半導体供給の主導権争いが活発化している。
争いに加わっていたのは、最近までは中国と米国、それに両大国に挑戦する韓国や台湾など、一握りだった。
だが今、世界第3位の経済大国で、高い技術力を持つ日本が参戦しようとしていると、WSJのジャッキー・ウォン氏の記事。
1970年代から80年代に世界をリードした骨太の産業政策をほうふつとさせる動きだと。
政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料大手JSRを買収するため、株式公開買い付け(TOB)を開始。
JSRは感光材フォトレジストの生産世界最大手。フォトレジストは半導体のシリコンウエハーに小型回路を描き出すのに必要な材料。
政府系ファンドはジャパンディスプレイ(JDI)やシャープなど経営難に陥った製造業大手を救済したり、小規模な新興企業に投資したりする事例のほうがよく知られている。
しかし、JSRは黒字経営の上場企業で、市場を驚かせたと、ジャッキー・ウォン。
日本は半導体材料の供給で他国を圧倒している。フォトレジスト以外でも、シリコンウエハーやスマートフォンのディスプレーに使われるフッ化ポリイミドなどの生産は日本が首位。
その一方で国内産業は断片化していると、ジャッキー・ウォン。
例えばフォトレジストではJSRが最大手だが、東京応化工業や信越化学工業など、他の国内勢との差は大きくない。JSRとJICが資源の集中、技術の統合、日本の競争力維持を目指し、より大胆な国内産業再編を口にするのはそのためだろうと。
JICによるJSR買収は、日本を代表する企業を生み出すような、さらなる統合をほのめかしているのだとも。
日本はかつて圧倒的地位を誇った半導体製造業界の復活も切望している。
半導体チップ製造では台湾や韓国に追い抜かれたが、半導体業界内にはまだ多くの強みがある。そうした分野のリーダーであり続けるために、政府がさらに関与する可能性はますます高まっているようだと、ジャッキー・ウォン。
半導体製造装置では、日本、米国、オランダの3国が世界を牛耳っていることは、諸兄がご承知の通りですね。
米国、オランダ、日本が対中国「半導体包囲網」 露光システム以外の製造装置も輸出規制対象に | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン
世界の半導体戦争で、日本の復権を期待します。
# 冒頭の画像は、JSRのエリック・ジョンソン社長
「業界再編のきっかけつくれる」 JSRジョンソン社長インタビュー:朝日新聞デジタル
この花の名前は、ニワゼキショウ
↓よろしかったら、お願いします。
争いに加わっていたのは、最近までは中国と米国、それに両大国に挑戦する韓国や台湾など、一握りだった。
だが今、世界第3位の経済大国で、高い技術力を持つ日本が参戦しようとしていると、WSJのジャッキー・ウォン氏の記事。
1970年代から80年代に世界をリードした骨太の産業政策をほうふつとさせる動きだと。
日本も半導体戦争に参戦、政府関与拡大か - WSJ ジャッキー・ウォン 2023年 6月 28日
小さな半導体チップが大国間の争いの種になっている。
世界各国で半導体メーカーに政府補助金を出す動きがみられるが、争いに加わっていたのは、最近までは中国と米国、それに両大国に挑戦する韓国や台湾など、一握りだった。
だが今、世界第3位の経済大国で、高い技術力を持つ日本が参戦しようとしている。
日本は半導体サプライチェーンの心臓部でリーダーシップを発揮し続けるため、断固とした行動に出ている。1970年代から80年代の骨太の産業政策をほうふつとさせる動きだ。こうした政策は自動車や半導体など、高度な技術を伴う製造業の主要分野で圧倒的地位を築くのに貢献した。
政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料大手JSRを総額約9040億円で買収するため、株式公開買い付け(TOB)を開始した。JSRが26日発表した。JSRは感光材フォトレジストの生産世界最大手。フォトレジストは半導体のシリコンウエハーに小型回路を描き出すのに必要な材料だ。
この発表は市場を驚かせた。JSRは黒字経営の上場企業で、JICの典型的な買収対象ではないためだ。政府系ファンドはジャパンディスプレイ(JDI)やシャープなど経営難に陥った製造業大手を救済したり、小規模な新興企業に投資したりする事例のほうがよく知られている。JSRの株価は週初から30%上昇し、TOB価格まであと3%に迫っている。
JSRは買収によって戦略的投資のための柔軟性が生まれると述べている。国が支援するファンドであれば安定的かつ長期的な資本提供を受けられ、将来的に業界内の他企業と協議する際の交渉力も高められるとの判断から、JSRは昨年11月、JICに買収を打診した。5~7年後の再上場を目指す考えだ。
日本はすでに半導体材料の供給で他国を圧倒している。フォトレジスト以外でも、シリコンウエハーやスマートフォンのディスプレーに使われるフッ化ポリイミドなどの生産は日本が首位だ。2019年には政府がフォトレジストなど半導体材料3品目の韓国への輸出規制を強化し、波紋を呼んだ。
ただ、その一方で国内産業は断片化している。例えばフォトレジストではJSRが最大手だが、東京応化工業や信越化学工業など、他の国内勢との差は大きくない。JSRとJICが資源の集中、技術の統合、日本の競争力維持を目指し、より大胆な国内産業再編を口にするのはそのためだろう。
JICによるJSR買収は、始まりにすぎない可能性が高い。両社は日本を代表する企業を生み出すような、さらなる統合をほのめかしている。
日本はかつて圧倒的地位を誇った半導体製造業界の復活も切望している。他国同様、日本も半導体メーカーの工場建設に補助金を出している。半導体チップ製造では台湾や韓国に追い抜かれたが、半導体業界内にはまだ多くの強みがある。そうした分野のリーダーであり続けるために、政府がさらに関与する可能性はますます高まっているようだ。
世界の半導体戦争は熱を帯びるばかりでなく、すそ野が広がってもいる。
---------------------------------------------------
ジャッキー・ウォン レポーター、ウォールストリートジャーナル
香港を拠点とするハード・オン・ザ・ストリートのコラムニストです。彼はアジアのテクノロジー、小売、不動産セクターをカバーしています。以前は、香港のジャーナルのマーケットトークレポーターでした。彼はジャーナルに参加する前に香港大学で学ぶためにグーグルデータジャーナリズム奨学金を獲得しました。彼はBNPパリバのトレーダーとしてキャリアをスタートさせました。
小さな半導体チップが大国間の争いの種になっている。
世界各国で半導体メーカーに政府補助金を出す動きがみられるが、争いに加わっていたのは、最近までは中国と米国、それに両大国に挑戦する韓国や台湾など、一握りだった。
だが今、世界第3位の経済大国で、高い技術力を持つ日本が参戦しようとしている。
日本は半導体サプライチェーンの心臓部でリーダーシップを発揮し続けるため、断固とした行動に出ている。1970年代から80年代の骨太の産業政策をほうふつとさせる動きだ。こうした政策は自動車や半導体など、高度な技術を伴う製造業の主要分野で圧倒的地位を築くのに貢献した。
政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料大手JSRを総額約9040億円で買収するため、株式公開買い付け(TOB)を開始した。JSRが26日発表した。JSRは感光材フォトレジストの生産世界最大手。フォトレジストは半導体のシリコンウエハーに小型回路を描き出すのに必要な材料だ。
この発表は市場を驚かせた。JSRは黒字経営の上場企業で、JICの典型的な買収対象ではないためだ。政府系ファンドはジャパンディスプレイ(JDI)やシャープなど経営難に陥った製造業大手を救済したり、小規模な新興企業に投資したりする事例のほうがよく知られている。JSRの株価は週初から30%上昇し、TOB価格まであと3%に迫っている。
JSRは買収によって戦略的投資のための柔軟性が生まれると述べている。国が支援するファンドであれば安定的かつ長期的な資本提供を受けられ、将来的に業界内の他企業と協議する際の交渉力も高められるとの判断から、JSRは昨年11月、JICに買収を打診した。5~7年後の再上場を目指す考えだ。
日本はすでに半導体材料の供給で他国を圧倒している。フォトレジスト以外でも、シリコンウエハーやスマートフォンのディスプレーに使われるフッ化ポリイミドなどの生産は日本が首位だ。2019年には政府がフォトレジストなど半導体材料3品目の韓国への輸出規制を強化し、波紋を呼んだ。
ただ、その一方で国内産業は断片化している。例えばフォトレジストではJSRが最大手だが、東京応化工業や信越化学工業など、他の国内勢との差は大きくない。JSRとJICが資源の集中、技術の統合、日本の競争力維持を目指し、より大胆な国内産業再編を口にするのはそのためだろう。
JICによるJSR買収は、始まりにすぎない可能性が高い。両社は日本を代表する企業を生み出すような、さらなる統合をほのめかしている。
日本はかつて圧倒的地位を誇った半導体製造業界の復活も切望している。他国同様、日本も半導体メーカーの工場建設に補助金を出している。半導体チップ製造では台湾や韓国に追い抜かれたが、半導体業界内にはまだ多くの強みがある。そうした分野のリーダーであり続けるために、政府がさらに関与する可能性はますます高まっているようだ。
世界の半導体戦争は熱を帯びるばかりでなく、すそ野が広がってもいる。
---------------------------------------------------
ジャッキー・ウォン レポーター、ウォールストリートジャーナル
香港を拠点とするハード・オン・ザ・ストリートのコラムニストです。彼はアジアのテクノロジー、小売、不動産セクターをカバーしています。以前は、香港のジャーナルのマーケットトークレポーターでした。彼はジャーナルに参加する前に香港大学で学ぶためにグーグルデータジャーナリズム奨学金を獲得しました。彼はBNPパリバのトレーダーとしてキャリアをスタートさせました。
政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料大手JSRを買収するため、株式公開買い付け(TOB)を開始。
JSRは感光材フォトレジストの生産世界最大手。フォトレジストは半導体のシリコンウエハーに小型回路を描き出すのに必要な材料。
政府系ファンドはジャパンディスプレイ(JDI)やシャープなど経営難に陥った製造業大手を救済したり、小規模な新興企業に投資したりする事例のほうがよく知られている。
しかし、JSRは黒字経営の上場企業で、市場を驚かせたと、ジャッキー・ウォン。
日本は半導体材料の供給で他国を圧倒している。フォトレジスト以外でも、シリコンウエハーやスマートフォンのディスプレーに使われるフッ化ポリイミドなどの生産は日本が首位。
その一方で国内産業は断片化していると、ジャッキー・ウォン。
例えばフォトレジストではJSRが最大手だが、東京応化工業や信越化学工業など、他の国内勢との差は大きくない。JSRとJICが資源の集中、技術の統合、日本の競争力維持を目指し、より大胆な国内産業再編を口にするのはそのためだろうと。
JICによるJSR買収は、日本を代表する企業を生み出すような、さらなる統合をほのめかしているのだとも。
日本はかつて圧倒的地位を誇った半導体製造業界の復活も切望している。
半導体チップ製造では台湾や韓国に追い抜かれたが、半導体業界内にはまだ多くの強みがある。そうした分野のリーダーであり続けるために、政府がさらに関与する可能性はますます高まっているようだと、ジャッキー・ウォン。
半導体製造装置では、日本、米国、オランダの3国が世界を牛耳っていることは、諸兄がご承知の通りですね。
米国、オランダ、日本が対中国「半導体包囲網」 露光システム以外の製造装置も輸出規制対象に | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン
世界の半導体戦争で、日本の復権を期待します。
# 冒頭の画像は、JSRのエリック・ジョンソン社長
「業界再編のきっかけつくれる」 JSRジョンソン社長インタビュー:朝日新聞デジタル
この花の名前は、ニワゼキショウ
↓よろしかったら、お願いします。