ベトナムが南沙諸島で国会議員選挙実施

　中国と領有権を争い、戦火を交えたこともあるベトナム。今回は、国会議員選挙を、南シナ海のスプラトリー（南沙）諸島でも実施することにしたのだそうですね。勿論、中国は反論、領有権を主張する文書を、国連事務総長に送付したのだそうです。最近強気の軍事力の示威ではなく文書というのもおもしろいし、国際司法裁判所ではなく、国連事務総長宛に訴えているところも微妙ですね。
　

南沙諸島での選挙めぐり応酬　中国「非合法」／越「内政問題」　（5/15 産経）

　【シンガポール＝青木伸行】ベトナムは２２日の国会議員選挙を、南シナ海のスプラトリー（南沙）諸島でも実施する。これに南シナ海のほぼ全海域の領有権を主張する中国が反発、ベトナムも反論するなど応酬が繰り広げられている。
　ベトナム共産党は１月の党大会で、グエン・フー・チョン氏を書記長とする新指導部を発足させ、今回の選挙を経て、７月招集予定の国会で首相らを正式に選出する。ベトナムが実効支配する南沙諸島の一部は、中南部カインホア省の一郡と位置づけられ、「有権者」は駐屯する軍兵士らだ。
　これに対し、中国外務省は１０日、「選挙は中国の主権の侵害であり、非合法、無効だ」と非難。ベトナム外務省も１２日、南沙諸島での選挙は「ベトナムの内政問題だ」と反発した。
　中国は先月、南沙諸島などの領有権を主張する文書を、国連事務総長に送付。ベトナムも今月、「ベトナムの不可分の領土だ」と反論する文書を事務総長に送った。
　南沙諸島はフィリピン、マレーシアなども領有権を主張しており、中国と東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）は２００２年に平和的解決をうたった「行動宣言」に署名している。ＡＳＥＡＮは宣言を法的拘束力のある「行動規範」に格上げすることを目指しているが、中国は消極的だ。
　温家宝首相は先月末、ＡＳＥＡＮ議長国のインドネシアと、マレーシアを歴訪。インドネシアへの約９０億ドルの融資、マレーシアとの経済協力拡大で合意する一方、「領有権問題は２国間で解決すべきだ」とクギを刺している。

　ベトナムがASEAN議長国であった昨年は、南シナ海での領有権を中国と争う各国と中国が二国間で交渉していたものを、ASEAN対中国での交渉に方向転換を図り、更に米国も巻き込むなどしたのですが、中国の札束攻勢の巻き返しで、ASEAN内の分断化を許す現状となっています。
　
　しかし、なにかあっても、口先だけの形式的な抗議を繰り返すだけのどこかの国と違って、兵士を駐屯させ、選挙に参加・実施という主権の実効を行い国際社会にPRするというベトナムの行動力には、逮捕した違法船長を、一喝されると一転即座に釈放し、主権を放棄するどこかの国の政府要人に爪の垢をいただいて飲ませてやりたいものです。

　中国が上陸・占領を狙う尖閣には、自国民の立ち入りを制限し、かといって自衛隊や警察 or 海保の駐屯、駐在をするでもなく、攻め込まれたらいったん退避し、沖縄まで攻め込まれてからようやく奪還防衛する作戦を作成する主権欠如ぶりの我が国です。

　防衛省　尖閣諸島が中国に占領されるシナリオを作成 - 遊爺雑記帳

　ASEAN諸国の南シナ海での領有権争いを、明日は我が身として支援し、インドやオーストラリアとも連携し、中国の武力を背景とした海洋進出に歯止めをかける様すべきです。
　しかし、政権を担うには能力不足を露呈しつづける民主党政権に望むのは、ないものねだり。
　かといって、大震災（含原発事故）の危機の最中では人事を動かす空白は避けねばならない。
　G8のパフォーマンスだけでなく、国益、国家の主権の擁護に外交活動にも注力してほしい政府（カンカラ菅出来なければ政府・与党が総力を結集する）ではあります。

　桜は、大阪・造幣局の八重桜で「鬱金」です。

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