遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

OPEC、減産で一転合意

2016-09-29 23:58:58 | my notice
 アルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開いていたOPECは、大方の予測に反して、懸案の減産に合意しました。
 市場復帰したばかりで、増産を続けたいイランと、台頭するシェールオイルとの主導権争いで価格競争を仕掛け、一定の効果は得たものの、自国も含めOPEC各国が財政悪化に陥り、価格回復を迫られたサウジとの隔たりが大きかったのですが、無策にとどまった場合の原油市場への影響に対し、加盟国が強い危機感を抱いたことが合意に転じた理由なのだそうです。
 

OPEC、減産で一転合意 8年ぶり 原油安に危機感  :日本経済新聞

 【アルジェ=黄田和宏、久門武史】石油輸出国機構(OPEC)は28日、アルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開き、加盟14カ国の原油生産量を日量3250万~3300万バレルに制限することで合意した。会合前は合意が困難とみられていたが、足元で原油価格が頭打ちとなり、加盟国が危機感を共有した。過去2年、シェア争いを優先し増産を続けてきたOPECが方針を転換する。

 OPEC加盟国は8月時点で日量3324万バレルを生産しており、今回の合意で事実上の減産に踏み切ることになる。OPECが減産するのは、金融危機後の2008年以来、約8年ぶり。11月30日にウィーンの本部で開く総会で詳細を詰める。
 OPEC議長国カタールのサダ・エネルギー相は臨時総会後の記者会見で「OPECは市場を均衡させる取り組みを加速する必要がある」と政策転換の意義を強調した。当初は非公式会合で現状を把握するとしていたが、加盟国が協調に前向きに傾いたとみて会合を臨時総会に格上げした。
 今回の合意を巡り、
増産余地を確保したいイランなどに対し、サウジアラビアが譲歩した。1月の米欧の経済制裁の解除以降、イランは増産継続の姿勢を崩していない。政情不安などで産出量が落ちこむリビアとナイジェリアについても「柔軟に対応する」(サダ氏)とし、例外措置を認める方向だ。減産のかなりの部分をサウジが担う
必要が出てきそうだ。

 OPECは年初から、ある一時点の生産量をもとに上限を設ける「増産凍結」の可能性を探ってきた。今回の
会合前にはイランとサウジの隔たりが大きく、両国とも合意に懐疑的な見通しを示していた。ところが一転して二大国が歩み寄り、減産にまで踏み込んだ。無策にとどまった場合の原油市場への影響に対し、加盟国が強い危機感を抱いたもよう
だ。

 会合に参加を予定していた非加盟国のロシアがOPEC内部の足並みの乱れを理由に出席を見送ったことも、加盟国間の結束を後押しした。OPECは今後、ロシアなど非加盟国と協議し、原油市場の需給の安定に向け協力を求める方針だ。

 OPECは14年11月の総会で、北米のシェールオイルに対抗するため、シェア確保を優先する戦略に転換。15年12月、従来の日量3000万バレルの生産枠を棚上げし、加盟国の裁量による増産を容認した。これが原油価格の急落を招き、産油国の財政を圧迫しているため、これ以上の供給拡大は得策ではないとの判断が働いたとみられる。

 世界同時株安の主因のひとつとされる原油価格下落(財政が苦しくなったことでオイルマネーが一定量の株を売って市場から引き揚げた)が止まることの期待で、低迷している日本の株式市場には、思わぬ援軍登場となった様ですね。
 
株228円高、サプライズ減産でリスクオン続くか  :日本経済新聞

 降って湧いた原油反騰で世界の金融市場がリスクオンに傾いた29日だが、中長期的な構図は何も変わっていない。短期筋主導の相場上昇を横目にせっせと売り続ける海外投資家の姿からは、日本株の本格的な上昇は見通せない。というのが日経の見立て。

 「石油減産合意がもたらす影響」を速報している記事がありました。
 

石油減産合意がもたらす影響 ヒロ 2016年09月29日 10:00

<前略>

実際のところ、ロシアは合意できないだろうと会議に参戦しなかったようで内部の人間すら期待感ゼロだった今回の暫定合意は何だったのでしょうか?

私が注目していたのは
下地作りの調整がイランとサウジの間で進んでいたことが逆に本気度を感じさせたという点でしょうか?今までのOPEC会議はイランの出方が最大の注目でしたが石油の輸出解禁からイランの増産ペースが軌道に乗るまで時間がかかっていました。その間、イランは聞く耳を持つ状況になかったのですが、今回、下地作りのテーブルに乗ったのはいつまでもわがままがいえないという先読みもあったのだろうと思います。

サウジも台所が非常に苦しい
中、31歳のサルマン副皇太子の采配にも注目でした。かつての石油の実権者で20年も在任したヌアイミ石油相からサルマン副皇太子ダイレクトの指令が伝わりやすいファリハ氏に代えたところがその伏線であります。

サルマン副皇太子はサウジの長い先行きを考える中で、脱石油社会の到来を見越し、各種投資に打って出ています。しかしながら、それらが開花するのには時間がかかるため、現状の石油依存の国家体質において目先、何が何でも状況を改善させる必要性を背景に感じ取れます
。また、アラムコの上場準備もあり、その価格形成をなるべく高めたい野望も当然あったはずです。

今回の暫定減産合意は11月30日のOPEC総会時に正式決定されるとみています。
減産幅はわずかですが、産油国が無尽蔵な産油競争に陥っていたことに歯止めがかかったことは大きなトレンド変化
とも言えます。原油価格はニューヨーク市場で5%程度上昇して47ドル台となりましたが、今後、じわっと上昇が続き、当初見込んでいた年末50ドルから60ドルのラインに再挑戦になろうかと思います。

さて、原油価格が多少なりとも上向くことで
それなりの影響が出てくるでしょう。例えば、アメリカでは自動車販売は燃費の悪いライトトラックから乗用車などへのシフトが起きるかもしれません。読み切れないのはアメリカのシェールオイルがどのぐらい回復するかですが、個人的には金融機関がすぐさま、融資の姿勢を転じることはないとみていますのでシェール復活には原油がある程度高値安定するまでは再ブームは期待できない
と思います。

日本などでは一部関連製品の値上がりはありうるかもしれませんが、5-60ドルの水準であれば物価への影響は軽微だろうと思います。むしろ、物価マインド的にプラスに転じますので経済全体にはよいシャワーとなる
のではないでしょうか?

長期的に見れば脱石油社会は時代の趨勢ですのでジワリと石油依存度は下がってくるとみています。また、天然ガスが安値で放置されているので代替資源としての活用が進めば資源依存の地図は変わってくると思います。特に安倍首相がプーチン大統領と進めている日ロ間の経済関係の合意についてはサハリンの石油、ガスの日本への供給が主テーマであろうと推測しています。パイプラインを含めた供給体制の合意の可能性もあり、日本にとって資源のオプションが増え、価格交渉力が増してくることもあるでしょう。

一方、
石油価格の上昇は中国の資源へののどの渇きを促進してしまうかもしれません。最大の懸念は南シナ海への進出意欲
でしょう。過度の資源価格へのスペキュレーション(投機)は政治問題、外交問題への発展につながり、東アジアの不安定化をもたらす要素にもつながります。

中東の石油減産合意はリンクする世界故に「風が吹けば桶屋が儲かる」的な展開を見せるものです。すべてを予想することは難しく、想定外の事態も起こりうることは頭の片隅に置いていた方がよさそうです。


 「減産幅はわずかですが、産油国が無尽蔵な産油競争に陥っていたことに歯止めがかかったことは大きなトレンド変化」との評価です。
 アメリカでは自動車販売は燃費の悪いライトトラックから乗用車などへのシフトが起きる可能性。アメリカのシェールオイルがどのぐらい回復するかについては、原油がある程度高値安定するまでは再ブームは期待できない。日本などでは一部関連製品の値上がりはありうるかもしれないが、5-60ドルの水準であれば物価への影響は軽微。むしろ、物価マインド的にプラスに転じますので経済全体にはよいシャワーとなるとの見立てです。

 他方、石油価格の上昇は中国の資源へののどの渇きを促進してしまう可能性があり、南シナ海への進出意欲への懸念があると。
 中東の石油減産合意はリンクする世界なので、想定外の事態も起こりうることは頭の片隅に置いていた方がよさそうですとの結びです。

 原油安の恩恵を得ていた部分は、やや戻してしまい、混迷している分野では一息つける。ただ、投機筋が、この合意をネタに過度な動きをすると、予測不可能な事態が生じるので要注意ということですね。



# 冒頭の画像は、会合後に記者会見する議長国カタールのサダ・エネルギー相




  この花の名前は、ドイツスズラン


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写真素材のピクスタ


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