「第十一善幸丸」は、この時は取材のためにチェコTVの記者が乗っていたそうですが、これまでにも多くの報道陣の取材協力をしてきて、「尖閣で漁をする海人の会」を結成していました。
この時も、「第十一善幸丸」に海保から中国公船が近づいているので領海外に退去するよう連絡があったのでしたが、中国公船の領海侵犯が激しくなった昨年9月頃から、中国公船の接近に伴う、日本漁船への領海外への退避勧告がなされるようになっていたのだそうですね。
沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に中国公船が近づいた際、海上保安庁の巡視船が領海内で操業している日本の漁船に対し、領海外へ退避するよう勧告していることが20日、明らかになった。漁船の安全確保を図るための苦肉の策で、地元の漁業協同組合も巡視船の勧告に従っている。中国公船による断続的な領海侵犯で異常事態が生まれている形だ。
政府関係者によると、第11管区海上保安本部(那覇)の巡視船が日本の漁船に領海外への退避勧告を行うようになったのは、中国公船が領海侵入を繰り返し始めた昨年9月以降。「正確な数は把握していないが、複数回行っていることは事実だ」(海上保安庁関係者)という。
中国公船は、漁船よりも大型であるため、漁船の安全が脅かされる可能性があるほか、中国公船が漁船を逮捕して尖閣周辺での「管轄権行使」を既成事実化することを防ぐ狙いもある。自国の領海からの退避を勧告することは極めて異例で、海上保安庁幹部は「過去のケースでは記憶にない」と指摘する。
こうした事態に対し、八重山漁業協同組合の上原亀一組合長は、「組合員がトラブルに巻き込まれては困るので仕方がない」と理解を示す。そのうえで、「本来、こういうことがあってはならない。政府は毅然(きぜん)と対応しつつ、新政権同士の話し合いで安心して操業できる環境を整えてほしい」とも語った。
昨年9月以降の中国公船による尖閣周辺の領海侵入は、今年3月18日現在で計34件延べ109隻。昨年9~11月は3~5件だったのに対し12月は8件、今年2月は7件とエスカレートしている。侵入する時間も昨年9月は最長6時間54分だったのに対し今年2月は最長14時間16分にわたった。
今年に入って、沖縄本島や石垣島、与那国島、鹿児島県・指宿などの漁船が、中国公船に追い回されていて、最低5件はあるはずだと、「第十一善幸丸」の名嘉船長は語っていたのでした。
尖閣沖で中国船に追い回された! 船長が怒りの激白 挑発でモメ事起こす狙いか(ZAKZAK(夕刊フジ)) - 国内 - livedoor ニュース
米国は中国による尖閣干渉への追及に対し、領有権には中立だが、尖閣の管理を行っているのが日本であり、安保条約の適用範囲との見解を引き出させられています。
中国の戦略は米国の尖閣問題への介入排除ですが、第一段階としては成果を得たことになり、実効支配を確立すれば米国が日米同盟の対象としない言質をとりました。
公船の定期巡回を始め、更に領海侵犯も始め、巡回の頻度や艦船の数、領海侵犯の頻度や滞在時間を徐々に増やして、実績を積み重ねてきていることは、統一された戦略なのですね。
日本人の上陸が禁止され、石原都知事等や石垣市が望む船溜まりやヤギからの自然保護などの実効支配策も民主党政権の性急で強引な国有化で封じられた現状では、日本の巡視船が巡回していることと、中国の公船が巡回していることとの差は無くなってきています。
むしろ、中国の公船が中国漁船の取り締まりを実施演出して、中国公船が海域の管理をしている実績も創りはじめています。
次のステップは、中国漁船による上陸とその保護を名目とする公船や軍艦の上陸が有名ですが、その前により実現しやすい日本の漁船の取り締まり・拿捕が実行寸前となってきているのですね。
強引な中国ですが、繊細なところもあって、小さなジャブで様子をみて、反応が小さければ頻度をあげ、更に内容を拡大し、マンネリ化させたうえで実行に移すのが常套手段です。
海保はその戦術を承知しているからこそ、実績を造られないよう、日本漁船に領海からの退去勧告をしているのですね。
残念なことですが、完全に中国の戦略通りに進めら、日本の管理が薄められています。
本来国がすべきことを都が代わって実行するとしていた石原流。国は、都がやることと優柔不断な態度で、船溜まりや自然保護を黙認しておけばよかったのですが、胡錦濤氏と面談直後になぜか急いで国有化を強行し、胡錦濤・共青団の政局での逆転負けを産み、今日の事態を招きました。
この中国の戦略にはまって流されている現状を変える方法はないのでしょうか。
日中首脳会談と言いますが、政局逆転を軍に頼った習近平が、対日強硬姿勢を変えることは、自らの政治基盤を裏切ることになり、到底考えられない話です。
中国共産党は、人民解放軍として反日抗争で政権を得た由来を持っていることは諸兄がご承知の通りです。
中国軍は、国の軍ではなく、共産党の人民解放軍なのです。習近平が、ソ連共産党が崩壊したのは、軍を国の軍に手放したからだと言ったと言う話はいつか触れました。
江沢民、胡錦濤と軍の統制には甘やかしてお金を出す方法を使った政権が続き、急速に軍拡が進んだことは、周知の事実ですね。
その傾向は、習近平政権では一段と強まってくることが、徐々に明らかになっています。
【正論】防衛大学校教授・村井友秀 習新政権が軍を御しきれぬ理由 - MSN産経ニュース
村井友秀防衛大学校教授が指摘されるように、流れを変えるには、日本が軍事、外交面で抵抗力を強めることは当然で、中国の世論戦による日本国内の世論の分断に惑わされることなく、民間が一致対処することが重要なのです。
敵が民主主義の弱点を突いてくるのなら、こちらは共産党一党独裁により頻発している社会矛盾を突けばいいのです。
日本のメディアによる世界世論への発信が大切です。
# 冒頭の画像は、海監「66」による威嚇を遮る巡視船「みずき」
この花の名前は、レイジンソウ 撮影場所;六甲高山植物園 (2012年10月 撮影)
↓よろしかったら、お願いします。