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ウクライナ軍はロシア軍に対する反転攻勢を開始したと、WSJ社説。
米国製の歩兵戦闘車「ブラッドレー」とドイツ製戦車「レオパルト2」を使って、ロシア軍の戦線を探っている。ロシアは、十分に武装した歩兵を配置した何列もの塹壕(ざんごう)やコンクリート障壁によって、手ごわい重層的な防衛線を構築。
攻防の展開を解説しています。
ここで、190マイル(約300キロ)もの射程を持つ米陸軍の長距離戦術地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」が、前線の先にいるロシアの火砲や兵たん線を狙う上で価値ある存在になるだろう。しかし、米政府はウクライナがロシア国内の標的に向かってATACMSを使用する可能性があることを恐れ、ウクライナの供与要請を拒否していると、WSJ社説。
ウクライナの目標はできるだけ多くの領土を取り戻すことであり、とりわけ重要な戦略的目標はアゾフ海への前進。
実現すれば、ウクライナ南部のロシア軍につながる補給路を断ち切れるほか、ドネツク州のロシア支配地域からクリミア半島へとつながる、ロシアが陸橋と呼ぶ場所を寸断できる。
ゼレンスキー大統領はクリミア半島奪還に意欲を示している。たとえクリミア半島の全部は取り戻せないとしても、同半島も攻撃の標的とする公算が大きい。
ワグネルとロシア指導部の対立がますます目立っている。
ロシアに忠誠を誓う経験豊富なチェチェン共和国軍が前線に移動中で、多大な人的損害を被っている民間軍事会社ワグネル・グループの兵士に取って代わるとされるのだそうです。
ロシアは兵士と兵器の数の上で軍事的優位を保っていると、WSJ。
ただ、ロシア軍部隊はウクライナ軍と比べると特に、士気の低さ、不十分な訓練の問題に悩まされているとも。
ウクライナの軍隊は、近代戦争のあらゆる要素を利用する「諸兵科連合」戦略を実行可能な西側の部隊に一層近づいている。一方、ロシア軍は依然として、適応力の鈍いトップダウン型の状態のままだと。
# この違いは、前者は戦況の変化に前線で素早く対応。後者はいちいち後方トップの判断を仰ぐので動きが鈍重となるのですね。
ウクライナの最大の強みは、国民が祖国のために戦い、死ぬことをいとわないことだ。ロシア国民は理由を十分理解できないまま、占領のための戦争に徴兵されていると、WSJ社説。
また、欧州諸国と米国にとって、ウクライナの反転攻勢の成否の影響は大きいとも、WSJ社説。
ウクライナが反転攻勢に失敗すれば、対ウクライナ追加支援を見送るべきだという、米国の左右両陣営内の対外不関与派の主張を勢い付けることになるだろうと。
NATO諸国も支援策に温度差があり、国内優先で、ウクライナの目標とは異なる早期の停戦を唱える国も出てくる。
しかし、ウクライナへの支援は米国の国益となる。ジョー・バイデン米大統領は、ウクライナ反転攻勢の重要性を米国民に説明することで、国益に資することができると、WSJ社説。
G7広島で、ゼレンスキー大統領がG7や、インド等のグローバルサウス主要国と面談した効果は支援疲れの国々や、対露制裁に消極的な国々への接近に効果はありました。
今回のプーチンが始めたウクライナへの侵略戦争は、プーチンが停戦を決断しない限り続きます。
プーチンに決断させるのは、中国の仲介なのか、ロシア国民の選択(選挙やクーデター)なのか、ウクライナ軍によるロシア軍の敗戦撤退なのか。
ウクライナが納得できるのは、今回の侵略以前の国境なのか、クリミアも含めた侵略以前なのか。
終戦の落着点は、まだまだ見通せませんね。
# 冒頭の画像は、バフムト近くの戦闘で発砲するウクライナ軍の戦車
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この花の名前は、カイケイジオウ
↓よろしかったら、お願いします。
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米国製の歩兵戦闘車「ブラッドレー」とドイツ製戦車「レオパルト2」を使って、ロシア軍の戦線を探っている。ロシアは、十分に武装した歩兵を配置した何列もの塹壕(ざんごう)やコンクリート障壁によって、手ごわい重層的な防衛線を構築。
攻防の展開を解説しています。
【社説】ウクライナ反転攻勢、成否の重要性 - WSJ 2023年 6月 12日
ウクライナは同国東部と南部を支配するロシア軍に対する反転攻勢を開始しており、ウクライナと西側諸国にとって、この反撃が成功するかどうかは非常に大きな意味を持つ。バイデン政権やドイツ・フランスがより高性能な兵器の供与に消極的なことで、ウクライナの作戦が妨げられないことを願おう。
ウクライナ軍は米国製の歩兵戦闘車「ブラッドレー」とドイツ製戦車「レオパルト2」を使って、ロシア軍の戦線を探っている。ロシアは、十分に武装した歩兵を配置した何列もの塹壕(ざんごう)やコンクリート障壁によって、手ごわい重層的な防衛線を構築している。前線の多くは平たんで比較的開けた地形であるため、前進する旅団は大砲や上空からの攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)であり、今後の戦闘で多数の死傷者が出る可能性が高い。
ここで、190マイル(約300キロ)もの射程を持つ米陸軍の長距離戦術地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」が、前線の先にいるロシアの火砲や兵たん線を狙う上で価値ある存在になるだろう。しかし、米政府はウクライナがロシア国内の標的に向かってATACMSを使用する可能性があることを恐れ、ウクライナの供与要請を拒否している。ウクライナはその他の米国製兵器でロシア国内の標的を狙うことを控えているが、バイデン政権のこの言い訳は、開戦から16カ月がたったこの戦争において、お決まりのパターンになっている。
ウクライナの目標はできるだけ多くの領土を取り戻すことであり、同国軍は600マイルの前線に沿ったあらゆる場所で攻撃を始める可能性がある。とりわけ重要な戦略的目標はアゾフ海への前進だ。それが実現すれば、ウクライナ南部のロシア軍につながる補給路を断ち切れるほか、ドネツク州のロシア支配地域からクリミア半島へとつながる、ロシアが陸橋と呼ぶ場所を寸断できる。そうした前進に備え、ロシアがとりわけザポロジエ州の防衛を強化しているのは当然だ。ただ、そうした前進には何週間もかかる可能性があることから、大きな突破口が早期に開かれることを予想する者はいないだろう。
ウクライナは、たとえクリミア半島の全部は取り戻せないとしても、同半島も攻撃の標的とする公算が大きい。ロシアは2014年にクリミア半島を併合した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はクリミア半島奪還に意欲を示している。ただ、クリミア半島を危険にさらすだけでも、ロシアは同半島にある空軍、海軍の基地を守るために兵力を分散せざるを得なくなるだろう。こうした状況になれば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとっての政治的なリスクも高まることになろう。
ロシアは兵士と兵器の数の上で軍事的優位を保っている。また、ロシアは空で完全に優位に立っているわけではないにしても、まだ空からの攻撃でかなりのダメージを与えることが可能だ。ロシアに忠誠を誓う経験豊富なチェチェン共和国軍が前線に移動中で、多大な人的損害を被っている民間軍事会社ワグネル・グループの兵士に取って代わるとされる。
しかし、ワグネルとロシア指導部の対立がますます目立っている。ロシア軍部隊はウクライナ軍と比べると特に、士気の低さ、不十分な訓練の問題に悩まされている。2014年に始まった米軍によるウクライナ軍への訓練の成果もあり、ウクライナの軍隊は、近代戦争のあらゆる要素を利用する「諸兵科連合」戦略を実行可能な西側の部隊に一層近づいている。一方、ロシア軍は依然として、2022年のウクライナの首都キーウ(キエフ)に対する当初の攻撃で浮き彫りになったような、適応力の鈍いトップダウン型の状態のままだ。
ウクライナの最大の強みは、国民が祖国のために戦い、死ぬことをいとわないことだ。ロシア国民は理由を十分理解できないまま、占領のための戦争に徴兵されている。ウクライナ人は独立を守るために戦っている。
欧州諸国と米国にとって、ウクライナの反転攻勢の成否の影響は大きい。ウクライナ軍が前進し、領土の多くを奪還すれば、西側諸国による軍事援助・資金援助の意義が確認される。それはロシアを弱体化させ、ウクライナを西側世界に一層近づけることになる。ウクライナが、ベラルーシのようなロシアの実質的支配地域でなくなれば、北大西洋条約機構(NATO)に対するロシアの脅威は大幅に低下する。一方のNATOは、既に勢力を拡大している。欧州の人々は、何十年間もないがしろにしてきた軍事力強化の必要性について、認識を新たにしている。
ウクライナが反転攻勢に失敗すれば、対ウクライナ追加支援を見送るべきだという、米国の左右両陣営内の対外不関与派の主張を勢い付けることになるだろう。この戦争の次の段階は困難が伴うはずであり、長期戦になるかもしれない。しかし、ウクライナへの支援は米国の国益となる。ジョー・バイデン米大統領は、ウクライナ反転攻勢の重要性を米国民に説明することで、国益に資することができる。
ウクライナは同国東部と南部を支配するロシア軍に対する反転攻勢を開始しており、ウクライナと西側諸国にとって、この反撃が成功するかどうかは非常に大きな意味を持つ。バイデン政権やドイツ・フランスがより高性能な兵器の供与に消極的なことで、ウクライナの作戦が妨げられないことを願おう。
ウクライナ軍は米国製の歩兵戦闘車「ブラッドレー」とドイツ製戦車「レオパルト2」を使って、ロシア軍の戦線を探っている。ロシアは、十分に武装した歩兵を配置した何列もの塹壕(ざんごう)やコンクリート障壁によって、手ごわい重層的な防衛線を構築している。前線の多くは平たんで比較的開けた地形であるため、前進する旅団は大砲や上空からの攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)であり、今後の戦闘で多数の死傷者が出る可能性が高い。
ここで、190マイル(約300キロ)もの射程を持つ米陸軍の長距離戦術地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」が、前線の先にいるロシアの火砲や兵たん線を狙う上で価値ある存在になるだろう。しかし、米政府はウクライナがロシア国内の標的に向かってATACMSを使用する可能性があることを恐れ、ウクライナの供与要請を拒否している。ウクライナはその他の米国製兵器でロシア国内の標的を狙うことを控えているが、バイデン政権のこの言い訳は、開戦から16カ月がたったこの戦争において、お決まりのパターンになっている。
ウクライナの目標はできるだけ多くの領土を取り戻すことであり、同国軍は600マイルの前線に沿ったあらゆる場所で攻撃を始める可能性がある。とりわけ重要な戦略的目標はアゾフ海への前進だ。それが実現すれば、ウクライナ南部のロシア軍につながる補給路を断ち切れるほか、ドネツク州のロシア支配地域からクリミア半島へとつながる、ロシアが陸橋と呼ぶ場所を寸断できる。そうした前進に備え、ロシアがとりわけザポロジエ州の防衛を強化しているのは当然だ。ただ、そうした前進には何週間もかかる可能性があることから、大きな突破口が早期に開かれることを予想する者はいないだろう。
ウクライナは、たとえクリミア半島の全部は取り戻せないとしても、同半島も攻撃の標的とする公算が大きい。ロシアは2014年にクリミア半島を併合した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はクリミア半島奪還に意欲を示している。ただ、クリミア半島を危険にさらすだけでも、ロシアは同半島にある空軍、海軍の基地を守るために兵力を分散せざるを得なくなるだろう。こうした状況になれば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとっての政治的なリスクも高まることになろう。
ロシアは兵士と兵器の数の上で軍事的優位を保っている。また、ロシアは空で完全に優位に立っているわけではないにしても、まだ空からの攻撃でかなりのダメージを与えることが可能だ。ロシアに忠誠を誓う経験豊富なチェチェン共和国軍が前線に移動中で、多大な人的損害を被っている民間軍事会社ワグネル・グループの兵士に取って代わるとされる。
しかし、ワグネルとロシア指導部の対立がますます目立っている。ロシア軍部隊はウクライナ軍と比べると特に、士気の低さ、不十分な訓練の問題に悩まされている。2014年に始まった米軍によるウクライナ軍への訓練の成果もあり、ウクライナの軍隊は、近代戦争のあらゆる要素を利用する「諸兵科連合」戦略を実行可能な西側の部隊に一層近づいている。一方、ロシア軍は依然として、2022年のウクライナの首都キーウ(キエフ)に対する当初の攻撃で浮き彫りになったような、適応力の鈍いトップダウン型の状態のままだ。
ウクライナの最大の強みは、国民が祖国のために戦い、死ぬことをいとわないことだ。ロシア国民は理由を十分理解できないまま、占領のための戦争に徴兵されている。ウクライナ人は独立を守るために戦っている。
欧州諸国と米国にとって、ウクライナの反転攻勢の成否の影響は大きい。ウクライナ軍が前進し、領土の多くを奪還すれば、西側諸国による軍事援助・資金援助の意義が確認される。それはロシアを弱体化させ、ウクライナを西側世界に一層近づけることになる。ウクライナが、ベラルーシのようなロシアの実質的支配地域でなくなれば、北大西洋条約機構(NATO)に対するロシアの脅威は大幅に低下する。一方のNATOは、既に勢力を拡大している。欧州の人々は、何十年間もないがしろにしてきた軍事力強化の必要性について、認識を新たにしている。
ウクライナが反転攻勢に失敗すれば、対ウクライナ追加支援を見送るべきだという、米国の左右両陣営内の対外不関与派の主張を勢い付けることになるだろう。この戦争の次の段階は困難が伴うはずであり、長期戦になるかもしれない。しかし、ウクライナへの支援は米国の国益となる。ジョー・バイデン米大統領は、ウクライナ反転攻勢の重要性を米国民に説明することで、国益に資することができる。
ここで、190マイル(約300キロ)もの射程を持つ米陸軍の長距離戦術地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」が、前線の先にいるロシアの火砲や兵たん線を狙う上で価値ある存在になるだろう。しかし、米政府はウクライナがロシア国内の標的に向かってATACMSを使用する可能性があることを恐れ、ウクライナの供与要請を拒否していると、WSJ社説。
ウクライナの目標はできるだけ多くの領土を取り戻すことであり、とりわけ重要な戦略的目標はアゾフ海への前進。
実現すれば、ウクライナ南部のロシア軍につながる補給路を断ち切れるほか、ドネツク州のロシア支配地域からクリミア半島へとつながる、ロシアが陸橋と呼ぶ場所を寸断できる。
ゼレンスキー大統領はクリミア半島奪還に意欲を示している。たとえクリミア半島の全部は取り戻せないとしても、同半島も攻撃の標的とする公算が大きい。
ワグネルとロシア指導部の対立がますます目立っている。
ロシアに忠誠を誓う経験豊富なチェチェン共和国軍が前線に移動中で、多大な人的損害を被っている民間軍事会社ワグネル・グループの兵士に取って代わるとされるのだそうです。
ロシアは兵士と兵器の数の上で軍事的優位を保っていると、WSJ。
ただ、ロシア軍部隊はウクライナ軍と比べると特に、士気の低さ、不十分な訓練の問題に悩まされているとも。
ウクライナの軍隊は、近代戦争のあらゆる要素を利用する「諸兵科連合」戦略を実行可能な西側の部隊に一層近づいている。一方、ロシア軍は依然として、適応力の鈍いトップダウン型の状態のままだと。
# この違いは、前者は戦況の変化に前線で素早く対応。後者はいちいち後方トップの判断を仰ぐので動きが鈍重となるのですね。
ウクライナの最大の強みは、国民が祖国のために戦い、死ぬことをいとわないことだ。ロシア国民は理由を十分理解できないまま、占領のための戦争に徴兵されていると、WSJ社説。
また、欧州諸国と米国にとって、ウクライナの反転攻勢の成否の影響は大きいとも、WSJ社説。
ウクライナが反転攻勢に失敗すれば、対ウクライナ追加支援を見送るべきだという、米国の左右両陣営内の対外不関与派の主張を勢い付けることになるだろうと。
NATO諸国も支援策に温度差があり、国内優先で、ウクライナの目標とは異なる早期の停戦を唱える国も出てくる。
しかし、ウクライナへの支援は米国の国益となる。ジョー・バイデン米大統領は、ウクライナ反転攻勢の重要性を米国民に説明することで、国益に資することができると、WSJ社説。
G7広島で、ゼレンスキー大統領がG7や、インド等のグローバルサウス主要国と面談した効果は支援疲れの国々や、対露制裁に消極的な国々への接近に効果はありました。
今回のプーチンが始めたウクライナへの侵略戦争は、プーチンが停戦を決断しない限り続きます。
プーチンに決断させるのは、中国の仲介なのか、ロシア国民の選択(選挙やクーデター)なのか、ウクライナ軍によるロシア軍の敗戦撤退なのか。
ウクライナが納得できるのは、今回の侵略以前の国境なのか、クリミアも含めた侵略以前なのか。
終戦の落着点は、まだまだ見通せませんね。
# 冒頭の画像は、バフムト近くの戦闘で発砲するウクライナ軍の戦車
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この花の名前は、カイケイジオウ
↓よろしかったら、お願いします。
