遊爺雑記帳

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中国の台湾封鎖演習」本当の問題はこれから 米空母台湾海峡通過や日本のEEZ内に打ち込まれたミサイルの意味は

2022-08-12 01:33:35 | 台湾 全般
 ペロシ米下院議長の台湾訪問ののち、中国人民解放軍は、対抗姿勢を示すため、8月4日正午から台湾を包囲する 6か所にミサイル攻撃を開始しました。
 しかも、当初 4日間の予定を延長実施。
 この中で、日本のEEZ内にミサイルを着弾させるという歴史的挑発も。
 演習は、ペロシ訪台に対する中国の一種の報復が名目ですが、同時に事実上の台湾封鎖演習であり、用意されているシナリオの内のひとつの実演でもあったようですね。
 元産経新聞の中国駐在記者で、中国への出入り禁止となった福島香織氏が今後の展望も含め解説いただいています。 
 
「中国の台湾封鎖演習」本当の問題はこれから、米空母が台湾海峡を通るとき 日本のEEZにミサイル着弾、予断を許さない「筋肉ショー」の行方 | JBpress (ジェイビープレス) 2022.8.11(木) 福島 香織:ジャーナリスト

 ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問ののち中国人民解放軍は8月4日正午から7日正午まで、台湾をぐるりと囲む6つの区域で空前の規模の軍事演習を行った

 
しかも、初日のミサイル演習で、日本のEEZ(排他的経済水域)内に5発もミサイルを撃ち込んだ。これは日本に対する戦争挑発行為として座視できまい

 さらには中国側
は8月8日以降も、台湾周辺の海域で「実戦化連合演訓」を行うという。演習ではなく「演訓」という表現を使うのは、「演習の常態化」を意味するという。ここに、米空母レーガン打撃群がやってくる台湾海峡を通過するかもしれない。台湾海峡の通過は国際法になんら違反していない。

 だが、解放軍は、目の前を米空母が通過するのを黙ってみていることができるのか。
これはすでに第4次台湾海峡危機といっていいのではないか

 この状況について
どう評価すべきかを考えてみたい

米国、日本も演習のターゲット
 
8月4日から始まった台湾周辺の演習は、事実上の台湾封鎖演習であり、ペロシ訪台に対する中国の一種の報復であった。これだけの規模の演習をすぐさま準備、計画するのは困難であり、おそらくは実際の台湾武力侵攻作戦のプランの1つを模擬実施したのだろう、と言われている。

 
演習区域の座標は台湾北東、北西、東部、南西、南東の方向に6カ所、北部の2カ所と南西の演習区は台湾沿岸から12カイリ内に入っている。また8月4日は台湾東部に新たな演習区が増設され、演習期間も8月8日午前10時までに延長された。演習は8月4日がミサイル演習、5日が戦闘爆撃機などによる領海領空封鎖演習、6日には高雄港などの上陸作戦を想定した合同陸上打撃訓練を行ったと、CCTVが報じている。

 
台湾国際戦略学会CEOの羅慶生米メディア「ボイス・オブ・アメリカ」で解説したところによると、この演習のポイントは、北西の台湾新竹沖の演習区という。「いったん、台中港が封鎖されれば、台湾の天然ガス補給ができなくなる」。新竹沖は台湾最大の油田・ガス田である長康海底油田のあるあたりだ。

 また
台湾東側、日本の防空識別区やEEZにかかる海域に演習区を設定したのは、今回の演習のターゲットが台湾だけでなく、米国であり日本であることも意味しているという。

 実際、日本のEEZ内にミサイルが5発着弾した。4発は台湾上空(大気圏外)を通ってきている。着弾点は、情報収集のために沿岸監視隊などが配備されている与那国駐屯地がある与那国島から80キロほどの地点まで迫ったものもあったという。

 
日本はミサイル発射数を9発確認したというが、台湾国防部は11発のミサイル発射があったという中国はミサイル着弾点を16発と報じていた。こうしたミサイル発射数の発表はおそらくフェイクの部分もあり、それぞれの軍事能力に煙幕をはる心理戦の部分もありそうだ。

中国側の「筋肉ショー」なのか
 
作戦の意図については、中国海軍研究院の張軍社が「環球時報」(8月3日付)で解説している。それによれば、台湾北部の台湾海峡の最も狭い部分の福建省平潭島に布陣し、台湾海峡の北側を封鎖すると同時に、北部の2つの演習区で基隆港を直接封鎖する。東部の演習区で台東軍事基地を直接攻撃し、南東部の墾丁半島前の演習区はバシー海峡の出入り口をおさえ、南西部の演習区で高雄、左営を封鎖するものだという。

 
解放軍東部戦区の発表によれば、ミサイルは全部目標区域に着弾したという。ということは日本のEEZ内にわざと撃ったということだ。

 さらに
10隻以上の駆逐艦による合同封鎖演習、火力試験発射区域における海上掃海警戒訓練、多軍種部隊による連合訓練などを通じて全体の能力を検証したという

 
台湾国防部安全研究院によれば、今回発射されたミサイルは東風11、東風15、東風21D、そして空母キラー東風17も含まれている可能性があるという

 1996年の第3次台湾海峡危機と呼ばれたミサイル演習は、中国側から台湾に極秘ルートを通じた事前通告があり、空砲(練習弾)で、しかも着弾点も台湾海峡中間線を越えていなかった。その点では、
今回の演習はすでに第3次台湾海峡危機のレベルを超えている

 ただ、台湾国防部によれば、大気圏を通るミサイルの弾道は地上に影響はなく、空爆警報は発令しなかったという。着弾点も把握していたという。
台湾市民もさほどうろたえている風でもなく、宜蘭のホエールウォッチング観光船などは通常どおり営業し、海岸も観光客でにぎわっていたとか。むしろ、訓練が見えるかもしれないと、普段よりも人が多くなったという話も聞いた。

 
華人軍事評論家の平可夫は8月5日、解放軍戦闘機J-11Aが搭載していたのが練習弾であったことを指摘し、おそらくミサイルも練習弾であったとみている。こういったところから、中国側も必ずしも台湾海峡の緊張を本気で煽っているわけではない、という。

 そういう意味ではこの軍事演習はあくまで、
河北省・北戴河ですでに始まっていると言われる秋の党大会に向けた秘密会議で、習近平が3期目の総書記連任に有利になるように世論の習近平に対する求心力を高めるためのパフォーマンス、中国語で言うところの「肌肉秀」(筋肉ショー)の意味合いが大きいとも言える。

 人民解放軍の「筋肉」を見せて、戦争ムードが盛り上がると、
市民の間でくすぶる社会不安や経済悪化に対する不満が、台湾独立派や米国や日本に向き、習近平批判がコントロールできる、というわけだ

米空母が台湾海峡を通航するとき
 ただ
問題は今後だ。米空母レーガンが間もなく台湾周辺にやってきて、「航行の自由」を行使して台湾海峡を通航する可能性がある、ということだ。

 
中国側は8月8日に台湾周辺海域で実戦化合同演訓をスタートさせるとアナウンスした。目的は対原潜および海上突撃訓練だという。

 
演習ではなく「演訓」と発表したとき、中国のネット民たちは、習近平の「習」という尊い字を使わないように解放軍側が忖度したとのではないか、と噂し合った。王朝時代、中国では皇帝の名をみだりに口にできない。

 だが、
解放軍は「演訓」という言葉に常態化の意味があるからだ、とわざわざ解説している。おそらくは、米空母が台湾海峡を通るときに演習をやらないと、解放軍が米空母にしっぽをまいて逃げたという印象を中国人民に与えかねないしかし空母レーガンを迎え撃つために演習を行っているという印象も米国に与えたくない。そこで、この海域で解放軍が演習を行うことは常態化しているのだ、という既成事実を作りながら、米空母が偶然通りかかるのに遭遇した風を見せるということではないか

 だが、もし軍事演習が国内向けの「筋肉ショー」なら、解放軍が演習している前を米空母が黙って通り過ぎるのを座視していた場合、
人民は満足するだろうか

 
米空母が演習中の解放軍を避けて通るのか解放軍が空母を黙って通すのか、米中の「筋肉ショー」対決である。どちらの「筋肉」が「キレてる」か、人民と世界が固唾をのんで見守るという状況になる

 万一、米軍のパフォーマンスの方が中国人民から見て優れている、と思われたり、
目の前に米空母がいるのに一発も攻撃できない解放軍を「弱腰」と揶揄するような世論が盛り上がってしまえば、演習によって人民の不満の矛先を習近平からそらす、という本来の目的が達成できないどころか、習近平はより厳しい批判に直面する可能性もある。

 
そうなれば、人民を満足させるために、解放軍はより挑発的なアクションをとらざるをえなくなり、それをどれだけ米軍側が我慢してくれるか、という話になる

 ニューヨーク在住の華人評論家、陳破空の情報によれば、
習近平は米中の軍高官同士の連絡ルートを遮断しているという。つまり、状況を理解している当事者同士が連絡がつかない状況で、軍隊総帥を自任する習近平の命令が絶対となる。これは第3次台湾海峡危機のように江沢民と李登輝が軍の極秘ルートを通じて互いの思惑を掌握していた状況より、数段危険な状況ではないか。

 むしろ
習近平は、国際社会の理性的な人たちが想像する以上に実はクレイジーで、ロシアのプーチン並みに予測を裏切り、本気でこの演習の延長の果てに、あわよくば第1次、第2次台湾海峡危機のような台湾領有の沿岸部島嶼部の奪還を目的とした作戦に移行しようとでも考えているのではないか、と心配になってくるのである。

EEZに初めてミサイルが撃ち込まれたことの意味
 今回の解放軍演習に対抗して、台湾軍も実践的な演習を行うことができたし、米軍や日本の自衛隊も、解放軍の実力や台湾封鎖作戦の一端を研究する貴重な機会が得られたとポジティブにみる向きもある。

 また、
陳破空は、今回の演習から解放軍内の混乱ぶりが見えたと指摘する。たとえば東部戦区が公式にミサイル発射演習終了のアナウンスを出したあとにミサイル発射が続いていたことから、指揮系統の混乱、あるいは軍内の規律に問題があるのではないか、という。

 
おりしもハワイ沖では米軍を中心に26カ国が参加する「リムパック2022」が行われており、その演習宣伝映像と、今回の解放軍の台湾周辺演習の宣伝映像を見比べたネット上の軍事オタクたちが解放軍の演習のほうが迫力がない、練度が低い、などと揶揄していた。解放軍には台湾武力侵攻は無理である、ということがはっきりしたという見方もある。

 
日本でも、この演習を台湾海峡危機と煽りすぎることを戒める世論もある。だが問題は、解放軍に実力があるか、実現可能な作戦かどうか、あるいは国内向けのパフォーマンスに過ぎない、という点ではなく、習近平は独裁的権力を確立するために、いかなるリスクもいとわない常人の想像を超えた性格をしているかもしれない、という点だ。そして実際、やっていることは北朝鮮の金正恩やロシアのプーチンにますます似てきている

 今年(2022年)、
日中国交正常化50周年の節目の年に、初めて中国から日本のEEZ内にミサイルが撃ち込まれたことの意味を、もっと深刻に受け止めた方がいい、と私は思う。すでに私たちは台湾有事の入り口に立っている

 4日に始まった演習は、当初予定の4日間を超えて延長され、10日に終了発表がなされました。
 中国軍 台湾周辺での軍事演習を終了と発表 | NHK | 中国

 台湾国防部安全研究院によれば、今回発射されたミサイルは東風11、東風15、東風21D、そして空母キラー東風17も含まれている可能性があると福島さん。
 今回の演習は、1996年の第3次海峡危機のレベルを超えていると。
 
 一旦演習は停止されましたが、問題は今後だと福島さん。
 米空母レーガンが間もなく台湾周辺にやってきて、「航行の自由」を行使して台湾海峡を通航する可能性があると。

 ここまで台湾海峡に圧力を高めた中共解放軍。秋の党大会を前にして、米空母の台湾海峡通過を許すのか。
 勿論、海峡の通貨は国際法上では自由。
 とは言え、演習で圧力を高めた海峡を、みすみす米空母の通過を許して、せっかく党大会を控える国内向けに威厳を示したのにそれを帳消しにされていいのか。
 演習によって人民の不満の矛先を習近平からそらす、という本来の目的が達成できないどころか、習近平はより厳しい批判に直面する可能性もあると、福島さん。

 そして日本。日中国交正常化50周年の節目の年に、初めて中国から日本のEEZ内にミサイルが撃ち込まれたことの意味を、もっと深刻に受け止めた方がいいと福島さん。
 
 東アジア首脳会議(EAS)参加国の外相会議の機会に、予定していた外相会談を一方的にキャンセルされたうえに、演説中に退席されるという嫌がらせの中国。
 
 勿論、尖閣諸島の実効支配に向けた「海警」の、領海を含む近海への侵入は続いています。

 国会の親中議連の会長をしていた林氏。広島県の親中団体の会長を続けている岸田氏。
 中国の侮辱を受けながら、今後はどのような姿勢だ取り組むのか。
 勝共で統一教会と接点を持った議員を閣外追放した自民党。親中(=中国共産党)の場合は、ここまでコケにされても、耐えてすり寄るのか?
 岸田、林コンビや如何!



 # 冒頭の画像は、東アジアサミット外相会議に出席した日本の林芳正外相(右)や中国の王毅国務委員兼外相(左)




  この花の名前は、ミソハギ


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1 コメント

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Unknown (yoshikazu0416)
2022-08-12 07:47:34
人民へのパフォーマンスと日台への威嚇以外にももう一つ目的が有ったと私は、思います。
あの海域ロシアインド海洋輸送ルートなのです。
ロシアと中華人民共和国は、表面上友好関係ですが裏では、敵対関係ですからね。
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