遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

なぜ日本だけ中国ショックをまともに食らったのか?

2015-12-07 23:58:58 | 日本を復活させる
 中国経済の減速で、中国株式や人民元の暴落が始まりました。政府の財政出動でなんとか小康状態を保っていますが、不安を抱えている状況が続いていますね。
 中国の株価や人民元の暴落では、世界の株価に影響を及ぼしました。中国経済による失速の影響は、世界に影響を与えたと考えていました。ところが、先進主要国の経済はほとんど影響を受けなかったのに対し、日本だけが影響を受けたとし、その理由を解説している記事がありました。
 一般のメディアとは、少し異なる角度からみつめた内容が面白く感じましたので、備忘録としてアップします。
 

なぜ日本だけ中国ショックをまともに食らったのか? 中国経済に振り回されるのはもうやめよう、今こそ産業構造の転換を | JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.12.7(月) 加谷 珪一

 
中国経済の失速によって世界経済にマイナスの影響が及ぶことが懸念されていたが、今のところ、そのような状況にはなっていない。新興国の低迷とは対照的に先進主要国の経済はまずまずのペースで推移している。
 だが、そこには唯一の例外がある。それが日本である。
 
日本だけが中国景気失速の影響を受け、GDP(国内総生産)は2四半期連続のマイナスとなった
。12月8日に発表されるGDP改定値では上方修正となる可能性が高いが、基本的な状況は同じである。
 日本経済は中国経済と一蓮托生の関係になっているわけだが、地理的に近いことだけが原因とは断定できない。産業構造の転換を先送りしてきたツケが顕在化している可能性が考えられるからだ。日本はすでに成熟国家のフェーズに入っており、本来であれば、中国など新興国の経済からは切り離されているはずだが、現実にはそうなっていない。

■中国ショックの影響で日本のGDPは2四半期連続マイナス
 日本の7~9月期の実質GDP成長率は年率換算でマイナス0.8%と、2四半期連続のマイナスとなった。この結果については、多くの専門家が事前に予想していた。
中国ショックの影響により、過去3カ月の鉱工業生産指数が大幅に低下
していたからである。
 9月の確報値(季節調整済)はプラス1.1%だったが、8月はマイナス1.2%、7月はマイナス0.8%となっており、
企業が生産を抑制しているのは明らかであった。設備投資の先行指標といわれる機械受注も冴えない数字だった。7~9月期の実績は、主要指標である 「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)が前期比マイナス10%と大幅な落ち込みとなっており、GDPの設備投資が低迷
することはほぼ確実な状況であった。
 
実際にフタを開けてみるとGDPは予想通りのマイナス成長となった。もっとも、GDPの中で大きな割合を占める個人消費はプラス0.5%となり、前期のマイナス0.6%からプラス転換している。住宅も前期よりは伸び悩んでいるもののプラス1.9%とまずまずの結果だった。一方、設備投資は事前の予想通り、前期(マイナス1.2%)に続いてマイナス1.3%と低迷している。設備投資の落ち込みが個人消費のプラスをすべて打ち消し
てしまった格好だ。法人企業統計の結果を受けたGDP改定値(8日発表予定)では設備投資が上方修正される可能性が高いが、最終的なGDP成長率は横ばいか、よくても、わずかなプラスにとどまるだろう。

 企業は今年に入ってから在庫を増やす傾向が顕著になっていた。在庫の増加には2つの意味がある。1つは景気が拡大しているので、在庫切れを起こさないよう前倒しで製品を確保するという前向きなもの。もう1つは、製品を仕入れたものの、思うように注文が伸びず、結果的に在庫を抱えてしまったという後ろ向きなものである。
 当然のことながら
現状の景気に過熱感はなく、意図せざる在庫の増加
と見るのが自然だろう。中国の景気失速を受けた企業の生産抑制は、すでに年初から始まっていたということになる。

■日本も中国も最終的には米国に製品を売っている
 一方、
先進主要国は中国失速の影響をほとんど受けていない
。7~9月期における米国のGDP成長率は年率換算でプラス2.1%、欧州(EU28カ国)の成長率はプラス1.6%であった。日本だけが中国経済の影響を受けるという図式が明白となっている。
 米国と欧州、とりわけ米国は、おそらく今後も中国経済から影響を受ける可能性は低いと考えられる。その理由は、米国と日本とでは産業構造が大きく異なっているからである。
 
中国は規模でこそ世界第2位の経済大国となったが、1人あたりのGDPは日本の5分の1であり、産業構造は依然として途上国型である。原材料や部品を輸入して、最終製品の組み立てを行い、それを先進国に輸出するというモデルだ。最近では、人件費の高騰によって中国からアジア各国に工場がシフトしている
が、それでも中国が世界の工場であるという図式に変わりはない。
 日本企業は中国のように付加価値の低い製品だけを取り扱っているわけではないが、欧米企業のように高付加価値製品のみに特化しているというわけでもない。日本企業は、韓国企業や一部の中国企業がライバルなので、コスト競争力を維持するため、組み立て工場の多くをアジア各国にシフトしてきた。日本からは素材やデバイスをアジアや中国に輸出し、組み立ては現地で行うというのがもっとも標準的なパターンといってよいだろう。

 では、
日本企業の現地法人や中国企業が組み立た最終製品はどこに向かうのかというと、それは米国市場
ということになる。結局のところ、日本も中国も最終的には米国市場にモノを売っているという構図なのである。

■世界経済は米国の消費で回っている
 こうした世界的な輸出入の構図は、各国の純輸出入額を比較すれば一目瞭然である(図)。日本は米国に対して687億ドルの輸出超過となっている。中国も米国に対しては3432億ドルもの輸出超過であり、それは欧州も同じである。
米国は世界経済における最終需要地であり、極論すれば世界経済は米国の消費によって回っている
ことになる。
 米国の個人消費の動向が世界経済に大きな影響を与えるのは、米国経済が内需中心型であり、米国の消費が世界経済のエンジンだからである。
 
米国にとって中国は、ただモノを買うだけの相手であり、両国の経済が直接リンクするわけではない。中国ショックが発生した際、株式市場における連鎖的な下落は懸念されたものの、中国経済の失速が米国経済に直接影響すると考えた専門家は少なかった。実際、中国経済が失速しても米国の個人消費はほとんど変化していない

 欧州は米国ほど内需中心型ではないが、それでも多くの経済活動を欧州域内で完結させている。中国への輸出も多いが、輸入超過額はかなりの金額に達する。
欧州にとっても、中国はやはり製品を購入する先
ということになるだろう。

 ところが
日本はだいぶ状況が異なっている。日本の輸出金額がGDPに占める割合は約18%と、米国(12%)や欧州(14%)に比べるとかなり高い。中国からは多くの製品を輸入しているが、中国への輸出も多く、圧倒的な輸入超過というわけではない。最終的に米国に向かう製品については、米国経済が堅調であれば低迷することはないが、中国のインフラ建設に使われる工業製品については、中国の建設需要が減少すると輸出量も減ってしまう

 また
アジア向けに輸出
ている製品の中には、最終的に中国に向かうものも多く、中国経済の失速によって、アジア向け製品の輸出も伸び悩むことになる。こうした状況が重なり、日本だけが主要国の中で中国経済の影響を大きく受ける結果になったと考えられる。日本がもう少し内需中心型の経済構造であれば、ここまで中国の影響を受けることはなかっただろう。

■産業構造の転換についてもう一度真剣に考えるべき
 
日本は、これまで何度も内需中心型経済への転換を試みてきた
。1986年に発表された前川レポートや、小泉政権における構造改革も、基本的に同じ路線と位置付けることができるだろう。
 小泉構造改革では、当初こそ、産業構造に関する議論が行われたが、後半からは規制緩和の是非をめぐる感情的な議論となってしまい、改革は頓挫してしまった。結果的に日本は、輸出産業中心の経済構造を維持する道を選択することになったのである。

 だが、従来型産業を温存したことで、日本は中国や韓国といった新興国とのコスト競争に巻き込まれることになった。中国や韓国は日本のライバルだが、米国向けの製品を製造するという意味ではパートナーでもある。結果的に日本は中国経済との相互依存をより深める結果となっている。本来であれば、日本は内需を中心とした成熟国家型経済のフェーズに入っている段階であり、中国や韓国とコスト競争するような立場にはなっていなかったはずである。
 産業構造の転換には、雇用の流動化が必須となるので、ある程度の痛み伴うことになる。しかし、多くの人が考えているほど、日本の産業構造転換は難しくない。日本のGDPの6割は個人消費であり、7割が個人消費となっている米国よりは少ないものの、ドイツやフランスと比べると個人消費の割合が高いからである。
 もちろん、日本企業の設備投資の多くが輸出を前提にしたものであり、それによって家計に所得がもたらされ、個人消費につながっている面は否定できない。だが、企業の設備投資を、従来型の資産から新産業創出のための資産にシフトすることができれば、比較的スムーズに内需経済型の経済に転換できるはずだ。

 
本来、アベノミクスの成長戦略は、こうした産業構造の転換を意図したものだったはず
である。アベノミクスが行き詰まりを見せつつある今、もう一度、経済政策の原点に立ち返ってみる必要があるだろう。

 実質GDPが、2四半期連続でマイナスとなったのは、中国ショックの影響により、過去3カ月の鉱工業生産指数が大幅に低下していたから。企業が生産を抑え、設備投資も控えていたからだと。
 個人消費は、前期のマイナス0.6%から、プラス0.5%に転じたのに、設備投資の落ち込み(前期=マイナス1.2%、今期=マイナス1.3%)がこれを飲みこんでしまったと。
 
 米国や欧州諸国が、中国経済減速の影響を受けなかった原因は、中国から買う側であったからだと指摘されています。ここが、遊爺の認識とは異なったのです。
 ドイツは、中国向け輸出依存度が高く、中国経済減速の影響を最も受ける国との認識で、他の欧州諸国(英国の対中貿易は周回おくれで、今、遅れを取り戻そうと媚中に転じていることは諸兄がご承知の通りですが。)も同様と認識していました。
 
アングル:中国失速でドイツの退潮鮮明、対中輸出の強さ裏目に | ビジネス | ニュース速報 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 米国経済(含雇用)が安定しているのは、対中輸出があるからで、パンダハガーがはびこった由縁と思っていたら、こちらは、輸入がそれ以上に増えているのでした。遊爺の認識不足。
 
RIETI - 米中貿易:世界経済のアウトライヤー
 
 それに対し、日本は対中輸出が多く欧米の様な、圧倒的輸入超過ではないことが、中国経済減速の影響を受けた原因。中国の対米輸出製品に使われる部品等は影響を受けていないが、中国のインフラ建設に使われる工業製品については大きな影響を蒙っている。アジア諸国を経由して中国へ流れているものも同様の影響。
 チャイナプラスワン or 脱中国が進んでいると昨日書きましたが、まだまだ対中貿易依存は大きいということですね。

 また、付加価値の少ない、中国・韓国などとコスト競争するものからの脱却も遅れていることも日本経済の足を引っ張っている。半導体、パソコン、白物家電などが最近紙上をにぎわせていますね。
 記事は、GDPに占める個人消費比率が、独仏より高い日本経済は、産業構造の変換はやりやすいと指摘しています。(この点が、遊爺が中国経済の影響を日本はさほど受けないと認識していた理由の一つですが。)

 日本企業の内部留保が過大で、これをどう市場に還流させるかが、アベノミクスのテーマの一つとなっています。
 企業減税は、ますます内部留保を助長すると言う声が聞こえますね。
 政府が、賃上げに廻せと指導するのは、共産主義国ではない、自由主義経済をリードする先進国とは言えませんね。内部留保するより、市場に還流した方が企業にメリットがでる税制に知恵を絞るのが、政府・国会の役割でしょう。
 
 第三の矢が鳴かず飛ばずで、苦し紛れの、矢ではない的のキャッチフレーズを頻発する安倍政権。(発案者は誰なのでしょう?)
 民主党の日本沈没を進めかけた歴史的失政から、正常にもどすことで経済復活の方向転換は出来ましたが、それは民主党政治を国民が止めたことが大きな要因。
 経済の基本構造にかかわる改革=第三の矢は、薬のネット販売、カジノ誘致といった浮ついた思いつきにとどまっていました。
 TPPで、縮小する国内市場を、広い海外市場と繋ぐことができる様になるのは、歴史的構造改革を可能にするものです。
 介護離職を無くすと言いながら、自宅介護を推進するとか、介護への財政支出削減(介護士待遇改善に逆行)するのも、福祉向上の為の消費税アップに反する矛盾の政策です。
 安保関連では、不満足な課題は残るものの、歴史に残る前進を果たした安倍政権。中国包囲外交でも努力がうかがえます。
 経済の構造改革となる、アベノミクス第三の矢(的ではなく的に命中させる施策)に注力いただき、国力の復活を成し遂げていただくことを願います。





  ハンゲショウ


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