遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

島を守るために知恵を絞る台湾、何もしない日本

2018-08-24 01:33:07 | 台湾 全般
 独裁体制を固めた習近平の中国が、国共内戦以来の毛沢東の悲願でもあった台湾併合に向け圧力を高めていますね。
 蔡英文総統が、中米諸国歴訪時に経由地のロスアンゼルス等で、中国総統として初めて活動をするなど、トランプ政権は支援の姿勢を強化し、中国をけん制したことは、諸兄がご承知のことで、当ブログでも取り上げさせていただきました。

 その後中国は、蔡総統の帰国に合わせて、中米エルサルバドルとの国交を樹立した事、エルサルバドルは、外交関係のあった台湾と断交した事を発表しました。陰湿な発表タイミングです。

 中国の圧力に対し、蔡総統の台湾は、南シナ海で実効支配している島の防衛には、武力ではなく実効支配の強化に知恵を絞ることに尽力しているのだそうです。
 それに比べ、日本の尖閣諸島の守りは無策だと指摘するのは、安全保障戦略コンサルタントとしてシアトル在住の 北村淳氏。

 【主張】台湾に断交圧力 地域の安定損なう動きだ - 産経ニュース

 
島を守るために知恵を絞る台湾、何もしない日本 中国の軍事的優勢に対して台湾が非軍事的反撃 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.8.23(木) 北村 淳

 台湾政府は、南シナ海の大半で中国が圧倒的に優勢な状況をつくり出している状況に対抗して、南シナ海の東沙諸島と南沙諸島で非軍事的な反撃に取りかかった

 すなわち、台湾が施政権を維持している
東沙諸島の「東沙島」の研究施設を充実させると同時に、南沙諸島の「太平島」では気象観測施設を充実させようというのである。太平島は、中国が軍事的支配権を確立させつつある南沙諸島のど真ん中にありながら、台湾が実効支配を堅持している島である。

■東沙島:科学研究施設をさらに充実
 南シナ海の北部に位置する東沙諸島は第2次世界大戦終結後に中華民国領となり、現在に至るまで台湾政府が施政権を維持している。これに対して、台湾そのものが中華人民共和国の一部であるとしている中国政府にとっては、当然のことながら東沙諸島も中国領である。ただし、軍事的な緊張が高まるような領有権紛争は生じていない。
 3つの環礁(東沙環礁、北衛灘環礁、南衛灘環礁)で構成されている東沙諸島は、東沙環礁最大の島である東沙島以外は満潮時には水没してしまう。そのため、中国のように人工島を建造しない限り、人間が居住できるのは東沙島だけである。

 
東沙島には台湾本島との交通を確保するために、1550メートル滑走路を有する東沙空港が設置されている。現在のところ、台湾空軍の輸送機が就航しているほか、沿岸警備隊が民間航空機をチャーターしているだけで、一般の人々のための航空便はない。港湾施設は建設されておらず、小型船が使用できる桟橋があるだけである。
 このような東沙島には、常駐している台湾軍ならびに沿岸警備隊の施設以外にも
、国立中山大学の研究施設(生物学、生物化学、海洋学)や公共図書館が設置されている。このほど、その研究施設の装置や施設そのものを充実させるための予備調査が実施された
 これは、2022年までの4年計画で南シナ海での科学研究施設を充実させるという台湾政府が打ち出した政策に則るものであり、明らかに
中国の南シナ海掌握行動に一矢報いようという非軍事的反撃とみなすことができる。

■太平島:海洋気象観測施設をさらに充実
 本コラムで継続的に紹介しているように、南沙諸島はまさに中国が軍事的に制覇する寸前の状態になりつつある。

 実は台湾、フィリピン、マレーシア、ベトナムは、中国が7つの人工島を建設して“王手”をかける以前から南沙諸島にそれぞれ1カ所ずつ飛行場を確保していた。すなわち、中国はかつては南沙諸島の軍事的コントロール競争に出遅れていたわけである。しかし、着々と準備を進めていた
中国は、2014年から人工島の建設を開始し、あっという間に7つもの人工島を誕生させ、それら全てに軍事関連施設を設置してしまった
 そして、そのうちの3カ所にはあらゆる軍用機と大型旅客機などの発着が可能な3000メートル級滑走路まで完備させている。
台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシアは依然として飛行場を維持しているものの、軍事的には完全に中国に圧倒されてしまっている状況だ

 だが、
南沙諸島の多数の島嶼環礁の中で、台湾が実効支配している唯一の陸地がある。台湾が滑走路を設置している拠点、太平島だ。
 この島には台湾海軍陸戦隊と台湾沿岸警備隊が常駐しているが、太平島そのものが軍事機密となっており、詳細情報は明かされていない。
 2007年には1200メートル滑走路を有する太平島空港が完成し、台湾軍輸送機(C-130ハーキュリーズ)が台湾本島との交通手段となっている。ただし、滑走路が短距離であるため、戦闘機の発着はできない。また
2016年には3000トン級の沿岸警備隊巡視船が着岸できる埠頭が完成した。沿岸警備隊船艇以外にも、20日ごとに民間商船が生活用品を供給するために太平島に寄港している。

 台湾は太平島に軍事拠点として使用可能な施設を設置して実効支配を続けているが、
中国の南沙諸島軍事支配の勢いに押されて、太平島は厳しい軍事環境に直面している。太平島からわずか70キロメートル北北西にはスービ礁があり、中国は人工島化して3000メートル滑走路や港湾施設を設置している。また太平島の135キロメートル東南東にはミスチーフ礁があり、やはり中国が人工島化して2644メートル滑走路や港湾施設をはじめとする軍事設備を設置している。そして太平島の185キロメートル西南西にはファイアリークロス礁が位置しており、この環礁も3125メートル滑走路や港湾設備が完備する中国人工島軍事施設と化してしまっている。

 このように、
台湾が実効支配を続けている太平島の周辺には、中国軍の戦闘機や攻撃機それに爆撃機も発着可能な空港や駆逐艦やフリゲートが着岸できる港湾施設を擁した人工島が誕生し、太平島はいつでも中国の軍事攻撃の餌食になってしまう状況に晒されている。

 そこで台湾政府は、軍事的に対抗する策ではなく、太平島の海洋気象観測施設を充実させるという非軍事的抵抗策を実施することにした。


 いくら太平島の海軍陸戦隊員を増強し、対艦ミサイルや防空ミサイルそれに対地攻撃ミサイルなどを設置して、中国人工島基地群に軍事的に対抗しても、中国軍がその気になれば一撃で太平島は火の海となり守備隊や沿岸警備隊は全滅してしまう。しかし、
太平島の気象観測所や海洋研究施設で民間人である研究者が多数常駐し研究に従事していれば、中国軍といえども、太平島にミサイルや誘導爆弾を撃ち込むことは躊躇せざるを得なくなるというわけだ。

■尖閣諸島:日本は実効支配のアピールをせず

 こうして
台湾政府は、東沙島と太平島の研究施設を充実強化して科学者・研究者を送り込りこむことにより、中国軍による軍事攻撃を抑止しようとしている。軍事的に圧倒的に劣勢な中国との領域紛争において、中国の軍門にひれ伏さずに実効支配態勢を維持し続けるための非軍事的対抗策である。軍事的には勝負にならなくとも、なんとか知恵を絞って自国の領域を守り抜こうという姿勢の表れと言えるだろう。

 一方、このような
台湾政府の自主防衛努力と対照的なのが、尖閣諸島を巡る中国との領域紛争における日本政府の無策である。

 日本が自衛隊を繰り出して軍事的に尖閣諸島周辺から中国海軍や中国海警の勢力を駆逐してしまうことは、確かに愚策であるだけでなく現状では不可能である。
 だが日本政府は、中国を刺激することで中国国内で日系企業に対する打ち壊しが起きたり、中国との経済交流が停滞することなどを極度に恐れ、
目に見える形での実効支配態勢を国際社会に対してアピールしようとはしない。魚釣島に漁船の避難施設を設置する、本格的な灯台を設置する、海洋気象測候所を設置するといった非軍事的方法を実行する意思すらもまったくないようだ。

 現在、
日本政府による唯一の対抗姿勢は、大統領をはじめとするアメリカ政府高官や米軍首脳などに「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用範囲である」と言わせて、中国を牽制しているつもりになっているだけである。これでは、国際社会で「日本はアメリカの単なる属国にすぎない」との共通認識が定着する日も遠くはないであろう。

 東沙諸島の東沙島には、1,550メートルの滑走路を有し、常駐している台湾軍ならびに沿岸警備隊の施設があるのですが、他に、国立中山大学の研究施設や公共図書館が設置されているのだそうで、その研究施設の装置や施設そのものを充実させるための予備調査が実施されたのだそうです。

 また、太平島に軍事拠点として使用可能な施設を設置して実効支配を続けていますが、太平島の周辺には、中国軍の戦闘機や攻撃機それに爆撃機も発着可能な空港や駆逐艦やフリゲートが着岸できる港湾施設を擁した人工島が誕生し、太平島はいつでも中国の軍事攻撃の餌食になってしまう状況に晒される状況に至っています。
 そこで台湾政府は、軍事的に対抗する策ではなく、太平島の海洋気象観測施設を充実させるという非軍事的抵抗策を実施することにしたのだそうです。
 勿論、台湾海軍陸戦隊と台湾沿岸警備隊が常駐(詳細は軍事機密で不明)しているのですが、中国の拡張を続ける軍事力に歴然とした大差がある。
 太平島の気象観測所や海洋研究施設で民間人である研究者が多数常駐し研究に従事していれば、中国軍といえども、太平島にミサイルや誘導爆弾を撃ち込むことは躊躇せざるを得なくなるというわけだと。。

 一方、このような台湾政府の自主防衛努力と対照的なのが、尖閣諸島を巡る中国との領域紛争における日本政府の無策であると指摘するのは、北村氏。
 目に見える形での実効支配態勢を国際社会に対してアピールしようとはしない。日本政府による唯一の対抗姿勢は、大統領をはじめとするアメリカ政府高官や米軍首脳などに「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用範囲である」と言わせて、中国を牽制しているつもりになっているだけであると。
 民主党・野田政権時に、東京都・石原知事(当時)と、中山石垣市長が連携して、地権者からの買い取りと、実効支配強化の為の、灯台修復や、野生化したヤギの駆逐での自然保護、嵐の時の漁船批難用の港湾整備が計画され、広く募金も募っていましたが、突如国有化されました。
 余談ですが、この国有化のタイミングを、胡錦濤との調整を誤り拙速に実施したため、胡錦濤の失脚と習近平の台頭を許したとされていますね。

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 国有化はしたものの、実効支配策をなにもせず放置していた民主党政権。
 日米同盟の適用理由は、実効支配・管理が出来ていることとする米国の姿勢に沿って、「海監」の定期巡回を実施し、中国漁船を管理し、日本漁船の接近を阻止し、海保の巡視船と巡回(時には、巡視船より島側を航行。また、巡視船が日本漁船の接近を規制する)し、中国側の管理実績を着々と積み上げています。

 日本で、目に見える形での実効支配態勢を国際社会に対してアピールしようとする動きは、石原都知事(当時)と、中山石垣市長との連携で動いていたのです。
 地方自治体の動きなので、中国の反応も鈍かったのですが、野田政権の、石原氏と競うような突然の国有化で、中国も国内の政局絡みもあり、反発を強めたのですね。

 最近では、軍艦や戦闘機での侵入にまでエスカレートさせてきている中国。
 日本としても、防衛力強化で抑止力を向上させる方向に追い込まれています。石原都知事(当時)と中山市長で進められていた実効支配強化が進んだ後の、計画的な国有化が進められていたらと、民主党の失策が悔やまれますが、覆水盆に返らず。

 南シナ海、東シナ海、更には、インド洋、太平洋の諸国との連携での、中国の覇権拡大を抑止する道を進めていくこととなっていますね。
 その一環で、台湾の国民の方々の意思を、有志国との連携で護っていくことが、中国の野望を抑止するために重要となりますね。



 # 冒頭の画像は、NASA・ジョンソン宇宙センターを訪問した台湾の蔡英文総統




  この花の名前は、白山吹


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写真素材のピクスタ


Fotolia


暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?
尖閣諸島灯台物語





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