東京電力は、福島第1原発事故について社内事故調査委員会は、外部有識者による「事故調査検証委員会」がまとめた(?)中間の事故調査報告書を公表したのだそうです。(12/2)
世界中で原発に対する危険性を認識させた事故であり、ドイツ等一部の国では原発廃止に舵を切る影響も与えました。
事故調査報告は、世界からも事故原因について、すべての原発に基本的に共通なものなのか、福島第一の1~4号機に限定されるものなのか、注目されるもののはずです。
事故発生当初、情報の公開について、世界から非難を浴びたことは記憶に生々しく残っています。そこを反省したはずですが、外部有識者による「事故調査検証委員会」が指摘したことを、東電の社内事故調査委員会が公表という、相変わらずのお役所感覚の体制ですね。そのせいかどうか、内容も肝心なことには突っ込みがなく、責任は国ににもあるとその所在をはぐらかしています。これでは、国内の東電&政府不信はもとより、国際世論も、またまた日本不信をつのらせるでしょう。
津波対策や電源対策に着手した女川や福島第二が、震災と津波を凌いだのに対し、対策をしなかった福島第一。「仮想的な波源に基づくもので、対処すべき津波として想定していない」と東電調査委は一蹴、検証委も「想定できない規模の津波が発生した」ともたれあい。こここそが、福島第一が今回の重大事故を産んで、女川や福島第二と差がついた原因でしょう!
そのほか、地震や津波災害発生後の色々な処置で、ベントの遅れ。冷却の作業員による中止。非常用注水機能の活用に関する疑問。大量放射能の放出理由。などなど、福島第一が世界で初めての経験をした貴重な体験と対処について、成功したことも、失敗したことも真実を世界に公開することで、原発の危険性と、安全管理対策の方法を世界に知らしめる貢献が出来るはずです。
福島第一特有の、人災があることは、どう繕っても明らかなのです。賠償責任を減じようと、いまさら画策しても逃れることは出来ません。きちんとつまびらかに公表することが、信頼を回復できる唯一の道でしょう。
外部有識者と言えども業界人。業界が独占業界では、電力会社におもねるのは当然でしょう。検察では荷が重いのでしょうか?IAEAでは学者さんすぎる?
原発が、その廃棄物の最終処分の方法や場所が確立されていない現状と、人間が制御可能なエネルギーなのかどうかの見極めが未明で危険なものであることは、誰も否定はしないでしょう。
だからと言って、福島第一固有の人災が招いた惨事をもって、原発のすべてを否定してしまうのも行き過ぎでしょう。
原発の業界に生きてきた東電の技術者は、福島第一にこだわるのではなく、世界の視野に立って事故の全容を公表し、世界に貢献されることを望みます。
普通に暮らしていたにも関わらず、人生設計を大きく狂わされ、苦難の生活を強いられている方々に対する、節電で何らかの辛苦を耐えている全国民や企業に対する、苦労に報いるせめてもの償いのひとつでもあります。
甲山森林公園・みくるま池
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世界中で原発に対する危険性を認識させた事故であり、ドイツ等一部の国では原発廃止に舵を切る影響も与えました。
事故調査報告は、世界からも事故原因について、すべての原発に基本的に共通なものなのか、福島第一の1~4号機に限定されるものなのか、注目されるもののはずです。
事故発生当初、情報の公開について、世界から非難を浴びたことは記憶に生々しく残っています。そこを反省したはずですが、外部有識者による「事故調査検証委員会」が指摘したことを、東電の社内事故調査委員会が公表という、相変わらずのお役所感覚の体制ですね。そのせいかどうか、内容も肝心なことには突っ込みがなく、責任は国ににもあるとその所在をはぐらかしています。これでは、国内の東電&政府不信はもとより、国際世論も、またまた日本不信をつのらせるでしょう。
「原発」社外検証委 東電への配慮色濃く 賠償問題考慮か 「過失」踏み込まず (12/3 読売朝刊)
福島第一原子力発電所の事故で、東京電力の社内事故調査委員会は2日、中間報告書を公表した。外部有識者による「事故調査検証委員会」は、「東電の安全対策が不十分だった」と結論付けたが、賠償間題を抱える東電の立場への配慮と踏み込み不足も目立った。(社会部渡辺晋、佐藤直信)
■対策不足
「全電源を喪失した場合の手順をあらかじめ詳細に定めておく必要があった」
今回、社外検証委が示したのは、全電源喪失を想定しなかった国や東電の過酷事故対策の不備が、事故につながったとの見方だ。
<中略>
■同調
ただ、報告では、東電の対応の失敗を具体的に指摘する記述はほとんど見あたらない。今回の事故では、ベントに必要な機材が誤配されたことや、現場がバッテリーの備蓄状況を把握していなかったことが判明しているが、報告はこうした不備に一切触れなかった。
東電が2008年に、今回の津波に匹敵する15メートル超の津波試算を出していたことに関しても、調査委は「仮想的な波源に基づくもので、対処すべき津波として想定していない」と一蹴、検証委も「想定できない規模の津波が発生した」と東電の見方に同調した。
1号機のベントの遅れについては、政府が住民の避難を12日午前0時半に確認してから、実施の指示が出るまで、なぜ7時間以上もかかったのかに、踏み込んだ分析をしていない。
元原子力安全委員長代理の住田健二・大阪大名誉教授は「対策の不十分さに対する反省が足りず、本店がどんな役割を果たしたかも分からない。検証委の意見も、水素爆発を予測できなかったとしたことに対する評価が曖昧で、東電をかばっているようにも見える」と話し、東電が設置した社外検証委の限界を指摘した。
■背 景
社外検証委の委員の一人は、「報告書を作る過程で、東電が賠償のことを気にしていると感じた」と語る。
事故を巡っては、株主が先月、東電側に、歴代経営陣61人を相手取って5兆円超の賠償請求訴訟を起こすよう求める書面を提出しており、株主代表訴訟を起こされるのは必至だ。
こうした状況を意識してか、社外検証委の意見には、「結果として過酷事故の想定が不十分だった」などと、結果的に不首尾に終わったことを強調しつつ、東電側の過失にはつながらない表現を多用する姿勢が目立った。
「過酷事故対策は国と一体で整備を進めてきた」。社内調査委の委員長を務める山崎雅男副社長は2日の記者会見でこう述べ、対策の不備は国にも共同の責任があるとの立場をにじませた。
爆発・放出「謎」残る さらなる検証不可欠
東電報告書は事故原因につながる事実に迫ったが、まだ多くの謎が残されたままだ。
福島第一原発事故で、最大量と見られる放射性物質が放出されたのは3月15日午前。原発から30キロ離れた福島県飯舘村など広い範囲で、住民の避難を強いることになった。
なぜ、大量の放射性物質の放出が起きたのか。報告書は、15日午前に2号機の格納容器の圧力が急減していることを指摘しているが、東電は「(放出との)因果関係は現時点では不明」としている。これまでは、2号機の格納容器下部の圧力抑制室の爆発が放出量増大の要因と見られていた。しかし、この仮説は、敷地内の地震計などの分析などから否定され、原因解明は振り出しに戻った。現場調査は高い放射線量に阻まれ、難しいままだ。
事故初期の対応の検証も不十分だ。3月12日午後3時半過ぎ、誰も予期していなかった1号機原子炉建屋の水素爆発を踏まえ、東電は他号機での爆発防止対策に乗り出した。水素を逃がすために建屋に水圧で穴を空ける機器を手配したが、発電所に届く前の14日午前11時過ぎ、3号機は爆発した。2日弱の時間があったのに、報告書は、対応できなかった理由に踏み込んでいない。東電の山崎副社長は「地震後の道路状況などで資材の確保が難しかった。今後、最終報告に向けて検証する」としている。
原子炉への注水を巡る対応にも疑問点は残る。津波の襲来後も2号機で3日間、3号機でも1日半程度、原子炉本来の非常用の注水機能が作動。その間、消防車などによる代替注水の準備ができたはずだが、間に合わず、炉心溶融に至った。報告書は、遅れた理由について「(注水に不可欠な)原子炉の圧力を下げる弁操作が電源不足で行えず、社員の自動車のバッテリーを取り外して集めた」と説明する。だが、注水が維持できている間に、なぜ電源を準備しておけなかったか、明らかにされていない。
社外検証委は今回の報告書を踏まえ、「誰が指揮、作業していようがほぼ同じ状況になっていたに違いないとの強い感触を得た」と評価した。だが、事故対応が本当に十分だったか、今後の検証が必要だ。(科学部三井誠)
福島第一原子力発電所の事故で、東京電力の社内事故調査委員会は2日、中間報告書を公表した。外部有識者による「事故調査検証委員会」は、「東電の安全対策が不十分だった」と結論付けたが、賠償間題を抱える東電の立場への配慮と踏み込み不足も目立った。(社会部渡辺晋、佐藤直信)
■対策不足
「全電源を喪失した場合の手順をあらかじめ詳細に定めておく必要があった」
今回、社外検証委が示したのは、全電源喪失を想定しなかった国や東電の過酷事故対策の不備が、事故につながったとの見方だ。
<中略>
■同調
ただ、報告では、東電の対応の失敗を具体的に指摘する記述はほとんど見あたらない。今回の事故では、ベントに必要な機材が誤配されたことや、現場がバッテリーの備蓄状況を把握していなかったことが判明しているが、報告はこうした不備に一切触れなかった。
東電が2008年に、今回の津波に匹敵する15メートル超の津波試算を出していたことに関しても、調査委は「仮想的な波源に基づくもので、対処すべき津波として想定していない」と一蹴、検証委も「想定できない規模の津波が発生した」と東電の見方に同調した。
1号機のベントの遅れについては、政府が住民の避難を12日午前0時半に確認してから、実施の指示が出るまで、なぜ7時間以上もかかったのかに、踏み込んだ分析をしていない。
元原子力安全委員長代理の住田健二・大阪大名誉教授は「対策の不十分さに対する反省が足りず、本店がどんな役割を果たしたかも分からない。検証委の意見も、水素爆発を予測できなかったとしたことに対する評価が曖昧で、東電をかばっているようにも見える」と話し、東電が設置した社外検証委の限界を指摘した。
■背 景
社外検証委の委員の一人は、「報告書を作る過程で、東電が賠償のことを気にしていると感じた」と語る。
事故を巡っては、株主が先月、東電側に、歴代経営陣61人を相手取って5兆円超の賠償請求訴訟を起こすよう求める書面を提出しており、株主代表訴訟を起こされるのは必至だ。
こうした状況を意識してか、社外検証委の意見には、「結果として過酷事故の想定が不十分だった」などと、結果的に不首尾に終わったことを強調しつつ、東電側の過失にはつながらない表現を多用する姿勢が目立った。
「過酷事故対策は国と一体で整備を進めてきた」。社内調査委の委員長を務める山崎雅男副社長は2日の記者会見でこう述べ、対策の不備は国にも共同の責任があるとの立場をにじませた。
爆発・放出「謎」残る さらなる検証不可欠
東電報告書は事故原因につながる事実に迫ったが、まだ多くの謎が残されたままだ。
福島第一原発事故で、最大量と見られる放射性物質が放出されたのは3月15日午前。原発から30キロ離れた福島県飯舘村など広い範囲で、住民の避難を強いることになった。
なぜ、大量の放射性物質の放出が起きたのか。報告書は、15日午前に2号機の格納容器の圧力が急減していることを指摘しているが、東電は「(放出との)因果関係は現時点では不明」としている。これまでは、2号機の格納容器下部の圧力抑制室の爆発が放出量増大の要因と見られていた。しかし、この仮説は、敷地内の地震計などの分析などから否定され、原因解明は振り出しに戻った。現場調査は高い放射線量に阻まれ、難しいままだ。
事故初期の対応の検証も不十分だ。3月12日午後3時半過ぎ、誰も予期していなかった1号機原子炉建屋の水素爆発を踏まえ、東電は他号機での爆発防止対策に乗り出した。水素を逃がすために建屋に水圧で穴を空ける機器を手配したが、発電所に届く前の14日午前11時過ぎ、3号機は爆発した。2日弱の時間があったのに、報告書は、対応できなかった理由に踏み込んでいない。東電の山崎副社長は「地震後の道路状況などで資材の確保が難しかった。今後、最終報告に向けて検証する」としている。
原子炉への注水を巡る対応にも疑問点は残る。津波の襲来後も2号機で3日間、3号機でも1日半程度、原子炉本来の非常用の注水機能が作動。その間、消防車などによる代替注水の準備ができたはずだが、間に合わず、炉心溶融に至った。報告書は、遅れた理由について「(注水に不可欠な)原子炉の圧力を下げる弁操作が電源不足で行えず、社員の自動車のバッテリーを取り外して集めた」と説明する。だが、注水が維持できている間に、なぜ電源を準備しておけなかったか、明らかにされていない。
社外検証委は今回の報告書を踏まえ、「誰が指揮、作業していようがほぼ同じ状況になっていたに違いないとの強い感触を得た」と評価した。だが、事故対応が本当に十分だったか、今後の検証が必要だ。(科学部三井誠)
津波対策や電源対策に着手した女川や福島第二が、震災と津波を凌いだのに対し、対策をしなかった福島第一。「仮想的な波源に基づくもので、対処すべき津波として想定していない」と東電調査委は一蹴、検証委も「想定できない規模の津波が発生した」ともたれあい。こここそが、福島第一が今回の重大事故を産んで、女川や福島第二と差がついた原因でしょう!
そのほか、地震や津波災害発生後の色々な処置で、ベントの遅れ。冷却の作業員による中止。非常用注水機能の活用に関する疑問。大量放射能の放出理由。などなど、福島第一が世界で初めての経験をした貴重な体験と対処について、成功したことも、失敗したことも真実を世界に公開することで、原発の危険性と、安全管理対策の方法を世界に知らしめる貢献が出来るはずです。
福島第一特有の、人災があることは、どう繕っても明らかなのです。賠償責任を減じようと、いまさら画策しても逃れることは出来ません。きちんとつまびらかに公表することが、信頼を回復できる唯一の道でしょう。
外部有識者と言えども業界人。業界が独占業界では、電力会社におもねるのは当然でしょう。検察では荷が重いのでしょうか?IAEAでは学者さんすぎる?
原発が、その廃棄物の最終処分の方法や場所が確立されていない現状と、人間が制御可能なエネルギーなのかどうかの見極めが未明で危険なものであることは、誰も否定はしないでしょう。
だからと言って、福島第一固有の人災が招いた惨事をもって、原発のすべてを否定してしまうのも行き過ぎでしょう。
原発の業界に生きてきた東電の技術者は、福島第一にこだわるのではなく、世界の視野に立って事故の全容を公表し、世界に貢献されることを望みます。
普通に暮らしていたにも関わらず、人生設計を大きく狂わされ、苦難の生活を強いられている方々に対する、節電で何らかの辛苦を耐えている全国民や企業に対する、苦労に報いるせめてもの償いのひとつでもあります。
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