遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ロシアが元気

2011-11-24 22:11:12 | my notice
 米国とNATOとで進めているMD計画に対するロシアの抵抗は、一時緊迫したもののその後は小康状態を保っていたと思っていましたが、ここへきてロシアが強行に突っ張ってきているようですね。
 読売の記事によると、メドベージェフ大統領は米国に対し最後通告の演説をしたのだそうです。
 

露、新ミサイル配備意向 MDで米に警告新START脱退も (11/24 読売朝刊)

 
【モスクワ=寺口亮一】ロシアのメドベージェフ大統領は23日放送のテレビ演説で、米国と北大西洋条約機構(NATO)が欧州で進めているミサイル防衛(MD)計画への対抗措置を発表した。MD関連施設を直接標的とする最新の短距離ミサイル「イスカンデル」のNATO隣接地域への配備や、MD網を突破する戦略弾道ミサイルの導入などを進める意向を表明した。

 演説は、
米側との交渉に最後通告を突きつけるものだ。新戦略兵器削減条約(新START)締結に象徴される米露関係の「リセット」は、強硬な対米姿勢を示してきたプーチン首相の大統領返り咲きをにらみ、冷却化
が避けられない情勢となった。
 大統領は米国とNATOがMD構築で「ロシアの懸念を考慮していない」と批判。
対抗措置
として①欧州側の飛び地カリーニングラードでの早期警戒システム導入②核戦力の防衛態勢強化③MDの情報管理システムを破壊する手段の開発1などを挙げた。③は、ロシアが中国と並び力を入れる「サイバー攻撃」を意図しているとみられる。
 さらに、大統領は米国との交渉が決裂した場合、NATO加盟国に隣接するロシア西部や南部にMDを無力化する攻撃兵器を配備する考えを表明。その一環として、カリーニングラードにイスカンデルを配備するとした。
 イスカンデルは、核弾頭搭載も可能な射程400キロメートルの地対地精密誘導ミサイルで、元露軍幹部はインターファクス通信に「対空システムでは事実上、防げない」とその性能を誇示した。ロシアがNATOとの境界付近に配備すれば、ポーランドやルーマニア、トルコに配備されるMD関連のミサイルやレーダー施設にとって深刻な脅威となりそうだ。
 また、大統領は「最悪の場合、さらなる軍備管理を拒否せざるを得ない。新START条約脱退の根拠にもなりうる」と警告した。
 大統領は対抗措置の理由として、MDがロシアの核戦力を対象にしていないとの保証を文書として求めたが「拒絶された」と説明し、米国との「戦略核の均衡」を重視する姿勢を強調した。
 メドベージェフ大統領は「対話の窓は閉ざさない」と繰り返したが、大統領選など選挙を控えて対外強硬姿勢をとらざるを得ず、緊張関係は当面続くとみられる。

 米国は一貫してテロ対策でありロシアを想定したものではないと主張してきていたことや、露の提案する「共同MD」での、「セクター方式」や、米露が単一のMDシステムを構築し対等の決定権をもつ「統合方式」での歩み寄りが進められていたことは、諸兄がご承知の通りです。
 
 北方領土の不法占拠の実効支配強化、オホーツク海での海空軍による大々的な演習実施と極東でも軍事力の拡大と示威行為をエスカレートさせています。
 プーチン氏の大統領復活がメドベージェフ氏の首相就任とセットで打ち出されていますが、与党「統一ロシア」が苦戦しているとのことで、メドベージェフ氏はEASを欠席して選挙運動に奔走しているのたそうですが、プーチン氏の人気のもとである強いロシア、帝国シンドロームをアピールしているだけなのでしょうか。

 いいえ、それだけではないでしょう。じっと情勢をみつめていて、弱っている、隙があるとみるやつけこんで攻め込むのがお家芸のロシアです。終戦時の満州や北方領土への侵攻、最近では、菅と仙石の対中大失政をみての北方領土訪問がありました。
 金融不安で揺れるEU、アジアに重点をシフトさせると公言した財政赤字に政権の座が揺らぐ米国をみて攻勢をかけていることも大きな要因でしょう。もちろん、弱みにつけ込んで外交成果が上がれば、支持率向上にもなるのですが。

 単なる選挙パフォーマンスなのか、プーチン氏の帝国復活に向けた強気外交の開始なのか、来年のウラジオストックでのAPECに向けた、日本の対露戦略構築が望まれます。
 
 ロシアは、相手国に抗議するに当たり「対抗処置」を複数段にわけかつ数種類のものを打ち出しています。日本の北方領土戦術は、口頭の抗議だけです。つまり、ロシアにはロシア流で交渉が必要なのです。
 メドベージェフ大統領の北方領土訪問で誤った判断をし、その後もエスカレートをなされるがまま今日にいたらしめている、外務省ロシア組の幹部の更迭入れ替えはすんだのでしょうか。暦年の平和条約締結に向けた交渉努力を、水泡に帰した歴史に残る罪は、とほうもなく大きいと考えますが。

 米国とNATOの対応がどういう手なのかに注目し、日本の対露外交戦術の参考に学ぶべきでしょう。

 



 この花の名前は、アキノウナギツカミ  (撮影場所=六甲高山植物園)

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Fotolia


ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交




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