遊爺雑記帳

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ASEAN首脳会議25日開幕 議長声明で、南シナ海問題に関して「懸念」の言葉を復活できるか

2018-04-23 23:58:58 | EEZ 全般
 ASEAN首脳会議は、南シナ海での中国と周辺国の対立について、「懸念」の文言を議長声明に毎回盛り込んできた。しかし、フィリピン・マニラで昨年11月に開かれた首脳会議では、議長国フィリピンのドゥテルテ大統領が対中融和方針を取り、「ASEANと中国の関係改善に留意する」との表現に改められました。
 25日に開催される今年の会議で、議長国のシンガポールは、「懸念」の表現を復活させることが出来るか、要注目です。
 
ASEAN首脳会議25日開幕 南シナ海「懸念」焦点 議長声明 中国、比の懐柔狙う (4/23 読売朝刊)

 【ハノイ=田中洋一郎、バンコク=大重真弓】南シナ海での領有権問題を巡り、中国がベトナムとフィリピンへの働きかけを強めている。シンガポールで25日に開幕する東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の議長声明で、南シナ海問題に関して「懸念」を表明するかどうかのカギを両国が握っているからだ

「ベトナムと共闘」にくさび
 
中国の王毅国務委員兼外相は4月1日、訪問先のベトナム・ハノイで「中越両国は一方的行動を慎むべきだ」と報道陣に語り、南シナ海問題で対立するベトナムに対し、「2国間」の交渉による問題解決を求めた
 一方、
ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相らは王氏との会談で、国際法や、南シナ海での紛争防止に向けて中国とASEANで策定を進める「行動規範」に基づく「多国間」の枠組みでの解決を改めて主張した。
 越国営紙タインニエン(電子版)は2~4月、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が施設の運用を始めたと相次ぎ報じた。政府統制下にある国営紙に報道を認めることで、中国による南シナ海の軍事拠点化に強い懸念を示した形だ。
 
ベトナムは、南シナ海で「航行の自由作戦」を行う米国に期待する。「米国が}少しでも手を引けば中国が積極的な動きに出る」(外交筋)のは確実とみているからだ。米空母が今年3月、1975年のベトナム戦争終結後初めて同国に寄港した際、越メディアは「関係改善が加速する」と好意的に伝えた。
 
フィリピンでは、ドゥテルテ政権下で対米関係が悪化する中、中国の経済支援をあてにする同政権と、領有権問題で越比の共闘にくさびを打ち込みたい中国の思惑が重なる
 フィリピンのカエタノ外相は2月、南シナ海で中国と油田・ガス田の共同探査を行うと発表した。南シナ海問題で
オランダ・ハーグの仲裁裁判所に中国を提訴したアキノ前政権とは対照的な姿勢だ。
 中国の習近平国家主席は、4月に開かれた国際会議「ボーアオ・アジアフォーラム」に合わせ、ドゥテルテ大統領と首脳会談を行い、フィリピン・ダバオの高速道路整備支援など六つの協力協定に合意した。中国から支援を引き出したドゥテルテ氏は、「さらなる友情が育めてうれしい」と喜んだ。
 ただ、2月には
フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の五つの海嶺に関し、中国が国際水路機関の下部組織に中国語で命名を申請し、受理されていたことが判明。今月18日には、EEZ内のスプラトリー諸島ミスチーフ礁に、中国の軍用機2機が駐機している様子を比紙が写真入りで報じた。国内にはドゥテルテ政権の対中融和姿勢を「見返りが少ない。譲歩しすぎだ」と批判する声も根強い
 外交筋は「ドゥテルテ政権は世論の反応を見つつ対中政策のかじ取りをしている」と指摘し、反中感情が国内で高まった場合、融和姿勢を修正する可能性があるとの見方を示す。

「支援」エサに批判封じ
 【ジャカルタ=一言剛之】ASEAN首脳会議の終了後に公表される
議長声明では、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題を巡り、前回会議で削除された「懸念」の文言を復活させるのかが注目される
 ASEAN首脳会議は、南シナ海での中国と周辺国の対立について、「懸念」の文言を議長声明に毎回盛り込んできた。しかし、マニラで昨年11月に開かれた首脳会議では、議長国フィリピンのドゥテルテ大統領が対中融和方針を取り、「ASEANと中国の関係改善に留意する」との表現に改められた。
 今年の議長国シンガポールは、南シナ海問題で中国を批判する米国や日本などに配慮して「懸念」の表現を復活させるとの見方がある一方、
「中国は経済支援をエサに批判の声を封じようとしている」(ASEAN外交筋)とされる。

 南シナ海での紛争防止に向けて中国とASEANで策定を進める「行動規範」に「法的拘束力」を盛り込むことについては、ベトナムとフィリピンがリードしていましたが、中国の抵抗で長い間進展が見られませんでした。
 フィリピンのドゥテルテ大統領は、選挙戦では「(中国と領有権を争う)スカボロー礁に行って旗を立てる」と豪語していました。
 また、前アキノ政権政権時に行った仲裁裁判所への提訴で、中国の「九段線」を根拠とする南シナ海の領海の主張や、人口島の領有権は認められない裁定が下されました。

 中国は、「行動規範」に「法的拘束力」を持たせようとASEANをリードする、ベトナムとフィリピンの懐柔と分断策を、札束外交で進めてきたことは、諸兄がご承知の通りです。
 バナナの輸入制限をするなどしてフィリピンに仲裁裁判所の裁定への制裁圧力を強めていた中国。
 「祖父が中国人」のドゥテルテ大統領は、就任後ASEAN諸国以外での最初の訪問国を、同盟関係のある米国ではなく中国を選びました。
 そして、仲裁裁判所の裁定を掲げることはなく、中国からの経済支援獲得を優先する政策を続けています。
 4月に開かれた国際会議「ボーアオ・アジアフォーラム」時の、習近平とドゥテルテ大統領との会談では、フィリピン・ダバオの高速道路整備支援など六つの協力協定に合意したのだそうで、中国から支援を引き出したドゥテルテ氏は、「さらなる友情が育めてうれしい」と喜んだのだそうです。
 すっかり中国の札束外交に籠絡されてしまっています。

 しかし、2月にはフィリピンのEEZ内の五つの海嶺に関し、中国が国際水路機関の下部組織に中国語で命名を申請・受理されたり、スプラトリー諸島ミスチーフ礁に、中国の軍用機2機が駐機していることが発見されるなど、中国の侵略は進められていて、ドゥテルテ政権の対中融和姿勢を「見返りが少ない。譲歩しすぎだ」と批判する声も根強いのだと。

 一方、ベトナムは、南シナ海で「航行の自由作戦」を行う米国の対中けん制に期待を持ち、ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相らは、中国の王毅国務委員兼外相の「2国間」の交渉による問題解決要求に対し、「行動規範」に基づく「多国間」の枠組みでの解決を改めて主張しています。
 国営紙・タインニエン(電子版)で、スプラトリー(南沙)諸島で中国が施設の運用を始めたと相次ぎ報じさせて、中国による南シナ海の軍事拠点化に強い懸念を示しているのだそうです。
 米空母が今年3月、1975年のベトナム戦争終結後初めて同国に寄港した際、越メディアは「関係改善が加速する」と好意的に伝えているのだそうです。

 札束外交でASEAN諸国の懐柔と分断を進めながら、仲裁裁判所の裁定=国際法を無視し、南シナ海への覇権を拡大する中国。
 25日からの会議での議長声明に、シンガポールが「懸念」の表現を復活させることが出来るのか、中国が札束外交と軍事圧力で抑え込むのか。ASEANへの中国の魔手の浸透度を計る指標となりますね。



 # 冒頭の画像は、4月1日、ハノイでファム・ビン・ミン副首相兼外相と会談した王毅国務委員兼外相




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