイオン電池や風力発電装置、太陽光パネルなどです。これらはかつて、日本や韓国、欧州などが強かった分野ですが、中国進出の誘いに乗ってしまったために、結果的に技術が渡ってしまった。

 同じパターンがいろいろな分野で繰り返されようとしています。自動車についても自動車用の部品はすでに日本企業から技術を入手したので、お払い箱モードに移行。

 技術を抜かれてしまった企業は、「我が社の恥」として対外的に公表しないものです。公表して中国政府ににらまれたくないという意識もあります。その結果、失敗が教訓として共有されず、学習につながらないと、細川教授。
 
 かつて、似たようなことが家電製品や液晶パネルなどでも起きていた。
 大切なことは、今回は経済安全保障上、戦略的に極めて重要な産業の技術が中国に狙われているということです。半導体は軍事も含めあらゆる産業の基盤を成す戦略物資です。半導体を握られたら、あらゆる産業の首根っこを押さえられてしまいます。家電とはその重みが違うのですと、細川教授。

 失敗が教訓として生かされない日本の産業界。経済団体はあり、諸々のコメントは発せられているのですが...?
 
 米国は日本とオランダに対し、半導体の製造装置の対中輸出規制を主導し、3国が協調することになりましね。
 日本の産業界での自律能力が無いので、米国が主導。

 余談ですが、対露経済制裁でも、サハリン1, 2の天然ガスに関し、米英は撤退したのに、日本の経済団体 & 岸田政権は、米英撤退に伴う新会社へしがみついていますね。

 日本経済はどうなる?



 # 冒頭の画像は、6月に上海で開催された半導体関連の展示会「セミコン・チャイナ」



 この花の名前は、タンジン


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