遊爺雑記帳

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習近平に飛ばされた「経済けん引4人組」の末路

2023-03-17 01:33:55 | 中国 全般
 3月13日、北京で全国人民代表大会が閉幕。異例の国家主席3期目に突入した習近平主席は、かつて中国を治めてきた皇帝のような「絶対権力」を手にしたと、しばしば中国のスパイと茶化される近藤氏。
 権力闘争には、勝者があれば敗者もあると、敗者者側となった、今日の中国の繁栄をもたらした鄧小平の流れを継ぐ共青団派の 4人について、近藤氏が説いておられます。
 
"敵対勢力排除、習近平に飛ばされた「経済けん引4人組」の末路 東アジア「深層取材ノート」(第179回)(1/6) | JBpress (ジェイビープレス)" target="_blank">敵対勢力排除、習近平に飛ばされた「経済けん引4人組」の末路 東アジア「深層取材ノート」(第179回) | JBpress (ジェイビープレス) 2023.3.14(火) 近藤 大介

 3月13日、北京で全国人民代表大会が閉幕。異例の国家主席3期目に突入した習近平主席は、かつて中国を治めてきた皇帝のような「絶対権力」を手にした

 中国の官製メディアは、「われわれは勝利のうちに大会を閉幕した」と総括したが、まさに勝者は習近平主席だった。

 
だが権力闘争には、勝者があれば敗者もある

 
以下、「4人の敗者」について見ていきたいいずれも、昨年10月の第20回共産党大会で議場から引っ張り出された胡錦濤元主席に連なる「団派」(中国共産主義青年団)に連なる面々である。

握手はしても習近平氏を「ガン無視」した李克強前首相

(1)李克強・前首相

 過去15年ほどにわたり、
習近平主席の同世代の最大のライバルだったが、ついに政界引退となった

 
今回、李克強氏に関して、象徴的な光景が二つあった一つは3月11日、人民大会堂で李強党常務委員(党内序列2位)が新首相に選出された時だ。習近平主席が、隣席の李克強前首相に握手を求め、二人は壇上で握手した

 李克強氏は、習近平政権10年にわたって、ナンバー2の国務院総理(首相)を務めてきたのだから、トップがその労をねぎらうのは当然だろう。

 会場を埋めた2947人の全国人民代表大会代表者たちも、大きな拍手を送った。

 
だが当の李克強前首相は、習近平主席のことを「ガン無視」したのだ。
 
習主席と一度も目を合わせず、正面の代表者たちの方を向いたままだった

 
この姿を私は、「自分は習近平ではなく国民を見ているのだ」という李氏の「無言の抵抗」と受け取った

「別れの挨拶」に滲み出た習近平への恨み

 
もう一つの光景は、撮った日時は不明(一説によると3月6日)だが、李克強前首相が、「中南海」(人民大会堂西側の最高幹部の職住地)の北部にある国務院の本部庁舎前広場に、約800人の職員を集めて行ったという「別れの挨拶」だ。その時のわずか44秒の映像が、ツイッターで世界に拡散したのだ。

 広場中央でマイクの前に立った李
前首相は、周囲をぐるりと囲んだ職員たちに向かって、時に手振りを交えながら、熱っぽく述べた。

「人々はいつも言う。人は行いをなし、天はそれを見ていると。この蒼天には眼がついているのだ(周囲がどっと笑い、李前首相ももらい笑いする)。

 国務院職員の皆さんたちは、何年にもわたって、苦労をしながら地道にしっかりと、特別な貢献をしてくれた。あなたたちは褒章されてしかるべきだ。

 おっ、
ちょっと見たまえ。この風だよ(周囲が再びどっと笑い、李前首相も笑う)

 
早くも風が吹き始めたぞ!(三たび周囲がどっと笑い、李前首相は拍手して挨拶を終えた)」

 私はこの映像を見て、李克強前首相の「習近平への怨み」はここまで深かったのかと、再認識した。

「お前(習近平主席)がこの世で蛮行を行っても、天は必ず見ていて罰を下すからな」と警告しているように映る

 
これを中国語では「天怒人怨」と表現するが、ここまで言うかという感じである

 周囲を囲んだ職員たちも、どっと笑っているくらいだから、内心では「その通りだ」と賛同しているのかもしれない。

「次期首相」の呼び声もあったが……

(2)汪洋・前中国人民政治協商会議主席

 
李克強前首相の「盟友」で、第20回中国共産党大会が開かれる前は、共産党序列ナンバー4で、中国人民政治協商会議の主席として君臨。一部では次期首相の呼び声も上がっていた

 だが、党大会で習近平総書記に蹴落とされ、
今回、政界引退を余儀なくされた

「経済より権力闘争を優先」
 私が、「汪洋危うし」と最初に思ったのは、2021年秋に、中国2位の不動産会社「恒大グループ」の破綻が取り沙汰された時だった。

 
恒大グループは、いわば汪洋氏が育てた会社であり、同社の創業者・許家印CEOは、汪洋氏の「最大のパトロン」と言っても過言ではなかった。

 おそらく
習近平主席は、この関係を危険視したのだ。それで、「家は住むためのものであって、投機のためのものではない」との正論を立てて、「恒大潰し」に出たのである。

 
その結果、中国経済全体の悪化を招いたが、「経済より権力闘争優先」が、習近平流というものだ。

前代未聞の大降格
(3)胡春華・前副首相


 李克強前首相の「弟分」で、やはり
第20回共産党大会で、党中央政治局委員(トップ25、もしくは24)から、党中央委員(トップ205)に「降格」させられるという、前代未聞の仕打ちを受けたのが、胡春華前副首相である。

 
本来なら2期10年を務めた習近平総書記・国家主席が引退し、ちょうど10歳若い胡春華氏が中国トップに就くというのが、自然な流れだ。

 ところが
「半永久政権」を目論む習近平主席が、「自分にとって最も危険な人物」を蹴落としたのである。

 
この人事に反対しようとして議場から退場させられたのが、「胡春華の父親」と言われるくらいの関係だった胡錦濤元主席だった。胡錦濤氏が退場させられた時、壇上の胡春華氏は、口を真一文字に締めて、腕組みしていた

 
中国の「神聖な会議中」に、腕組みする幹部を、私はその時、初めて見た。それから5カ月経って、すっかり激やせした胡春華氏は、今回もただ一人、壇上で腕組みを続けた。それがいまの胡氏にできる「精一杯の抵抗」だった。

 そんな
胡氏に今回、与えられた役職は中国人民政治協商会議副主席。政協自体が「お飾りの諮問機関」と言われる中、その中で23人もいる副主席の一人であり、完全な左遷人事だった。

習近平の「共同富裕」に異論
(4)郭樹清・前中国人民銀行党委書記兼前中国銀行保険監督管理委員会主席


 やはり
李克強前首相の「盟友」で、金融部門を取り仕切っていたのが、郭樹清氏である。中央銀行にあたる中国人民銀行の行長(総裁)は易鋼氏だったが、中国では共産党の書記が最高位なので、「中国人民銀行のトップ」は郭樹清氏だった

 それを
第20回党大会で、習近平総書記は郭氏の「共産党の地位」を剥奪。今回の人民代表大会では、「学者タイプ」の易鋼行長だけを留任させて、郭氏を全国人民代表大会財政経済委員会副主任委員に追いやってしまった

 「形骸化した」全国人民代表大会の一委員会の9人もいる副主任委員の一人である。

 
さらに、金融業界での「郭樹清色」を消すためか、銀行・保険業を統括する中国銀行保険監督管理委員会を解体し、国家金融監督管理総局を新設した。自らの「直轄」にしたも同然だ。

 
郭氏は今年に入って、新華社やCCTV(中国中央広播電視総台)などのインタビューを積極的に受け、「一視同仁」という言葉を強調していた

 
これは「中国経済を発展させるには、民営企業と外資系企業を、国有企業と『一視同仁』(同等)に扱わないといけない」という意味だ。

 おそらく、
習近平主席が進めようとしている「共同富裕」に対するアンチテーゼなのだろう。

 
だが今回の全国人民代表大会で、習主席は閉会日の重要講話で再び、「共同富裕」を強調した。

 
こうして、中国経済の牽引役だった「4人組」は散った。今後の中国経済は、どうなっていくのだろう?

 「4人の敗者」は、いずれも、昨年10月の第20回共産党大会で議場から引っ張り出された胡錦濤元主席に連なる「団派」(中国共産主義青年団)に連なる面々。
 団派は、毛沢東が天安門事件で失脚、専制政治から、集団指導体制で定年制を導入し、戦後の日本の復興を、松下幸之助に学び、中国経済を日本を追い抜き、米国に迫る今日の発展に導いた、鄧小平が始祖とは、諸兄がご承知の通り。

 胡錦涛の後を継ぎ、習近平と対峙してきたのは、李克強首相。
 国営企業を重視する習近平に対し、鄧小平の独自の共産主義の民間の活力を活かす経済を推進。
 習近平主席の同世代の最大のライバルでしたが、定年を順守、引退。
 李克強氏に関して、象徴的な光景が二つあったと、近藤氏。
 
 一つは3月11日、人民大会堂で李強党常務委員(党内序列2位)が新首相に選出された時だ。習近平主席が、隣席の李克強前首相に握手を求め、二人は壇上で握手した。
 会場を埋めた2947人の全国人民代表大会代表者たちも、大きな拍手を送った。
 だが当の李克強前首相は、習近平主席のことを「ガン無視」したのだそうです。
 習主席と一度も目を合わせず、正面の代表者たちの方を向いたままだったと。
 この姿を近藤氏は、「自分は習近平ではなく国民を見ているのだ」という李氏の「無言の抵抗」と受け取ったと。
 
 もう一つの光景は、李克強前首相が、「中南海」(人民大会堂西側の最高幹部の職住地)の北部にある国務院の本部庁舎前広場に、約800人の職員を集めて行ったという「別れの挨拶」。
 44秒の映像が、ツイッターで世界に拡散。
 この映像を見て、李克強前首相の「習近平への怨み」はここまで深かったのかと、再認識したと、近藤氏。
 「お前(習近平主席)がこの世で蛮行を行っても、天は必ず見ていて罰を下すからな」と警告しているように映る。
 これを中国語では「天怒人怨」と表現するが、ここまで言うかという感じであると。

 周囲を囲んだ職員たちも、どっと笑っているくらいだから、職員たちも内心では「その通りだ」と賛同しているのかもしれないとも。

 李克強前首相の「盟友」で、共産党序列ナンバー4で、中国人民政治協商会議の主席として君臨。一部では次期首相の呼び声も上がっていた、汪洋・前中国人民政治協商会議主席。
 今回、政界引退を余儀なくされた。
 
 恒大グループは、いわば汪洋氏が育てた会社であり、同社の創業者・許家印CEOは、汪洋氏の「最大のパトロン」と言っても過言ではなかった。
 習近平主席は、この関係を危険視して、「恒大潰し」に出た。
 その結果、中国経済全体の悪化を招いたが、「経済より権力闘争優先」が、習近平流というものだと、近藤氏。

 李克強前首相の「弟分」で、やはり第20回共産党大会で、党中央政治局委員(トップ25、もしくは24)から、党中央委員(トップ205)に「降格」させられるという、前代未聞の仕打ちを受けたのが、胡春華前副首相。

 団派の次世代を担うホープで、習近平の次の主席の座を担う候補と言われてきていました。
 第20回共産党大会で、党中央政治局委員(トップ25、もしくは24)から、党中央委員(トップ205)に「降格」させられるという、前代未聞の仕打ちを受けたと、近藤氏。
 「半永久政権」を目論む習近平主席が、「自分にとって最も危険な人物」を蹴落としたと。

 この人事に反対しようとして議場から退場させられたのが、「胡春華の父親」と言われるくらいの関係だった胡錦濤元主席だった。胡錦濤氏が退場させられた時、壇上の胡春華氏は、口を真一文字に締めて、腕組みしていたのだそうです。

 金融部門を取り仕切っていたのが、郭樹清・前中国人民銀行党委書記兼前中国銀行保険監督管理委員会主席。
 第20回党大会で、習近平総書記は郭氏の「共産党の地位」を剥奪。今回の人民代表大会では、郭氏を全国人民代表大会財政経済委員会副主任委員に追いやってしまった。

 郭氏は今年に入って、新華社やCCTV(中国中央広播電視総台)などのインタビューを積極的に受け、「一視同仁」という言葉を強調していた。
 これは「中国経済を発展させるには、民営企業と外資系企業を、国有企業と『一視同仁』(同等)に扱わないといけない」という意味だ。
 おそらく、習近平主席が進めようとしている「共同富裕」に対するアンチテーゼなのだろうと、近藤氏。

 こうして、中国経済の牽引役だった「4人組」は散った。今後の中国経済は、どうなっていくのだろうと。

 習近平へのコマ擦りで、経済政策等実務に疎い輩で固めたとの評価を多く聞く習近平の新政権。
 北戴河会議では、経済成長の復活を条件に定年撤廃での継続就任が認められた 3期目。
 鄧小平の流れを継ぎ、改革開放経済で、今日の中国経済発展を築いてきた団派を一掃した、3期目の習近平政権。ゼロコロナで壊れた中国経済を、ゴマ擦りの側近で立て直せるのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、全人代において握手する習近平国家主席と首相を退任する李克強氏

 

  春を迎える小川のせせらぎ


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