遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

尖閣対立 米の民間調査機関が日本は防衛姿勢転換をせざるを得ないと指摘

2012-10-06 23:40:28 | 東シナ海尖閣諸島
 尖閣を巡る日中の対立は、世界へ向けてのPR戦争と、前線の海域での持久戦に突入し、更に中国側は経済戦争(ブーメランの様に自国に被害が戻ってくるのですが)も仕掛けてきていることは、諸兄がご承知の通りです。
 世界の反応の内、米国の動きを産経・古森論説委員が頻繁に情報提供されていて、弊blogでも取り上げさせていただいていました。
 今回は、米国の民間調査機関が、激しい中国の攻勢にあう日本は、防衛体制の強化を計り「消極的平和主義」からの転向を余儀なくされるとの発表をしているという記事です。
 また、日米同盟を巡る中国の米国へのプレッシャーに対し、空母の増派やF-35の配備を発表していた米国は、南シナ海・フィリピンへの米海兵隊のローテーション配備を発表して、中国への抑止力を強めています。
 

米調査機関報告書 「日本の消極平和主義は終わった」 (10/6 産経)

 【ワシントン=古森義久】米国の中央情報局(CIA)の元専門家集団が運営する民間研究調査機関が、尖閣諸島をめぐる中国の激しい対日攻勢のために日本は憲法を改正し、自国の防衛を固めるようになる
だろうという予測を公表した。しかし日中の本格的な軍事衝突の見込みは小さいとしている。
 国際的な安全保障問題を主に分析する同調査機関「リグネット」はこのほど、「
中国との紛争は日本に消極平和主義の再考を余儀なくさせる
」と題する調査報告を発表した。

 同報告は、中国が今後も日本に対し尖閣の主権を果敢に主張する攻勢を主に外交面で続け、尖閣自体へも艦艇を接近させていくだろうと予測し、その結果、「日本は緊張を緩和する措置をとるだろうが、国民の間に自国の防衛にはこれまでよりも強い対応が必要だという意識が急速に高まった」と診断している。

 同報告はさらに「中国における最近の反日デモでの日本側の経済的被害によって、国益の擁護には従来の『経済外交』というような方法を変えて、もっと積極果敢な対応をしなければならないという認識が国民レベルで広まった」として、自民党の安倍晋三総裁が主張するように憲法を改正して自国防衛を強化する動きが進むだろう、と述べた。

 また、「憲法第9条の改正による自国防衛の明確化への動きが起きて、左派が国民感情を利用して改正案を自動的に抑えるようなことはもうできなくなるだろう」との予測をも明らかにした。

 同報告は、こうした動きは東アジアの新しい政治や軍事の情勢の結果であり、「日本は第二次大戦終了時からの長年の消極平和主義の姿勢の放棄を迫られるだろう」との見通しをも強調した。


 普通の国の専門家が考えれば、中国の攻勢は戦略を建て、白を黒と言い張り、他国の領土・領海を強奪しようとするもので、それなりの防衛策の強化実施が必須と考えるのが当然の帰結なのですね。
 自民党総裁選を通じた論戦の中で話題が注目されるようになり、石破氏の党員投票結果、安倍氏の総裁選出が、米国からみればそのような分析結果となるのも当然でしょう。
 玄葉氏も、韓国・李大統領の暴挙・暴言に対し、外交姿勢の転換を公言していました。
 勿論、遊爺もそう望むところです。

 しかし、国内はまだまだそのような流れは大きく動き出している様には思えません。
 某朝日新聞は、早速安倍降ろしに余念がありませんし、橋下氏の言うバカコメンテータや評論家は、大人の対応とか、冷静な態度とかの名目で、言いたい放題、やりたい放題の中国、韓国を放置すべきと大合唱しています。
 「消極的平和主義」こそが、戦後レジームの中から生まれたもので、そこからの脱却が求められているのですね。

 中国は尖閣を「核心的利益」と定義し、東シナ海から西太平洋への制海権・制空権を獲得する拠点としようとしているのです。日本の領土であるものを、先ずは領土問題は先送りしましょうと油断させ、その間着々と準備をすすめ、漁船を侵入させたり、海監や魚政を侵入させたり、艦隊を通過させたりと、軽いジャブからボディブローへと覇権拡大の魔手を伸ばしてきているのです。
 そして、日米同盟の適用について、米国に注文を付け始めてもいます。

 しかし、領土問題には中立の立場を公言するオバマ政権も、安保ので要範囲であるとの言は曲げず、むしろ抑止力の強化策の行動を素早く起こしています。
 そして、昨年構築した中国への包囲網を更に強化すべく、豪州に広げていた海兵隊のローテーション配備を、フィリピンでも実施すると発表しています。
 

比パラワン島 米軍、対中最前線基地に (10/6 産経)

 【シンガポール=青木伸行】東南アジア軍事筋によると、米国、フィリピン両政府は5日までに、フィリピン南西部パラワン島を対中国の最前線基地と位置づけ、米軍の拠点とする
ことで基本合意した。米海兵隊をローテーション展開し、米軍に対する後方支援施設を整備するほか、合同訓練の頻度を増やす。北部ルソン島のクラーク旧米空軍基地を含め、他の後方支援施設の選定も急いでおり、対象は広域にわたっている。
 米軍はアジア・太平洋地域で海兵隊のローテーション展開を開始しており、パラワン島はその拠点の一つとなる。中国と領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島と、中国がレーダー施設を完成させ実効支配するミスチーフ環礁に近く、要衝だ。
 米海兵隊の拠点となるのはパラワン島のウルガン海軍基地。これまでも米比合同軍事演習の際、両軍の海兵隊による上陸訓練に使用され、沖縄の米海兵隊も参加してきた。海兵隊の展開と並行し、プエルトプリンセサ、サマリニアーナ空軍基地、バラバック島などの施設も整備し、後方支援機能をもたせる。偵察機も配備される見通しだ。
 パラワン島以外では、両政府は米艦船の修理や燃料、食料の補給拠点として、ルソン島のスービック旧米海軍基地を使用することで基本合意している。このほかクラーク旧米空軍基地、ポロポイント海軍基地(ラウニオン州)、ミンダナオ島サンボアンガ、フィリピン最北端のバタネス諸島などの施設の使用、整備が検討されている。
 一方、合同軍事演習は4月にパラワン島の周辺で定期合同演習が、7月にはミンダナオ島で「協力海上即応訓練」が実施された。今月8日からは11日間にわたり、パラワン島の周辺海域などで、米軍から駆逐艦、潜水艦、強襲揚陸艦など少なくとも7隻、兵員2600人、フィリピン軍から1200人が参加しての演習が行われる。


 尖閣近海で消耗戦が展開される中、南シナ海での抑止力強化は、中国側の戦力分散につなげようという作戦ですね。ランチェスターの「強者」側の戦術といったところでしょうか。関係国が連合すればこそ可能となる戦術です。
 とはいえ、海兵隊のローテーション化は、沖縄の負担軽減の様に見えますが、一向に進展しないキャンプシュアブへの移転に業を煮やした米国の脱日本戦略ともとれる両刃の作戦です。
 尖閣への日米同盟の適用にしても、日本が主体で動かない限り米国も動きません。トルコも、動いたのはトルコ軍で同盟各国は動いていません。
 
 米・「リグネット」が、当然のこととして予測指摘する通り、憲法や関連法規の改定で、戦後続けてきた「消極的平和主義」からの脱却を行い、普通の国になり国益を護ることが必要となります。
 そして、アジアの国々が期待する、アジアの一方の雄としての平和に貢献する国として、民主党政権で失った信頼を取り戻す時が来ているのです。

 余談ですが、パラワン島は、日本の自衛隊も共同利用の計画がありますね。
 
自衛隊がフィリピン基地使用 日米が検討開始、パラワン島有力 - MSN産経ニュース



 この花の名前は、ユキモチソウ  撮影場所; 六甲高山植物園


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続 中国の海洋戦略




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