米中首脳会談の最中に、米軍がシリアの空軍基地にトマホークを打ち込んだ戦闘行為の影響話のつづきです。
米軍による北への武力行使の可能性が、当面は、中国による北朝鮮への説得を督促することへ重点が置かれ、武力行使は遠のいたとの記事を昨日とりあげていました。
理由については、日韓へのミサイルの反撃被害があることと、その対応策を含め、米軍の体制が未だ整っていないことが判ってきました。
今日の、渡部前・陸上自衛隊東部方面総監の解説では、それに加えて、トランプ大統領が、ドラゴン・スレイヤーからパンダハガーに変身する可能性にも言及されています。
一つの中国発言の撤回につづき、今回の北朝鮮への核とミサイル開発制止に向けた、親習近平発言や、米中間のディールによる、「為替管理国指定」の取り下げや、THAAD配備の先送りが、兆候としてあげられています。
米国の北朝鮮攻撃はまだ先だ - 遊爺雑記帳
【続】トランプ大統領も、ドラゴン・スレイヤーからパンダハガーに変身か? - 遊爺雑記帳
米軍による北への武力行使の可能性が、当面は、中国による北朝鮮への説得を督促することへ重点が置かれ、武力行使は遠のいたとの記事を昨日とりあげていました。
理由については、日韓へのミサイルの反撃被害があることと、その対応策を含め、米軍の体制が未だ整っていないことが判ってきました。
今日の、渡部前・陸上自衛隊東部方面総監の解説では、それに加えて、トランプ大統領が、ドラゴン・スレイヤーからパンダハガーに変身する可能性にも言及されています。
一つの中国発言の撤回につづき、今回の北朝鮮への核とミサイル開発制止に向けた、親習近平発言や、米中間のディールによる、「為替管理国指定」の取り下げや、THAAD配備の先送りが、兆候としてあげられています。
米国の北朝鮮攻撃はまだ先だ - 遊爺雑記帳
北朝鮮問題、トランプ政権への期待と懸念 ティラーソン国務長官の大失態で日本に降りかかる火の粉 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2017.4.21(金) 渡部 悦和
■トランプ1.0からトランプ2.0への変化
米国のドナルド・トランプ大統領は、4月6日を境として自己の主張を180度変えた。米国の戦略家エドワード・ルトワックの著書「中国4.0」ふうに言えば、トランプ1.0からトランプ2.0へ変化したと言える。
周知のとおり4月6日は、米海軍がシリアの空軍基地に対してミサイル攻撃を行った日だ。このミサイル攻撃は、トランプ氏の選挙期間中の主張とは180度違う決断であった。
<中略>
トランプ大統領は、米中首脳会議において中国の習近平主席とディールをしたと思われる。
そのディールとは、中国に北朝鮮を説得させ核・ミサイル開発を断念させる、それに成功すれば中国とのより友好的な関係(中国を為替操作国と呼ばない、貿易などをめぐる敵対的な姿勢を緩和する、THAADの韓国配備延期や中止など)を保証する、というものである。
事実、中国が主体となって北朝鮮を説得する努力がなされていて、その結果が出るまでは米軍の北朝鮮に対する爆撃・ミサイル攻撃・斬首作戦などの軍事行動はないであろうというのが筆者の意見である。
<中略>
■トランプ大統領の対外政策 対外不介入主義から単独行動主義に変化した
<中略\>
●単独行動主義(unilateralism) への転換
トランプ氏の対外不介入主義は、シリアの化学攻撃で苦しむ子供たちの映像が全世界に流された瞬間に吹き飛んでしまい、単独行動主義に転換した。
<中略>
今回のトランプ氏の反応は、米歴史学者のエドワード・ルトワックが言うところの「冷静な考えが最も必要とされる瞬間に、突然の感情の激流に人々が襲われてしまう」症状である。
要するに、トランプ氏の対外不介入の主張は確固たる信念に基づくものではなく、当時の激情によって簡単に単独行動主義に転換するものだった。彼は、この転換を柔軟性の発揮だと言うが、節操のなさと批判する者も多い。
<中略>
また、トランプ政権は、国防省に対し「自由に作戦をしなさい」というお墨付きを与えている。米国内の報道によると、トランプ大統領は、アフガニスタンにおけるMOABの攻撃についてメディアが報道するまで知らなかったという。
ここまで国防省に自由度を与えるのも問題があるが、オバマ政権とは180度違う国防省に対する管理方法である。
■米国は北朝鮮に対する軍事行動を実施するか?
●爆撃・ミサイル攻撃・斬首作戦などの軍事行動の可能性は(当分の間)低い
現時点(4月17日)では、米軍による北朝鮮に対する爆撃、ミサイル攻撃、金正恩委員長を狙った斬首作戦などを行う確率は低くなってきた。理由は以下の通りである。
・米軍による軍事作戦は、北朝鮮の韓国攻撃や在日米軍を含む日本に対する攻撃を誘発する可能性が高い。この北朝鮮軍の攻撃に対抗するためには大規模な戦力が必要だし準備も必要だが、現在の米軍はそのような態勢になっていない。
・マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官は、4月16日に米国ABCテレビに出演し、「平和的に問題を解決するために、軍事的選択を除くあらゆる行動に出るべき時だ。武力衝突に至らない範囲で行動を起こせば、最悪の事態は避けられる」と軍事行動を否定している。
・韓国に所在する米国人を避難させる非戦闘員避難作戦(NEO)が大々的になされたという兆候がない。NEOは戦争開始の重要な兆候だ。
・ワシントンポストは14日、トランプ米政権の公式な対北朝鮮政策として、「金正恩委員長の政権変更(regime change)は求めない方針を固めた」と伝えた。
2か月にわたる政策の検討の結果、北朝鮮に対し、経済制裁や外交手段により「最大限の圧力(maximum pressure)」をかけながら非核化(核兵器の放棄)を迫るとしている。圧力強化に際しては、北朝鮮の後ろ盾である中国の協力に重点を置いたと説明している。
●しかし、目に見えない軍事行動は常に遂行中である
米軍は、今回は目立った軍事行動をとらないであろうが、米軍は、常に目に見えない重要な作戦を実施している。
つまり、米軍はこの瞬間も、将来の作戦に備えたISR(情報・監視・偵察)活動を行っている。金正恩委員長の動向(居場所、通信状況など)、重要な軍事施設(核関連施設、ミサイル開発施設、陸・海・空軍施設など)、各軍隊の動向などを継続的に情報収集・分析・評価し、将来の作戦遂行に備えている。
また、さらに重要な作戦は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を失敗させる米軍の「発射前(left-of-launch)」作戦であるが、日本では馴染みのない表現の作戦なので説明する。
●米軍の「発射前(left-of-launch)」作戦が北朝鮮のミサイル発射失敗の原因の1つ?
北朝鮮のミサイル発射における失敗確率が高いと思う方が多いと思う。北朝鮮のミサイル開発・製造技術が低いことも理由の1つであるが、米軍が実施する「発射前」対処の成果の可能性がある。
例えば、北朝鮮のムスダン(中距離弾道ミサイル)の失敗率はなんと88%であるが、ムスダンを構成するソ連製のミサイルのソ連時代の失敗率は13%であった。この圧倒的な差は米軍による「発射前」作戦の成果かもしれない。
米軍が考えている弾道ミサイル対処の1つとして、「発射前(left-of-launch)」対処と「発射後(right-of-launch)」対処という考え方がある。
ミサイル発射を時系列でみると、発射時点を中心として左が「発射前」、右が「発射後」になるのでこのような名称になっている。
<中略>
「発射前」対処は、相手の弾道ミサイルが発射台を離れる直前までにミサイルを無効化することを狙いとする。
ミサイルが発射される前や発射台にまだ存在する時期はミサイルの弱点であり、この弱点を呈する時期にミサイルを無効化できれば最善である。
しかし、この「発射前」対処は目に見えない作戦で派手さはないが効果的な作戦であり、米軍は極秘裏に行っている可能性がある。
「発射前」対処の手段については、サイバー攻撃、電子戦(電波妨害など)と記述される場合が多いが、閉鎖社会の北朝鮮でサイバー攻撃を成功させることは難しいと言われている。
それでは、具体的にいかなる手段を使うのか。
可能性があるのは、高周波マイクロ波をミサイル電子部品に照射し熱で破壊する、ミサイルに備わっている電波信号による自爆機構を逆用する、ミサイルの部品に攻撃プログラムを埋め込むこと(これは広義のサイバー攻撃の1つ)である。
これらを実行するためには高度な能力が必要だが、実際に米軍がこれらの手段を使用していることが、北朝鮮の弾道ミサイルの発射失敗が多い原因かもしれない。最近の資料では、ニューヨークタイムズが3月4日に読み応えのある記事を書いているので参照してもらいたい。
「発射前」対処の手段として、ミサイルの部品に攻撃プログラムを埋め込むことについて書いたが、4月13日付のワシントンポスト紙の記事*4によれば、2016年2月7日北朝鮮が発射したロケット光明星(カンミョンソン)4号の残骸(特に推進ロケット)を海から回収し分析した結果、その重要な部分はほとんど西側諸国製のものであり、中国企業を通じて入手したことが判明した。
つまり北朝鮮ミサイルのサプライチェインのどこかでミサイル部品に攻撃プログラムを埋め込むことは可能であろう。
■中国の北朝鮮説得に対する期待と懸念
●トランプ大統領の中国活用
トランプ大統領は習近平主席との首脳会談を経て、徐々に中国の重要性、米中関係の重要性を認識するとともに、諸問題の解決特に北朝鮮問題の解決のために中国を活用することを決断したと思う。
トランプ大統領にとっての米中首脳会談の成果は、まず中国に北朝鮮を説得させ、北朝鮮の核・ミサイル開発を断念させるように仕向けたことである。中国としても今までとは比較にならない真剣さで北朝鮮を説得している。
一方で、習近平主席の説明を聞き、中国の北朝鮮に対する影響力が限定的であることも認識したはずである。
中国が金正恩の説得に失敗した場合の対応が難しいが、成功よりも失敗する確率の方が高いと思う。トランプ大統領は、「中国が失敗した場合、米国単独でもやる」と言っているが、実際に米国が単独で何をするかだ。
●いま中国は北朝鮮に対してどのような説得をしているのか?
最も望ましいのは、北朝鮮が中国の説得を受け入れて核・ミサイル開発を断念し、核兵器を廃棄することである。その際に周辺諸国にとって最も被害が少ない案は、金正恩委員長を説得し亡命させることだ。
「国外に亡命したならば、その後の面倒を見る。拒否すれば米国が攻撃する」という飴と鞭で説得している可能性もある。この説得が成功すれば画期的だが、金正恩がすんなり受け入れるとも思えず、結果はどうなるかである。
また、「中国は北朝鮮への石油の供給を断つ」という脅しをかけているかもしれない。しかし、過去何度も米国などから「北朝鮮への石油の提供を止めること」を催促されても拒否した経緯があり、説得力を持つかどうかだ。
文字数オーバーの為、続きは以下へ。■トランプ1.0からトランプ2.0への変化
米国のドナルド・トランプ大統領は、4月6日を境として自己の主張を180度変えた。米国の戦略家エドワード・ルトワックの著書「中国4.0」ふうに言えば、トランプ1.0からトランプ2.0へ変化したと言える。
周知のとおり4月6日は、米海軍がシリアの空軍基地に対してミサイル攻撃を行った日だ。このミサイル攻撃は、トランプ氏の選挙期間中の主張とは180度違う決断であった。
<中略>
トランプ大統領は、米中首脳会議において中国の習近平主席とディールをしたと思われる。
そのディールとは、中国に北朝鮮を説得させ核・ミサイル開発を断念させる、それに成功すれば中国とのより友好的な関係(中国を為替操作国と呼ばない、貿易などをめぐる敵対的な姿勢を緩和する、THAADの韓国配備延期や中止など)を保証する、というものである。
事実、中国が主体となって北朝鮮を説得する努力がなされていて、その結果が出るまでは米軍の北朝鮮に対する爆撃・ミサイル攻撃・斬首作戦などの軍事行動はないであろうというのが筆者の意見である。
<中略>
■トランプ大統領の対外政策 対外不介入主義から単独行動主義に変化した
<中略\>
●単独行動主義(unilateralism) への転換
トランプ氏の対外不介入主義は、シリアの化学攻撃で苦しむ子供たちの映像が全世界に流された瞬間に吹き飛んでしまい、単独行動主義に転換した。
<中略>
今回のトランプ氏の反応は、米歴史学者のエドワード・ルトワックが言うところの「冷静な考えが最も必要とされる瞬間に、突然の感情の激流に人々が襲われてしまう」症状である。
要するに、トランプ氏の対外不介入の主張は確固たる信念に基づくものではなく、当時の激情によって簡単に単独行動主義に転換するものだった。彼は、この転換を柔軟性の発揮だと言うが、節操のなさと批判する者も多い。
<中略>
また、トランプ政権は、国防省に対し「自由に作戦をしなさい」というお墨付きを与えている。米国内の報道によると、トランプ大統領は、アフガニスタンにおけるMOABの攻撃についてメディアが報道するまで知らなかったという。
ここまで国防省に自由度を与えるのも問題があるが、オバマ政権とは180度違う国防省に対する管理方法である。
■米国は北朝鮮に対する軍事行動を実施するか?
●爆撃・ミサイル攻撃・斬首作戦などの軍事行動の可能性は(当分の間)低い
現時点(4月17日)では、米軍による北朝鮮に対する爆撃、ミサイル攻撃、金正恩委員長を狙った斬首作戦などを行う確率は低くなってきた。理由は以下の通りである。
・米軍による軍事作戦は、北朝鮮の韓国攻撃や在日米軍を含む日本に対する攻撃を誘発する可能性が高い。この北朝鮮軍の攻撃に対抗するためには大規模な戦力が必要だし準備も必要だが、現在の米軍はそのような態勢になっていない。
・マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官は、4月16日に米国ABCテレビに出演し、「平和的に問題を解決するために、軍事的選択を除くあらゆる行動に出るべき時だ。武力衝突に至らない範囲で行動を起こせば、最悪の事態は避けられる」と軍事行動を否定している。
・韓国に所在する米国人を避難させる非戦闘員避難作戦(NEO)が大々的になされたという兆候がない。NEOは戦争開始の重要な兆候だ。
・ワシントンポストは14日、トランプ米政権の公式な対北朝鮮政策として、「金正恩委員長の政権変更(regime change)は求めない方針を固めた」と伝えた。
2か月にわたる政策の検討の結果、北朝鮮に対し、経済制裁や外交手段により「最大限の圧力(maximum pressure)」をかけながら非核化(核兵器の放棄)を迫るとしている。圧力強化に際しては、北朝鮮の後ろ盾である中国の協力に重点を置いたと説明している。
●しかし、目に見えない軍事行動は常に遂行中である
米軍は、今回は目立った軍事行動をとらないであろうが、米軍は、常に目に見えない重要な作戦を実施している。
つまり、米軍はこの瞬間も、将来の作戦に備えたISR(情報・監視・偵察)活動を行っている。金正恩委員長の動向(居場所、通信状況など)、重要な軍事施設(核関連施設、ミサイル開発施設、陸・海・空軍施設など)、各軍隊の動向などを継続的に情報収集・分析・評価し、将来の作戦遂行に備えている。
また、さらに重要な作戦は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を失敗させる米軍の「発射前(left-of-launch)」作戦であるが、日本では馴染みのない表現の作戦なので説明する。
●米軍の「発射前(left-of-launch)」作戦が北朝鮮のミサイル発射失敗の原因の1つ?
北朝鮮のミサイル発射における失敗確率が高いと思う方が多いと思う。北朝鮮のミサイル開発・製造技術が低いことも理由の1つであるが、米軍が実施する「発射前」対処の成果の可能性がある。
例えば、北朝鮮のムスダン(中距離弾道ミサイル)の失敗率はなんと88%であるが、ムスダンを構成するソ連製のミサイルのソ連時代の失敗率は13%であった。この圧倒的な差は米軍による「発射前」作戦の成果かもしれない。
米軍が考えている弾道ミサイル対処の1つとして、「発射前(left-of-launch)」対処と「発射後(right-of-launch)」対処という考え方がある。
ミサイル発射を時系列でみると、発射時点を中心として左が「発射前」、右が「発射後」になるのでこのような名称になっている。
<中略>
「発射前」対処は、相手の弾道ミサイルが発射台を離れる直前までにミサイルを無効化することを狙いとする。
ミサイルが発射される前や発射台にまだ存在する時期はミサイルの弱点であり、この弱点を呈する時期にミサイルを無効化できれば最善である。
しかし、この「発射前」対処は目に見えない作戦で派手さはないが効果的な作戦であり、米軍は極秘裏に行っている可能性がある。
「発射前」対処の手段については、サイバー攻撃、電子戦(電波妨害など)と記述される場合が多いが、閉鎖社会の北朝鮮でサイバー攻撃を成功させることは難しいと言われている。
それでは、具体的にいかなる手段を使うのか。
可能性があるのは、高周波マイクロ波をミサイル電子部品に照射し熱で破壊する、ミサイルに備わっている電波信号による自爆機構を逆用する、ミサイルの部品に攻撃プログラムを埋め込むこと(これは広義のサイバー攻撃の1つ)である。
これらを実行するためには高度な能力が必要だが、実際に米軍がこれらの手段を使用していることが、北朝鮮の弾道ミサイルの発射失敗が多い原因かもしれない。最近の資料では、ニューヨークタイムズが3月4日に読み応えのある記事を書いているので参照してもらいたい。
「発射前」対処の手段として、ミサイルの部品に攻撃プログラムを埋め込むことについて書いたが、4月13日付のワシントンポスト紙の記事*4によれば、2016年2月7日北朝鮮が発射したロケット光明星(カンミョンソン)4号の残骸(特に推進ロケット)を海から回収し分析した結果、その重要な部分はほとんど西側諸国製のものであり、中国企業を通じて入手したことが判明した。
つまり北朝鮮ミサイルのサプライチェインのどこかでミサイル部品に攻撃プログラムを埋め込むことは可能であろう。
■中国の北朝鮮説得に対する期待と懸念
●トランプ大統領の中国活用
トランプ大統領は習近平主席との首脳会談を経て、徐々に中国の重要性、米中関係の重要性を認識するとともに、諸問題の解決特に北朝鮮問題の解決のために中国を活用することを決断したと思う。
トランプ大統領にとっての米中首脳会談の成果は、まず中国に北朝鮮を説得させ、北朝鮮の核・ミサイル開発を断念させるように仕向けたことである。中国としても今までとは比較にならない真剣さで北朝鮮を説得している。
一方で、習近平主席の説明を聞き、中国の北朝鮮に対する影響力が限定的であることも認識したはずである。
中国が金正恩の説得に失敗した場合の対応が難しいが、成功よりも失敗する確率の方が高いと思う。トランプ大統領は、「中国が失敗した場合、米国単独でもやる」と言っているが、実際に米国が単独で何をするかだ。
●いま中国は北朝鮮に対してどのような説得をしているのか?
最も望ましいのは、北朝鮮が中国の説得を受け入れて核・ミサイル開発を断念し、核兵器を廃棄することである。その際に周辺諸国にとって最も被害が少ない案は、金正恩委員長を説得し亡命させることだ。
「国外に亡命したならば、その後の面倒を見る。拒否すれば米国が攻撃する」という飴と鞭で説得している可能性もある。この説得が成功すれば画期的だが、金正恩がすんなり受け入れるとも思えず、結果はどうなるかである。
また、「中国は北朝鮮への石油の供給を断つ」という脅しをかけているかもしれない。しかし、過去何度も米国などから「北朝鮮への石油の提供を止めること」を催促されても拒否した経緯があり、説得力を持つかどうかだ。
【続】トランプ大統領も、ドラゴン・スレイヤーからパンダハガーに変身か? - 遊爺雑記帳