遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

AIIBの登場で変わるADB

2015-05-08 01:34:49 | 日本を復活させる
 AIIBが57ヵ国の参加を得て、大きな勢力となりそうですが、ADBも改革を進めています。融資を期待する国々には選択肢が増え歓迎されています。
 成長するアジアの国々が、必要とする融資に応え、融資を受ける方と、融資をする側とが、お互いに利益を得ることが目的です。ADBの改革は、顧客満足度で優位に受け入れられるのでしょうか。
 

ADB融資まだ不足 アジア諸国厳しい視線 (5/6 読売朝刊)

 アジア開発銀行(ADB)の年次総会など一連の国際会議が5日、閉幕し、融資額拡大を決めるなど一定の成果を出した。ただ、中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)の存在感が高まる中、アジア諸国のADBに向ける視線は厳しい
。今後もさらなる改革が求められそうだ。

 ADBの中尾武彦総裁は5日の閉幕スピーチで「今回の議論はより強く、より良い、より(手続きが)迅速なADBを作り上げるのに役立つだろう」と成果を強調した。
 だが
一連の会議では、ADBの「物足りなさ」を背景に、AIIBに期待する声が目立ったタイのソンマイ財務相は、「もっと多くの資金源が必要だ。AIIBと(ADBなど)他の金融機関との間で競争が生じれば、新興国にとってはいいこと」と語った。アゼルバイジャンのシャリフォフ財務相は「インフラ(社会基盤)整備についての(各国間の)格差を憂慮している。中国の取り組みはタイミングがいい
」と評価した。
 ADBは総会で、融資・無償支援の承認額を、2017年に現在の約1・5倍にあたる年間200億ドル(約2兆4000億円)規模まで増やすことを正式に決めた。だがアジアでは、インフラ整備のため年に約8000億ドル(約96兆円)の資金が必要とされる。中国の楼継偉(ロウジーウェイ)財務相は4日の演説で「
ADBの貸し出し能力は(増加した後でも)まだまだ少なすぎる
」と指摘した。
 麻生副総理・財務相は「良質なインフラは、長い目で見れば(支援を受けた国の)負担軽減につながる」と強調したが、日本の戦略がどれだけ受け入れられるかは未知数だ。
存在感を示し続けるには民間資金をうまく活用して「量」を増やす改革が不可欠
と言えそうだ。(バクー 五十棲忠史、栗原守)

ADB総会で決まった主な内容
▼貧困国への無償支援や超低利融資を行う「アジア開発基金」の大部分を、中所得国への融資などを行う「通常資本財源」と統合
▼2017年に、年間の融資・無償支援の承認額を、現在の約1・5倍にあたる約200億ドル(2兆4000億円)規模まで増やす
▼民間金融機関の資金をインフラ整備などに取り込むため、日本のメガバンク3行を含む世界の8民間銀行と提携
▼17年の年次総会は横浜で開催



 融資を求めている側が、AIIBの登場でADBの独壇場から、選択肢が増えて、競争原理が働くことを歓迎したり、広く行き渡ることを歓迎するのは当然ですね。
 まして、インフラ整備のため年に約8,000億ドル(約96兆円)/年の資金が必要とされるなか、融資・無償支援の承認額を1.5倍の200億ドル(約2兆4000億円)/年規模まで増やしても、まだまだ足りないとの見方もあります。
 8,000 - 200 = 7,800億ドル/年の不足と言う数字が正しければ、AIIBが、ADBの39倍の融資をしてようやく需要と融資能力が均衡するという規模で、AIIBとADBが併存してもとやかく言うほどではないと言うことになりますが?(需要のある資金にどれだけ返済能力があるものが含まれているかは不明。)
 中国やドイツ等は、AIIBに日本の参入を求めていますが、日本は、ADBと民間銀行の提携で資金を増やす他に、中国が求める出資比率の変更に応じて、ADBへの中国の出資枠を増やす検討もするのだそうです。逆襲です。(笑)
 


ADB 将来増資検討も…中尾総裁インタビュー AIIBと「情報交換する」 (5/7 読売夕刊)

 【バクー=五十棲忠史】アジア開発銀行(ADB)の中尾武彦総裁は6日、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれた年次総会後に読売新聞のインタビューに応じた。中尾総裁は「融資の『資金が足りない』ということになれば、増資となるだろう」と述べ、年次総会で決めた融資額の拡大にとどまらず、将来は増資も検討課題になる
との考えを明らかにした。
 ADBへの出資比率は、日本と米国が15%台とほぼ並んでいる一方で、中国やインドは6%台にとどまっており、
中国は経済規模に見合った出資比率の見直しを求めている

 
中尾総裁は、「中国の国内総生産(GDP)は日本の2倍だ。各国の経済力を反映し、少しでも出資比率を変えていこうという議論になる可能性がある」と、出資比率を見直す可能性に言及
した。
 中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)については、「アジアに大きなインフラ(社会基盤)需要がある。AIIBが協調融資してくれれば資金の補完になる。情報交換や知識の共有も行う」と協力を進める考えを示した。ただ、ADBの職員をAIIBに出向させることなどは、「考えていない」とした。
 ADBは5日まで開かれた年次総会で、組織内の財源を統合し、年間の融資・無償支援の承認額を、2017年に現在の約1・5倍となる200億ドル(約2兆4000億円)規模に増やすことを決めた。



 繰り返しますが、融資需要と、ADBの増枠後の融資能力との差が、8,000 - 200 = 7,800億ドル/年の不足という数字が正しいとすれば、ADBと、AIIBの併存は、融資を希望する側にとっては歓迎されることですし、供給が増えればインフラ整備が加速され、経済成長も加速されることになりますね。
 優良融資先の奪い合いという競争が生じることはあるのでしょうが、格付けが低い為、資金調達コストが高いと見込まれるAIIBと、ADBとの競争では、ADBが競争力があるのですから、AIIBはダンピング融資(貸す側のリスク増大)での競争を挑まざるをえないことになりますね。

 中国も、日本も、表面では協調を謳っています。アジアでの金融市場の覇権をめぐる、中国と日米の切磋琢磨は、安売りの中国と、麻生さんの言う品質の日米とどちらに軍配が上がるのか、今後の展開に眼が離せませんね。



 # 冒頭の画像は、ADBの中尾武彦総裁






  沖縄・古宇利島大橋 (2015年 1月 撮影)


↓よろしかったら、お願いします。






Fotolia






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 5月6日(水)のつぶやき | トップ | 5月7日(木)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本を復活させる」カテゴリの最新記事