日本時間8日午前11時、第13期全国人民代表大会(全人代)第1回会議の記者会見がメディアセンターで行われ、王毅外交部長(外相)は「中国の外交政策と対外関係」について国内外の記者からの質問に答えたなかで、2月の平昌五輪をきっかけとした南北の歩み寄りを歓迎し、「米朝はできるだけ早く接触と対話を行うべきだ」と訴えていました。
ただ実際は、中国は現在の対話の流れから置き去りになっているのですね。
北朝鮮を訪問し、金正恩と面談した韓国の訪朝団が帰国してもたらした情報は、文大統領が待ち望んでいたもの。鄭首席特使は「南北は4月末に板門店の平和の家で第3次南北首脳会談を開催する。そのための具体的な実務協議を進めていくことにした。北朝鮮は朝鮮半島非核化の意思を明確にし、軍事的な脅威が解消され、北朝鮮の体制が保障されるなら核を保有する理由がないことを明確にした」と成果を誇っていました。
金正恩が、「核を保有する理由がない」と言ったことが注目を集めましたが、その条件について語られることは稀でしたね。
「軍事的な脅威が解消され、北朝鮮の体制が保障されるなら」って、抽象的表現で、金正恩がそう思うか思わないかでいくらでもどんでん返しが出来る条件です。そして「朝鮮半島非核化」とは、米軍の朝鮮半島からの撤退を求めているのと同義の話です。
この事前情報を抱えて、訪朝した特使がこんどは訪米し、トランプ大統領に会談の報告をしました。
すると、世界中が大仰天の、史上初の米朝首脳会談実現というトランプ大統領の回答。
特使の鄭氏によると、金委員長はトランプ氏とのできるだけ早い時期の会談を熱望していると表明。非核化への意欲とともに、核・ミサイル発射実験を凍結すると約束した。これまで北朝鮮への脅威になるとして中止を求めてきた米韓合同軍事演習の継続にも理解を示したのだと。
米朝首脳5月にも会談 金正恩氏が要請、米政府発表 :日本経済新聞
トランプ大統領は、制裁の効果だとも言い、制裁は今後も継続すると言っていますが、安倍首相は急遽訪米し、会談することとしましたね。
安倍首相、4月にも訪米 トランプ氏と会談へ :日本経済新聞
王毅外相は、五輪をきっかけとした南北対話の進展を支持し、中国の制裁の成果だと、実際には蚊帳の外になりつつあるのに見栄を張っていましたが、中国も面食らっている様子。
“蚊帳の外”の中国…「歓迎」「自賛」「当惑」が錯綜 - SankeiBiz(サンケイビズ)
事前情報の金正恩の、「(条件が満たされれば)核を保有する理由がない」との発言が、特使の鄭氏のトランプ大統領への報告では、「非核化への意欲とともに、核・ミサイル発射実験を凍結すると約束した。」と、一歩突っ込んだ話になってはいます。
しかし、事前情報の時にあった、金正恩の条件についての情報はここでは明らかにされていません。
金正恩の条件、真意は何なのか。今後の見極めと、会談実現に向けた事前交渉の進展が注目されますが、膠着状態からの打開を図ろうと決断した米朝のトップ。ディールに自負がある似た者同士(?)だからこそ踏み切れた賭けとも言えますね。
正恩氏、米国への要求見えず 約束反故の余地残す :日本経済新聞
蚊帳の外が鮮明となった中国の動向も要注目です。
# 冒頭の画像は、8日、米ホワイトハウスで声明を読み上げる韓国の鄭義溶・大統領府国家安保室長(中央)
この花の名前は、キバナノコギリソウ
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ただ実際は、中国は現在の対話の流れから置き去りになっているのですね。
中国「頭越し」和平警戒 王毅外相記者会見 「北と対話を」米に圧力 (3/9 読売朝刊 獅子の計略 '18全人代)
【北京=中川孝之】中国の王毅(ワンイー)外相は8日の記者会見で、韓国と北朝鮮の関係改善を米朝対話につなげていくべきだと主張した。習近平国家主席が「目覚めた獅子」と称し、強国路線を進む中国も、米国による北朝鮮攻撃や金正恩体制の崩壊は恐れている。中国は今後、圧力重視の日米に対抗し、南北対話を後押しすることで、朝鮮半島情勢の安定に向けて主導権を握りたい考えだ。
「長く氷に閉ざされていた朝鮮半島情勢に、久しぶりに暖流が押し寄せた」
王氏は、2月の平昌五輪をきっかけとした南北の歩み寄りを歓迎した。「氷が解けた」理由として、五輪期間中、北朝鮮と米韓がそれぞれ、核・ミサイル実験と合同軍事演習を行わなかったことを挙げた。
北朝鮮と米韓双方が自制し、対話環境を整える方法は中国で「双暫停」(双方一時停止)と呼ばれ、王氏が昨年3月の記者会見で提案した。王氏は「『双暫停』は症状に合った良い処方箋だ。事実が証明している」と、中国の貢献を強調した。
王氏はまた、「米朝はできるだけ早く接触と対話を行うべきだ」と訴え、非核化と同時に、「朝鮮半島での平和体制」を構築するべきだと踏み込んだ。米朝関係の休戦状態から平和体制への移行を意味し、北朝鮮の主張を代弁したものだ。本格的な対話には慎重な米国への圧力と言える。
ただ実際は、中国は現在の対話の流れから置き去りになっている。中朝関係が険悪化する中、北朝鮮は中国を無視して米韓への接近を図っている。
北京の外交筋は「中国は頭越しに米朝和解が進むのを快く思っていない。対話局面が行き詰まり、中国が直接関与できる時を待っている」とみる。
米国との関係では、王氏は「(米中は)パートナーになるべきだ」と共存を訴えつつも、警戒も見せた。
中国が軍事拠点化を進める南シナ海の問題に関し、「外部勢力が武装した艦船や航空機を派遣し、武力を見せびらかしていると述べ、米軍の「航行の自由作戦」を批判。日米が主導する「自由で開かれたインド太平洋戦略」については、「一時は注目を浴びたが、すぐ静かになった」と切り捨てた。
対日発言 一転「ソフト」に
【北京=東慶一郎】王毅外相は、過去の記者会見では厳しい言葉遣いで日本を批判したが、今回は「ソフト路線」に転じた。習近平政権の対日政策を反映していると言えそうだ。
王氏はこれまで、「裏表のある人」(2016年)や「心の病」(17年)といった言い回しで日本を批判してきた。駐日大使も務めた中国外務省きっての日本通だが、13年の外相就任後は日中関係が冷え込んでいたこともあり、「あえて日本を刺激する発言をして『対日強硬派』をアピールし、知日派と見られることを避けようとした」(外交筋)との見方がある。
それが一転、今年は日本の対中認識にやんわり苦言を呈した程度で、「中日関係に得難い改善の傾向が出ていることを歓迎する」と述べた。
ただ記者会見後、旧日本軍のコスプレなどをする「精日(日本人のような精神を持つ中国人)」について問われると、こわもての表情で「中国人のくずだ!」と大声で答え、「対日強硬派」に回帰する一幕もあった。
【北京=中川孝之】中国の王毅(ワンイー)外相は8日の記者会見で、韓国と北朝鮮の関係改善を米朝対話につなげていくべきだと主張した。習近平国家主席が「目覚めた獅子」と称し、強国路線を進む中国も、米国による北朝鮮攻撃や金正恩体制の崩壊は恐れている。中国は今後、圧力重視の日米に対抗し、南北対話を後押しすることで、朝鮮半島情勢の安定に向けて主導権を握りたい考えだ。
「長く氷に閉ざされていた朝鮮半島情勢に、久しぶりに暖流が押し寄せた」
王氏は、2月の平昌五輪をきっかけとした南北の歩み寄りを歓迎した。「氷が解けた」理由として、五輪期間中、北朝鮮と米韓がそれぞれ、核・ミサイル実験と合同軍事演習を行わなかったことを挙げた。
北朝鮮と米韓双方が自制し、対話環境を整える方法は中国で「双暫停」(双方一時停止)と呼ばれ、王氏が昨年3月の記者会見で提案した。王氏は「『双暫停』は症状に合った良い処方箋だ。事実が証明している」と、中国の貢献を強調した。
王氏はまた、「米朝はできるだけ早く接触と対話を行うべきだ」と訴え、非核化と同時に、「朝鮮半島での平和体制」を構築するべきだと踏み込んだ。米朝関係の休戦状態から平和体制への移行を意味し、北朝鮮の主張を代弁したものだ。本格的な対話には慎重な米国への圧力と言える。
ただ実際は、中国は現在の対話の流れから置き去りになっている。中朝関係が険悪化する中、北朝鮮は中国を無視して米韓への接近を図っている。
北京の外交筋は「中国は頭越しに米朝和解が進むのを快く思っていない。対話局面が行き詰まり、中国が直接関与できる時を待っている」とみる。
米国との関係では、王氏は「(米中は)パートナーになるべきだ」と共存を訴えつつも、警戒も見せた。
中国が軍事拠点化を進める南シナ海の問題に関し、「外部勢力が武装した艦船や航空機を派遣し、武力を見せびらかしていると述べ、米軍の「航行の自由作戦」を批判。日米が主導する「自由で開かれたインド太平洋戦略」については、「一時は注目を浴びたが、すぐ静かになった」と切り捨てた。
対日発言 一転「ソフト」に
【北京=東慶一郎】王毅外相は、過去の記者会見では厳しい言葉遣いで日本を批判したが、今回は「ソフト路線」に転じた。習近平政権の対日政策を反映していると言えそうだ。
王氏はこれまで、「裏表のある人」(2016年)や「心の病」(17年)といった言い回しで日本を批判してきた。駐日大使も務めた中国外務省きっての日本通だが、13年の外相就任後は日中関係が冷え込んでいたこともあり、「あえて日本を刺激する発言をして『対日強硬派』をアピールし、知日派と見られることを避けようとした」(外交筋)との見方がある。
それが一転、今年は日本の対中認識にやんわり苦言を呈した程度で、「中日関係に得難い改善の傾向が出ていることを歓迎する」と述べた。
ただ記者会見後、旧日本軍のコスプレなどをする「精日(日本人のような精神を持つ中国人)」について問われると、こわもての表情で「中国人のくずだ!」と大声で答え、「対日強硬派」に回帰する一幕もあった。
北朝鮮を訪問し、金正恩と面談した韓国の訪朝団が帰国してもたらした情報は、文大統領が待ち望んでいたもの。鄭首席特使は「南北は4月末に板門店の平和の家で第3次南北首脳会談を開催する。そのための具体的な実務協議を進めていくことにした。北朝鮮は朝鮮半島非核化の意思を明確にし、軍事的な脅威が解消され、北朝鮮の体制が保障されるなら核を保有する理由がないことを明確にした」と成果を誇っていました。
金正恩が、「核を保有する理由がない」と言ったことが注目を集めましたが、その条件について語られることは稀でしたね。
「軍事的な脅威が解消され、北朝鮮の体制が保障されるなら」って、抽象的表現で、金正恩がそう思うか思わないかでいくらでもどんでん返しが出来る条件です。そして「朝鮮半島非核化」とは、米軍の朝鮮半島からの撤退を求めているのと同義の話です。
この事前情報を抱えて、訪朝した特使がこんどは訪米し、トランプ大統領に会談の報告をしました。
すると、世界中が大仰天の、史上初の米朝首脳会談実現というトランプ大統領の回答。
特使の鄭氏によると、金委員長はトランプ氏とのできるだけ早い時期の会談を熱望していると表明。非核化への意欲とともに、核・ミサイル発射実験を凍結すると約束した。これまで北朝鮮への脅威になるとして中止を求めてきた米韓合同軍事演習の継続にも理解を示したのだと。
米朝首脳5月にも会談 金正恩氏が要請、米政府発表 :日本経済新聞
トランプ大統領は、制裁の効果だとも言い、制裁は今後も継続すると言っていますが、安倍首相は急遽訪米し、会談することとしましたね。
安倍首相、4月にも訪米 トランプ氏と会談へ :日本経済新聞
王毅外相は、五輪をきっかけとした南北対話の進展を支持し、中国の制裁の成果だと、実際には蚊帳の外になりつつあるのに見栄を張っていましたが、中国も面食らっている様子。
“蚊帳の外”の中国…「歓迎」「自賛」「当惑」が錯綜 - SankeiBiz(サンケイビズ)
事前情報の金正恩の、「(条件が満たされれば)核を保有する理由がない」との発言が、特使の鄭氏のトランプ大統領への報告では、「非核化への意欲とともに、核・ミサイル発射実験を凍結すると約束した。」と、一歩突っ込んだ話になってはいます。
しかし、事前情報の時にあった、金正恩の条件についての情報はここでは明らかにされていません。
金正恩の条件、真意は何なのか。今後の見極めと、会談実現に向けた事前交渉の進展が注目されますが、膠着状態からの打開を図ろうと決断した米朝のトップ。ディールに自負がある似た者同士(?)だからこそ踏み切れた賭けとも言えますね。
正恩氏、米国への要求見えず 約束反故の余地残す :日本経済新聞
蚊帳の外が鮮明となった中国の動向も要注目です。
# 冒頭の画像は、8日、米ホワイトハウスで声明を読み上げる韓国の鄭義溶・大統領府国家安保室長(中央)
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