9月27日、石破茂元幹事長が第28代自民党総裁に選出され、10月1日召集された臨時国会で第102代内閣総理大臣に指名されました。
石破総裁は、防衛庁長官、防衛大臣を歴任され、政界において自他ともに認める安全保障の専門家であるが、その石破新総裁が提唱されている2つの安全保障政策に焦点を絞って、私なりの評価を述べてみたいと、河野克俊元統合幕僚長。
第一は、「アジア版NATO」の創設。
総裁選期間中にも提唱され、9月27日の米国ハドソン研究所の「コメンタリー」にも寄稿されている構想だと、河野氏。
その中で、「『ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟していないから防衛義務を負わない』『ウクライナはNATOに入っていない。だからアメリカは、軍事力行使はしない』それがアメリカの理屈であった」と。
「今のウクライナは明日のアジア。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えれば、アジアにNATOのような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい状態にある。このような状況で中国を西側同盟国が抑止するためにはアジア版NATOの創設が不可欠である」としていると、河野氏。
しかし、このような論理展開はあまりに性急であり、いささか短絡的と言わざるを得ないと。
1990年8月にイラクのサダム・フセイン大統領が隣国のクウェートに侵略して湾岸危機が勃発した。
当時米国とクウェートの間には安全保障上の取り決めはなかったが、ブッシュ大統領は、このような侵略行為を放置すれば冷戦後の国際秩序は地に落ちるとして、湾岸戦争に踏み切った。
要はアメリカの国益に照らした当時の政策判断の結果なのであって、集団的自衛体制の有無のみが自動的に安全保障の決定的要因になるとは言えないということだ。
日本の場合、日米同盟が厳然と存在しているのであるから、その信頼性を高めることが急務であって、それを飛び越えてアジア版NATOに飛びつくのは論理の飛躍であると思うと、河野氏。
NATO諸国の脅威認識ははっきりと共有されており、それはあくまでもソ連であった。
そのためソ連崩壊とともにNATOの目的、存在意義もあいまいになり、今や加盟国は32カ国となった。その中にはかつてソ連陣営だった旧東欧諸国やイスラム国家であるトルコまで含まれている。
今回のウクライナ戦争に対してもNATOが一致して対応しているかとなると、それぞれの加盟国のスタンスには濃淡があると、河野氏。
NATOのような集団的自衛体制を構築するためには、脅威認識を共有することが不可欠である。アジアの場合、常識的には脅威対象は中国になると思うが、石破総裁は「中国を最初から排除することを念頭に置いているわけではない」とも語っているのだそうです。
ならばアジア版NATOは何をもって共通の脅威認識とするのであろうかと、河野氏。
アジア各国、特にASEANの中国に対する認識は国によって異なっている。韓国でさえも政権によって中国に対するスタンスが違うことは周知の事実だと。
石破総裁は、「アジア版NATO」は日米豪印のQUADあるいは日英豪のAUKUSの延長線上にあるとの見方を示したが、QUADは政治的連帯であり、軍事同盟ではない。AUKUSも元々豪州の原子力潜水艦建造のための支援枠組みであり、軍事同盟ではないと、河野氏。
軍事同盟は2国間がベストだと思う。軍事同盟はあくまで運命共同体である。2国間でも同盟調整は簡単なことではない。まして多国間になるとその複雑さ、煩雑さは推して知るべしであるとも。
歴史的に見ても日英同盟は成功したが、日独伊3国同盟は日本の安全には寄与しなかったと、河野氏。
結論として、「アジア版NATO」は実現性の問題以前に、日本の安全保障のためにやるべきではない。それよりも日米同盟をより双務的な関係にもっていくことにより、その信頼性の向上に注力すべきだと。
第二は憲法問題。
石破総裁は「9条2項の削除」を主張している。私はこれに全面的に賛成だ。自衛隊明記だけでは自衛隊が抱える矛盾を解消することにはならないと思うからだと、河野氏。
安倍元総理も同じ考えだったと思う。しかし、現実に改憲するとなれば少なくとも連立与党の公明党の賛同を得る必要があり、当時は、公明党は、9条はそのままで加憲を主張していたことから、安倍元総理は、先ず一歩進めるという観点から「自衛隊明記」を提唱されたと思うと、河野氏。
政治家は評論家と違い現実に政策を進める責任がある。「9条2項の削除」は正論だが、これを現実政治の中で国民、他党を巻き込みどのように実現していくのか、その道筋さらには道程を石破総裁には提示してもらいたいと!
党内野党の立場でこれまでは意見を述べる立場だった石破氏。
総裁・総理となられたこれからは、確たるエビデンスや実現への道筋までが在っての方針打ち出しが求められます。
安倍政権のアベノミクスは、民主党政権が製造業の六重苦を産み出し、日本経済を沈没させかけたのを、経済成長に転換させました。そこには、浜田宏一、本田悦朗、高橋洋一、黒田東彦、他のスタッフのチームがいました。
石破内閣にはどのような人材が揃ってるのでしょう?
政権発足後、野党と予算委員会または党首討論などを経て国民に評価を問うと言っていた石破氏なのに、早計な解散を打ち出す変化は、森山幹事長等の進言にしたがったと言われる野党に突っ込みどころを与える、政権運営スタート!
新政権誕生のお祝いムードの中でのスタート & 衆議院選挙に臨みたい魂胆がみえみえ!
前途の多難さが露呈していますがいかが??
# 冒頭の画像は、自民党の臨時総務会であいさつする石破茂総裁他
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石破総裁は、防衛庁長官、防衛大臣を歴任され、政界において自他ともに認める安全保障の専門家であるが、その石破新総裁が提唱されている2つの安全保障政策に焦点を絞って、私なりの評価を述べてみたいと、河野克俊元統合幕僚長。
石破新首相「アジア版NATO」構想はすべきでない…各国で異なる中国へのスタンス、軍事同盟は2国間がベストな理由 | JBpress (ジェイビープレス) 2024.10.1(火)河野 克俊:元統合幕僚長
アジア版NATO」構想は短絡的
9月27日、石破茂元幹事長が第28代自民党総裁に選出され、10月1日召集される臨時国会で第102代内閣総理大臣に指名される。
石破総裁は、防衛庁長官、防衛大臣を歴任され、政界において自他ともに認める安全保障の専門家であるが、その石破新総裁が提唱されている2つの安全保障政策に焦点を絞って、私なりの評価を述べてみたい。
第一は、「アジア版NATO」の創設である。
これは総裁選期間中にも提唱され、9月27日の米国ハドソン研究所の「コメンタリー」にも寄稿されている構想である。
その中で、「『ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟していないから防衛義務を負わない』『ウクライナはNATOに入っていない。だからアメリカは、軍事力行使はしない』それがアメリカの理屈であった」として、「今のウクライナは明日のアジア。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えれば、アジアにNATOのような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい状態にある。このような状況で中国を西側同盟国が抑止するためにはアジア版NATOの創設が不可欠である」としている。
しかし、このような論理展開はあまりに性急であり、いささか短絡的と言わざるを得ない。1990年8月にイラクのサダム・フセイン大統領が隣国のクウェートに侵略して湾岸危機が勃発した。
その際、当時の米国のブッシュ大統領(父)はイラクに警告を発するとともに、イラクに対する武力行使を容認する国連決議を成立させた。その後、間髪を入れず多国籍軍を編成し、翌年1月には湾岸戦争が開始され、1カ月でイラク軍をクウェートから放逐した。
当時米国とクウェートの間には安全保障上の取り決めはなかったが、ブッシュ大統領は、このような侵略行為を放置すれば冷戦後の国際秩序は地に落ちるとして、湾岸戦争に踏み切ったのである。
つまり、要はアメリカの国益に照らした当時の政策判断の結果なのであって、集団的自衛体制の有無のみが自動的に安全保障の決定的要因になるとは言えないということだ。
したがって、日本の場合、日米同盟が厳然と存在しているのであるから、その信頼性を高めることが急務であって、それを飛び越えてアジア版NATOに飛びつくのは論理の飛躍であると思う。
軍事同盟は2国間がベスト
NATOは、米ソ冷戦の結果、ソ連の脅威から相互に守り合うために当初12カ国により1949年に設立された。NATO諸国の脅威認識ははっきりと共有されており、それはあくまでもソ連であった。
そのためソ連崩壊とともにNATOの目的、存在意義もあいまいになり、今や加盟国は32カ国となった。その中にはかつてソ連陣営だった旧東欧諸国やイスラム国家であるトルコまで含まれている。
今回のウクライナ戦争に対してもNATOが一致して対応しているかとなると、それぞれの加盟国のスタンスには濃淡がある。例えウクライナがNATO加盟国であったとしてもNATOが一致した行動をとっていたかとなるとはなはだ疑問である。
いずれにしてもNATOのような集団的自衛体制を構築するためには、脅威認識を共有することが不可欠である。アジアの場合、常識的には脅威対象は中国になると思うが、石破総裁は「中国を最初から排除することを念頭に置いているわけではない」とも語っている。
ならばアジア版NATOは何をもって共通の脅威認識とするのであろうか?
たとえ、「アジア版NATO」が中国を共通の脅威と位置付けた場合でもアジア各国、特にASEANの中国に対する認識は国によって異なっている。韓国でさえも政権によって中国に対するスタンスが違うことは周知の事実だ。
石破総裁はまた、「アジア版NATO」は日米豪印のQUADあるいは日英豪のAUKUSの延長線上にあるとの見方を示したが、QUADは政治的連帯であり、軍事同盟ではない。AUKUSも元々豪州の原子力潜水艦建造のための支援枠組みであり、軍事同盟ではない。
以上のことから私は、軍事同盟は2国間がベストだと思う。もちろん平時において友好国、同志国のネットワークを広げることには賛成だが、軍事同盟はあくまで運命共同体である。2国間でも同盟調整は簡単なことではない。まして多国間になるとその複雑さ、煩雑さは推して知るべしである。
日本の安全保障のためにやるべきでない
歴史的に見ても日英同盟は成功したが、日独伊3国同盟は日本の安全には寄与しなかった。日英同盟はワシントン条約締結の際にアメリカの圧力により解消され、4カ国条約という多国間の枠組みに移行されたが、これは何の意味もなさなかった。
結論として、「アジア版NATO」は実現性の問題以前に、日本の安全保障のためにやるべきではない。それよりも日米同盟をより双務的な関係にもっていくことにより、その信頼性の向上に注力すべきだ。
「憲法9条2項の削除」示すべきはその道筋
第二は憲法問題だ。石破総裁は「9条2項の削除」を主張している。私はこれに全面的に賛成だ。自衛隊明記だけでは自衛隊が抱える矛盾を解消することにはならないと思うからだ。
安倍元総理も同じ考えだったと思う。しかし、現実に改憲するとなれば少なくとも連立与党の公明党の賛同を得る必要があり、当時は、公明党は、9条はそのままで加憲を主張していたことから、安倍元総理は、先ず一歩進めるという観点から「自衛隊明記」を提唱されたと思う。
政治家は評論家と違い現実に政策を進める責任がある。「9条2項の削除」は正論だが、これを現実政治の中で国民、他党を巻き込みどのように実現していくのか、その道筋さらには道程を石破総裁には提示してもらいたいと思う。
アジア版NATO」構想は短絡的
9月27日、石破茂元幹事長が第28代自民党総裁に選出され、10月1日召集される臨時国会で第102代内閣総理大臣に指名される。
石破総裁は、防衛庁長官、防衛大臣を歴任され、政界において自他ともに認める安全保障の専門家であるが、その石破新総裁が提唱されている2つの安全保障政策に焦点を絞って、私なりの評価を述べてみたい。
第一は、「アジア版NATO」の創設である。
これは総裁選期間中にも提唱され、9月27日の米国ハドソン研究所の「コメンタリー」にも寄稿されている構想である。
その中で、「『ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟していないから防衛義務を負わない』『ウクライナはNATOに入っていない。だからアメリカは、軍事力行使はしない』それがアメリカの理屈であった」として、「今のウクライナは明日のアジア。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えれば、アジアにNATOのような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい状態にある。このような状況で中国を西側同盟国が抑止するためにはアジア版NATOの創設が不可欠である」としている。
しかし、このような論理展開はあまりに性急であり、いささか短絡的と言わざるを得ない。1990年8月にイラクのサダム・フセイン大統領が隣国のクウェートに侵略して湾岸危機が勃発した。
その際、当時の米国のブッシュ大統領(父)はイラクに警告を発するとともに、イラクに対する武力行使を容認する国連決議を成立させた。その後、間髪を入れず多国籍軍を編成し、翌年1月には湾岸戦争が開始され、1カ月でイラク軍をクウェートから放逐した。
当時米国とクウェートの間には安全保障上の取り決めはなかったが、ブッシュ大統領は、このような侵略行為を放置すれば冷戦後の国際秩序は地に落ちるとして、湾岸戦争に踏み切ったのである。
つまり、要はアメリカの国益に照らした当時の政策判断の結果なのであって、集団的自衛体制の有無のみが自動的に安全保障の決定的要因になるとは言えないということだ。
したがって、日本の場合、日米同盟が厳然と存在しているのであるから、その信頼性を高めることが急務であって、それを飛び越えてアジア版NATOに飛びつくのは論理の飛躍であると思う。
軍事同盟は2国間がベスト
NATOは、米ソ冷戦の結果、ソ連の脅威から相互に守り合うために当初12カ国により1949年に設立された。NATO諸国の脅威認識ははっきりと共有されており、それはあくまでもソ連であった。
そのためソ連崩壊とともにNATOの目的、存在意義もあいまいになり、今や加盟国は32カ国となった。その中にはかつてソ連陣営だった旧東欧諸国やイスラム国家であるトルコまで含まれている。
今回のウクライナ戦争に対してもNATOが一致して対応しているかとなると、それぞれの加盟国のスタンスには濃淡がある。例えウクライナがNATO加盟国であったとしてもNATOが一致した行動をとっていたかとなるとはなはだ疑問である。
いずれにしてもNATOのような集団的自衛体制を構築するためには、脅威認識を共有することが不可欠である。アジアの場合、常識的には脅威対象は中国になると思うが、石破総裁は「中国を最初から排除することを念頭に置いているわけではない」とも語っている。
ならばアジア版NATOは何をもって共通の脅威認識とするのであろうか?
たとえ、「アジア版NATO」が中国を共通の脅威と位置付けた場合でもアジア各国、特にASEANの中国に対する認識は国によって異なっている。韓国でさえも政権によって中国に対するスタンスが違うことは周知の事実だ。
石破総裁はまた、「アジア版NATO」は日米豪印のQUADあるいは日英豪のAUKUSの延長線上にあるとの見方を示したが、QUADは政治的連帯であり、軍事同盟ではない。AUKUSも元々豪州の原子力潜水艦建造のための支援枠組みであり、軍事同盟ではない。
以上のことから私は、軍事同盟は2国間がベストだと思う。もちろん平時において友好国、同志国のネットワークを広げることには賛成だが、軍事同盟はあくまで運命共同体である。2国間でも同盟調整は簡単なことではない。まして多国間になるとその複雑さ、煩雑さは推して知るべしである。
日本の安全保障のためにやるべきでない
歴史的に見ても日英同盟は成功したが、日独伊3国同盟は日本の安全には寄与しなかった。日英同盟はワシントン条約締結の際にアメリカの圧力により解消され、4カ国条約という多国間の枠組みに移行されたが、これは何の意味もなさなかった。
結論として、「アジア版NATO」は実現性の問題以前に、日本の安全保障のためにやるべきではない。それよりも日米同盟をより双務的な関係にもっていくことにより、その信頼性の向上に注力すべきだ。
「憲法9条2項の削除」示すべきはその道筋
第二は憲法問題だ。石破総裁は「9条2項の削除」を主張している。私はこれに全面的に賛成だ。自衛隊明記だけでは自衛隊が抱える矛盾を解消することにはならないと思うからだ。
安倍元総理も同じ考えだったと思う。しかし、現実に改憲するとなれば少なくとも連立与党の公明党の賛同を得る必要があり、当時は、公明党は、9条はそのままで加憲を主張していたことから、安倍元総理は、先ず一歩進めるという観点から「自衛隊明記」を提唱されたと思う。
政治家は評論家と違い現実に政策を進める責任がある。「9条2項の削除」は正論だが、これを現実政治の中で国民、他党を巻き込みどのように実現していくのか、その道筋さらには道程を石破総裁には提示してもらいたいと思う。
第一は、「アジア版NATO」の創設。
総裁選期間中にも提唱され、9月27日の米国ハドソン研究所の「コメンタリー」にも寄稿されている構想だと、河野氏。
その中で、「『ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟していないから防衛義務を負わない』『ウクライナはNATOに入っていない。だからアメリカは、軍事力行使はしない』それがアメリカの理屈であった」と。
「今のウクライナは明日のアジア。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えれば、アジアにNATOのような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい状態にある。このような状況で中国を西側同盟国が抑止するためにはアジア版NATOの創設が不可欠である」としていると、河野氏。
しかし、このような論理展開はあまりに性急であり、いささか短絡的と言わざるを得ないと。
1990年8月にイラクのサダム・フセイン大統領が隣国のクウェートに侵略して湾岸危機が勃発した。
当時米国とクウェートの間には安全保障上の取り決めはなかったが、ブッシュ大統領は、このような侵略行為を放置すれば冷戦後の国際秩序は地に落ちるとして、湾岸戦争に踏み切った。
要はアメリカの国益に照らした当時の政策判断の結果なのであって、集団的自衛体制の有無のみが自動的に安全保障の決定的要因になるとは言えないということだ。
日本の場合、日米同盟が厳然と存在しているのであるから、その信頼性を高めることが急務であって、それを飛び越えてアジア版NATOに飛びつくのは論理の飛躍であると思うと、河野氏。
NATO諸国の脅威認識ははっきりと共有されており、それはあくまでもソ連であった。
そのためソ連崩壊とともにNATOの目的、存在意義もあいまいになり、今や加盟国は32カ国となった。その中にはかつてソ連陣営だった旧東欧諸国やイスラム国家であるトルコまで含まれている。
今回のウクライナ戦争に対してもNATOが一致して対応しているかとなると、それぞれの加盟国のスタンスには濃淡があると、河野氏。
NATOのような集団的自衛体制を構築するためには、脅威認識を共有することが不可欠である。アジアの場合、常識的には脅威対象は中国になると思うが、石破総裁は「中国を最初から排除することを念頭に置いているわけではない」とも語っているのだそうです。
ならばアジア版NATOは何をもって共通の脅威認識とするのであろうかと、河野氏。
アジア各国、特にASEANの中国に対する認識は国によって異なっている。韓国でさえも政権によって中国に対するスタンスが違うことは周知の事実だと。
石破総裁は、「アジア版NATO」は日米豪印のQUADあるいは日英豪のAUKUSの延長線上にあるとの見方を示したが、QUADは政治的連帯であり、軍事同盟ではない。AUKUSも元々豪州の原子力潜水艦建造のための支援枠組みであり、軍事同盟ではないと、河野氏。
軍事同盟は2国間がベストだと思う。軍事同盟はあくまで運命共同体である。2国間でも同盟調整は簡単なことではない。まして多国間になるとその複雑さ、煩雑さは推して知るべしであるとも。
歴史的に見ても日英同盟は成功したが、日独伊3国同盟は日本の安全には寄与しなかったと、河野氏。
結論として、「アジア版NATO」は実現性の問題以前に、日本の安全保障のためにやるべきではない。それよりも日米同盟をより双務的な関係にもっていくことにより、その信頼性の向上に注力すべきだと。
第二は憲法問題。
石破総裁は「9条2項の削除」を主張している。私はこれに全面的に賛成だ。自衛隊明記だけでは自衛隊が抱える矛盾を解消することにはならないと思うからだと、河野氏。
安倍元総理も同じ考えだったと思う。しかし、現実に改憲するとなれば少なくとも連立与党の公明党の賛同を得る必要があり、当時は、公明党は、9条はそのままで加憲を主張していたことから、安倍元総理は、先ず一歩進めるという観点から「自衛隊明記」を提唱されたと思うと、河野氏。
政治家は評論家と違い現実に政策を進める責任がある。「9条2項の削除」は正論だが、これを現実政治の中で国民、他党を巻き込みどのように実現していくのか、その道筋さらには道程を石破総裁には提示してもらいたいと!
党内野党の立場でこれまでは意見を述べる立場だった石破氏。
総裁・総理となられたこれからは、確たるエビデンスや実現への道筋までが在っての方針打ち出しが求められます。
安倍政権のアベノミクスは、民主党政権が製造業の六重苦を産み出し、日本経済を沈没させかけたのを、経済成長に転換させました。そこには、浜田宏一、本田悦朗、高橋洋一、黒田東彦、他のスタッフのチームがいました。
石破内閣にはどのような人材が揃ってるのでしょう?
政権発足後、野党と予算委員会または党首討論などを経て国民に評価を問うと言っていた石破氏なのに、早計な解散を打ち出す変化は、森山幹事長等の進言にしたがったと言われる野党に突っ込みどころを与える、政権運営スタート!
新政権誕生のお祝いムードの中でのスタート & 衆議院選挙に臨みたい魂胆がみえみえ!
前途の多難さが露呈していますがいかが??
# 冒頭の画像は、自民党の臨時総務会であいさつする石破茂総裁他
この花の名前は、ヒメイワキボウシ
↓よろしかったら、お願いします。
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月刊Hanada2024年2月号 - 花田紀凱, 月刊Hanada編集部 - Google ブックス