遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国 太平洋二分割を越え中南米にも覇権拡大 キューバの米接近は誤算

2015-05-20 23:58:58 | EEZ 全般
 習近平は、米国の要人と会うたびに、G2=太平洋二分割論を繰り返して話題にしてきたことは諸兄がご承知の通りです。最初は軍幹部に言わせて、初の訪米での首脳会談で持ち出した時には、オバマ大統領は米国には日本と言う同盟国があると拒絶しました。しかし、2度目に持ち出される頃には、米政府内部でのパンダハガーの増殖で、2国間関係は重要と応じました。
 が、南シナ海の覇権拡大が露骨になってきた最近は、再びアジア回帰を遡上にあげ、先日の安倍首相の訪米では、対中抑止力の強化に繋がる日米同盟の連携強化を誇示しました。
 中国の海洋進出が、太平洋、東シナ海、南シナ海、インド洋にとどまらず、初の地中海での中露海軍合同演習で欧州へ進出、そして、中南米やカリブ海進出にまで魔手を伸ばしてきている現実に、米国が反応し始めているのですね。
 いまだに目先の貿易に目を奪われて、ほいほいとAIIBに加盟、中国の覇権拡大の遠望に加担させられている欧州各国にも、そろそろ目を覚ましていただきたいものですね。
 

米キューバ接近 中国誤算 艦艇常駐、撤回 軍の海外展開に打撃 (5/20 読売朝刊)

 キューバが昨年後半、いったん合意した中国海軍艦艇の常駐を撤回したことで、同じ社会主義国として「古い兄弟」と呼ばれる中国とキューバの間にすきま風が吹き始めた。キューバは昨年末、米国との国交正常化交渉開始で合意しており、米国の「裏庭」で存在感を高めたい中国にとっては、誤算
となっている。

 「結局、信用できるのはパキスタンだけなのか」
 中国軍関係筋によると、中国の習近平シージンピン国家主席は、キューバから艦艇常駐撤回の通告を受けた際、南アジアの伝統的友好国であるパキスタンを引き合いに出して落胆を隠さなかったという。
 新華社電によると、中国海軍は2009、13年の2度にわたり、「軍交流」名目でフリゲート艦など艦隊をブラジルやペルー、チリなどに派遣。11年10月には海軍の医療船がキューバの首都ハバナに初めて寄港するなど、中南米地域での影響力拡大を図ってきた。
 
中国はキューバにミサイル駆逐艦を常駐させようとしていた。実現すれば、作戦能力を持つ艦艇が初めてカリブ海に入る
ことになり、中国軍の海外展開戦略で大きな前進となるはずだった。
 中国中央テレビは最近、キューバが外資呼び込み拠点とするためハバナ郊外に設置したマリエル開発特区に関し、コンテナふ頭などは中国企業の建設だと大々的に報じた。習政権は、キューバへの経済支援を続け、「米国への接近を食い止める」(中国共産党関係筋)狙いがあるとみられる。
 一方、
キューバは、中国の対米政策に取り込まれることを警戒
している。在キューバの外交筋は「キューバは、影響力を強める中国への懸念もあり、中国に傾斜する政策は取らないだろう」と指摘した。

李首相 南米歴訪開始 ブラジルなど4か国 高速鉄道売り込み

 【ブラジリア=吉田健一】中国の李克強首相は18日、ブラジルの首都ブラジリアに到着し、南米4か国の歴訪を開始した。中国は、一昨年と昨年の習近平シージンピン国家主席に続く
3年連続の首脳による中南米地域の訪問
で、この地域を重視する姿勢を鮮明にした。
 習政権は中南米で、経済関係強化による影響力拡大を図っており、今回の訪問でも高速鉄道技術を売り込むとともに、投資拡大などで各国と合意する見通しだ。
 李氏は9日間の日程でブラジルのほか、コロンビア、ペルー、チリを訪問。各国首脳らと会談し、投資フォーラムなどで演説も行う。
 李氏は、社会基盤整備などが課題となっている4か国で、中国との関係強化が相互利益の拡大につながることを強調し、「
中国脅威論の払拭にもつなげたい」(中南米の中国関係筋)考えだ。中南米で存在感を示し、米国との関係改善にかじを切ったキューバをけん制する狙い
もある。
 昨年7月の習氏歴訪時には、
太平洋岸のペルーと大西洋岸のブラジルとを結ぶ大陸横断鉄道の建設
について、関係国との間で検討を始めることで合意した。今回の李氏の訪問では、この建設計画の進展があるかどうかが注目される。
 
李氏が訪れる4か国は、中南米経済の中心的存在だ。ブラジルは鉄鉱石など天然資源が豊富な世界7位の経済大国で、他の3か国も、加盟国間の経済統合とアジア太平洋地域との政治・経済関係強化を目標に掲げる「太平洋同盟」の中核国。中国メディアなどによると、中国と中南米の貿易総額約2610億ドルのうち、4か国で約6割を占めている。

 中国の海洋覇権拡大が遂に地中海へも - 遊爺雑記帳

 習近平国家主席は昨年7月、キューバを訪問して艦艇の派遣方針を確認し、最新鋭ミサイル駆逐艦を常駐させる方向で準備を進めていたところ、キューバが突然態度を変えたのだそうですね。
 かつて、ソ連がキューバにミサイルを配備しようとした時に、ケネディ大統領は海上封鎖して阻止しましたが、今回の中国のミサイル駆逐艦配備に対し、オバマ大統領は、対キューバ外交による接近策で中国の野望を砕いたのでした。
 キューバ側も、中国の野望に利用されることをよしとせず、米国との接近に応じました。

 記事の南米接近の他に、ニカラグア運河など、中国の中南米侵攻の魔手は攻勢を強めています。太平洋を二分割どころではなく、太平洋の向こう岸の中南米に覇権を拡大しているのです。
 米国が、太平洋の西側の日本や東南アジアに注力しているのと同じ作戦ですね。

 繰り返しになりますが、中国の野望に気付いている米国に対し、地中海に足を伸ばし始めた中国の野望に未だ気づかない欧州各国。
 AIIB加担が、中国の21世紀シルクロードの名を借りた欧州制覇への手助けと、速く気づいていただけることを願ってやみません。



 # 冒頭の画像は、オバマ大統領と会談した、キューバのラウール・カストロ大統領




  この花の名前は、エンコウソウ  (撮影;六甲高山植物園 2014年 5月)


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続 中国の海洋戦略
中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日―一極主義 vs 多極主義




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