今から4ヶ月前、プーチン大統領は、「イスラム国(IS)」を倒す目標を達成した、すべての当事者が政治的解決へ移行する必要がある、と自信満々に宣言。
ところが、数十人の死者を出したシリア・ドゥーマでの毒ガス攻撃疑惑が発生、米国が主導し英仏も参加し、シリアへのミサイル攻撃。
アサド政権を強く支持・擁護するロシアは、危険な窮地に追い込まれたと報じるのは、Financial Times。
外交筋の評価は以下。
「ロシア勢は自分たちのことを、シリアの主権の保護者、この国における体制転換と分割を推進する西側の陰謀と戦う戦士として打ち出しているが、国際的な無法者になることでアサドのパートナーになってしまう恐れがある」
「ロシアはのけ者国家のように見え始めており、ますますのけ者国家のように振る舞っている」
トランプ大統領は明確にプーチン氏を批判し、ロシアとイランはアサド氏を支援した責任を負っていると述べ、「大きな代償」を支払うことになると警告。
ロシアはこれまでアサド氏を国際的な圧力から守るための対策を次々と講じており、今回も毒ガス攻撃の責任がシリア軍にあるとの非難を激しく拒絶し、そもそも化学兵器が使われたことさえ否定。
この立場が経済、政治の両面で、ロシアにとって新たなリスクを生み出すように見えると英フィナンシャル・タイムズ紙。
米政府は、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)7人に対する懲罰的な対策を取り、ロシア最大のアルミ生産会社であるルサールが破綻の瀬戸際に追い込まれているのだそうです。
モスクワの外交官らは、プーチン氏がアサド氏への支持を貫く公算が大きいと見ているのだそうですが、欧州の外交官は「今やあまりに深入りしてしまったため、プーチンはアサドの人質と化した」と。
ロシアがアサド氏を頑なに支持するのは、「安定と領土の保全を保証できる代わりの人物が見当たらない」との論拠の反映だと。それは、中東において米国を封じ込めることが目的。
ロシアの中東政策の専門家であるニコライ・コザノフ氏は、「ロシアの軍事作戦は、アサド体制を完全な崩壊から救うことは、シリアがリビアやイラクと同じ道を歩むことを防ぐ唯一の方法だという考えに突き動かされている」と。
ロシア国際問題評議会(RIAC)の紛争専門家、グリゴリー・ルキヤノフ氏は「シリアは抵抗の場であり、米国とのイデオロギー上の紛争の場だ」と。
ロシアの専門家は、米露両国は1962年のキューバ危機以来、最も危険なにらみ合いに追い込まれたと話しているのだとも。
オバマ前大統領は、口では対抗しましたが、実際には行動はせず、その後混乱を増し、自称イスラム国の台頭を産みました。
トランブ大統領は、有言実行。
財政が苦しいのは米露とも同じですが、苦しさの度合いはロシアが大きい。
トランプ大統領と、プーチン大統領の意地の張り合いの様相を呈してきていますが、欧州勢と連携するトランプ大統領と、孤立化が進むプーチン大統領。
ロシアが窮地に追い込まれつつある様ですね。
# 冒頭の画像は、シリア・フメイミム空軍基地で、軍事パレードを視察するアサド大統領とプーチン大統領
この花の名前は、ミカエリソウ
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ところが、数十人の死者を出したシリア・ドゥーマでの毒ガス攻撃疑惑が発生、米国が主導し英仏も参加し、シリアへのミサイル攻撃。
アサド政権を強く支持・擁護するロシアは、危険な窮地に追い込まれたと報じるのは、Financial Times。
シリアのアサド体制を支え続けるプーチン大統領 米国主導のミサイル攻撃でロシアがいよいよ危険な窮地に | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.4.19(木) Financial Times
今から4カ月前、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はシリアに対して抱く思惑をしっかり掌握しているように見えた。
ロシアによる軍事介入は過激派組織「イスラム国(IS)」を倒す目標を達成した、すべての当事者が政治的解決へ移行する必要がある、と大統領は自信満々に宣言した。
だが、米国主導で実施された対シリア・ミサイル攻撃は、同国のバシャル・アサド大統領に対するロシアの揺るがぬ支持に伴うリスクを浮き彫りにしたと外交筋は警鐘を鳴らす。
そのせいでロシアがいよいよ危険な窮地に追い込まれ、ロシアの大きな利益を害しているからだ。
「ロシア勢は自分たちのことを、シリアの主権の保護者、この国における体制転換と分割を推進する西側の陰謀と戦う戦士として打ち出しているが、国際的な無法者になることでアサドのパートナーになってしまう恐れがある」
普段はロシアに友好的と見られている欧州国家の外交官はこう指摘する。「ロシアはのけ者国家のように見え始めており、ますますのけ者国家のように振る舞っている」
数十人の死者を出したシリア・ドゥーマでの毒ガス攻撃疑惑の後、米国のドナルド・トランプ大統領は明確にプーチン氏を批判し、ロシアとイランはアサド氏を支援した責任を負っていると述べ、「大きな代償」を支払うことになると警告している。
ロシア政府は、毒ガス攻撃の責任がシリア軍にあるとの非難を激しく拒絶し、そもそも化学兵器が使われたことさえ否定している。
ロシアはこれまで、シリアの化学兵器に対する2013年の査察体制の延長を阻止し、アサド氏を国際的な圧力から守るための対策を次々と講じており、こうした事実の否定はその最新事例となる。
そして今、この立場が経済、政治の両面で、ロシアにとって新たなリスクを生み出すように見える。米国のニッキー・ヘイリー国連大使は15日、シリアへの支援をめぐり、米政府がロシアに対して新たな制裁を科す計画だと述べた。
これは米政府がオレグ・デリパスカ氏を含むロシアのオリガルヒ(新興財閥)7人に対する懲罰的な対策を取り、ロシア市場急落の引き金を引いてから1週間程度しか経たないタイミングで、その際は、ロシア最大のアルミ生産会社であるルサールが破綻の瀬戸際に追い込まれている。
一方、米国は、ISと戦ってきた推定2000人の米兵を目標が達成されるまでシリア北東部から撤収させないと断言。プーチン氏は、さらなる攻撃を行わないよう警告している。
モスクワの外交官らは、プーチン氏がアサド氏への支持を貫く公算が大きいと見ている。プーチン氏は2015年に部隊と戦闘機をシリアへ派遣し、シリア政府側に有利になるよう内戦の形勢を変えた。
「今やあまりに深入りしてしまったため、プーチンはアサドの人質と化した」と、ある欧州の外交官は言う。
実際、アサド氏が再度、自国民に対して化学兵器を使ったと非難されている今でも、ロシアの中東専門家は、ロシア政府にはアサド氏を見捨てる選択肢はないと考えている。
「アサドと反体制派の大部分との分裂がほぼ修復不能に見えることは我々としても認識している」
中東3カ国に駐在した経験があるロシア外交官はこう話す。「しかし、安定と領土の保全を保証できる代わりの人物が見当たらない」
アサド氏を頑なに支持するこの姿勢は、同氏に対する信頼や個人的な好意の反映というよりは、シリア内戦に関与するロシアの根本的な論拠の反映である色合いが濃い。
つまり、中東において、そしてより大きな意味での国際舞台において、米国を封じ込めることだ。
ロシア政府とシリア反政府勢力との協議にかかわったロシアの元外交官は、「米国がこの国の分割にこだわっているために」、ロシアとイランとトルコが仲介した政治的な移行――反政府勢力がアサド氏の勝利が事実上確約された選挙を受け入れることを余儀なくされる――が「今も唯一の妥当な選択肢だ」と話している。
シリアに対するロシアのアプローチは、様々な政策目標によって動かされてきた。
ソ連時代の後に徐々に失われていった中東域内の経済的利益を守ること、ロシアの隣国や国内のイスラム地域に対するイスラム主義勢力の脅威に対抗すること、ほかのことに注意を奪われた米国につけ込み、中東でのロシアの影響力を立て直すこと、そしてプーチン氏がかねて世界的な不安定性の源泉と見なしている体制転換を阻止すること――などだ。
ロシアの中東政策の専門家であるニコライ・コザノフ氏は、最近の論文で次のように書いている。
「ロシアの軍事作戦は、アサド体制を完全な崩壊から救うことは、シリアがリビアやイラクと同じ道を歩むことを防ぐ唯一の方法だという考えに突き動かされている」
だが、プーチン氏にとってのロシアの意義は、それにとどまらない。
政府系シンクタンク、ロシア国際問題評議会(RIAC)の紛争専門家、グリゴリー・ルキヤノフ氏は「シリアは抵抗の場であり、米国とのイデオロギー上の紛争の場だ」と言う。
その流れで、利害は著しく大きくなった。ロシアと欧米との関係はすでに、ソ連の元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏とその娘が英国で軍事級の神経剤で襲われた事件をめぐり大きく悪化していた。
ロシアのエリート層のタカ派はこの流れに飛びつき、西側と協力する期待を捨てるようプーチン氏への圧力を強めている。
ロシア専門家は、米ロ両国は先週末にシリアで直接的な軍事衝突に至る事態を回避したものの、双方がアサド体制と化学兵器の使用に対する立場を強めたことで、両国は1962年のキューバ危機以来、最も危険なにらみ合いに追い込まれたと話している。
RIACのアンドレイ・コルトノフ会長は次のように語った。
「もはや理性の問題ではない。今では根性の問題で、どちらの方が強い意志を持っているか、だ」
「双方がハッタリをかけるかもしれないが、我々は皆死ぬ。だが、もしかしたらその時、キューバ・ミサイル危機の後のように奈落の底をのぞき込んだら、これは大変だと言って時勢を変えるのだろう」
今から4カ月前、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はシリアに対して抱く思惑をしっかり掌握しているように見えた。
ロシアによる軍事介入は過激派組織「イスラム国(IS)」を倒す目標を達成した、すべての当事者が政治的解決へ移行する必要がある、と大統領は自信満々に宣言した。
だが、米国主導で実施された対シリア・ミサイル攻撃は、同国のバシャル・アサド大統領に対するロシアの揺るがぬ支持に伴うリスクを浮き彫りにしたと外交筋は警鐘を鳴らす。
そのせいでロシアがいよいよ危険な窮地に追い込まれ、ロシアの大きな利益を害しているからだ。
「ロシア勢は自分たちのことを、シリアの主権の保護者、この国における体制転換と分割を推進する西側の陰謀と戦う戦士として打ち出しているが、国際的な無法者になることでアサドのパートナーになってしまう恐れがある」
普段はロシアに友好的と見られている欧州国家の外交官はこう指摘する。「ロシアはのけ者国家のように見え始めており、ますますのけ者国家のように振る舞っている」
数十人の死者を出したシリア・ドゥーマでの毒ガス攻撃疑惑の後、米国のドナルド・トランプ大統領は明確にプーチン氏を批判し、ロシアとイランはアサド氏を支援した責任を負っていると述べ、「大きな代償」を支払うことになると警告している。
ロシア政府は、毒ガス攻撃の責任がシリア軍にあるとの非難を激しく拒絶し、そもそも化学兵器が使われたことさえ否定している。
ロシアはこれまで、シリアの化学兵器に対する2013年の査察体制の延長を阻止し、アサド氏を国際的な圧力から守るための対策を次々と講じており、こうした事実の否定はその最新事例となる。
そして今、この立場が経済、政治の両面で、ロシアにとって新たなリスクを生み出すように見える。米国のニッキー・ヘイリー国連大使は15日、シリアへの支援をめぐり、米政府がロシアに対して新たな制裁を科す計画だと述べた。
これは米政府がオレグ・デリパスカ氏を含むロシアのオリガルヒ(新興財閥)7人に対する懲罰的な対策を取り、ロシア市場急落の引き金を引いてから1週間程度しか経たないタイミングで、その際は、ロシア最大のアルミ生産会社であるルサールが破綻の瀬戸際に追い込まれている。
一方、米国は、ISと戦ってきた推定2000人の米兵を目標が達成されるまでシリア北東部から撤収させないと断言。プーチン氏は、さらなる攻撃を行わないよう警告している。
モスクワの外交官らは、プーチン氏がアサド氏への支持を貫く公算が大きいと見ている。プーチン氏は2015年に部隊と戦闘機をシリアへ派遣し、シリア政府側に有利になるよう内戦の形勢を変えた。
「今やあまりに深入りしてしまったため、プーチンはアサドの人質と化した」と、ある欧州の外交官は言う。
実際、アサド氏が再度、自国民に対して化学兵器を使ったと非難されている今でも、ロシアの中東専門家は、ロシア政府にはアサド氏を見捨てる選択肢はないと考えている。
「アサドと反体制派の大部分との分裂がほぼ修復不能に見えることは我々としても認識している」
中東3カ国に駐在した経験があるロシア外交官はこう話す。「しかし、安定と領土の保全を保証できる代わりの人物が見当たらない」
アサド氏を頑なに支持するこの姿勢は、同氏に対する信頼や個人的な好意の反映というよりは、シリア内戦に関与するロシアの根本的な論拠の反映である色合いが濃い。
つまり、中東において、そしてより大きな意味での国際舞台において、米国を封じ込めることだ。
ロシア政府とシリア反政府勢力との協議にかかわったロシアの元外交官は、「米国がこの国の分割にこだわっているために」、ロシアとイランとトルコが仲介した政治的な移行――反政府勢力がアサド氏の勝利が事実上確約された選挙を受け入れることを余儀なくされる――が「今も唯一の妥当な選択肢だ」と話している。
シリアに対するロシアのアプローチは、様々な政策目標によって動かされてきた。
ソ連時代の後に徐々に失われていった中東域内の経済的利益を守ること、ロシアの隣国や国内のイスラム地域に対するイスラム主義勢力の脅威に対抗すること、ほかのことに注意を奪われた米国につけ込み、中東でのロシアの影響力を立て直すこと、そしてプーチン氏がかねて世界的な不安定性の源泉と見なしている体制転換を阻止すること――などだ。
ロシアの中東政策の専門家であるニコライ・コザノフ氏は、最近の論文で次のように書いている。
「ロシアの軍事作戦は、アサド体制を完全な崩壊から救うことは、シリアがリビアやイラクと同じ道を歩むことを防ぐ唯一の方法だという考えに突き動かされている」
だが、プーチン氏にとってのロシアの意義は、それにとどまらない。
政府系シンクタンク、ロシア国際問題評議会(RIAC)の紛争専門家、グリゴリー・ルキヤノフ氏は「シリアは抵抗の場であり、米国とのイデオロギー上の紛争の場だ」と言う。
その流れで、利害は著しく大きくなった。ロシアと欧米との関係はすでに、ソ連の元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏とその娘が英国で軍事級の神経剤で襲われた事件をめぐり大きく悪化していた。
ロシアのエリート層のタカ派はこの流れに飛びつき、西側と協力する期待を捨てるようプーチン氏への圧力を強めている。
ロシア専門家は、米ロ両国は先週末にシリアで直接的な軍事衝突に至る事態を回避したものの、双方がアサド体制と化学兵器の使用に対する立場を強めたことで、両国は1962年のキューバ危機以来、最も危険なにらみ合いに追い込まれたと話している。
RIACのアンドレイ・コルトノフ会長は次のように語った。
「もはや理性の問題ではない。今では根性の問題で、どちらの方が強い意志を持っているか、だ」
「双方がハッタリをかけるかもしれないが、我々は皆死ぬ。だが、もしかしたらその時、キューバ・ミサイル危機の後のように奈落の底をのぞき込んだら、これは大変だと言って時勢を変えるのだろう」
外交筋の評価は以下。
「ロシア勢は自分たちのことを、シリアの主権の保護者、この国における体制転換と分割を推進する西側の陰謀と戦う戦士として打ち出しているが、国際的な無法者になることでアサドのパートナーになってしまう恐れがある」
「ロシアはのけ者国家のように見え始めており、ますますのけ者国家のように振る舞っている」
トランプ大統領は明確にプーチン氏を批判し、ロシアとイランはアサド氏を支援した責任を負っていると述べ、「大きな代償」を支払うことになると警告。
ロシアはこれまでアサド氏を国際的な圧力から守るための対策を次々と講じており、今回も毒ガス攻撃の責任がシリア軍にあるとの非難を激しく拒絶し、そもそも化学兵器が使われたことさえ否定。
この立場が経済、政治の両面で、ロシアにとって新たなリスクを生み出すように見えると英フィナンシャル・タイムズ紙。
米政府は、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)7人に対する懲罰的な対策を取り、ロシア最大のアルミ生産会社であるルサールが破綻の瀬戸際に追い込まれているのだそうです。
モスクワの外交官らは、プーチン氏がアサド氏への支持を貫く公算が大きいと見ているのだそうですが、欧州の外交官は「今やあまりに深入りしてしまったため、プーチンはアサドの人質と化した」と。
ロシアがアサド氏を頑なに支持するのは、「安定と領土の保全を保証できる代わりの人物が見当たらない」との論拠の反映だと。それは、中東において米国を封じ込めることが目的。
ロシアの中東政策の専門家であるニコライ・コザノフ氏は、「ロシアの軍事作戦は、アサド体制を完全な崩壊から救うことは、シリアがリビアやイラクと同じ道を歩むことを防ぐ唯一の方法だという考えに突き動かされている」と。
ロシア国際問題評議会(RIAC)の紛争専門家、グリゴリー・ルキヤノフ氏は「シリアは抵抗の場であり、米国とのイデオロギー上の紛争の場だ」と。
ロシアの専門家は、米露両国は1962年のキューバ危機以来、最も危険なにらみ合いに追い込まれたと話しているのだとも。
オバマ前大統領は、口では対抗しましたが、実際には行動はせず、その後混乱を増し、自称イスラム国の台頭を産みました。
トランブ大統領は、有言実行。
財政が苦しいのは米露とも同じですが、苦しさの度合いはロシアが大きい。
トランプ大統領と、プーチン大統領の意地の張り合いの様相を呈してきていますが、欧州勢と連携するトランプ大統領と、孤立化が進むプーチン大統領。
ロシアが窮地に追い込まれつつある様ですね。
# 冒頭の画像は、シリア・フメイミム空軍基地で、軍事パレードを視察するアサド大統領とプーチン大統領
この花の名前は、ミカエリソウ
↓よろしかったら、お願いします。