藤井財務相は、諸兄がご承知の通り、円高を増幅する失態などもありましたが、民主党政権の中では、最も安定感のある地に足が着いた政治家でしたし、鳩山首相の大きな後ろ盾でした。閣外に去るということになれば、鳩山首相にとっては大きな痛手となり、小沢幹事長の専制化が進む中、政権運営がますます迷走することになりますね。
各紙の記事の中では、藤井財務相の辞任理由について、産経が最も詳しく触れていました。年末に入院された時からこの日がくる可能性を想定していたかのようです。遊爺も、暮れのTBSの「時事放談」に出演されていたときの予算に関する藤井財務相の強い言葉での発言に、党や亀井大臣などとの間に苦労があるのかと想像させられていました。
熾烈な綱引き
18日召集予定の通常国会を控え、鳩山由紀夫首相の大きな後ろ盾となってきた藤井裕久財務相が辞意を固めたことは、政権に大きな痛手となった。
後任人事をめぐり、政府・民主党ではすでに熾烈(しれつ)な綱引きが始まっており、これが政局の序章となる可能性もある。
「藤井さんは大丈夫ですか? 次を用意した方がいいんじゃないですか」
民主党の山岡賢次国対委員長は4日、党本部で首相にこう詰め寄った。
首相が最優先課題に掲げる平成21年度第2次補正予算案と22年度予算案審議では財務相が最前線に立たされる。後任には即戦力を求められるが、首相は「どうなんですかねえ…」とあいまいに答えるだけだった。
首相は昨夏、政界引退を表明していた藤井氏を必死に説得し、衆院選で比例代表の名簿に登載した。財務相起用には民主党の小沢一郎幹事長が難色を示したが、これも押し切った。いかに首相が藤井氏に絶大な信頼を置いていたかの証左といえる。
にもかからわず、唐突な辞意は腑(ふ)に落ちない。藤井氏は「健康上の理由」の一点張りだが、小沢氏との確執を指摘する声もある。
小沢、藤井両氏はかつて盟友だったが、次第に疎遠となり、昨年12月の22年度予算編成をめぐり、対立は表面化した。
藤井氏は子ども手当への所得制限導入や診療報酬引き上げ反対を主張したが、小沢氏は次々に覆し、12月16日の民主党の重点要望の際には「財務省は予算編成を『急げ、急げ』と言っているが、国民の声をちゃんと聞いてやってくれ!」と藤井氏を面罵(めんば)した。この件を機に藤井氏は財務相を続けることに嫌気が差したといわれている。
「政治とカネ」も
もう一つ、辞意を固めた理由として「政治とカネ」問題も取りざたされる。
藤井氏は旧自由党で小沢党首の下、幹事長を務め、14年に政党助成金など党費から組織活動費として約15億2千万円が藤井氏あてに支出されたことが明らかになっている。
この件について、藤井氏は複数の議員に「おれ、あれ知らないんだよなあ」と漏らしているが、自民党は通常国会でこの問題を徹底追及する構えを見せており、藤井氏が矢面に立たされる公算は大きかった。
首相が藤井氏の慰留をあきらめても後任人事は難航が予想される。
即戦力として仙谷由人行政刷新担当相、野田佳彦財務副大臣の名が挙がるが、両氏は小沢氏と距離があり、無理に起用すれば首相と小沢氏の関係にヒビが入る可能性がある。菅直人副総理・国家戦略担当相の起用も有力視されるが、菅氏にあまりに権限が集中するとの見方もある。ピンチヒッターとして峰崎直樹財務副大臣の起用も取りざたされている。
「あれは検査入院じゃないだろ?」
藤井氏が入院した翌日の12月29日夜、小沢氏は与党幹部との懇談会の席上で冷ややかにこう言い放ったという。こういう事態になることを予測していたのかもしれない。(加納宏幸)
辞任の真相が、健康以外になにがあるのか、今後の推移を見守る必要がありますし、小沢、反小沢の対立の成り行きでは、政権は国民や国の事どころではなくなりまたまた政局やその中での自己利益追求に明け暮れる、亡国の道をたどることになります。
そこまでは折り込んではいないのでしょうが、米国の危機管理を専門とするコンサルティング会社が、2010年の世界の今年の10大リスクを発表し、「日本」を5番目にランク付けしたのだそうです。
【ワシントン醤小川聡】危機管理を専門とするコンサルティング会社「ユーラシア・グループ」(本部・ニェーヨーク)は4日、今年の10大リスクを発表し、「日本」を5番目に掲げた。
発表によると、「官僚と産業界の影響力を制限しようとする民主党の活動が、より高い政治的リスクを生み出している」と指摘。鳩山首相を「選挙だけでなく、効果的な意思決定にも長けていない」と酷評し、「今年1年と続かない可能性がある」とした。
また、「真の実力者である小沢民主党幹事長は閣外におり、正式の政策(決定)ラインからも隠れている」と、解説している。
10大リスクの1位は「米中関係」、2位「イラン」の後、「欧州諸国聞の財政状況の違い」「米国の金融規制」と続いた。イスラム過激派によるテロ事件の増加が懸念される「インド・パキスタン」は8位だった。
同社は、国際情勢や国内の政治的変化がビジネス環境や金融市場に与える影響の分析を専門とする企業。
昨夜のNHKの「ニュースウォッチ9」で、フランス大使館や、イギリス他の有力紙などが本国での注目度の高まりもあり、鳩山政権について情報収集に力を入れているとの密着取材や、吉良州司外務政務官(小沢グループ 元日商岩井)とのスタジオでの質疑応答をしていましたが、海外での鳩山政権への不安は日米同盟の行方と共に高まっているようですね。
それは、日米二国間の問題だけではなく、東南アジアや世界に与える影響が大きいからなのですが、国内の票稼ぎにしか目が向いていない小鳩政権には認識が大きく不足しているところです。
今朝の社説では、読売が鳩山首相を、朝日が小沢幹事長を糾弾していましたね。(最近の朝日は、民主党御用新聞・売国新聞の世評と売上シェア低迷を気にしだしたのかな?)
鳩山政権 景気、基地、献金をどうする : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
asahi.com(朝日新聞社):社説 2010年1月6日(水)土地取引疑惑―小沢氏の説明が聞きたい/中国GDP―成長に見合う責任の時代
読売曰く、鳩山内閣の政権運営を難しくしているのが「3K」とされる「景気」「基地」、そして「献金」であり、先の二つ、とりわけ米軍普天間飛行場移設問題の混迷は、鳩山政権の失政によるところが大きい。鳩山首相の偽装献金問題は、首相自身の政治姿勢そのものが問われている。 3Kを乗り越えられるか。それは、鳩山政権の命運がかかるだけでなく、日本の将来にも影響する重要な政治テーマである。と...。
「景気」について鳩山政権の失政とは手厳しい評価ですが、無為・無策で決断と、打つ手の実行が遅いことは事実で、小沢氏がじれるのも無理がないところでもあり、失政と言われても仕方ないでしょう。
「基地」は、米国や国民に二枚舌を使っていて(吉良政務官は、言っていない、商社経験から外国とはギリギリ勝負しなくてはならないといい、青山キャスターがつっこみをいれていましたが、そんな社員がいたから日商岩井は何時までも二流だったのでしょうね)態度が手のひら替えしで相手は裏切られるという繰り返し。「献金」も含め、自ら撒いた種であり、鳩山首相だからこそ生じた問題ですね。
藤井財務相を欠き、後任は未明ですが、小沢専制化が強まり、死に体の鳩山首相。日本の首相はコロコロ変わりすぎる。新政権でもそうかとの世界世論を気にする意見だけが政権維持の頼みの綱となってきそうですが、どうか日本を滅ぼす言動だけは控えていただき、夫婦で歌舞伎や映画鑑賞していて下さい。
鳩山首相にしては珍しく早い決断でしたね。
小沢に距離を置き、財務省よりとされる野田副大臣ではなく、今や小沢のロボット化した菅でしね。
毎日新聞によると
> 藤井氏との経験の差を不安視する市場関係者も少なくない。三菱UFJ証券の藤戸則弘氏は「日本の財政状況についての菅氏の発言は少なく、藤井氏と比べると経済、財政面での経験不足は否めない」と指摘。市場とのコミュニケーションは財務相の重要な役割だが「為替相場など市場に関する不用意な発言をすれば、海外の投資家の日本株売りなどにつながる恐れもある」(日興コーディアル証券の司淳氏)
> ニッセイ基礎研究所の櫨(はじ)浩一氏は「首相の椅子を目前にする菅氏は、藤井氏ほど小沢一郎幹事長に『ノー』を言えず、財政規律が緩む懸念がある。予算の膨張圧力を抑えられなけれは、長期金利は上昇しやすくなり、景気にはマイナス効果となる」とみる。
と、市場には不安の声があるのだそうです。
遊爺も、菅といえば厚生大臣時代にかいわれ大根を食べていたのと、年金不払いでお遍路さんをして政界から抹殺される人とのイメージしかなく、およそ財務大臣とは繋がらないのですが。
ポスト鳩山で、泥を被らないようなにもしないで待機しているはずが、「景気」の主役に躍り出てきて失態をしでかさないか大丈夫なのと逆に心配したりします。まあ、総理大臣になってからしでかすよりましですが。 戦略局(かけ声を時々かけるだけでなにもしない局)として、2011年の予算編成を早期着手とかなんとか言っていたような気がしますので、お手並み拝見と言ったところですが?
小沢色が一段と濃くなったことは間違いないですね。
鳩山政権のリスクのランキングは上がることになるのかなぁ。