遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

オバマ教書 アジア重視真贋のほどは?

2014-01-30 23:58:57 | 米国 全般
 オバマ大統領の一般教書演説について各紙が評論しています。
 産経の主張は、「強い米国で世界に責任を」。同・水平垂直では、「「アジア重視」形だけ」。読売の社説も、「そっけなかったアジア重視」。読売・飯塚恵子アメリカ総局長は、オバマ氏の資質に疑問提示。日経社説も「成長戦略の実行力問われるオバマ教書」といった状況。(毎日、朝日は論外)
 アジア重視が有言不実行への懸念、国内の諸問題に追われ外交に手が回らず、世界のリーダーの役割への危惧と言った点で、程度の差はあれ、概ね各社共通した見解の様子ですね。
 
オバマ氏演説 そっけなかった「アジア重視」 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 【主張】一般教書演説 強い米国で世界に責任を - MSN産経ニュース
 成長戦略の実行力問われるオバマ教書  :日本経済新聞
 産経・『【水平垂直】オバマ大統領、一般教書演説 中国の脅威・北の核言及せず』はリンク先が見つからない為、文末に転載

 また、「議会で法案が可決されない場合、大統領令を発する」と宣言し、ネジレに対する強硬姿勢を示した点が特筆されます。
 読売の社説が、共通項を網羅していると考えますが、遊爺は、読売・飯塚恵子アメリカ総局長のコラムに注目しました。
 

消えた「超大国の視点」 アメリカ総局長 飯塚恵子 (1/30 読売・朝刊)

 
「経済」が16回、「機会」が12回。突出して多用されたこの二つの言葉から、今年のオバマ米大統領の一般教書演説の力点がくっきり浮かび上がる。
 11月の中間選挙を前に、米国内で広がる格差の是正を最重要課題にすえ、中間所得層を支援する具体策を列挙した。
「行動の年」をアピールする眼目は、内政課題に集中
している。
 オバマ氏は、与野党が「ねじれ」にある
米議会が障害になるようなら、大統領令を多用する、と珍しく強権的な発言
もした。
 米国の失業率は低下傾向にある。2009年に10%まで達した失業率は、昨年12月に6.7%まで下がった。ところが、
失業率が下がれば通常上向くとされる支持率の常識が、オバマ政権にはあてはまらない

 28日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「オバマ政権の『不支持率』は、現代米国で6年目の政権としては、ブッシュ前政権に次ぐ高さの51%」とする世論調査を載せた。
 政権低迷の背景には、昨年10月に政府の一部機能停止を17年ぶりに招くなど、オバマ政権の政策遂行能力に対する米国民の厳しい目がある。
 これを払拭するため、
オバマ氏は、国際関係にからむ諸政策も国内の雇用創出に関連づけるなど、米国民の利益を最大限強調することに腐心
したようだ。
 世界の通商史上、規模や制度が画期的な環太平洋経済連携協定(TPP)も、「米国の雇用創出に役立つ」という文脈で語られた。
安倍首相はTPPの意義について、「アジア太平洋地域で新たなルールを作れば、日本の国益だけでなく、世界に繁栄をもたらす」などと語っており、立場が逆転したかのようだ

 今回の
オバマ氏の演説からは、世界の秩序維持や繁栄に責任を持つ「超大国」としての責任感やプライドはほとんど感じられない

 アフガニスタンでの任務完了に関しても、「今後、米国とアフガニスタンとの関係は変わるかもしれないが、一つ変わらないものがある。テロリストに我々の国を攻撃させない、という我々の決意だ」と述べた。
 国際テロに立ち向かう「世界の警察官」から、内向きの「自国防衛」へと、すっかり軸足を移したかのようだ。オバマ氏は「真に必要でない限り、我々の軍隊を危険な地域には送らない」とも強調した。
 演説は、米陸軍元兵士の紹介で締めくくられた。アフガンに10回駐留し、被弾して重い後遺症を負いつつ今は懸命にリハビリ中という元兵士は、ミシェル夫人の傍らで長く熱い拍手を会場から浴びた。演説が最も盛り上がった瞬間だった。
 「オバマは部隊に感謝はするが、なぜその部隊が戦い、犠牲になったのか、その大義や必要性について決して語らなかった」。オバマ政権で11年まで国防長官を務めたロバート・ゲーツ氏は、今月発表した回顧録で、厳しいオバマ批判を展開している。今回の演説でも、説明はなかった。
超大国の指導者に真に必要な資質について、側近も不安視していたようだ。

 議会の「ねじれ」で政策実現が進まないオバマ政権。掲げる雇用の改善を達成することに、外交まで結び付けようとして、中国経済重視に傾いているのですね。
 産経・水平垂直で指摘されている通り、習近平とのトップ会談では、習近平が持ち出した二大国論を否定したオバマ大統領も、国内の経済成長と雇用回復のために、ゲーツ、クリントン両長官時代のアジア回帰、中国包囲戦略から、中国が提案した「新型大国関係」に舵を切るという教書なのでしょうか。

 TPPについても、安倍首相が「世界の繁栄」に言及しているのに対し、オバマ大統領は、「米国の雇用創出に役立つ」と内向き発言です。
 日米関係についても、2年連続で言及していない理由は何なのでしょう。

 飯塚総局長は、「オバマ氏の演説からは、世界の秩序維持や繁栄に責任を持つ「超大国」としての責任感やプライドはほとんど感じられない」と斬っています。
 更に、ゲーツ元国防長官の回顧録を引用して、超大国の指導者に真に必要な資質について、側近も不安視していたようだと指摘。
 
 資本主義先進国の停滞と、中国の台頭という近年の状況のせいなのか、オバマ氏の資質のせいなのかは判定出来ませんが、米国が中国の経済力に擦り寄っているのは、まぎれもない事実です。
 
 この数日の米国の脱金融緩和株策も、発展途上国の混乱には手が回らないというか、無視といった国内優先姿勢。まさに、「超大国」の看板は、かなぐり捨てているようです。
 日本や、アジア諸国は、このオバマ米国の政策転換への対応を急がねばならないことになりました。

 

【水平垂直】オバマ大統領、一般教書演説 中国の脅威・北の核言及せず (1/30 産経)

■「アジア重視」形だけ
 【ワシントン=青木伸行】オバマ大統領は一般教書演説の中で、アジア重視戦略の継続を表明した。だが、中国の「脅威」と北朝鮮の核問題など、北東アジア情勢には一切触れず、
アジア重視の「体裁を取り繕っただけ
だ」(共和党のマルコ・ルビオ上院議員)との批判を招いている。
 1時間強の演説のうち、
外交・安全保障政策に割かれた時間はわずかで、その大半が中東、アフガニスタン問題で占められた

 そうした中でオバマ氏は、アジア太平洋地域に言及し「重点的な取り組みを続け、同盟国を支援し、より大きな安全と繁栄の未来を形成する」という表現で事実上、アジア重視戦略を確認した。「フィリピンのように自然災害によって荒廃した国に(支援の)手を差し伸べる」とも指摘した。
 しかし、東シナ海上空に防空識別圏を設定するなど覇権拡大と実効支配の動きを強め続ける
中国の「脅威」には、口を閉ざした

 中国が「新型大国関係」の秋波を送った、昨年6月の米中首脳会談で両国関係の潮目は変わっている。一般教書演説で
「脅威」に言及しなかったのも、「新型大国関係」に配慮したためとの見方もある

 アジア重視戦略を推進した
ゲーツ元国防長官とクリントン前国務長官が政権を去り、アジア重視戦略に対するオバマ氏の関心が薄れた、との指摘もあるが、日本や東南アジア諸国の一部にすれば、「不満」と「失望」を禁じ得ない

 北朝鮮の核問題についてオバマ氏は昨年の一般教書演説では、直前に北朝鮮が核実験を実施したこともあり、「国際社会を主導し断固たる措置をとる」と述べている。北朝鮮の核問題は依然として国際社会の重大な脅威で、しかも張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑という重大な情勢変化にもかかわらず今回、触れなかったことは不可解だ。折しも、デービース北朝鮮担当特別代表が日韓などを訪問中で、外交が動いている最中であることが理由との見方もある。
 また、
今年も日本と日米同盟に言及しなかった
。悪化する日韓関係や、日米韓同盟関係も触れなかった。
 一方、国際社会における米国の指導力を、オバマ氏は「脅威に対し防衛することのみならず、協力を促進することなどだ」と定義づけた。米国の指導力と関与の低下を批判する国際世論への反論であり、
「世界の警察官」の役割をもはや果たさない、との意思表明でもある。



 冒頭の画像は、一般教書演説をするオバマ大統領




  この花の名前は、ヒゴタイ  撮影場所; 六甲高山植物園 (2013年 8月撮影)




 政府広報(北方領土問題) - YouTube


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